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更新日:2026.02.10 / 掲載日:2026.02.10
MCプーラに感じたマセラティ再始動【九島辰也】

文●九島辰也 写真●マセラティ
マセラティのフラッグシップモデルMC20が進化しました。“20”は“2020”年を意味するので、デビューから5年が経ったことを考えるとスケジュール通りと推測できます。

新型の名はMCプーラ(PURA)。プーラは英語のピュア(純粋)のイタリア語です。原点回帰、もしくはシンプルにその走りを楽しめるクルマといったところでしょう。ただ、マセラティが発信したニュースリリースにはこんなことが書かれています。「“E=MCPURA”はアインシュタインの相対性理論に着想を得た表現で、極限まで高められたエネルギーが“純粋なる卓越性”という極みに達する様子」だとか。極めればシンプルになるといった意味合いですかね。確かに、MC20から見た目で大きく変わったところはなく、デコラティブな化粧はありません。いわゆる正常進化といった内容です。
発表は昨年7月のグッドウッドで行われたフェスティバル・オブ・スピードでした。“Moving Motor Show”と呼ばれるマーチ卿主催のイベントです。個人的に何度か訪れたことがありますが、かなりエキサイティングなコンテンツが用意されています。クラシックカーやスーパーカーのヒルクライムレースはすごい迫力です。そして、近年いくつかのブランドがここでインパクトの強いモデルを発表しています。

そんなMCプーラのステアリングを握る機会を得ました。場所は袖ヶ浦フォレストレースウェイ。そこで、オープントップモデルのMCプーラ チェロとGT2ストラダーレを走らせました。
MCプーラ チェロの心臓はマセラティ自慢のネットゥーノエンジンです。3リッターV6ツインターボエンジンは最高出力630ps、最大トルク730Nmを発生させます。彼らはこのユニットのパワー違いを各モデルに搭載しています。グレカーレトロフェオ、グラントゥーリズモ、グランカブリオ、さらにはGT2ストラダーレにも。その意味でレーシーなパフォーマンスとテイストはもちろん、日常的にも使えるユニットであることは証明されています。そもそも生産台数の少ないブランドですからね。パワーユニットは多くありません。これ以外はグレカーレのスタンダードグレードに積まれる2リッター直4ターボとなります。

では、MCプーラチェロの印象ですが、バタフライドアを開けて乗り込むと、そこにスーパーカーの世界が広がります。デザインはMC20から大きく変わりませんが、シンプルな造形にスイッチ類は少ないのはイマドキ風です。ステアリング上にスターターとローンチコントロールボタンがあるのが特徴でしょう。さらにいえば、素材が個性的。ダッシュボードはアルカンターラ、センターコンソールはカーボンが使われます。この両方を上手に使ったステアリングも象徴的でした。
サーキットを走らせるとこのクルマの軽さに驚かされます。スタートからアクセル開度をなぞるようにスーッとボディを前へ押し出します。「この押し出す」感覚はミッドシップ特有です。最初のコーナーからフロントの軽さを感じさせます。車両重量はおよそ1500kg。

MCプーラチェロはそれに電動ガラスルーフが装備されます。これはポリマー分散型液晶で、ワンタッチで透明から不透明に切り替えられます。なので、クーペの状態でも2パターン楽しめますし、完全に開けばオープンエアを体感できます。それでいて、サーキット走行していても上物が重いとか、ボディを左右に揺さぶられるといった感覚はありません。閉めた時のボディ剛性は相当高められています。タイムアタックでもしない限りガラスルーフのある無しは不問です。
ドライブモードはWET/GT/SPORT/CORSAがあります。WETモードはトレンドですね。ポルシェ911やフェラーリももはやデフォルト装備となります。で、今回はCORSAメインで走らせました。なので、エキゾーストサウンドは大きくなり、ギアチェンジのタイミングを遅くしエンジンを高回転まで回します。かなり攻めたセッティングでした。パドルシフトを駆使して楽しい走りができます。当然加速では身体がシートに押し付けられますが、そのためにホールド性の高いシートが装着されているのは言わずもがなです。

試乗はGT2ストラダーレも同時に行いました。こちらはまんまレーシングカーです。ですが、この日はタイヤのカーカス(ワイヤー)が出ている状態になってしまったので本格的な試乗はなし。こちらは別途再び乗る機会があれば報告したいと思います。
といったのがMCプーラチェロの走りでした。いずれにせよマセラティが動き出したのは確か。今後の動向に期待が膨らみます。