新型車比較・ライバル車対決
更新日:2020.05.27 / 掲載日:2020.05.27

2020春「スーパーハイト軽」徹底比較

現行N-BOXが先陣を切り、タントが続いた新基準スーパーハイトカテゴリーに、eKスペースとルークスのルーキー勢が挑む。多くの販売台数を誇る注目車たちを横並びで比較した。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

ダウンサイザーも満足の“上乗せ”部分に注目だ

初代タントを開祖とするスーパーハイト系ミニは、今や軽乗用車におけるファミリーカーの定番として根付き、軽乗用車を生産する全社がラインナップする。ならばスーパーハイト系はファミリーユース専用か。いや、そう結論付けるのはもったいない。

大人4名がゆったりと過ごせる広い室内と見晴らしのいい高いアイポイントは一般用途でも大きなアドバンテージである。しかも、従来までは不向きとされていた高速長距離用途もシャシー性能の向上と先進運転支援機能の普及によりかなり改善されている。結果、スモール&コンパクトをスキップして一気に軽乗用車までダウンサイジングするだけのポテンシャルをもたらしたのだ。

日常用途向けのファミリーカーとしては細かなユーティリティと個人的に重視する使い勝手の相性が大切だが、ダウンサイジングの視点では従来の軽乗用車の視点では過剰と思われる部分が重要になる。その最たるものが高速道路での運転疲労を軽減するACCやLKAなどの先進運転支援機能。ナビや車載ITもどちらかと言えばダウンサイザー向けだろう。いずれにしても軽乗用の一般論を越えたモノサシで量るのが肝要だ。

“スーパーハイト”とは?

  • ハイトワゴン/eKワゴン

  • スーパーハイトワゴン/eKスペース

ムーヴやワゴンRに代表されるハイト系の全高が165cm前後なのに対し、スーパーハイト系は180cmクラス。例えばeKワゴンは全高164~166cm、eKスペースは178~200cmだ。

これも定番

icon SUZUKI スペーシア

●価格:135万8500~194万3700円 ●発表日(最新改良):’17年12月14日(’18年12月20日)

  • スペーシア

  • スペーシア ギア

’17年のモデルチェンジでは運転支援等の先進機能は従来の延長にとどまった。もちろん使い勝手は負けていない。次期型に期待だ。

【比較1】プロフィール/ラインナップ

icon NISSAN ルークス

●価格:141万5700~206万6900円 ●発表日(最新改良):’20年2月25日(未実施)

ハイウェイスター

標準系

プロパイロット搭載で車名も新たにデビュー

ハイト系のデイズに続き、売れ筋本命のスーパーハイト系が登場。マイルドハイブリッドエンジンや待望の「プロパイロット」を採用し、従来の「デイズ ルークス」から「ルークス」に車名を変更。標準系とハイウェイスターの2系統で、ターボはハイウェイスターのみとなる。

icon MITSUBISHI eKスペース/eKクロス スペース

●価格:139万9200~176万7700円/165万5500~199万1000円 ●発表日(最新改良):’20年2月6日(未実施)

eKクロススペース

eKスペース

好評なフェイスデザインの「クロス」も設定

基本構造/装備をルークスと共有。先に出たeKシリーズと同様に、デリカ系のタフなダイナミック・シールドデザインの「クロス」を設定。そのeKクロススペースにオフロード走行用の機能を搭載するなど、デザインだけでなく装備面でもルークスとの違いを見せている。

icon HONDA N-BOX

●価格:141万1300~212万9600円 ●発表日(最新改良):’17年8月31日(’19年10月3日)

標準系

カスタム

運転支援機能フル装備で時代を変革

上級車に勝るとも劣らない機能を持つ先進安全・運転支援機能「ホンダセンシング」を搭載し、軽乗用車の新時代を到来させた。考え抜かれた使い勝手や現代的な乗り味/走行性能もあいまって大ヒット。今の、そしてこれからの軽スーパーハイトのベンチマークだ。

icon DAIHATSU タント

●価格:124万3000~197万4500円 ●発表日(最新改良):’19年7月7日(’19年12月23日)

標準系

カスタム

DNGA採用で王者N-BOXを猛追

現行タントはN-BOXから遅れること約2年、新たな開発思想「DNGA」第一弾として’19年に発売。軽自動車に精通するダイハツの強みを活かしつつ、シャシー、エンジン、機能&装備を刷新。かつてのカテゴリーリーダーが、実力と人気の両面で再び王座を争う存在となった。

【比較2】試乗インプレッション

icon NISSAN ルークス

icon MITSUBISHI ekスペース/eKクロススペース

■主要諸元(ルークス ハイウェイスター Gターボ プロパイロットエディション/FF)●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1780●ホイールベース(mm):2495●車両重量(kg):1000●駆動方式:FF●パワートレーン:659cc直3DOHC+モーター(64PS/10.2kg・m+2.0kW/40N・m)●トランスミッション:CVT●WLTCモード燃費(km/L):18.8●燃料タンク(L):27(レギュラー)●最小回転半径(m):4.8●タイヤサイズ:165/55R15

ルークス

eKクロススペース

走りの質がより洗練され、車重増加のネガも感じない

先に登場したデイズ/eKワゴン系より車重は100kg近く増加しているのだが、非力感が増した印象はない。穏やかに走らせている時はむしろ力強くなったように思えるほどだ。もちろん、パワートレーンを変更したわけでない。CVTの変速制御が違い、つまり使用回転域の変化が余力感に影響した結果である。

デイズは加速力優先の変速制御で、アクセルの踏み込みに呼応して回転数が上昇。ターボ車でも4000回転以上を頻繁に使う。しかし、ルークスはNA車でも2500回転ほどに制御された巡航ギヤを維持しようとする。

巡航ギヤ維持能力はターボ車が高いが、加速時のダウンシフトタイミングは大きく変わらない。ただ、ターボ車は回転上昇を抑え気味。多段変速にたとえれば、NA車が2段ダウンならターボ車は1段ダウンで済ます、という違いである。回転上昇はスーパーハイト系では大きめだが、回転数と速度の一致感もほどほどに取れている。

フットワークは、ロール角の抑制は緩くロール速度は抑えめの和み型。横風等の外乱による揺れも大きいのだが、方向安定の乱れは抑えられていた。中立からの操舵反応も穏やか。悪く言えば締まりのない操縦特性だが、挙動変化に対して過度に反応しないので意外と気楽に扱える。

走りの味という意味で言えば、スーパーハイト系では主流となるファミリー志向に即したものだ。フットワークについて“セレナ的な味わい”と言ってもいい。デイズと同型のシャシーとパワートレーンを用いながら、運転感覚や乗り味は売れ筋に合わせている。ただ、ダウンサイジング視点では高速域での回転上昇や外乱に対する抑制がさらに欲しいところ。プロパイロットの介助があるとはいえ、高速走行中の頼りない印象は上級クラスからの乗り換えでは気になる部分だ。

  • 【ハイブリッド】WLTCモード燃費:20.8km/L(FF)

  • 【ターボ】WLTCモード燃費:18.8km/L(FF)

マイルドハイブリッド+ターボでより力強い走りを獲得。なお、4WDはビスカスカップリング方式のフルタイム4WDとなる。

タントの「DNGA」のようなネーミングはないが、新作の高強度ボディを採用。衝撃吸収性を高め、歩行者傷害軽減にも寄与する。

  • ●15インチアルミ(ルークス)

  • ●15インチアルミ(eKクロススペース)

  • ●14インチホイールキャップ(eKスペース)

icon HONDA N-BOX

■主要諸元(G・Lターボ ホンダセンシング/FF) ●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1790●ホイールベース(mm):2520●車両重量(kg):910●駆動方式:FF●パワートレーン:658cc直3DOHCターボ(64PS/10.6kg・m)●トランスミッション:CVT●WLTCモード燃費(km/L):20.4●燃料タンク(L):27(レギュラー)●最小回転半径(m):4.5●タイヤサイズ:155/65R14

穏やかでコントロール性や安定性も高く、長距離も○

Nシリーズ誕生時に走行ハードウェアを一新したが、フルモデルチェンジされた現行型で再びリニューアル。ハード面もまさに「新生Nシリーズ」となっている。

この変化が最もよく感じられるのはフットワークである。ロールの入り方など中立からのストロークの入りは緩く、癒し系の乗り味を演出するが、ストロークが深くなるにつれ締まりを増す。この繋がりが自然であり、急に硬くなるような部分がなく、速度域や負荷の変化に過不足ない感じなのだ。

ハンドリングの傾向は高速操安性最優先だが、アジャイルハンドリングアシストの効果もあって低速コーナーでも素直な操舵追従性を維持する。穏やかな乗り心地からは想像できないほど安定感とコントロール性に優れている。

パワートレーンは回転変化を抑えて、スロットルの大開きによるトルクが足りない分をダウンシフトでカバーするタイプ。軽乗用車では標準的なタイプだが、先代N系と比較すると余力感も速度と回転数の一致感も向上。さすがにNA仕様は高速巡航に余裕がないが、ターボ車なら安心感のあるフットワークと併せて軽乗用では優れた長距離適性を示し、ダウンサイザー向けと言えよう。

  • 【ターボ】WLTCモード燃費:20.4km/L (FF)

    電動ウェイストゲートで過給圧をコントロールし、パワフルな走りとレスポンスの向上、低燃費を追求。ターボエンジンには可変バルブ機構は採用せず。

  • 【NA】WLTCモード燃費:21.8km/L (FF)

    3気筒のi-VETCエンジンを搭載。ロングストローク化や可変バルブタイミング&リフト、連続可変バルブタイミング制御機構により、低燃費と高トルクを両立。

  • ボディには軽量かつ高強度な素材を配置。ホンダ独自の安全技術「G-CON」で衝突時の衝撃(G)を制御する。

icon DAIHATSU タント

■主要諸元(カスタムRS/FF) ●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1755●ホイールベース(mm):2460●車両重量(kg):920●駆動方式:FF●パワートレーン:658cc直3DOHCターボ(64PS/10.2kg・m)●トランスミッション:CVT●WLTCモード燃費(km/L):25.2●燃料タンク(L):30(レギュラー)●最小回転半径(m):4.7●タイヤサイズ:165/55R15

元祖「癒し系」は持ち味そのままに操安性が向上

頭を大きくゆったりと揺らすような癒し系の乗り味は初代タントから始まるのだが、代々シャシー性能の進化要点は高速操安性の向上を主としている。DNGAによる新世代プラットフォームを用いた現行車でも同様である。

ストロークの入りの緩さに癒し系へのこだわりが感じられるが、ストロークの量を意識すれば、引き締まった減衰感をはっきりと体感できる。荒いとか硬いといった乗り心地ではないが、和みのタウンカーというよりも安心して多人数乗車の高速走行を楽しめる乗り心地に軸足を置いた特性だ。

パワートレーンも巡航時の余力感を重視した特性。幅広い変速比幅の新型CVTの効果により、速度域による変速特性の変化を最小限に抑えている。巡航速度上昇によって常用回転数も徐々に高まるが、増し踏み時の回転上昇量の変化は小さめ。また、小さなアクセル踏み込み量でのトルクの立ち上がりが早いため、スペック以上にトルクの余裕が感じられる。

スーパーハイト系の主戦場となるタウン&ファミリー用途ではもう少し乗り心地寄りでもいい気がするが、走りにおけるレジャー&ツーリング用途適性はスーパーハイト系でもトップクラスだ。

  • 【NA】WLTCモード燃費:21.2km/L (FF)

    全面刷新されてDNGAエンジンになった。燃焼制御を細部まで煮詰めるとともに、遊星ギヤを併用するD-CVTで走りの性能と質感を高めている。

  • 【ターボ】WLTCモード燃費:20.0km/L (FF)

    DNGAエンジン+ターボでよりパワフルに。車体の特性も相まって、従来のタウンカー指向からツーリング&レジャーも射程範囲に収めた。

  • シャシーも新世代開発思想「DNGA」により新開発。なお、載せられる片側ピラーレスボディはドア内部に剛性部材を持つ。

【比較3】エクステリア

icon NISSAN ルークス

icon MITSUBISHI eKスペース/eKクロス スペース

●ホイールベース2495m●全高1780~1800mm●最低地上高150~155mm

デザインの選択肢が豊富。特に「クロス」は個性大

販売がニッサンとミツビシで2系統となり、エクステリアの設定はルークスの標準/ハイウェイスター、eKスペース/eKクロス スペースの4タイプが用意される。好みに応じたスタイルの選択がしやすいのは大きな魅力だ。

ルークスの標準系とeKスペースはバンパーを含む外板とランプ周りを共用。要はラジエターグリル周りが差異となるが、Vモーショングリルで「ニッサン」を前面に押し出すデイズに対してeKスペースは鉄仮面的デザインでまったく印象の異なる顔付きとした。

ハイウェイスターはフロントグリル周りとエアロ系バンパーによる、カスタム系の基本通りのデザイン。エアロ系としては大人しめだが、標準型ではちょっと物足りないと感じるユーザーにほどよい。

これら3仕様に対してeKクロス スペースは大きく嗜好を違える。デリカD:5ディーゼルを彷彿とさせるフロントマスクや下端をスキッドプレート様にしたフロントバンパーなど、ミツビシRV路線を主張する外観となっている。タイヤサイズや最低地上高は標準車と変わらずSUVテイストはルックスメインなのだが、エアロ系とは違った路線で嗜好性を高めたのが大きな存在価値である。

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ルークス ハイウェイスター

  • ルークス ハイウェイスター

  • ルークス ハイウェイスター

いわゆるカスタム系ミニの定番アイテムを各部に備え、ターボを独占的に搭載するグレード設定にふさわしいスポーティさを表現。

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  • ルークス

  • ルークス

標準系とはいいながら、他車の標準系のような和み志向というよりも、スポーティでシャープな方向性だ。

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eKクロス スペース

  • eKクロス スペース

  • eKクロス スペース

ひと目で「ミツビシのオフロード系」とわかる個性が際立つ。eKクロスよりかなり背高だが、デザインのバランスは崩れていない。

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  • eKスペース

  • eKスペース

標準系ミニのセオリーに則り、曲線と曲面を使い、女性的とも言える和み系/癒し系のデザインに仕立てられている。

icon HONDA N-BOX

●ホイールベース2520mm●全高1790~1815mm●最低地上高145mm

カスタムはミニバン感を、標準系は道具感を演出

フロント三角窓を備えるなどの基本車体構成はスーパーハイト系に共通しているが、ベルトラインをやや高めに設定し、比較的フラットでシンプルな面構成にするなど、他車に比べると道具感が濃いめのデザインとしている。このコンセプトは先代から継承されたものだが、結果として子供中心のファミリー色を抑え目にすると同時に、レジャー向け多用途ワゴン的な印象を押し出している。

また、全車にLEDヘッドランプとLEDテールランプを採用するなど、外観のグレード間格差が少ないのも特徴。スロープ仕様を除けば、外観は細部の艤装も含めて標準型とカスタムの2仕様と考えていいだろう。

カスタムはランプ類、グリル、ガーニッシュを変更して、上級ミニバン的なプレミアム感を向上。専用車体色も用意される。また、フロントウインカーを流れるように点灯するシーケンシャル型に、テールランプをフルLED型にするなど、ランプ周りのグレードアップが施される。なお、標準型ではLターボ以上の設定となる、ロックに連動してドアミラーを自動で格納/展開するオートリトラミラーが、カスタム系は全グレードに標準装着されている。

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標準系

  • 標準系

  • 標準系

丸目基調のランプデザインはNシリーズの標準系に共通のモチーフ。シンプルな面構成で親しみと扱いやすさを感じさせる。

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  • カスタム

  • カスタム

他車のカスタム系と同様に、専用ホイールやボディパーツ、灯火類など、スポーティなデザインアイテムで男性的な仕上がり。

icon DAIHATSU タント

●ホイールベース2460mm●全高1755~1775mm●最低地上高150~165mm

ブラックグリルなどを採用。上級感の演出に抜かりなし

現行モデルからDNGAに基づくプラットフォームに変更されているが、2代目以来の左側のセンターピラーレススライドドアはしっかり継承されている。なお、骨格構成上のセンターピラーはスライドドア前端部に内蔵され、側面衝突安全は確保されている。

標準型のデザインは簡素さと可愛らしさを融合させたタイプ。控え目なプレスラインとゆるやかな曲面で構成される。先代よりひと回り小さくなったヘッドランプや黒色ラジエターグリルが大人びた雰囲気を醸しだし、ファミリー一辺倒でないこと控え目に主張する。

基本的にレジャー用途あるいはダウンサイザー需要を配慮した外観だが、カスタム系はさらにその傾向が強化される。

2段型ヘッドランプヴェゼルにレクサスのスピンドルシェイプを連想させるラジエターグリルデザインを採用。上級ミニバン的なプレミアム感がある。また、車体色は専用の3色を含む8色のほか、カスタムL以外には2トーン色を用意。2トーン色はルーフが黒色となるだけでなくドアパネル下部のプレス面にメッキで縁取られた黒色サイドガーニッシュを装着。ラグジュアリー志向のカスタマイズカーのような雰囲気がある。

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標準系

  • 標準系

  • 標準系

シンプルな面構成にサイドの「えぐり」を効かせ、素材&仕上げにこだわりの感じられるフェイスデザインを組み合わせる。

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  • カスタム

  • カスタム

元の上級感を活かしつつ定番アイテムでドレスアップ。サイドのえぐれ部分にはめ込まれたサイドガーニッシュが特徴的だ。

【比較4】キャビン/ラゲッジ

icon NISSAN ルークス

icon MITSUBISHI eKスペース/ eKクロス スペース

デザインはなじみやすく、後席スライドが便利

インパネシフトと空調パネル、ステアリングコラムの高さに設置された棚などユーティリティ系の基本を押さえた設計だが、メーターはオーソドックスなステアリング奧の配置。体格やドラポジのメーター視認性への影響が大きいなどのデメリットはあるが、ダウンサイザーには馴染みやすいタイプだ。

室内機能の特徴は32cmもの調整幅がある後席スライドだ。室内有効長でのアドバンテージはないのだが、後席にチャイルドシートを設置した時に前席からのアクセスが容易になる。小さな子供のいる家族にはありがたい機能だ。

ルークス

eKクロススペース

  • ルークス

    ルークスとeKスペースシリーズは同一の造型を基本としながら、素材や色といった仕上げの部分で差別化。キャラクターに合わせ、ルークスはスポーティ寄りの演出となる。

  • ルークス

メーター視認性による制限が気になるが、大柄な男性でも無理のないドラポジが取れる。リヤスライドドア開口が大きいのがセールスポイントのひとつだが、乗降性向上は多少のレベル。乗降性ではS以外に標準採用されているハンズフリーオートスライドが効果大。

ルークス

試乗車実測値で荷室開口部は高さ108cm、幅98cm。倒した後席の背と床面の段差を後席ロングスライドに対応したカバーが覆う。

icon HONDA N-BOX

小物から大物まで使い勝手と積載性が秀逸

メーターパネルをステアリング上方の輪外配置とし、ステアリング奧にリッド付き収納を設定。助手席前方の棚も大きく、小物を整理しやすい収納系としている。

同車のキャビンでも最も特徴的なのは積載性である。後席機能は左右分割スライド&リクライニング、ワンタッチダイブダウンと座面チップ。スライド量は控え目だが、後席収納時の有効荷室高に余裕があり、自転車などの大きな荷物を積みやすい。また、座面チップアップは丈のある荷物の積載に便利なだけでなく、着替え等の軽作業にも有用だ。

室内設計もN-BOXらしく使い勝手への配慮が徹底され、視認性や収納性に優れている。先進感などの演出は控え目なデザインだ。

G・L以上のグレードでは問題ないが、標準系のベーシックグレードは運転席シートリフターが装備されないのでドラポジの自由度が制限される。前後席とも乗降性は良好だが、スーパーハイト系では標準的。なお、パワースライドドアもベーシック仕様では採用されない。

荷室開口部は実測値で高さ118cm、幅106cm。低床設計のおかげで高い室内高が確保され、観葉植物など背の高い荷物にも対応力高し。

icon DAIHATSU タント

大開口&ロングスライドでウォークスルー

インパネ上面の輪外配置メーターはデジタル表示。視認性に優れるだけでなく、先進的なイメージも醸し出す。ステアリング奧のボックスやカップホルダー、大型の棚など収納系も充実している。

後席は左右分割スライド&リクライニングを備え、収納はワンタッチダイブダウン式。後席スライド量は24cm。大人4名乗車で無理なく荷室スペースの拡大が可能。また、前席にロングスライド機構を採用。運転席は54cmのスライド量があり、前席の前方スライドと併せて車外に出ることなく後席に移動するのも可能である。

収納設定やメーター配置など、N-BOXに通ずる使い勝手の良さがある。デザインは最後発らしい先進性をうまく表現している。

ドラポジの自由度はチルトステアリングと運転席シートリフターを装備した場合は問題ないが、どちらもX系以上のOP設定になるので注意が必要だ。乗降性では前後ドア一体開口のミラクルオープンドアが特筆もの。ただし、パワースライドドアはX系以上の設定となる。

開口部はメーカー発表値で高さ106.1cm、幅100.7cm。これは正面から見た数値であり、車体にメジャーを当てた実測値とは計り方が異なる。

【比較5】装備(運転支援ほか)

icon NISSAN ルークス

icon MITSUBISHI eKスペース/ eKクロス スペース

プロ(マイ)パイロットの設定グレードに注意

停止保持機能付き全車速ACCと走行ライン制御型LKAを組み合わせたプロ(マイ)パイロットは機能的にはトップクラスにあるものの、ルークスはハイウェイスターの上位設定に限定。eKスペース系ではOPながらM以外で装着が可能である。移動体検知機能付AVMの表示機能もあるデジタルルームミラーなどもあり、タウン&ツーリングに役立つ装備が充実。車載ITは純正アクセサリーナビによりルークスはニッサンコネクトの、eKスペース系はオープンインフォまたはカーウイングスのサービスが提供される。

高機能な日産プロパイロット/三菱マイパイロットが用意される。アラウンドビューモニター(AVM)で日常の安心感をプラス。

【ルークス/eKスペース】主な違いはココだ

ハンズフリーオートスライドドアは足を差し込んで起動する。

基本は同一ながら細部で差別化。ハンズフリーオートスライドドアは、助手席側は両車ともに設定されるが、運転席側(写真)も選べるのはルークスのみ。また、eKクロススペースのみ、急な下り坂などで低速を維持するヒルディセントコントロールを搭載している。

icon HONDA N-BOX

最新機能を盛り込んだホンダセンシングが見所

停車保持機能付全車速型ACC、走行ライン制御型LKA、夜間歩行者対応型衝突回避支援などを含むホンダセンシングを全車に標準装着。進行方向を中心に制御されたLKAの補正操舵が好感触。先進安全&運転支援は機能的にも装着率でも軽乗用のみならず国産車でもトップクラスである。車載IT関連や車体周辺モニターは純正アクセサリー設定ナビでの対応。インターナビの情報機能も、リヤカメラに限定されるモニターにしても、一昔前の機能といった印象が強く、登場年度を意識させられてしまう。

ホンダセンシングは上位車種や上位グレードへの誘導にこだわらず展開される。N-BOXは夜間歩行者検知などの最新機能を搭載する。

icon DAIHATSU タント

DNGA採用で一気に最先端機能を手に入れた

ダイハツの安全&運転支援技術となるスマアシは全車標準だが、全車速型ACCと走行ライン制御型LKAはターボ車限定のOP設定となってしまう。また、ACCに停車保持機能はない。全周モニターはX系へのOP設定となり、自動操舵により駐車操作を半自動化したスマートパーキングアシストの選択も可能だ。ダイハツはスマホ連携やSOSコール、リモートチェック等の機能を備えるダイハツコネクトを展開しているが、対応はロッキーのみであり、現状ではアクセサリーナビによるスマホ対応くらいだ。

最新のスマアシ(スマートアシスト)を搭載。前進/後退のシフト操作以外全自動の駐車アシストは、動作速度にもこだわり実用性がUP。

まとめ/おすすめグレード

予算を絞るならグレード問わず充実のN‐BOXだ

ダウンサイザー視点で見ても三者三様でなかなか興味深い。ルークス/eKスペース系はプロ(マイ)パイロット推しを中心に、ハイウェイスターとクロスのキャラでダウンサイザーを狙うが、走りの志向はファミリー向けである。

タントは動力性能もフットワークも長距離用途に適しているが、先進運転支援が各系統の最上級仕様限定オプション。高価格設定モデルにダウンサイザー向けの魅力が集中という面がルークス/eKスペース系よりも強く、車種選択の狭さがウイークポイントである。

車種選択の自由度で言えばN‐BOXがベストである。予算を絞るほどにN‐BOXの基本性能や実用性、先進運転支援の総合力の高さがアドバンテージになる。

逆に言えば予算が潤沢なら他の要素にスポットを当ててライバルの運転支援充実モデルを選んでもいい。性能や利便快適装備の充実を図るとN‐BOXのコスパの優位性は低下する。ちなみにターボ車限定の先進運転支援装着車で最も安価なのはタント、次いでeKスペースだが、標準系ターボ車はいずれも170万円前後。積載の多様性からN‐BOXのターボ車を勧めるが、他条件で候補を変えてもいいだろう。

おすすめグレード

icon ルークス ハイウェイスター

【Gターボ プロパイロットエディション】
最高価格グレードになるが、カスタム系としては手頃感のある値付け。ターボとプロパイロット、充実した利便装備で汎用性の高いグレードだ。軽乗用車では高機能な車載ITも見所。

icon eKスペース

【T】
個性際立つクロスには惹かれるが、標準系との価格差は20万円以上。SUV的ではあるが適応用途も変わらず、コスパ優先なら標準系ターボ車にマイパイロット装備が堅実である。

icon N-BOX

【G・Lターボ ホンダセンシング】
標準系とカスタム系の価格差はおよそ20万円。その額を走行性能や装備に回すのが堅実。G・Lターボはターボ車のエントリーモデルで、かつパワースライドドア標準装着。狙い目だ。

icon タント

【Xターボ“セレクション”】
高速長距離までカバーするならターボと先進運転支援は必須だが、標準系もカスタム系も最上級グレード限定となってしまう。ACCやLK装着されている標準系が最も買い得である。

スペーシアのオススメグレードは?

【ギア XZターボ】
走りの汎用性を考慮するならターボは必須だが、標準系はNAのみ。カスタムかギアから選ぶ事になるが、SUVルックで雰囲気たっぷり、しかも価格も安いギアがオススメ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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