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更新日:2021.09.06 / 掲載日:2021.09.06

HONDA NSXタイプS詳報

国産車唯一のスーパースポーツ「NSX」が、2022年12月で生産終了することが発表された。
ファンにとっては悲しいニュースだが、同時にその最後を飾るモデルとして、特別なチューニングが注がれた「NSX タイプS」が限定発売されることが決定した。
予定される台数は全世界で350台。
国内にはその中から30台が割り当てられるという。
NSXを愛する熱狂的なファンのために造られる、特別なNSXはどんなモデルなのだろうか?

※写真は北米仕様ACURA NSX Type S

初代NSXにも、「NSX-R」や「タイプS」のような特別なモデルは発売されたが、いずれもコレクターズアイテムとして高い人気を持つ。現行NSXでも「タイプS」は相当な人気を集めることが予想できる。

●主要諸元(北米仕様車の数値。インチ表記などは編集部が換算した数字になります)
●全長×全幅×全高(mm):4534×1939×1214 ●ホイールベース(mm):2629 ●パワーユニット:3500ccv型6気筒ツインターボ(520hp/443lb-ft)※ハイブリッドシステム総合数値(600hp/492lb-ft) ●トランスミッション:9速DCT ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(F)マルチリンク式(R) ●タイヤ:245/35ZR19(F)305/30ZR20(R)

2022モデルのNSXはタイプSのみが生産される

 現行型の最後を飾るNSX タイプSは、限定350台の特別仕様車として米国オハイオ工場で製造される。日本国内向けは30台が割り当てられるが、大半は米国で販売(300台)される模様だ。ちなみに2022年モデルは標準モデルの設定はなく、すべてのNSXがタイプSとしてデリバリーされることになる。

 最終仕様かつ「タイプS」を名乗ることもあって、従来の2020/2021年モデルからの改良点は多岐に及ぶ。その内容を見る限り、過去最大規模の内容が注がれているといっても言い過ぎではないだろう。

 まずエクステリアは前後のエアロパーツを新設計。サーキットで活躍しているレースマシン「NSX GT3」からインスパイアされた要素をプラス。バンパー下/左右開口部、リップ周りのデザインが変更されている。空力性はもちろん精悍な顔つきという魅力も増している印象だ。

パワーユニットも速さを求めて特別仕立て

 3.5L・V6ツインターボに3モーター式ハイブリッドが組み合わされるスポーツハイブリッドSH-AWDも改良。NSX GT3と共通のターボチャージャーを採用したほか、ブースト圧を6%向上、バッテリー容量を20%、バッテリー出力を10%向上させている。従来型の北米仕様車の総合システム出力は573PS/476lb・ftだが、タイプSでは600PS/492lb・ftまでスペックアップされている。トランスミッションの9速DCTもチューニングによりシフトアップのレスポンスが50%向上している。

 バネ下まわりも軽量剛性を強化したスプリット5本スポークホイールやカーボンセラミックブレーキ、タイプS専用開発のピレリP-Zeroタイヤを装着。速さと運動性能を追求するスーパースポーツにふさわしい内容が盛り込まれていることも見逃せない点だ。

 なお、国内向けに用意される30台のタイプSがどのように販売されるかは、ホンダからアナウンスされていないが、キャビンまわりにも専用意匠が施され、新設定カラーが追加されるなどファン垂涎のコレクターモデルとして相当な人気を集めるのは確実。

 ちなみに北米でアキュラブランドで販売されるNSXタイプSについては、標準仕様車が16万9500ドル(約1858万円)、カーボンファイバーエンジンカバーやカーボンセラミックブレーキで26.2kgほど軽量化したライトウェイトパッケージ車で18万2500ドル(約2000万円)と告知されている。おそらく国内仕様車は上級装備が装着されるため、価格は公表されている北米仕様車の価格より高くなるはず。2020モデルの車両価格である2420万円よりも高く設定されるのは間違いないだろう。

※追記:国内価格は2794万円。

空気が素早く流れるように設計されたエアロパーツ類やサスチューニングは、サーキットで活躍するNSX GT3譲りのノウハウが注がれる。最速のNSXとして大きな注目を集めることは疑いようもない。

空力部品やルーフなどにもカーボンファイバーを用いることもあって、標準仕様車でも軽量ボディを実現しているが、ライトウェイトパッケージ車はカーボンブレーキやカーボンエンジンカバーなどでさらに26.2kgの減量も実現している。

  • ミッドシップに配置される高出力のV6ツインターボと3つのモーター(フロント2モーター、リヤ1モーター)を持つスポーツハイブリッドSH-AWDを組み合わせたパワーユニットにも専用チューニングを実施。600PS(従来比+27)/492lb.ft(従来比+16)を発揮する。

  • 最後のNSXとなる2022モデルは、タイプSのみが製造される。デリバリーされるタイプSには世界限定350台を証明するシリアルナンバーが刻まれる。

350台のうち70台は、タイプSだけのために開発したマットメタリックペイント「ゴッサムグレー」仕上げになる。繊細な塗装面になるため、輸送時には厚く柔らかなボディカバーが用意される。

アルカンターラやセミアニリンレザーなどが用いられるキャビン意匠もタイプS専用の特別仕立て。ヘッドレストやグローブボックスにはタイプSのオリジナルロゴが刻まれている。

2022年12月まで仕向地に向けて順次出荷される予定。すでに第一号車はラインオフしており、その車両はアキュラの手によりチャリティオークションにかけられ、ベース車両価格の6倍を超える金額で落札されたという。初代モデルと同様に、タイプSは特別なNSXとして人気を集めそうだ。

※追記:国内は9月2日(木)にNSX PERFORMANCE DEALERにて購入申込みを開始、2022年7月に30台限定で発売予定。ただし、既に一部ディーラーでは取扱い終了、ボディカラー「カーボンマットグレー・メタリック」は完売。

●文:月刊自家用車編集部

提供元:月刊自家用車

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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