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更新日:2025.10.10 / 掲載日:2025.10.10
レクサス新型IS・最先端スポーツセダンの実力研究
新型レクサスIS世界初公開
日本の高級車市場に、独自の世界観で挑戦し続けるレクサスだが、その象徴的存在であるFRスポーツセダン「IS」が大幅な改良を受けて登場する。EV化が加速する時代にあっても、マニアから根強い人気を誇るISは、熟成を重ねることで商品力を大きく向上。日本人の感性に訴えかける、唯一無二の走りを追求した一台に仕上がっているのは間違いなさそうだ。
文:横田 晃

国内導入は2026年が有力
熟成メカニズム&最新装備で最先端のスポーツセダンへ
ドイツ車とは違う日本が誇るスポーツセダン
日本人なら大抵の人は、好みのコメの銘柄を迷わず選んでいるのではないだろうか。それは味という正解のない価値を評価する指標が、自身の中に確立されているということだ。
ところが、ことクルマの乗り味となると、日本人は長らくドイツ車を始めとする欧州車の価値観に支配されてきた。アウトバーンの全開走行が前提のドイツ車の味つけと、高速道路も120km/hリミットで、狭いワインディングロードでの身のこなしも問われる日本では、オススメの味わいは本来異なるはず。これは、個性や文化の領域と言っていい。
レクサスの歩みは、日本発の高級ブランドにふさわしい、独自の走りの味わいの開発史でもあった。その先頭を走ってきたのが、今や貴重な存在となった本格FRスポーツセダンのISだ。
走り&品質向上を目指した熟成のビックチェンジ
アルテッツァをベースに1999年に生まれた初代には、まだBMWコンプレックスを感じさせる気配があった。しかし、レクサスブランドが日本国内でもローンチした2005年に登場した2代目では、デザインでも走りでもレクサスの方向性を明確に主張するようになり、V8の5ℓを積むハイパースポーツモデルまで設定して、世界をあっと言わせたのだ。
2013年にデビューした3代目では、堂々と「真の”走る愉しさ“の体現」を開発コンセプトに掲げて、レクサスならではの走りの味を訴求してきた。最新の溶接技術や構造用接着剤の導入などでボディから鍛え上げ、4輪操舵や電子制御の足回りも備えて、レクサスが考える意のままの走りを表現。その一方で、V6の2・5ℓエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車も用意して、時代の要請に応えてきた。
そして今回、2026年初頭の世界発売がアナウンスされた新型ISは、その進化の集大成となる、走りのレクサス。開発コンセプトも、ずばり”熟成“だ。
レクサスのアイデンティティであるスピンドルグリルを新しい解釈で表現したマスクは、とてもアグレッシブ。ベーシックグレードでも18インチタイヤを履きこなすが、F SPORTとバージョンLは19インチの大径サイズ。さらにF SPORTのホイールは、軽量化を追求した新デザインを採用している。
インテリアの質感の高さは当然だが、センターディスプレイとメーターパネルはともに12・3インチのフル液晶となり、タッチ式のセンターディスプレイの位置と角度にもこだわって、操作性と視認性を両立させている。
ISの主眼となる走りの進化面も魅力的だ。よりリニアでスムーズなステアリングフィールを実現するために、電動パワーステアリングに低慣性モーターを採用するとともに、ラック平行式バリアブルギヤを採用。レクサス得意の電子制御の足回り、AVSはリニアソレノイド式の凝ったメカニズムで、挙動の安定性と上質な乗り心地の両立を果たしているという。
電動化時代でもハイブリッドは有力な選択
じつはレクサスは2019年の東京モーターショーで、2035年までに全ラインナップをEV化すると発表しており、その時点ではISは消滅と予想されていた。ところが、同様に完全EV化にひた走っていた欧州メーカーも多くはエンジン廃止を撤回。むしろレクサスのシンボルであるハイブリッド車が、注目される状況になっている。
今回発表された新型ISも、日本国内向けにはガソリンエンジン+モーターのIS300hのみ導入予定とされているが、グローバル市場向けには純ガソリン車もあり、あらゆる動力源の可能性を残す、トヨタのマルチパスウェイ戦略にも合致した展開だ。
もっと刺激的な走りを、という市場の声があれば、日本国内向けガソリン車の導入もあるかも。どうせならV8復活も面白いと思うのは欲張りすぎだろうか。








