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更新日:2025.05.26 / 掲載日:2025.05.26
【日産 パトロール】砂漠がなくても乗りたくなる! 日本導入も期待

文と写真●ユニット・コンパス
経営再建に向けて奮闘を続けている日産。日本市場向けのラインアップについても強化の必要性を認めていて、その一環として新型スカイラインが開発中であることも明らかにされました。
そんな状況のなかで、いまできることのひとつとして検討されているのが、中東地域で人気のパトロール(北米仕様:アルマーダ)を日本で販売すること。パトロールは全長5.2m級の高級SUVで、2024年9月にフルモデルチェンジしたばかり。国産車として最大級のサイズと高級感はインパクト抜群。発売されることになれば注目を集めることになるでしょう。
「砂漠の王」として王族から信頼される存在

パトロールのメイン市場である中東地域(アラブ首長国連邦、サウジアラビアなど)は、オイルマネーを背景に発展を続けていて、都市部はSF映画のような近代的な街並み。世界中から高級車が集まるビッグマーケットです。
一方で街を離れると、広大な砂漠が広がっています。砂漠での立ち往生は生死に関わるため、信頼性は何よりも大切。歴代のパトロールは、そんな環境で鍛えられ進化を続けてきました。そして現在では、王族や多くのVIPが、パトロールを愛用するようになったそうです。2024年9月にアブダビで行われた新型パトロールの発表会にも、王族が出席したことが話題になりました。
そんな新型パトロールですが、その内容はまさに世界クラス。ラダーフレーム構造を採用し、搭載するエンジンは3.5L V6ツインターボで最高出力425馬力、最大トルク700Nm。ボディサイズは全長×全幅×全高が5350mm×2030mm×1945mmで、ホイールベースは3075mm。車重は2813kgというから大迫力です。

まるで高級ホテルの貴賓室のようなインテリア

テストコースで見たパトロールは、大きく存在感がありました。それでいてデザインに品があるというか、ギラギラしていないのも好印象。聞けばメインマーケットである中東の富豪たちの好みが反映されているそうです。砂漠を走破するタフネスと機能性をもちながら、社交の場にもスマートに乗り付けられる上品さを求めるのだとか。
一方でインテリアはわかりやすくゴージャス! 内装のトリムにはこれでもかとレザーが使われていますし、シートのステッチも凝っていてラグジュアリー感が漂っています。本格的なクロカン4WDでありながら、高級車そのものといった仕上がりで、ライバルと比較しても独自の魅力を感じます。運転手付きでオーナーが後席で過ごすような使用環境も想定されているため、リヤシートは作りがよく足元も広々。まるで高級セダンのようです。
ラゲッジの広さもかなりのもの。3列目シートがフラットに収納できるため、利用シーンにあわせた最適なアレンジが行えます。
乗り心地も快適そのもの。コーナリングも軽やかですし、そんな時もフレーム構造のクルマにありがちなシャシーとボディのずれによる不快さも上手にしつけられています。アクセルに軽く力を込めるだけで巨体が軽々と加速し、きっと長時間走っても疲れが少ないだろうと思わせる頼もしさがありました。




パトロールは日産のフラッグシップ的な存在でもあるため、装備は最先端。試乗体験でとくに便利だったのが視覚をサポートするカメラ技術で、フロントのエンブレム下に搭載された180度の視野角を誇るカメラを使えば、T字路のような見通しの悪い交差点で鼻先を出すことなく安全が確認できます。ほかにも死角をカバーするカメラモードが多数用意されているので、想像していたよりもずっと楽に扱うことができました。

気になる日本での価格は?

「砂漠の王」の異名を持つ新型パトロール。まだ日本導入は正式決定ではないとのことですが、実車に触れてみると使い勝手もよく、日本でも人気を集めそうです。とはいえ、近年の人気車はすぐに売り切れからの数年単位での納車待ちという問題があります。ただでさえ新型になって間もないモデルだけに、日本市場の分を確保できるのでしょうか。せっかく日本に導入されても、すぐにバックオーダーで購入できなくなったらユーザーから不満が出るのでは? と少し意地悪な質問をしてみましたが、そこについては日産側も考えている模様で、価格も含め日本ユーザーのための対応を調整中とのことでした。当然、現時点では価格もまだわかりません。中東地域での価格が日本円にして約1000万円からのスタートなので、ひとつの目安になるかもしれません。新型パトロールの魅力は豪華な装備と内装なので、ぜひ王様気分が味わえる仕様を日本にも導入してもらいたいものです。