トヨタアリストの概要と歴史をまとめてみた

アリスト １４０系は基本コンポーネンツを「クラウンマジェスタ」と共有しながら、大胆でアグレッシブな個性豊かなボディスタイルが特徴の上級ハイパフォーマンスセダンとして、1991年10月に誕生しました。

発売当初から世界的に著名なイタリアのカーデザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロが率いる「イタルデザイン社」が基本となるデザインワークを担当したことで大変話題となりました。

【エクステリア】
全長約4900mm、全幅約1800mmのやや大柄なボディサイズながら全高を1420mmに抑え、間延びせず、ロングノーズ・ショートデッキスタイルのスカルプチャーデザインを採り入れた、力強くダイナミックでワイド＆ローを強調したスポーティな佇まいが特徴です。
「クラウンマジェスタ」のスタイリッシュなサッシレスドアとは異なり、プレスドアを採用し、剛性感・気密性の高いボディ構造を採用しています。

スッキリとした印象の洗練されたスラントフロントグリルとヘッドランプを配したフロントビュー、特徴的なリヤクォーターウィンドウを持つ、滑らかでリヤエンドまで伸びやかに続くウェッジシェイプを活かしたサイドビュー、シンプルながら上品さを演出したブラックアウト処理の施されたリヤコンビネーションランプとセンターパネルなど、メッキ処理を排除したシームレスで質感の高い躍動感あふれるスタイリングが特徴です。

【インテリア】
ドライビングプレジャーを高め、安心感のあるコックピットデザインを採用しています。
操作性を重視しながらタッチ感にもこだわったエルゴノミクスデザインを採り入れ、イグニッションをオンにすると指針や文字盤が浮かび上がる視認性に優れるオプティトロンメーター、部分によって硬さを変化させ、ホールド性と快適性を両立したオートアウェイ＆オートリターン機構を備えるフロントシートの採用など、先進性と機能性のバランスを追求した、プレミアムセダンに相応しい快適でラグジュアリーな室内空間を実現しています。

さらに高速走行の疲労を軽減する安全性の高いクルーズコントロール、ステアリングに装着されたマイクで通話できるハンズフリー機能をはじめ、直径30cmウーハーを備え立体感・奥行き感のある高品質な音楽を再生するスーパーライブサウンドシステムに加え、マイコン制御によりきめ細かな室内空調を実現するマイコンオートエアコンなど、充実した快適装備を備えています。

【パワートレイン・メカニズム】
搭載されるパワーユニットはレスポンスやパワーフィールに優れ、高い省燃費性能を両立する3.0L直列6気筒自然吸気エンジン、低回転域から太いトルクを発生し、全域に渡りフラットなトルク特性を持ち豪快な動力性能を誇る3.0L直列6気筒ツインターボエンジン、V型8気筒ならではの中低速域から高速域まで滑らかな回転フィールと優れた静粛性を両立する4.0L V型8気筒自然吸気エンジンの個性的な3種類のエンジンが用意されています。
4.0Lエンジン搭載モデルのみフルタイム4WD駆動、3.0LはFR駆動となります。
また、トランスミッションはいずれも息の長い加速フィールを生み出す、4ATの組み合わせです。

フットワークの良い機敏で優れたハンドリング性能と走行安定性能を提供する、アルミ鍛造アッパーアームを採用する徹底的に軽量化が図られた4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションをはじめ、前後のショックアブソーバーの減衰力を最適制御するピエゾTEMS（トヨタ電子制御サスペンション）に加え、軽量モノコックボディと剛性の高いサブフレームと相まって、応答性の良いしなやかで快適な乗り心地を提供しています。

【安全性能】
フロントにはツインピストンキャリパーを奢り、4輪ABS、デュアルエアバッグ、プリテンショナー付シートベルトや先進の衝撃吸収ボディ＆高剛性キャビンの採用など、高い安全性能を備えています。

ボディタイプ：セダン
乗車定員：5名
駆動方式：FR
ボディサイズ：4865×1795×1420mm（全長×全幅×全高）
室内サイズ：2005×1535×1150mm（室内長×室内幅×室内高）
タイヤサイズ：（前）215/65R15 96H（後）215/65R15 96H
エンジンタイプ：2JZ-GE型　直列6気筒DOHC24バルブ
排気量：2997cc
最高出力：230ps(169kW)/6000rpm
最大トルク：29.0kg・m(284.4N・m)/4800rpm
使用燃料：無鉛プレミアムガソリン
10モード/10・15モード燃費：7.8km/リットル
車両重量：1580kg
価格：3,800,000円
自動車税：年間51,000円 ※

※自動車税は2017年12月時点で参照したものとなります。

■初代 トヨタ アリスト 140系の主なグレード・オプション・カラーバリエーション
・主なグレード
「3.0Q」「3.0Q-L」「3.0Q Lパッケージ装着車」「3.0V」「4.0Zi-Four」（特別モデルを除く）。

・主なオプション
16インチタイヤ＆アルミホイール（フロント：225/55R16 93V+16×7.5JJ/リヤ：245/50R16 98V+16×8.5JJ）、TRC（トラクションコントロール、ハイドロブレーキブースター付）、トルセンLSD（リミテッドスリップデフ）、熱線反射ウィンドウシールドガラス、チルト＆スライド電動ムーンルーフ、カラードリヤスポイラー、本革シート、SRSエアバッグ、カセット一体AM/FMマルチ電子チューナーラジオ+CDオートチェンジャー+DSP（8スピーカー）など。

・カラーバリエーション
ブラック、ダークグリーンメタリック、ダークブルーマイカ、ダークブルーイッシュグレーメタリック、スーパーシルバーIIIメタリック、シルバーメタリック、ミディアムベージュメタリック、ダークモーブM.I.O.、ダークグリーンマイカP.I.O.トーニングG、ダークブルーマイカフタロシアニン、ホワイトパールマイカトーニングGなど。
（発売時期・グレードにより異なります）

アリスト １６０系のボディデザインは、ロングノーズ＆ショートデッキの初代モデルからの基本デザインを踏襲しながら、よりゆとりのある室内空間と優れた走行安定性能を両立した、新世代ハイパフォーマンスセダンとして1997年8月に誕生しました。

【エクステリア】
一目でアリストとわかる、先代モデルの特徴である金属の塊から削り出したようなソリッドなモノフォルムシルエットを継承しながら、専用プラットフォームを採用しています。前後のオーバーハングを切り詰めることで全長を115mm短縮しながらも、ホイールベースを拡大し、ビッグキャビンを強調したデザインとなっています。

リヤのコンビネーションランプとトランク内の独立したテールランプを備えるリヤビュー、ブリスター形状に張り出したスタイリッシュなサイドビューが特徴です。
また、初代モデル同様に印象的なリヤクォーターウィンドウはそのまま引き継がれています。

【インテリア】
エクステリアと同様にインテリアデザインは先代モデルからのキープコンセプトであり、人間工学に基づいて、ドライバーが運転に集中できる機能性を重視した優しく囲むようなコックピットデザインが特徴です。
パッケージングの見直しにより、後席の足元スペースやヘッドクリアランスが拡大し、大人5人がリラックスして移動できる快適なキャビン性能を提供しています。

身体をしっかりホールドしながら、優しく包み込むような快適な掛け心地を提供する剛性の高いラグジュアリーシート、周囲の明るさに応じてメーターの照度を自動調光するオプティトロンメーターをはじめ、左右で独自の温度設定が可能なオートエアコン、ナビゲーションシステム、オーディオ類、エアコンのコントロール機能を集約したGPSボイスナビゲーションなど、実用性に優れ先進的な充実した快適装備が施されています。

2000年7月のマイナーチェンジでは、ステアリングホイールやコンソールアッパーパネルなどに上質なウォールナット本木目を採用した、よりラグジュアリーな室内空間を演出した仕様が追加され、高い人気を誇るモデルとなりました。

【パワートレイン・メカニズム】
搭載されるパワーユニットは、吸排気系を見直し、圧縮率を高めることで燃費性能の向上を図ると同時に、低速域から高速域まで切れの良さとドライバビリティに磨きのかかった3.0L直列6気筒自然吸気エンジン、中低速域のトルクを向上させ、クラストップレベルの出力特性とレスポンスを誇るセラミック2wayツインターボを搭載する3.0L直列6気筒ツインターボエンジンの2タイプが用意されています。
いずれもVVT-i（連続可変バルブタイミング機構）、ETCS-i（電子制御スロットル）を採用し、レスポンス・燃費性能の向上が図られています。

バッテリーをダッシュパネル前付近に移動、燃料タンクをリヤシート下へ配置するなど、徹底したパッケージの見直しにより前後重量バランスを前後53：47に設定するなど、サスペンションの見直しと相まって、コーナリング時のロールを抑え、安定した走行性能と優れたハンドリング性能、揺れの少ないダンピングの効いた重厚な乗り心地を実現しています。

また、エンジンの吸排気系のチューニングを施すことで、ドライバーを高揚させる心地よいエンジンサウンドをキャビンに伝えます。

【安全性能】
危険回避のための急ハンドル操作時や滑りやすい路面の横滑りを抑制する、車両安定性制御システム「VSC（Vehicle Stability Control）」や、横風や路面のうねりなどに対し、後輪をアクティブに操舵することで、姿勢を安定させ優れた操舵安定性をアシストする「ARS（Active Rear Steer）」の装備をはじめ、夜間走行の安全性を高めるオートレベリング機能付ディスチャージヘッドランプなどのアクティブセーフティ装備。世界トップレベルの衝突安全性能を誇る衝撃吸収ボディと高強度キャビンからなる「GOA（Global Outstanding Assessment）」や頭部衝撃緩和インテリア、デュアルSRSサイドエアバッグに加え、衝撃感知ドアロック解除システム付オートドアロックなどのパッシブセーフティ装備を施し、優れた安全性能を備えています。

ボディタイプ：セダン
乗車定員：5名
駆動方式：FR
ボディサイズ：4805×1800×1435mm（全長×全幅×全高）
室内サイズ：1975×1550×1180mm（室内長×室内幅×室内高）
タイヤサイズ：（前）215/60R16 95H（後）215/60R16 95H
エンジンタイプ：2JZ-GE型　水冷直列6気筒DOHC24バルブ
排気量：2997cc
最高出力：230ps(169kW)/6000rpm
最大トルク：31.0kg・m(304.0N・m)/4000rpm
使用燃料：無鉛プレミアムガソリン
10モード/10・15モード燃費：9.4km/リットル
車両重量：1600kg
価格：3,560,000円
自動車税：年間51,000円 ※

※自動車税は2017年12月時点で参照したものとなります。

■2代目 トヨタ アリスト 160系の主なグレード・オプション・カラーバリエーション
・主なグレード
「S300」「S300 ベルテックスエディション」「S300 ウォールナットパッケージ」「V300」「V300 ベルテックスエディション」。
（特別モデルを除く）

・主なオプション
17インチタイヤ＆アルミホイール（235/45ZR17+17×8.0JJ）、チルト＆スライド電動ムーンルーフ（挟み込み防止機構付）、LEDハイマウントストップランプ付リヤスポイラー、リヤフォグランプ、DVDボイスナビゲーション付EMV（エレクトロマルチビジョン）、FM文字多重放送対応マルチディスプレイ、クルーズコントロール、本革シート（運転席＆助手席シートヒーター機能付）、アリスト・プレミアム・サウンドシステム（8スピーカー）など。

・カラーバリエーション
ブラック、ダークグリーンマイカ、ボルドーマイカ、ダークブルーマイカ、シルバーメタリック、レッドマイカ、ホワイトパールクリスタルシャイン、ホワイトパールマイカなど。
（発売時期・グレードにより異なります）

トヨタアリストは、アグレッシブで個性的なボディスタイル、機能的ながらラグジュアリーで質感の高いドライビングプレジャーを高めてくれるインテリア、レスポンスの良い伸びやかなパワフルな動力性能を提供する、上級ハイパフォーマンスセダンです。

大人5人が快適に移動できる優れた居住性を持ちながら、揺れの少ないスタビリティの高いスポーティセダンとして高い人気を誇ります。

国内のレクサス店の立ち上げによって、2005年からはレクサス「GS」へと移行し「アリスト」は消滅しましたが、素性の良いスポーツパワーユニットとして名高い3.0L直列6気筒エンジン搭載モデルはNAエンジン、ツインターボエンジン搭載モデルともに、今なおエポックメイキングな車種として高い人気を誇ります。