車の歴史
更新日:2021.03.06 / 掲載日:2021.03.04

HONDA N360 徹底解説 エクステリア

icon HONDA N360

スタイリッシュな2ボックスボディにパワフルな4ストエンジン。ホンダだから産み出せた、ホンダらしい軽自動車

 バイクメーカーだったホンダにとって、360ccという小排気量エンジンを搭載する軽自動車は、4輪メーカーへのステップアップに適したカテゴリーだったはず。実際、ホンダが初めて世に送り込んだ4輪自動車は、DOHCヘッドを有するスポーツカーのようなエンジンを積む軽トラック、T360であったわけだ。その後、小型乗用車市場にスポーツカーとなるSシリーズを投入し4輪市場に本格参入したのだが、4輪市場での地位を確実なものとしたのは、その次に送り込んだ軽乗用車、N360の成功であろう。当時の軽自動車の常識を覆す室内の広さや、動力性能を武器にN360は大ヒットを飛ばすこととなる。そんなN360は、半世紀が過ぎた現在でも多くのマニアに愛される存在だ。

ホンダ乗用車の原点として誕生したN

ライバルたちを圧倒した室内空間と元気の良い走り

 日本で自家用車を所有できるようになったのは1960年代。軽自動車規格となるスバル360が1958年に登場したことで、多くの人にとって自家用車が身近な存在になった。

 1960年代は、スバル360の快進撃に触発された多くのメーカーが軽自動車市場に参入することとなり、オートバイメーカーであったホンダも、1963年にDOHCヘッドを有する360cc4気筒エンジンを搭載する軽トラック、T360をデビューさせている。

 当時の軽自動車といえば、パワー的には20ps前後。スバル360が16ps、マツダキャロルが18ps、スズキフロンテが21ps、ミニカが17psなどなど。搭載されるエンジンは4ストロークも2ストロークも混在していたが、1960年代中盤からは部品点数も少なく、しかも相対的にパワフルな2ストロークエンジンが主流となっていった。

 そんな中で、ホンダが本格的に4輪自動車市場に参入すべく1967年にN360をデビューさせた。搭載されたエンジンはオートバイであるCB450がベースとなる、4ストロークの空冷2気筒OHC。そのパワーは当時の軽自動車として圧倒的な数値となる31psを誇る。しかもそのエンジンをフロントに搭載し、前輪を駆動するFF方式をいち早く採用していたのだ。

 当時の軽自動車は、リヤエンジン、リヤドライブ(RR)、もしくはオーソドックスなフロントエンジン、リヤドライブ(FR)という駆動方式しか存在しなかった。後発となったN360は、軽自動車というミニマムなボディサイズながら室内空間を最大とできるFF方式を採用することで、エンジンパワーだけではなく、室内空間の広さにおいてもライバルに大きな差をつけていたのだ。

Nッコロのフロントマスクは3種。1型と2型は、ヘッドライトがグリル上側両端に、ウインカーレンズがグリル下部に配されるデザインとなる。N3だけは、ヘッドライト、グリル、ウインカーレンズがそれぞれが独立したデザイン。ここに登場する2型はスポーティグレードのツーリングでシンプルなメッシュのグリルとなる。

ナンバー灯の幅が1型の初期と後期で異なっている

同じ1型ながら、初期だけは1型後期以降とは異なった部分が多数あるわけだが、リヤのナンバープレート灯もそのひとつとなる。パッとみた感じでは違いは無さそうだが、よく見るとナンバー灯のレンズ部の幅が、1型初期より1型後期の方が広いのだ。恐らくは、ナンバープレートを照らす範囲が狭く、広げられたのではなかろうか?

1型と2型は共通だがN3でバックランプと反射板が変化する

テールランプは、二分割式で上部のレンズが、スモール、ブレーキ、ウインカー灯となり、下部はバックランプと反射板だ。国内仕様の上部のレンズはN3まで赤レンズのみとなるが、輸出モデルにはウインカーが橙で独立したレンズもあり、撮影車の2型はその輸出レンズに変更されている。下側はN3で角型となり、そしてレンズも大型化される。

1型の初期とそれ以降で窓枠の太さが異なっている

1型初期までのマニアックな違いその2となるのがリヤクォーターウインドウ。1型初期は窓枠が太く、1型後期以降は窓枠が細くなっている。1型初期とそれ以外を見比べないと、その太さの違いに気付くのは難しいレベルの違いだが、レアな1型初期を外観で見分ける際にチェックするポイントとなる。

1型初期とそれ以降で給油リッドの開け方が違う

フューエルリッドのオープナーも1型初期まではそれ以後と異なる。給油口があるのは左ドア後方、Bピラー下側。リッドが上部を軸に下から上に開くのも、オープナーもドアのキャッチ金具下にあるのも同様だが、1型初期はオープナーを回してロックを解除するのに対し、1型後期以降はオープナーを摘んで引っ張ることでロックが外れる。

SA型初代ライフから先祖返りで乗り換えたNッコロ

取材協力:オーナー雨谷さん
Nッコロを4年前に手に入れるまでは、同じホンダの360cc時代の軽自動車であるSA型ライフに乗っていたという雨谷さん。そのライフは残念なことに事故で廃車にしてしまったそうだが、360cc軽の楽しさを知ってしまった雨谷さんは、ライフの先代モデルとなるこのN360を手に入れることに。360ccの2気筒エンジンを搭載するライフとNだが、世代の他に水冷と空冷というエンジンの大きな相違点があるが、空冷ツインの独特なエンジン音やパワー特性に雨谷さんはべた惚れ。ガソリン漏れなどのトラブルを経験しつつ、Nッコロの乗り味やサウンドを楽しむ日々を送っているそうだ。

icon 車両:1968年 N360 TYPE M

N3601型 車両諸元:●全長×全幅×全高:2995×1295×1345mm ●車両重量:475kg ●エンジン:強制空冷4サイクル2気筒OHC ●排気量:354cc ●最高出力:31ps/8500rpm ●最大トルク:3.0kg-m/5500rpm ●サスペンション形式:独立懸架式(ストラット)/半楕円板バネ式 ●ブレーキ:リーディングトレーリング 油圧式四輪制動 ●タイヤサイズ:5.20-10-2PR

提供元:オートメカニック

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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