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更新日:2025.09.25 / 掲載日:2025.09.25
史上最強のフェラーリが登場【フェラーリ 849テスタロッサ 発表会】

文●内田俊一 写真●ユニット・コンパス
フェラーリジャパンは東京都内において849テスタロッサを発表した。9月9日にイタリアミラノでワールドプレミアした約2週間後のお披露目となる。クーペの価格は6465万円~、スパイダーは7027万円~(どちらも税込み)。
新しいチャプター

発表会ではフェラーリジャパン 代表取締役社長のドナート・ロマニエッロ氏が、テスタロッサの歴史を紐解くことからプレゼンテーションをスタート。テスタロッサとは、「1955年、マラネッロでとある整備士が余った赤い塗料で特に高性能なエンジンをマーキングしたことに端を発し、それ以来、フェラーリの最高のエンジンを象徴するものとなった」という。この名前が付けられた最初は1956年の500TRで、その後ル・マンで勝利した250テスタロッサなどを経て、1984年に発表されたテスタロッサに引き継がれていった。
849テスタロッサの“849”という数字の意味についてロマニエッロ氏は、「8気筒エンジンで、1気筒あたりの排気量が499ccという意味だ」と説明し、「フェラーリを最も情熱的に体感する人々に向けての新しいチャプターであり、最高を求め、その驚異的な性能と独自の個性を存分に堪能できる真のドライバーズカーだ」と紹介した。
パワートレインはPHEV

そして本国からフェラーリプロダクトマーケティングマネージャーのマルコ・スペッソット氏が来日し、プロダクトプレゼンテーションが行われた。
現在フェラーリは大きく2つの方向性があり、ひとつはスポーツカーで、「エレガンスで快適性を備えた車両。例えばアマルフィのようなクルマ」だ。もう一方は、「パイロットカーで、パフォーマンスに注力した妥協のないクルマ。849テスタロッサはこのパイロットカーを押し進めたもの」と位置付ける。

搭載されるパワートレインは、プラグインハイブリッドで総最高出力は1050馬力と発表。エンジンはV型8気筒ツインターボ(830馬力)で特に注目すべきは「ターボだ」とスペッソット氏。フェラーリのどのプロダクトモデルよりも大型で、かつ、「ターボチャージャーが大きくなればターボラグが大きくなるが、ターボテクノロジーを推し進め、ターボラグがないように開発した」と述べる。

そこにリアに1つ、フロントに2つのモーターで構成され、こちらは最高出力220馬力を発生。オンデマンドの四輪駆動システムとトルクベクタリングが組み合わされる。ちなみに電気のみの航続距離は25kmとされた。
加速性能は100km/hまでは2.5秒、200km/hまでは6.3秒で、「このカテゴリーにおいては最大の加速速度を実現した」とその高い性能をアピールした。
専用開発タイヤを採用

そのパワーを受け止めるブレーキも4輪ともディスク及びパッドサイズを大型化。さらにFIVEシステム(フェラーリインテグレーテッドビークルエスティメーター)というダイナミクス制御技術をもとに、ABS Evoは四輪の目標スリップ値を特定し、制動力を最適に配分するなど、ストッピングパワーも向上させた。受け止めるタイヤもミシュラン、ピレリ、ブリヂストンと共同開発したタイヤを採用。ちなみにミシュランはPilot Sport Cup ZR(オプション)、同Pilot Sport Cup2(アセットフィオラーノ)、ピレリはPZero R(標準)、ブリヂストンはPotenza Sport(標準、ランフラットバージョンもあり)となる。

エクステリアはエアロダイナミクスを追求。サイドのエアインテーク部分を縦のバンドで際立たせ(3次元リバリーと呼ばれる)、そこからラインはリアへと伸び、512Sをモチーフとするツインテールのデザインに繋がっている。そのリアにある可動ウイングやフロントバンパー部のフリックとスプリッターなど様々なエアロダイナミクスにより415kgというダウンフォースを250km/hで実現。同時に冷却性能も15%以上を改善した。
849テスタロッサにはアセットフィオラーノというパッケージオプション(税抜き予価602万7000円)が用意される。カーボンファイバーやチタンを幅広く使用することで約30kg軽量化。20インチのカーボンファイバー製ホイールにより、バネ下重量を削減することで、加速時や制動時の応答性を高めている。

空力ではフロントには大型化されたフリックやフロントアンダーボディにブルテックスジェネレーターを1組追加することで、局所的な吸引力を高め、空力バランスを確保するという。また、より硬いシングルレートのマルチマティックショックアブソーバーも採用。専用のカラーも用意される。
今回の発表では849テストロッサも紹介された。こちらはリトラクタブルハードトップを採用し、14秒で開閉することが可能だ。「全てのエアロダイナミクスやパフォーマンスはクーペと同レベルでありながら、オープンエアの走りを楽しんでいただける」とスペッソット氏は述べた。

