車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2019.06.28 / 掲載日:2018.06.21
第1回目 輸入車こそオモシロイ!?最新環境モデル、まるごと。

写真●BMW
「環境モデル」が、いまオモシロイ。なぜならそれは、地球環境に対する義務感や規制をクリアするためだけにつくられたココロの入っていないプロダクトではないからだ。世界各地から、遠く海を渡って日本にやってきている輸入車の環境モデルは、単なるエコな移動手段としてだけでなく、クルマとして魅力的につくられている。だから、メカニズム的にも、乗り味的にも、最新の環境モデルには見どころが多いのだ。そこで今回のグーワールドでは、日本で購入できる最新の環境モデルをまるごと紹介。「環境モデル」とひとくちに言っても、ジャンルも、アプローチもさまざまなモデルたちをわかりやすく解説する。日本導入間近のニューモデルから、すでに登場しているEV、PHEV、ディーゼル、そして気になるメンテナンスといった購入後のあれこれについてもフォロー。さらに、中古車マーケットについても、グーワールドならではの視点でお届け!輸入車だからこそ楽しめる、環境モデルの世界を提案しよう!
その存在感は、もはやスーパーカー!?EV,PHEVのさらなる可能性
パワートレーンを電動化することで、新たな価値が生まれる。単なる環境性能だけではない、新しいクルマの楽しさがそこにはある。
文●九島辰也 写真●BMW、内藤敬仁(テスラ モデルX)、澤田和久(テスラ モデルX)
走る歓びと環境性能を両立させたBMW
環境対策とクルマの楽しみは別のベクトル。そう考えそうな我々日本人だが、BMWにとってはそうでもないようだ。しっかりと環境問題に向き合いつつも、クルマを走らせる楽しみや歓びも共存させる努力を怠らない。i8ロードスターを目の当たりにして、そんなことを思った。
PHEVのこのクルマこそ、環境問題と駆け抜ける歓びを同時に具現化したもの。4月の終わり、スペインのマヨルカ島で、国際試乗会が行われた。
i8ロードスターのスタイリングはじつに馴染んでいて、クーペは、はじめからラインアップされていたのではと思ってしまうほどだ。トップを開けているときもそうだし、閉めてもそう感じる。そう思うのも話を聞けば納得で、クーペ完成直後からロードスターのアイデアは存在していたのだという。実際の開発は1年後だが、当初から視野に入れていたといっても過言ではないだろう。
そのソフトトップは、アルミのフレームとファブリックで、できている。重量はクーペ+60kg。この数字にはトップを稼働するモーターも含まれるが、ボディの補強は極めて限定的だったというのはおもしろい。そもそもキャビンは、カーボンファイバー強化樹脂で仕上がっているため、補強は必要最低限で済んだのだ。
ただ4シーターだったクーペに対し、ロードスターは2シーターに割り切っている。トップを収納するスペースが必要だからだ。だが、収納スペースは考えられていて、開けていてもシートを前に倒すと手さげカバン3つ程度は入れることができる。ちなみに、トップの開閉時間は約15秒。時速50km以下であれば走行中も可能だ。
このほか、バッテリーを進化させているのもニュース。ハイボルテージリチウムイオン電池の容量を拡大し、モーターの出力をアップ。結果3気筒エンジンと合わせた出力は374馬力。従来より12馬力あがり、EVモードは最長53kmとなった。
では、実際に走らせるとどうかだが、クルマの加速や挙動、ハンドリング、乗り心地にクーペとの違いはほぼ感じない。相変わらず軽快なハンドリングに思わず頬がゆるむ。モーターの出力も自然で、EV走行時でも特有のフラットなフィールをあまり感じないのがいい。
また、キャビンへの風の巻き込みも工夫されていて、高速域に入っても日本の法定速度くらいならまったく風は気にならない。小さなリヤガラスを垂直に上げればなおさらだ。
ところで、ロードスターというネーミングだが、これは1930年代の328ロードスターに由来しているそうだ。個人的にはスパイダーの方がしっくりくるが、これはこれでBMWらしくもある。
ということで、次世代環境型スポーツカーのトップランナーi8はさらに進化した。しかも走りを磨いて。一見、保守的なバイエルンの自動車メーカーだが、その考えは自由でユニークである。
PROFILE
自動車ジャーナリスト 九島辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などで活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも、各国のクルマを乗り継ぐ。
PICK UP 01 BMW i8
電動化スーパーカーにロードスターが登場

ビー・エム・ダブリュー i8
クーペでカーボンファイバーだった屋根を、ファブリックのソフトトップにスイッチしたのがこのロードスター。もちろん電動式で、約15秒でオープントップになる。しかも、時速50km以下であれば走行中も開閉可能で、急な雨にも慌てることはなく、スマートに幌を閉められる。
駆動系は1.5L直3ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドというのは変わらないが、このタイミングでロードスターもクーペもバッテリーが進化している。容量が上がり、パワーとEVモードの走行距離が増えたのは見逃せないポイントだ。
クーペの美しさを崩さずに仕上げられたロードスター。跳ね上げ式のドアを継承するために、ドアの取り付け部を補強するなど手を加えている。インテリアはクーペに準じる。最大マーケットはアメリカだそうだ。
BMW i8 ロードスター(6速AT)
全長×全幅×全高 | 4690×1940×1290mm |
---|---|
車両重量 | 1650kg |
エンジン | 直3DOHCターボ |
総排気量 | 1498cc |
エンジン最高出力 | 231ps/5800rpm |
エンジン最大トルク | 32.6kgm/3700rpm |
モーター最高出力 | 143ps |
モーター最大トルク | 25.5kgm/3700rpm |
新車価格 | 2231万円 |
PICK UP 02 TESLA MODEL X
新進気鋭のテスラから登場した電気SUV

テスラ モデル X
テスラ初のSUVは5ドアサルーンのモデルSをそのまま上手い具合にSUV化している。というのも、デザインはもとより、プラットフォームも共有しているからだ。これはまさに電気自動車の得意技と言える。メリットは重いバッテリーをクルマのいちばん下部に搭載し重心を低く設定できることである。
スタイリングではファルコンウィングドアが目玉。フロントは通常の前ヒンジなのに対し、リヤは天井ヒンジでガルウィングのようにドアが開く。ヒンジがルーフのセンターに寄っているため天井の一部から開き、乗り降りを楽にする。
シートアレンジは3列シートとした場合、前から2・2・2、もしくは2・3・2となる。オーダーによって2・3の2列目で終わらせることも可能。
100kwhバッテリーを装備したP100Dの航続距離は565kmに到達。それでありながら、0-100km/h加速はなんと3.1秒とスーパーカーレベルに達する。
テスラ モデルX 75D
全長×全幅 | 5052×2070mm |
---|---|
新車価格 | 1041万円~1780万円(全グレード) |
PICK UP 03 BMW i3
上質さと走りの実力はBMWの看板に恥じない

ビー・エム・ダブリュー i3
プラグインハイブリッドのi8とは異なる100%電気自動車のi3。都市型の移動手段でもあるが、レンジエクステンダーで航続距離を延ばすことも可能だ。1回の充電で走る距離は390km(JC08モード)となる。また、キャビンをカーボンファイバー強化樹脂で作ることで、堅牢かつ軽量なボディを実現した。このことで、航続距離を延ばせるのは当然のこと、BMWブランドらしい高い運動性能をもたらした。そのキャビンが高級感あふれる仕上がりなのもチェックポイント。上質なインテリアがプレミアム度をアップする。
フロアのセンタートンネルもセンターピラーも存在しないi3。よってキャビンは思いのほか広く乗り降りはしやすい。また、高級感のある上質な素材を配することでサルーンのような雰囲気も味わえる。
都市型のi3はコンパクトサイズだが、見た目のインパクトは大きい。カーボンファイバー強化樹脂で作られたボディは約1300kg。
BMW i3 レンジ・エクステンダー装備車
全長×全幅×全高 | 4020×1775×1550mm |
---|---|
車両重量 | 1420kg |
発電用エンジン | 直2DOHC |
総排気量 | 647cc |
エンジン最高出力 | 38ps/5000rpm |
エンジン最大トルク | 5.7kgm/4500rpm |
モーター最高出力 | 170ps/5200rpm |
モーター最大トルク | 25.5kgm/100-4800rpm |
新車価格 | 538万円~644万円(全グレード) |
PICK UP 04 MERCEDES-BENZ GLC 350 e 4MATIC Sports
人気のSUVに登場したPHEVという選択肢
Cクラスに採用されるプラグインハイブリッドシステムに4MATICを組み合わせたのがこのGLC350e。SUVとして4WDのニーズがあることから設定された。SUVブームのなかでの注目度は高そうだ。パワーソースは、211馬力を発揮する2L直4ターボと116馬力のモーターを搭載する。バッテリーはリチウムイオン電池となる。
走行モードは4つで、ハイブリッドモード、Eモード、Eセーブモード、チャージモード。Eモードはモーターだけの走りとなる。
メルセデス・ベンツ GLC 350 e 4MATIC スポーツ
走行モードの切り替えはセンターコンソールのスイッチで行う。それに対応したエネルギーフローは、メーターの液晶画面でもセンターのモニターでも確認できる仕組みとなっている。
外部充電を備える。200V電源で4時間あればフル充電に達する。充電ソケットはリヤバンパー右端。給油口はその側のフェンダー部分にある。
メルセデス・ベンツ GLC 350 e 4MATI C スポーツ(7速AT)
全長×全幅×全高 | 4670×1900×1640mm |
---|---|
車両重量 | 2110kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1991cc |
エンジン最高出力 | 211ps/5500rpm |
エンジン最大トルク | 35.7kgm/1200-4000rpm |
モーター最大トルク | 34.7kgm |
新車価格 | 888万円 |
PICK UP 05 VOLKSWAGEN e-GOLF
VWの先進性を象徴するピュアEV
新世代ゴルフの象徴的な存在で、グリルのブルーのラインが特徴。モーターが繰り出す出力は136馬力、最大トルクは29.5kgmに達する。しかも航続距離はJC08モードで301km。ゴルフならではの楽しい走りもそうだし、実用性も高そうだ。バッテリーは床下にリチウムイオン電池を敷き詰めるタイプ。低重心で安定感ある走りができるのは言わずもがな。
フォルクスワーゲン eゴルフ
キャビンはかなり静か。それは遮音材を使いモーター音を遮断しているから。eゴルフはそこにかなりこだわっている。運動性能は高く高級感もある。
フォルクスワーゲン eゴルフ
全長×全幅×全高 | 4265×1800×1480mm |
---|---|
車両重量 | 1590kg |
モーター最高出力 | 136ps/3300-11750rpm |
モーター最大トルク | 29.5kgm/3300rpm |
新車価格 | 499万円 |
PICK UP 06 MINI CROSSOVER PHEV
MINIブランド初のプラグインハイブリッド
ディーゼルエンジンの販売が絶好調のMINIクロスオーバーに追加されたのがこのプラグインハイブリッド。1.5L直3ターボとモーターで駆動させる。詳しくいうと前輪がエンジン、後輪がモーターというパワーソースになる。つまり、オール4(4WD)というわけだ。MINI初のプラグインハイブリッドだけに、ミニファン以外からも注目が集まっている。
ミニ クロスオーバー PHEV
136馬力のガソリンエンジンと88馬力のモーターという組み合わせ。満充電であればEVモードで時速約120kmまで加速できるという。
MINI クーパー S E クロスオーバー ALL4(6速AT)
全長×全幅×全高 | 4315×1820×1595mm |
---|---|
車両重量 | 1770kg |
エンジン | 直3DOHCターボ |
総排気量 | 1498cc |
エンジン最高出力 | 136ps/4400rpm |
エンジン最大トルク | 22.4kgm/4300rpm |
モーター最高出力 | 88ps |
新車価格 | 479万円 |
DIESEL 昨今のディーゼルブームは輸入車が牽引役だ!
日本でも多くのユーザーがその高性能を体験しているクリーンディーゼル。要求レベルが厳しい欧州市場で磨き上げられた、輸入車のディーゼルモデルを紹介する。中国政府が推し進める電動化政策に従って、数多くのブランドがEVコンセプトカーを出品。
文●九島辰也 写真●グーワールド(パサート ヴァリアント)、澤田和久(BMW 523d、メルセデス・ベンツ E220d)
走行距離の長い欧州だから発達した
近年、ヨーロッパにおいてクリーンディーゼルは、ものすごい勢いで普及している。その要因は燃費のよさによるメリット。一般的に走行距離の長いヨーロッパでのクルマの使われ方にとっては、少しの燃料で長距離を走れることが二酸化炭素の排出量を減らせるという面でも有効だったからである。そして窒素酸化物の浄化には尿素水を使う手法をとった。これで二酸化炭素と窒素酸化物という二大ネガティブ要素を低減しようという考えである。
しかも、ドライバーにとって不快な騒音や振動などもかなり少なくした。ガソリンエンジンと比べると多少気になるが、かつてのそれとは比べものにならない快適さだ。そんな面でも先行したヨーロッパのディーゼルエンジン。日本のディーゼル市場に風穴を開けたのは間違いない。
VOLKSWAGEN PASSAT VARIANT TDI Highline
フォルクスワーゲン パサートバリアント TDI ハイライン
何かと世間を騒がせたことで日本導入が遅れたVWのディーゼルエンジン。だがその分、導入されたユニットは新しく高性能だ。190馬力はもちろん、40.8kgmのトルクは魅力的。ワゴンにぴったりの出来だ。
BMW 523d Luxury
ビー・エム・ダブリュー 523d ラグジュアリー
BMWが送り込んだディーゼルユニットのスペックはVWと同じ。2L直4は190馬力、40.8kgmを発揮する。ただ味付けはBMWらしさ全開。ハンドリング共に気持ちがいい。
MERCEDES-BENZ E220d Avantgarde Sports
メルセデス・ベンツ E220d アヴァンギャルド スポーツ
メルセデスの2L 4気筒ディーゼルもスペックは横並び。最高出力は194馬力、最大トルクは40.8kgmとライバルたちとほぼ変らない。安定感抜群の走りを見せてくれる。
FUTURE 未来を見据えた電動化モデルたちが上海モーターショー2018で続々登場!
中国政府が推し進める電動化政策に従って、数多くのブランドがEVコンセプトカーを出品。
もはや北米以上のビッグマーケットへと成長した中国。上海で行われたモーターショーには、世界各国から1000台もの車両が展示される。
この上海モーターショーの特徴は、電動化モデルの多さ。これは、中国政府による施策に対応したもので、現在世界でもっともEVやPHVが数多く登場するショーとなっている。
また、既存メーカーが現地企業と合弁会社を作るというのも特徴だ。
VISION MERCEDES-MAYBACH ULTIMATE LUXURY
ブランド初のSUVモデルを示唆するコンセプトカーは、750馬力を発生するピュアEV。
VOLKSWAGEN I.D. VIZZION
完全自動運転を見据えた大型EVサルーンのコンセプトカー。ステアリングホイールやペダルは備わらない。航続距離は1充電で650km。
BMW i VISION DYNAMICS
i3、i8に続く、第3の電動モデルとして開発が進められているコンセプトカー。1充電あたり600km、最高速度200km/h以上を誇る。
※ナンバープレートは、はめ込み合成です。