【レクサス HS】相場が新車時の4分の1にまで下がった高級ハイブリッドセダン

　2009年7月に登場したレクサスのミドルクラスセダンがHS。トヨタブランドの「SAI」とはメカニズムを共有する姉妹モデルであるが、HSはレクサスブランドにふさわしい上質な内外装が与えられているのが特徴だ。400万円~500万円という同価格帯にはレクサスISが存在するが、こちらはFRレイアウトを採用し、BMW 3シリーズやメルセデスCクラスをライバルとしたスポーティな走りがウリ。それに対しHSはFFレイアウトを採用し、広く快適なインテリアを持つ。そして最大のトピックと言えば、ハイブリッド専用モデルだということ。トヨタSAIはプリウスよりも上級のハイブリッドカーだが、レクサス版のこちらは内外装がさらに豪華。エンジンは2.4L 直4にモーターを組み合わせ、燃費（JC08モード）は19.8km/L（後期型は20.6km/L）を達成している。この数値は、同じ時代の先代ISと比べて2倍近くも優秀なのだから、大きな注目を集めた。

　その一方、トヨタSAIと多くの部分を共有するボディは、プレミアムブランドに求められるスペシャル感に乏しい…と考えるひとも少なくなかった。動力性能は同一ながら、SAIより50万~100万円ほど高額だったこともあり、HSの販売は決して好調というわけではない。しかし、ほどよいサイズの高級セダンゆえシニア層には好意的に受け止められ、現在はそれなりの数の中古車が流通している。

　レクサスHSがデビューしたのは2009年7月。当初パワートレーンは、モデルライフを通して2.4L 直4にモーターを組み合わせた「HS250h」のみとなる。デビュー当初は標準の「HS250h」に加え、価格の安い順から「バージョンS」、「バージョンI」、「バージョンL」という3つの仕様が選べた。2011年10月の一部改良では、サスペンションの仕様が変更され、乗り心地をアップ。同時に特別仕様車「Harmonious Leather Interior」も登場している。こちらは標準仕様をベースにしながら本革シートを採用し、専用の内装デザインを与えたモデル。「バージョンI」や「バージョンL」と比べてリーズナブルな価格に抑えたこともトピックだ。

　2013年には、HS250hに初のマイナーチェンジが施される。この改良における最大のトピックといえば、外観デザインにスピンドルグリルが導入されたことだろう。これは当時のレクサスGSで初採用された新しい造形。また、吸音・遮音材の追加や材質変更により静粛性が高められ、スポット溶接打点の追加により剛性も引き上げている。さらにJC08モード燃費は20.6km/Lにまで向上したことも特筆すべきところ。その後2015年8月に、サスペンションやステアリングのギヤ比を変更するなどの小改良が実施されたが、それ以降は大きな改良を受けることなく、2018年内に販売終了となった。

　以上を踏まえ、中古車平均価格を見ていきたい。

　上の表からもわかるとおり、2013年に行われたマイナーチェンジを境に相場が極端に異なっている。後期型は200万円以上の予算が必要だが、前期型なら100万円台前半でも購入可能だ。とくにデビュー翌年の2010年式は物件のボリュームがもっとも豊富なゾーンとなっており、80万円前後の物件もちらほら存在する。ただし、9年落ちということもあり、5万km以上の多走行な物件が中心だ。

　前述のとおりレクサスHSは、「HS250h」の1モデルのみで、装備の違いによって標準仕様、「バージョンS」、「バージョンI」、「バージョンL」が存在し、マイナーチェンジで「バージョンC」も登場している。「バージョンS」は18インチアルミホイールや専用チューニングサスペンションが与えられたスポーティ仕様、「バージョンI」が本革シート、本木目内装を装備する高級仕様、「バージョンL」が本革シートに加えて装備も充実した最上級仕様、そして「バージョンC」はプラズマクラスターなどの快適装備を充実したモデルとなっている。それぞれの中古車平均価格を見ていこう。

　後期型から追加された「バージョンC」は高年式が中心で相場が高め。価格が安い前期型をターゲットにするなら、オススメなのは「バージョンI」。本革内装という豪華仕様でありながら、低年式なら標準グレードと相場に差がないのが魅力だ。また、全仕様でもっとも物件が多いこともオススメの理由。これより少し相場が低い「バージョンS」、逆に高めの「バージョンL」は物件が少ないが、いずれも前期型なら100万円台前半の予算でも十分購入可能となっている。

　レクサスHSを購入する際、同じクラスのFRセダン「IS」が気になるひともいるだろう。こちらの中古車平均価格（先代モデル）は115万円となっており、HSとほぼ同じ予算で探せる。デビューがHSよりも4年早く、初期型はさらに低い予算で入手可能。ただし、現行型に設定されるハイブリッドは先代ISに存在しないため、燃費を重視するならHSのほうがよい。室内もHSのほうが広く快適。いずれにしても、人気のレクサスブランドも年式や車種によっては、少ない予算でも購入可能ということを覚えておきたい。