日産セレナに待望のハイブリッド追加だが……

【本記事は2012年8月にベストカーに掲載された記事となります。】セレナに待望のハイブリッド追加！ と喜んだはいいが、JC08モード燃費は15.2km／Lにとどまり、わずか0.6km／Lアップ。自動車取得税や重量税は免税というが、物足りなくないか！？ これでいいのか！？かねてから噂されていたセレナのハイブリッドが8月1日発表となる。すでにテレビCMでもティザー広告が流されており、「おや？」と思われた方も多いはずだ。正式名称はS-HYBRID（スマートシンプルハイブリッド）で文字通り（1）スマートと（2）シンプルの意味が込められている。最廉価グレードS以外のFF全車にこのS-HYBRIDを搭載するという思い切ったラインアップにした（4WDにS-HYBRIDは採用されず）。現行の人気グレード、ハイウェイスターは249万9000円だったが、S-HYBRID搭載の新型ハイウェイスターは259万8750円とわずかに9万9750円しか上がっていない。

JC08モードは15.2km／Lへと向上していて、この春アイドリングストップを搭載してMCしたステップワゴン15.0km／Lを凌いでクラスナンバーワンの数字だ。これによってハイブリッドモデルは平成27年度燃費基準＋20％を達成し、自動車取得税と重量税が免税になる。しかし、ハイブリッドと名乗るにしては燃費の向上はわずか。現行アイドリングストップ装着モデルのハイウェイスターはJC08モードで14.6km／Lだったからハイブリッドなのに0.6km／Lの向上にとどまっている。厳しい意見も言わねば！！担当はハイブリッドと名乗るんだから、22.0km／Lはいくと思っていたのに、なんじゃいこれ！！ ベストカーのスクープだって17.0km／Lと書いてあったじゃないか、たった0.6km／Lのアップですか。Sを付けたものの、ハイブリッドって名はちょっとな……と担当は思うところ。ハイブリッドという言葉はベースより20％以上よくないと使っちゃいけない……といった基準を作ってもらいたい。かつてのクラウンマイルドハイブリッドが『なんちゃってハイブリッド』と揶揄されたようなことがなければいいが（それでもクラウンマイルドハイブリッドはベースモデルより1.6km／L上回っていた）。

とてもシンプルなS-HYBRIDの仕組みセレナのS-HYBRIDはすでに装着されているアイドリングストップシステムをベースに、ECOモーターの出力を1.0kWから1.8kWヘと上げ、容量を150Aから200Aとしたもの。その結果エネルギー回生量が上がり、アイドリングストップの頻度を高め、エンジン停止時間を長くして燃費を向上させるというもの。エンジンルームを見ると、大きな違いがないように見えるが、サブバッテリーを追加し、蓄電容量を高めている。貯めた電気は加速時にECOモーターによるエンジンアシストに使い、負荷を低減し、燃費を向上させるのだ。またアルファードハイブリッドやフリードハイブリッドのように居住空間を犠牲にすることなくハイブリッドシステムを搭載できる点がメリットだ。

地道に向上した燃費同様エクステリアの変更もわずかなものだ。ヘッドランプがハロゲン＆キセノンのブルーインナーレンズになり、リアコンビランプがLED化される。またハイマウントストップランプがクリア化されるが、そのほかは、S-HYBRIDのエンブレムがサイドとリアに装着されるくらいだ。ただし、運転席のメーターは独自のものが与えられる。イグニッションオンでS-HYBRIDと浮かび上がるほか、アイドリングストップ時やECOモーターによるエンジンアシスト時、エネルギー回生時はS-HYBRIDランプが点灯する。また今回のMCを機に新しいグレード、クロスギアが誕生した。これはX-トレイルと同じ防水シート生地やロングアシストレール採用のアクティブな装備が売り。また車いすがそのまま入るチェアキャブ・スロープも追加された。人気のライダーとともに、ワイドバリエーションとなったセレナ、どこまで販売を伸ばすか注目だ。

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