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更新日:2018.12.07 / 掲載日:2018.12.07

誕生50年の歩みを辿る!デリカの変遷モデルヒストリー

デリカという車名は、デリバリーカー、すなわち配送車に由来する。その誕生から半世紀。今やその名は世界にも類のない個性派のミニバンとして知られるようになった。時代とともに進化して、伝統を超え、伝説の域に到達しようとしているその歩みを振り返ろう。
●解説:横田 晃

1968-1976【初代】デリカバン/コーチ

丸みを帯びたデザインに、シャレた2トーンカラーは、今見てもセンスがいい。乗用車規格のコーチには、すでにラジオやヒーター、ビニールレザーシートも装備されていた。

商用バンとトラックに始まってレジャーブームで開花した企画

 初代デリカは1.1Lのエンジンを積む小型トラックと商用バンから始まった。上の写真はそのボディに3列シートを備えたコーチに、1971年に登場した1.4Lを積むデリカ75。乗用車規格の多人数乗車車両として好評を得たこのモデルが、今日に続くデリカシリーズのルーツとなる。さらに1972年に発売したキャンピングバンの手ごたえが、遊びの足として使い倒せるパーソナルミニバンというコンセプトへと発展していくのだ。

  • ルーフをポップアップ式のテントとし、上段ベッドやハンモック、カーテンなどを装備したのが1972年登場のデリカキャンピングバン。キッチン台やガスレンジなども用意された。

  • ドライビングポジションなどはベースとなったトラック然としたものだが、シートカラーなどは華やかにコーディネートされ、乗用車としての魅力もしっかり盛り込まれていた。

icon ■主要諸元(1969年 デラックス)

全長×全幅×全高(mm):3860×1540×1795
●ホイールベース(mm):2120
●車両重量(kg):995
●パワートレーン:1088cc 4気筒OHV(58PS/8.2kg・m)
●ミッション:4速MT
●燃料タンク容量(L):45
●最小回転半径(m):4.4
●最低地上高(mm):175
●サスペンション形式(F/R):ウィッシュボーン ボールジョイント式/半浮動式
●ブレーキ形式(F/R):油圧内部拡張式ツーリーティング/油圧内部拡張式リーディング・トレーリング
●タイヤサイズ:5.50-13-6PRLT

豊かになった日本人の気持ちに応えたデリカ

 初代デリカが誕生したのは、1968年のこと。ただし、最初に登場したのは600kg積みの小型トラック。その翌年に、クローズドキャビンの商用バンが加わる。そのボディに3列シートを備えた、コーチと呼ぶ9人乗り仕様が、乗用車としてのデリカの初代だ。

 ボンネットのない、いわゆるキャブオーバーの1BOXスタイルは、のちのミニバンの原型ではあるが、当時のこのテのモデルは一般ユーザーの乗り物ではない。現場に向かう労働者を運んだり、温泉旅館が客の送迎に使う、業務用のミニバスに近い存在だった。

 しかし、日本が豊かになった’70年代に到来した、レジャーブームに応えたところから、デリカの他車とはひと味違う歩みが始まる。デリカバンのルーフ部分をポップアップ式のテントとしたキャンピングバンを1972年に発売して、好評を得るのだ。

 平日は商店などの配送バンとして、休日は遊びの足として活躍する、マルチな顔を持つクルマが求められていると感じた三菱は、1979年に発売した2代目デリカに設定された乗用車規格のスターワゴンで、新しい商品企画に意欲的に挑戦する。広々とした室内を実現するハイルーフや、まるで列車のボックスシートのような、2列目回転対座シートなどを経て、1982年に日本初の4WDワゴンを投入するのだ。

 そのメカニズムは一足先に登場したパジェロと同じ、副変速機を備えたパートタイム4WD方式で、本格的な悪路走破性を備えていた。頑丈なフレームの上に1BOXのボディをちょこんと乗せたスタイルはそれだけで個性的。さらにフリーホイールハブやリヤLSD、電動ウインチなどの、本物のオフロードカーにふさわしい装備も設定されて、非日常を夢見る都会人の心を掻き立てた。

 ここまで本格的なオフロード性能を必要とするミニバンユーザーは、多くはないはずだ。しかし、その性能に惚れ込んだユーザーの支持により、デリカは一気に伝説になったのだ。

1979-1986【2代目】デリカ スターワゴン

パジェロ譲りの4WDが創造した新しい乗り物

 1979年に登場した2代目デリカは、スペース効率を追求した角ばったデザイン。その無骨なボディにフォルテ(パジェロ)譲りのシャシー&本格4WDを組み合わせたことで、驚異的な走破性だけでなく、車高の高さが1BOXカーに思わぬファッション性を付加して人気を呼んだ。その発想は、今でいうクロスオーバー車のそれだが、そんな言葉もない当時に、デリカはまったく新しい価値を創造してのけたのだった。

  • デリカスターワゴン4WDの登場は、2代目デリカ誕生から3年後の1982年。当初は1.8Lのガソリン車で、翌年2Lのガソリンを、1984年に2.3Lのディーゼルターボを積むと、人気が爆発した。

  • フルリクライニング機構や回転対座機構など、多彩なシートアレンジが登場したのもこの時代。パワーステアリングや音質のいいオーディオなど、装備も年々充実していった。

  • 2代目デリカまでは、もともとフレームの上にボディを載せる構造。4WD化はトラックのフォルテのフレームやメカニズムに、デリカのワゴンボディを載せる形で実現した。

  • 当時クロカン4WD車で流行していたグリルガードを装着した車高の高いデリカは、独特のワイルドな個性を放った。コックピットには高度計や傾斜計も備えてムードを盛り上げた。

  • 時はバブル景気に向かう上げ潮。スキーなどのレジャーがすっかり一般的になり、デリカの4WDにはスキーへの足を想定した限定車のシャモニーも誕生。以後、季節の定番となる。

■主要諸元(1979年 XL-5)

●全長×全幅×全高(mm):3990×1690×1790
●ホイールベース(mm):2200
●車両重量(kg):1150
●パワートレーン:1597cc直4OHC(86PS/13.5kg・m)
●ミッション:5速MT
●JC08モード燃費:10.5km/L
●燃料タンク容量(L):55[レギュラー]
●最小回転半径(m):4.4
●最低地上高(mm):170
●サスペンション形式(F/R):ウィッシュボーン式コイルスプリング/車軸式半楕円リーフスプリング
●ブレーキ形式(F/R):マスターバック付ディスク/マスターバック付デュオサーボ
●タイヤサイズ:175SR13

家族の幸せを乗せて走るスキー場のスーパーカー

 2代目デリカスターワゴンの4WDは、当初1.8Lのガソリン。続いて2Lのガソリンや2.3Lのディーゼルターボも搭載して、いずれも好評を得た。当時のオフロードカーで流行していたグリルガードも、デリカならではのアクセサリーとして話題を呼ぶ。1985年には、歴代デリカ4WDに設定されることになるスキー仕様の限定車、シャモニーも誕生した。

 そうした実績を積み重ねたうえで登場した3代目デリカスターワゴンは、最初からタフな4WDワゴンという個性を前面に打ち出して成功する。軽量化などに配慮してモノコックボディとなり、これまで通りの商用バン規格や2WDモデルも設定されたが、乗用車市場では4WDこそがデリカという評が定着していった。

 時はまさにバブル時代。クリーンなデザインにクリスタルライトルーフと呼ぶ明るいガラスルーフを備える一方、ホワイトで強調した武骨なグリルガードやサイドステップを見せつけるデリカスターワゴン4WDは、まるで冬のスキー場のヒーローのような地位を獲得していくのだ。

1986-1999【3代目】デリカ スターワゴン

遊び上手が偉かった時代のステイタスになったワゴン

 3代目デリカが登場した1986年は、まさにバブル景気が始まろうとしていた時代。24時間働くヤツと、思い切り遊べるヤツが評価される世の中で、デリカスターワゴン4WDは、高級外車やスポーツカーとはひと味違うステイタスを獲得した。週末は家族や仲間とこのクルマで海へ山へ出かけて、存分に遊ぶ。そんな夢のようなライフスタイルの象徴として、デリカスターワゴンは憧れられるようになり、事実、週末のスキー場では、このクルマが王者だったのだ。

  • グリルガードやアンダーガードをあえて目立つホワイトにして強調し、フォグランプなどを加えてオフロードカーらしさを盛り上げたデリカは、遊び上手のクルマとして完全に認知された。

  • 後席のルーフ左右をガラス化した開放的なクリスタルライトルーフは、当初2WD車に設定され、のちに4WD車にも設定されて人気となった。イケイケの時代のよき思い出だ。

  • 2列目には、ロングスライドと回転が可能なキャプテンシートを装備。テーブルなどもセットでき、仲間とワイワイ楽しむ空間としてアピールされた。赤いインテリアもバブル時代らしい。

  • 2代目で誕生したスキー仕様のシャモニーが3代目でも冬場に設定されたほか、1993年には、オートキャンプなどのアウトドアを意識した限定車、ジャスパーも設定された。

  • 3代目スターワゴンのインパネは、先代から受け継ぐアウトドアイメージはそのままに質感向上を達成。オーナーの所有欲を満たす上級モデルとしての資質も高まった。

■主要諸元(1986年 EXCEED)

●全長×全幅×全高(mm):4460×1695×1975
●ホイールベース(mm):2240
●車両重量(kg):1740
●パワートレーン:2476cc直4OHCディーゼルターボ(85PS/20.0kg・m)
●ミッション:5速MT
●燃料タンク容量(L):60[軽油]
●最小回転半径(m):5.0
●最低地上高(mm):210
●サスペンション形式(F/R):ダブルウィッシュボーン式トーションバースプリング/半楕円リーフスプリング
●ブレーキ形式(F/R):ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング
●タイヤサイズ:215SR15

安全性や快適性を求める時代の変化に応えて進化

 3代目デリカスターワゴンはオートキャンプ仕様の限定車、ジャスパーを誕生させるなどの進化を遂げながら、次期モデルの登場後も、じつに1999年まで販売されるロングセラーとなった。

 ただし、その間にはバブル景気の崩壊や安全性への関心の高まりなど、急速な時代の変化が起きた。そこで1994年に誕生した4代目デリカは、大きな進化を遂げて、デリカスペースギアを名乗った。

 その最大の特徴は、キャブオーバーの1BOXから、ボンネット型になったこと。エンジンは前席下からボンネット内に移され、この年に改正された衝突安全基準適合第一号となったのだ。

 その成果は、1列目から3列目までフラットなフロアやウオークスルーにも結実。さらに2列目は横向きや対座などの多彩なアレンジも実現させていた。

 駆動方式は従来と同じく、縦置きエンジンによる後輪駆動がベース。しかし、足回りにはフロントにダブルウィッシュボーン、リヤには5リンクのコイルスプリング式を採用して、リーフ式リヤサスだった先代までとは次元の異なるハンドリングも実現していた。

 結局、4代目デリカは3代目と同様に、2007年までの13年間も販売される長寿モデルとなった。その事実は、このクルマがいかに優れた基本性能を持ち、時代の変化に流されない、揺るぎない個性を備えているかを物語る。

 それは2007年に登場した5代目も同様だった。デリカの5代目を意味するデリカD:5を車名としたこのモデルは、初めて横置きエンジンによる前輪駆動をベースとしたが、その優れた悪路走破性は歴代モデルと変わらない。

 前後輪へのトルクを状況に応じて常に適切に配分する電子制御4WDシステムを備えて、優れたハンドリングと高い悪路走破性を両立させていたのだ。

1994-2007【4代目】デリカ スターワゴン

衝突安全性や快適性を大幅に高めた道具感覚で使い倒せるスペースギア

 エンジンを短いボンネット内に収めた4代目デリカは、登場した1994年に始まった新しい衝突安全基準の適合第一号ミニバン。環境性能や安全性能がクルマの大きな価値として意識されるようになり、デリカもそれに応えた。エンジンはV6の3Lガソリンや2.8Lディーゼルターボなど、4種類を用意。従来と同じ縦置きエンジンのFRベースだが、4WDシステムはパジェロと同じスーパーセレクト4WDとなり高い走破性を誇った。

  • リヤサスに5リンクを採用した、商用車とは一線を画したシャシーの採用によって、オン/オフロードともに走りは大きく進化。特にオンロードでのハンドリングの向上が著しい。

  • エンジンはボンネット内に押し込まれ、衝突時にはフロア下に逃げることで、乗員への被害を防ぐ衝突安全ボディを採用。今日のミニバンの安全性のリーダーとなった一台だ。

  • 乗用車規格専用のシャシーの採用で、1列目から3列目まで、フラットなフロアを実現。

  • 広々とした室内はウオークスルーも可能で、一気に現代的なミニバンになった。

2007-【5代目】デリカ D:5

ランエボやアウトランダーと共通のPFを採用した新世代

 2007年に登場した5代目のデリカD:5は、横置きエンジンの前輪駆動をベースに、前後駆動力配分を電子制御化した、ランエボやアウトランダーと共通のプラットフォームから生まれた。走りが売り物のオンロードカーと共通となるリヤ・マルチリンクサスを備えた足は、ステアリングフィールやコーナリング姿勢など、数値に出ない乗り味にも貢献。これまで通りのオフロード性能とあいまって、クルマ全体のポテンシャルを大幅に向上させた。

  • デリカD:5はオフロードの走破性が高いだけでなく、オンロードでの意のままのハンドリングやフィールの良さも魅力だった。ドライバーズミニバンとしての適性はかなり高い。

  • 横置きFFをベースに、後輪への駆動力配分を電子制御するシステムは、効率と走破性をハイレベルで両立している。ダイヤルひとつで走行モードが切り替えられるイージードライブ性も武器。

  • 搭載エンジンは当初は2.4LのガソリンとCVTの組み合わせだったが、2013年に2.3Lのクリーンディーゼルターボと6速ATのコンビを設定。そちらに人気が集中した。

  • 各ピラーにしっかりと荷重を分散させる環状骨格構造のリブボーンフレームは、視覚的にも安心感を感じさせ、ロングドライブでも疲れにくいミニバンとして好評を博した。

■主要諸元(2007年 G-Premium)

●全長×全幅×全高(mm):4730×1795×1870
●ホイールベース(mm):2850
●車両重量(kg):1800
●パワートレーン:2359cc 直4DOHC(125PS/23.0kg・m)
●ミッション:CVT(6速スポーツモード付)
●燃料タンク容量(L):66[レギュラー]
●最小回転半径(m):5.6
●最低地上高(mm):210
●サスペンション形式(F/R):マクファーソンストラット式/マルチリンク式
●ブレーキ形式(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラムインディスク
●タイヤサイズ:225/55R18

「新型デリカD:5」ボディカラー&オーナメント

サバ杢

icon デリカD:5(標準仕様)

  • ウォームホワイトパール(有料色)

  • スターリングシルバーメタリック

  • ブラックマイカ

  • エメラルドブラックパール

  • ウォームホワイトパール×スターリングシルバーメタリック(有料色)

  • スターリングシルバーメタリック×アイガーグレーメタリック

  • アイガーグレーメタリック×ブラックマイカ

  • エメラルドブラックパール×アイガーグレーメタリック(有料色)

icon デリカD:5 アーバンギア

バール杢

  • ウォームホワイトパール(有料色)

  • ブラックマイカ

  • アイガーグレーメタリック

icon シートタイプ

  • ファブリック(ブラック内装)■設定:デリカD:5&デリカD:5アーバンギア

  • ファブリック(ベージュ内装)■設定:デリカD:5

  • 本革(ブラックW内装)■設定:デリカD:5(メーカーOP)& デリカD:5アーバンギア(メーカーOP)

icon ディーラーオプション

●ベース車両:デリカD:5 P
●ボディカラー:スターリング シルバーメタリック/アイガーグレーメタリック
●装備用品:エクステリア
パッケージA、エクステリアパッケージB、エクステリアパッケージC、ベビーデューティキャリア、エクシードバイザー、ナンバープレート フレーム(メッキ)

エクステリア パッケージA

  • フロントアンダーガーニッシュ

  • リアアンダーガーニッシュ

エクステリア パッケージB

  • マッドフラップ(ブラック)

  • マッドフラップ(レッド)

  • サイドステップ

エクステリア パッケージC

  • エンジンフードエンブレム

  • テールゲートスポイラー

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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