車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2019.06.28 / 掲載日:2018.04.19
第1回目 VOLKSWAGENフォルクスワーゲンまるごと。
VISUAL MODEL:VOLKSWAGEN POLO
フォルクスワーゲンはいつの時代でもクルマ社会の鏡だ。ビートルから始まったその歴史は、つねにモータリゼーションの発展とともにあり、世界の自動車メーカーにとっても、指標となりうる優れた実用車を送り出してきた。そして、人々にとって自動車のある生活が当たり前になってからも、フォルクスワーゲンは進化の道を歩み続けた。ただひとや荷物を載せるだけでなく、走行性能と安全性を磨き上げ、ピープルズカーのあるべき姿を追求。現代では、持続的なクルマ社会を実現するための環境性能と、暮らしを豊かに彩る上質さ、多様な価値観に挑み、クルマがあることで、人生がより豊かに、楽しいものになるべく、ニューモデルを開発し販売している。永遠の定番。それこそがフォルクスワーゲンの立ち位置であり、他にはない価値なのだ。
文●石井昌道
写真●ユニット・コンパス
注目モデル 1
POLO 世界のベーシックモデルがひれ伏す!?
ポロ
新型ポロはまたクラスの水準を大幅に引き上げた
コンパクトながら、がっしりとしたボディと高速域での安定感に定評があり、Bセグメントのベンチマークとして君臨してきた「ポロ」。8年ぶりのフルモデルチェンジで6代目となった新型は、ゴルフから採用されたMQBプラットフォームによってさらなる進化を果たした。
先代に比べるとボディサイズは全長がプラス65mm、全幅がプラス65mm、全高がマイナス10mm。いたずらに凝りすぎることなくクリーンなデザインだが、ワイド&ロー化されたプロポーションがスポーティで力強さがある。ホイールベースは80mmも延長されており、後席の居住性が格段に向上。+71Lで351Lとなったラゲッジも含め、ファミリーカーとしてもまったく不満のないパッケージングとなった。
MQBによる進化が感じられるのが、あらゆる場面で走りの質感が高まったことにある。高速域ではどっしりとした高い安定感がありながら、サスペンションの動きがスムーズなので快適で上質。ノイズや振動も抑えられており、格上のプレミアムカー並みの雰囲気だ。
新たに採用された1L直3直噴ターボエンジンは2000~3000回転あたりの常用域でことのほか頼もしい。アクセルをいっぱいに踏みこんで高回転まで引っ張ると3気筒特有の音・振動が感じられ、あまりスポーティではない。だが、一般的な走行では1.2L直4あたりと比べても扱いやすいぐらいで実用車としての満足度が高いのだ。
静的にも動的にも質感が高く、またしてもBセグメントの基準を引き上げたポロ。総合的な実力では同セグメントにライバルはおらず、むしろ格上のゴルフを食うほどなのだ。
PROFILE
石井昌道 自動車ジャーナリスト
●ニューモデルのテストドライブへ精力的に赴き、ステアリングを握る。専門誌はもちろん、一般誌でも大人気。
ダッシュボードは水平基調のデザインで広々感が増した。エアコン以外の操作モジュールは、すべてダッシュボード上方のクロスパネルにまとめられている。
1Lの排気量ならば4気筒よりも3気筒のほうが熱効率に有利。低回転域のトルク感が太くて扱いやすいのが魅力だ。
351Lのラゲッジ容量は先代ポロに対して71L増、4世代目ゴルフに対して21L増。後席を倒せば1125Lになる。
オーバーハングが短くてスポーティ。第4世代のゴルフは全長4155mm、ホイールベース2515mm。新型ポロのほうがコンパクトながら効率よく居住性を稼いでいることになる。
フォルクスワーゲン ポロ TSI ハイライン(7速AT・DSG)
全長×全幅×全高 | 4060×1750×1450mm |
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車両重量 | 1160kg |
エンジン | 直3DOHCターボ |
総排気量 | 999cc |
最高出力 | 95ps/5000-5500rpm |
最大トルク | 17.9kgm/2000-3500rpm |
新車価格 | 209万8000円~265万円(全グレード) |
注目モデル 2
PASSAT TDI MODEL ディーゼルモデルがついに上陸!
パサート/パサート ヴァリアント TDIモデル
実走行テストでもトップクラスの実力を示した
ディーゼルゲートによって日本導入が大幅に遅れていたが、晴れて上陸を果たしたパサートシリーズのTDI。けがの功名となったのは、排ガス浄化性能が大幅に引き上げられ、ベンチ上での基準を満たすだけではなく第三者機関による実走行時テストにおいてもトップクラスの性能を誇ることだろう。さまざまな排ガス浄化デバイスが採用されているが、「EGR(排気再循環システム)」が低圧と高圧のデュアルサーキットとされたこと。「SCR(選択触媒還元)」の尿素噴射がツインジェットとなったことなどが目新しい。
魅力はもちろん40.8kg/mもの最大トルクによる力強い走り。発進時はイメージよりもマイルドで、ドカンと背中を押されることはないが、アクセルをあまり踏みこまなくてもモリモリと速度を上げていく感覚はディーゼルならでは。ストップ&ゴーの多い街中で頼もしいのはもちろん、低いエンジン回転数のトルクが太いので高速巡航でも魅力は光る。
意外だったのはアクセルを踏み込んでいったときの回転上昇感に、ディーゼルらしからぬキレのよさがあること。ワインディングでも思いのほかスポーティに走れるのだ。
ノイズは現代的な低いレベルだが、ガソリン車よりは大きめなので好みは分かれるだろう。耳につくのはおもに低速域で40~50km/hに達すればロードノイズや風音が支配的になるので気にならないはずだ。
3度の試乗で燃費も計測しているが、高速道路を淡々と走れば20km/Lはかたく、満タン(59.L)ならば航続距離は軽く1000kmを超えることになる。燃料コストが安いメリットも含め、ロングドライブの機会が多いほどTDIの魅力は光る。
パサートの魅力のひとつがプレミアム・ブランドを凌ぐほどのインテリアの質感の高さ。エアコンルーバーと連続する横一直線のデザインで、圧倒的な広がり感をみせる。
排出ガスを有効に活用することで、エンジン始動時から排出ガスのクリーン化に成功した新型ディーゼルエンジン。欧州はもちろん、日本の環境基準にも適合。実走行時の排出ガスもクリーン。
ヴァリアントのラゲッジ容量は、通常時650L、分割可倒式の後席を倒せば最大で1780Lのフルフラットなスペースとなる。テールゲートは電動式で、リヤバンパー下方に足をかざせば自動開閉するイージーオープンが備わる。
フォルクスワーゲン パサートヴァリアント TDI ハイライン(6速AT・DSG)
全長×全幅×全高 | 4775×1830×1510mm |
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車両重量 | 1610kg |
エンジン | 直4DOHCディーゼルターボ |
総排気量 | 1968cc |
最高出力 | 190ps/3500-4000rpm |
最大トルク | 40.8kgm/1900-3300rpm |
新車価格 | 422万9000円~509万9000円(パサート TDIモデル 全グレード) |
※ナンバープレートは、はめ込み合成です。