【レクサス GS】200万円台の予算でOK!? 現行型GSは中古車選びの穴場

　レクサスブランドのミッドレンジに位置するプレミアムセダン「GS」が日本で発売されたのは2005年のこと。それ以前にも北米市場においてレクサスGSは展開されていたが、そちらは日本ではトヨタ アリストという名で販売されていた。市場ごとの呼称が統一された2005年以降のGSは、新生レクサスブランドのローンチモデルとして、デザイン、走り、そして細部に渡ってつくりこまれた高品質をウリに、メルセデスのEクラスやBMWの5シリーズをライバルに見据えて開発された。事実、アリスト時代とは比べものにならない高速安定性を獲得し、まさに欧州車クラスの走りを獲得したのだった。

　2012年1月にはモデルチェンジが行われ、国内では2代目に進化（海外では4代目）。エクステリアは、新世代レクサスのブランドアイコンでもあるスピンドルグリルを採用したのが大きな話題となった。プラットフォームも一新され、走りの性能はさらに向上。パワートレーンは、2.5L V6（GS250）、3.5L V6（GS350）、さらにV6（2.5L／3.5L）にモーターを組み合わせたハイブリッド（GS300h／GS450h）も後に設定された。先代は上級セダンとしていち早くハイブリッドを導入したことで注目を浴びたが、2代目はそれをさらに進化させ、トランスミッションの改良やエネルギー回生制御の変更などにより、JC08モード燃費は23.2km/L（GS300h）にまで高められている。ちなみにこの燃費性能は、2018年現在の視点で見ても、同セグメント中トップクラス。高級なスポーティセダンながら、エコな一面を持つのもレクサスGSのアイデンティティと言っていい。

　2012年1月の導入以来、現行型GSは年次改良を重ねてきた。デビュー当初のグレード構成は、2.5L V6の「GS250」をエントリーモデルに置き、さらに3.5L V6の「GS350」、3.5L V6にモーターを組み合わせた「GS450h」の3つ。2013年10月には、2.5L 直4＋モーターを搭載したふたつ目のハイブリッドモデル「GS300h」も登場している。また、これと同時に「GS350」のトランスミッションが6速ATから8速ATに変更された。2014年8月に行われた一部改良では、豪華仕様の「バージョンL」に助手席の電動オットマンが与えられたほか、SDナビゲーションが全車標準装備となった。

　そして2015 11月にはマイナーチェンジを受け、フロントグリルやヘッドライトの意匠を大幅リニューアル。やや大人しい印象だったGSが、欧州車にも負けない力強い顔立ちとなったのが見どころ。また3.5L V6エンジンが新開発のものに変更され、ボディのスポット溶接打点を増やすなど、剛性アップも図られている。さらに待望の予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」が装備され、歩行者検知機能付きのプリクラッシュセーフティなどが導入された。そのほか、ハイパフォーマンス仕様の「F」が登場し、海外の高級サルーンと比べても遜色ない布陣となった。その後2016年9月には、2.0L 直4ターボ＋8速ATを搭載する新たなエントリーモデル「GS200t」が追加されている。

　現行型GSは、年式が新しくなるほど物件数が少なくなる。とくに2015年11月のマイナーチェンジ以降の中古車は少なく、相場もあまり下がっていないから買いにくい状況だ。逆に、初期の2012年式や2013年式は物件が非常に豊富にあり、相場もかなり下がっている。新車時の価格帯はおよそ500万円~800万円だったから、今では平均価格が半額以下ということになる。ただし走行距離は年式相応で、半数以上は5万km以上となっている。走行距離5万km、5年落ちの条件だと250万円程度が予算の目安と考えよう。

　非ハイブリッドの「GS200t」、「GS250」、「GS350」、ハイブリッドの「GS300h」と「GS450h」という基本モデルに、ハイパフォーマンス仕様「F」を加えた6グレードが展開されている現行型GS。またGS Fを除くモデルにおいて、標準仕様のほか、装備充実の「Iパッケージ」、本木目内装や上質なセミアニリン本革シートを備えた「Lパッケージ」、そして専用エクステリアやホイールが与えられたスポーツモデル「Fスポーツ」など細かな仕様が存在する。まずは、エンジン別の中古車平均価格を見ていこう。

　もっとも物件のボリュームがあるのは、3.5Lのハイブリッドモデル「GS450h」。GS Fを除くシリーズの最上級モデルだが、平均価格はそれほど高くない。その理由は、その多くが2012年式や2013年式の低年式となるからだ。逆にエントリーグレードの「GS250」は、「GS450h」の半数以下しか流通していない。もっとも買いやすいのは「GS450h」で、平均価格は324万円。新車時の半額以下となり、値落ちの幅は大きい。そのなかでも最上級の「Lパッケージ」が豊富に流通し、ほかの仕様と比べても価格に大きな差がない。300万円台の予算で高級レザー仕様のハイブリッドサルーンが買えると考えれば、このグレードは十分納得のいく買い物と言えそうだ。また、意外にもスポーツモデル「Fスポーツ」の中古車も目立つ。このように、GSの中古車を購入するなら、個性ある上級グレードを積極的に狙っていくのが賢い買い方だ。

　レクサスGSの中古車の魅力は、価格だけではない。まだ新車販売されている現行モデルということも、大きな価値と言っていい。また、輸入車のライバルと比べて国産車という安心感もある。ディーラーネットワークの充実は、購入後の安心要素のひとつだし、維持費の面でもライバルのメルセデスやBMWと比べて有利だ。プレミアムセダンを手頃な価格で…と考えているなら、レクサスGSは候補のひとつに加えてもいいかもしれない。