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更新日:2025.03.12 / 掲載日:2025.03.12
アルピナ60年の歴史に幕、ラストイヤーを飾るグランドツアラー「B3 GT」

BMW ALPINA B3 GT【グーワールド コラム/スペシャルモデル】
文●ユニット・コンパス 写真●内藤敬仁、澤田和久
問い合わせ:アルピナ URL:https://alpina.co.jp/
※ナンバープレートは、はめ込み合成です。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年4月号の内容です)
60年に及ぶ歴史の集大成 ラストイヤーを迎えたアルピナ
今から3年前の2022年3月、BMWグループがアルピナ(ALPINA)の商標権を取得したというニュースが報じられた。アルピナは、1965年1月にドイツ ブッフローエに「アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限&合資会社」として設立された。当初はBMWのチューニングやモータースポーツに取り組んでいたが、1978年からBMWをベースとする乗用車の製造をスタート。1983年にはドイツ自動車登録局から正式に自動車メーカーとして認められた。しばしばアルピナはチューニングメーカーと認識されるが、れっきとしたドイツの「自動車メーカー」なのである。
アルピナの仕事をひと言で表すなら、ハイパフォーマンスとラグジュアリーを高次元で両立させたクルマづくりである。サーキット走行を前提としたハイパフォーマンスカーのBMW「M」とは別ベクトルのクラフトマンシップは、世界中の自動車ファンを虜にしてきた。エンジン、トランスミッション、シャシー、タイヤなどあらゆる箇所に特別な仕立てをすることで、時速300kmのアウトバーンでも快適に巡航が可能。まさに自動車グルメのためのクルマなのだ。そんなアルピナの商標権はBMWに渡ることで、自動車メーカーとしては2025年末をもって幕を閉じる。商標権を獲得したBMWは、今後の自社のラグジュアリーカーの展開をより盤石なものにしていくという。
独立したメーカーとしてラストイヤーとなる2025年ではあるが、そのラインアップは非常に魅力的だ。特に2024年に発表された「BMW ALPINA B3 GT/B4 GT」は、まさにアルピナらしさが凝縮されている。前者は3シリーズ(セダン/ツーリング)、後者は4シリーズ グランクーペをベースとするが、その性能はベース車を大きく上まわる。パワートレインはどちらも3L直6ツインターボを搭載し、最高出力529馬力、最大トルク74.4kgmを発揮。最高速度はB3 GT(セダン)で時速308km、B4 GT(グランクーペ)で時速305kmを実現する。もちろん、パフォーマンスの向上と上質な乗り心地の両立というアルピナの伝統はきちんと守られている。
これまでのマーケットの動きから想像するに、B3 GT/B4 GTはもちろん、既存のモデルも今後は希少価値が上がるだろう。なにより、アルピナを新車でオーダーする体験はもうすぐできなくなるのだ。迷っている暇はない。
独自のチューニングにより529馬力の高出力を発揮

3L直6ツインターボは最高出力529馬力に達する。これは数え切れないほどのベンチテストと実走行を行い、独自のエンジンマッピングをさらに見直した結果だという。

