車のメンテナンス
更新日:2025.10.06 / 掲載日:2025.10.06
新型エルグランド、第三世代e-POWER搭載で王座奪還へ

日産のフラッグシップミニバン「エルグランド」が、ついにフルモデルチェンジを果たす。2025年10月開催のジャパンモビリティショーで世界初公開され、2026年春の発売が有力視されている。さらに2025年内に商談が始まる可能性もあり、高級ミニバン市場で再び存在感を示す準備が整いつつある。
新型の骨格には、エクストレイルやセレナと共通のCMFプラットフォームをベースに、エルグランドの車格に合わせて拡大・強化した専用仕様を採用。剛性を高めつつ軽量化を進め、静粛性や乗り心地を徹底的に磨き上げている。ボディサイズは全幅を抑えながら室内長を拡大し、ライバルのアルファード/ヴェルファイアに正面から挑む余裕の3列シート空間を確保する。
最大の注目は、第三世代「e-POWER」の搭載だ。日産独自のシリーズハイブリッドシステムであるe-POWERは、エンジンを発電専用とし、駆動はすべて電気モーターが担当する。常にモーターで走るため力強くレスポンスの良い加速と高い静粛性を備え、複雑な機構を持つ他のハイブリッドに比べてもEVに近い走行感覚を提供する。さらに回生ブレーキによって減速エネルギーを電力に変換する仕組みも持ち、効率性でも優れている。
すでに欧州で販売されているSUV・キャシュカイで採用しているこの第三世代e-POWERは、燃費性能を高め、最大航続距離1200kmを達成。環境性能も飛躍的に向上しているという。加えて、静粛性は従来比で最大5.6dB低減し、EVに匹敵するというから驚きだ。スポーツモード選択時には10kWの出力アップを可能とし、力強い加速フィールも味わえるという。
その心臓部となるのが、新開発の「5-in-1 e-POWERパワートレインユニット」だ。モーター、発電機、インバーター、減速機、増速機の主要部品を一体化し、軽量かつコンパクトにまとめることで効率性を高めた。モーター出力は151kWへと強化され、振動や騒音も大幅に抑制される。組み合わされるエンジンは、e-POWER専用に開発された1.5L直列3気筒ターボ。日産独自の「STARC燃焼コンセプト」により燃焼安定性を高め、熱効率42%を実現する。エルグランドへの搭載にあたり、専用チューニングがほどこされ、後輪にモーターを配置した電気式AWDもラインナップされるはずだ。
新型エルグランドの外観は堂々とした大型グリルとシャープなLEDシグネチャーランプを組み合わせた存在感あるもの。内装は大型ディスプレイを統合した最新インフォテインメントを備え、進化版「プロパイロット」による高度な運転支援も搭載する。快適性・静粛性・安全性を徹底的に磨き上げた仕上がりは、まさに「走るラウンジ」と呼ぶにふさわしい。
2000年の初代登場以来、高級ミニバンの象徴として君臨したエルグランド。しかしその後はライバルに王座を譲ったまま時が流れた。今回の新型は、日産が王座奪還を狙う切り札。ジャパンモビリティショーでのお披露目から2025年内の商談スタート、そして2026年春の発売というスケジュールが濃厚だ。