輸入車[2018.10.26 UP]

ジープ新型「ラングラー」を発表。11年ぶりの進化見せるタフモデル

文と写真●ユニット・コンパス

 今日SUVはもはや特別なジャンルではなく、多くのマーケットで販売台数のトップを占めるまでになっている。プレステージモデルやスポーツカーを専門に扱うブランドもこぞって参入し、より乗用車的なクロスオーバーモデルも数多くリリースされている。しかし、数多くあるSUVのなかでも、他とは違う独特のオーラを放つモデルがジープ「ラングラー」だ。

 1987年に誕生した初代ラングラー(YJ)は、1941年に生まれた軍用車「ウィリス」の直系モデルともいえる無類のタフさでその名を世界に知らしめる。その後1996年に2代目(TJ)へと続き、ドライバビリティが磨かれた。2007年に登場した3代目(JK)は、快適さとワイルドなルックスを持ち、世界中で大きな反響を呼んだ。そのジープの主力モデルが、じつに11年ぶりに全面改良した。10月25日、日本国内向けの発表会が行われ、11月23日に発売されることが明らかになった。変わらないスピリットと大幅な進化で、4代目となる新型(JL)も人気を集めそうだ。

関連情報

ボディタイプ:SUV・クロカン

伝統を守りながらも新鮮なルックスに

ジープ ラングラー アンリミテッド サハラ ローンチ エディション

 新型となっても、「ひと目でジープとわかる」。そのことに変わりはなく、7スロットグリルに丸型ヘッドライト、台形のホイールアーチや箱型のスタイルはそのままだ。ただ、ラングラーとして初めてLEDライトを採用し、ウインドシールドやグリルの上部をわずかに傾斜させることでエアロダイナミクス性能を高めるなど、改善点は数多い。ボディまわりの空気を滑らかに流すことが重視され、結果として静粛性が大きく改善されて快適になっている。

 また、伝統の丸型ヘッドライトと7スロットグリルだが、今回はラングラー以前の往年モデルCJシリーズとの親和性を強調し、丸型ヘッドライトをスロットグリルにめり込ませたデザインが採用されている。

 たくましいポテンシャルがカタチになっているエクステリア。サイド、リヤスタイルもボクシーで、力強さが伝わってくる。

ステージには3ドアの「Sport(スポーツ)」も展示された。ボディサイズは全長4320mm×全幅1895mm×全高1825mm、ホイールベースは2460mmと、アンリミテッドと比べてかなりショートだ。

2019年の春に発売が見込まれる「Unlimited Rubicon(アンリミテッド ルビコン)」も展示。このただならぬワイルドさには大いに期待したい。

 エクステリアデザイン担当マネージャーのクリス・ピシテリ氏は、新型がこれまで以上にアイデンティティを意識したモデルであることを強調した。

 FCAジャパンのポンタス・ヘグストロム社長は、ブランド全体のセールスは日本、世界において好調であり、新型ラングラーでさらなる飛躍を期待している。

オフロード走破性をさらに向上

 タフさの権化ともいえるラングラーだが、新型ではそのポテンシャルがさらに高められている。骨格のセーフティケージが改良され、ボディの堅牢さがさらに増している。また、ドアやウィンドシールドフレーム、スイングゲート、フェンダーなどに高強度の軽量アルミニウムを採用することで、じつに90kgを超える軽量化を実現。優れた強度と耐久性を獲得しながら、燃費向上にも貢献している。また、ボディ下にスキッドプレートを装備し、トランスミッションやトランスファーケース、フューエルタンクを傷つけることなく、河を渡ったり、岩場を登ることができるようになっている。

 加えて、クルーズ用の2駆走行「2H」、雪道や砂利道などの未舗装路に有効な4駆走行「4H」、そして悪路や岩登り時などにも対応し、大きな駆動力を発生するローギアードの「4L」といった手動でレンジ切り替えが可能なパートタイム4WDに加え、電子制御のセンターデフにより自動的に最適なトラクション配分を行うフルタイム4WDの「4H AUTO」モードも搭載する。新型は快適性だけでなくオフロードでの頼もしさもレベルアップしている。

力強く、よりエコに進化した駆動系

 新型ラングラーは、グレードによって異なる2種類のエンジンを用意している。Unlimited Sport(アンリミテッド スポーツ)には、力強さと低燃費を両立した2.0L直列4気筒DOHCターボエンジンが搭載される。その他のグレードには、パワーが魅力の3.6LペンタスターV型6気筒DOHCエンジンが搭載される。

 V6エンジンに匹敵するパワーを発揮しながら、低燃費を可能にした直列4気筒DOHCターボエンジンは、スタート&ストップシステムや電動油圧パワーステアリング、ツインスクロールターボ、デュアルインディペンデントカムシャフトタイミング、冷却排気再循環、トランスミッションシフトマネジメントといった高効率を追求した新開発ユニットとなる。最高出力は272馬力で、最大トルクは40.8kg。排気ガスの低減と軽量化、低燃費化を実現する直噴エンジンは、学習機能により効率を最大限に高める新開発の8速オートマチックトランスミッションと組み合わせることで、鋭い加速と快適なクルージングを可能にしている。

 V型6気筒DOHCエンジンは誕生以来、数多くの賞を獲得してきた定評のユニットだ。今回は、軽量化や摩擦低減対策などの改良が図られ、スタート&ストップシステムも採用し、先代比で燃費が23%改善されている。最高出力284馬力、最大トルク35.4kgで、扱いやすさと優れたパフォーマンスを兼ね備えている。

 新型ラングラーのスタート&ストップシステムは、停車中にエンジンを停止する機能に加え、減速時に燃料の供給を減らしてエンジンを停止する高度な制御を用いることで、CO2の排出を減らし、燃費効率を向上させている。また補助電源がエアコンのファンやオーディオ、ヘッドライトなどに電力を供給するので、バッテリーを消耗しないように設計されている。渋滞の多い日本の道路環境でも安心感が高い。

直列4気筒DOHCターボエンジン

先進のセーフティ技術も導入される

 新型ラングラーには、伝統のタフなメカ(機械)だけでなく、先進の電子技術が豊富に投入されている。周囲の状況を検知するセンサーネットワークは、クルマ全体に張り巡らされ、些細な挙動も見逃さない。また、エレクトロニック・スタビリティ・コントロールは、車両が横滑りしつつあると判断すると瞬時に支援機能を起動、複数のシステムやセンサーと協調制御しながら必要に応じて作動するという賢さを持つ。そのほかにも、他車との間隔を監視するブラインドスポットモニターが、側方、後方の死角にある車両の存在をドアミラー上のアイコンの点灯または警告音で知らせてくれる。またリヤクロスパスディテクションは、また、ギアを「R(後退)」に入れると起動し、後方を横切る車両や歩行者などを検知すると、アイコンの点灯およびチャイムでドライバーに警告する。 シフトギアを「R」に入れると、自車のすぐ後方の様子をコクピットのタッチパネルモニターに表示する。映像にはステアリング角度に応じて曲がるダイナミックグリッドラインが表示され、後退操作をサポートしてくれる。障害物がある場合は、映像や警告音で知らせる。

ユーザーの声を聞き、フィードバック

取り外しやすくなったハードトップは軽量化も実現し、気軽にオープンエア楽しめるようになった。

 新型の開発で特にこだわったのが、ラングラーの実際のユーザーから、気になる点や要望を聞くということ。例を挙げると、トップの軽量化や脱着の簡易化。さらにトップを取り外す箇所のウェザーストリップを二重構造にし、ピラーに水抜きのドレーンパイプを組み込んで雨漏れを防止している。また、ホイールベースが拡大され、後席の背もたれの角度も最適化されている。ほかにもドアにストッパーがついて、一定の位置でホールドされるようになった。他にも、低燃費に答える直噴2Lターボエンジンやリアバックアップカメラの標準装備化を歓迎する人は少なくないだろう。そして何よりも、最小回転半径が7.1mから6.2mへと大幅に改善されていることは、日本国内での使用を考えると大いに注目すべき点だ。タフさや孤高を気取るのではなく、「使い手」主体で作られているところから、今後さらにファンを獲得しそうだ。

今も変わらない水平基調のインパネ。操作系は見やすさが重視されているのも伝統だ。

大幅な進化を遂げながらも、あくまでオフロードの走破性にこだわり続ける。

ホイールベースが拡大し、車内が広くなった。

リヤゲートが横開き、ガラスハッチも開く。

 伝統やアイデンティティを堅持しながらも、走りだけでなく快適性や安全性、エコ性能も意識したのが、今回の新しいラングラーだ。



ジープ ラングラー アンリミテッド サハラ ローンチ エディション(8速AT)


全長×全幅×全高 4870×1895×1840mm
ホイールベース 3010mm
エンジン V型6気筒DOHC
総排気量 3604cc
最高出力 284ps/6400rpm
最大トルク 35.4kgm/4100rpm
ブレーキ前/後 Vディスク・ディスク
タイヤ前後 255/70R18

販売価格 459万円から530万円(全グレード)





ニューモデルを祝う贅沢な催し

 ラングラーオーナーも招待され、多くの人が集まった新型ラングラーの発表イベント。音楽家の坂本龍一氏とWIRED日本版、元編集長の若林恵氏によるトークセッションの他、多彩なゲストが駆けつけて、ニューモデルの登場が祝われた。

 自らとジープブランド、ラングラーとの共通点についても語った坂本氏。

ニューヨークで活躍するペインターのDragon76氏。

新型ラングラーにインスピレーションを受けて制作された作品。

ゴスペルスクエアシンガーズは、ジープオリジナル楽曲を多くのボランティアシンガーと共に熱唱した。

会場には、1941年に誕生したウィリスをはじめ、歴代モデルが展示された。

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