天然ガス自動車とは？どのようなメリットやデメリットがあるの？

天然ガス自動車とは、天然ガスを燃料にしてエンジンを動かす仕組みになっている自動車のことで、大きく分けて以下の3種類があります。

圧縮天然ガス自動車（CNG自動車）は、高圧の天然ガスを気体のまま燃料としています。
現在使用されている天然ガス自動車の中で一番多いのがこのタイプです。
さらに、天然ガスが使われている割合や併用する燃料の種類などによって、天然ガス専焼車、バイフューエル車、デュアルフューエル車、ハイブリッド車など様々な車種に分けられます。

液化天然ガス自動車（LNG自動車）とは、燃料となる天然ガスを液体状態で超低温容器に貯蔵しているタイプの自動車です。
日本ではまだ大型トラックによる行動走行試験が行われたのみで実用化はされていませんが、北アメリカやオーストラリアなどでは既に実用化されています。

吸着天然ガス自動車（ANG自動車）とは、天然ガスをガス容器内の吸着剤に吸着させて貯蔵するタイプの自動車で、現時点ではまだ試験研究段階です。

天然ガス自動車には、以下のようなメリットがあります。

天然ガス自動車は、ガソリンや軽油を燃料としている自動車に比べて、CO2（二酸化炭素）の排出量を10～20％程度削減することができます。

また、酸性雨や光化学スモッグの原因となるNOx（窒素酸化物）、CO（一酸化炭素）、HC（炭化水素）、喘息を引き起こす黒煙がほとんど排出されず、SOx（硫黄酸化物）にいたっては全く排出されません。さらに、騒音が少ないのも特徴です。

気体燃料である天然ガスを使用しているため、低温下でのエンジンの始動がスムーズに行えます。

天然ガス自動車は、CO2やNOxを削減し、私たちの体への健康被害を少なくする効果が期待できますが、一方では以下のようなデメリットもあります。

現時点では、天然ガス自動車の燃料となる圧縮天然ガスを補給できる場所（エコ・ステーションなど）はかなり限られています。

天然ガス自動車は、ガソリン車やディーゼル車と比べた場合、一充填あたりの走行距離が短くなってしまい、コストパフォーマンス的に優れているとはいえません。
また、天然ガス自動車本体の価格も、ガソリン車やディーゼル車よりも高めな傾向にあります。

天然ガス自動車の出力性能は、ガソリン車と比べて10～20％程度低めです。
また、熱効率においては、ガソリン車とはほぼ同等ですが、ディーゼル車よりは劣ります。

日本では、大型バスなどを中心に、天然ガス自動車の実用化が始まっています。

天然ガス自動車は、健康被害を及ぼすCO2やNOxなどを削減でき、環境にも優しい点が大きなメリットです。しかし、現段階では、燃料となるガスを補給できる場所が少ない、走行距離が短い、ガソリン車やディーゼル車よりも費用がかさみがち、といったデメリットもあります。

世界中で取り組まれている地球の環境保護の観点から考えても、ガソリン車に替わる新たなエネルギーを使用した自動車のひとつとして、天然ガス自動車の更なる開発や、エコ・ステーションなどの環境整備の充実が期待されます。