車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2019.01.06 / 掲載日:2014.06.20
LEXUS LS ラグジュアリーの本質を再定義した世界に誇れるプレミアム
日本が生み出したプレミアムブランドがレクサス。当初は北米を中心に展開されていたが、2005年から日本でも展開をスタート。その翌年に登場したのが、フラッグシップのLSである。世界の名だたるプレミアムブランドに肩を並べる存在として、高く評価されるモデルだ。モデルライフを重ねるごとに、ロングホイールベース、ハイブリッド仕様などバリエーションを拡大。そして昨年には、フルモデルチェンジに匹敵するほど大幅な改良を受けた。いま、もっとも注目が集まる高級サルーン、レクサスLSにスポットを当て、モデル解説をしていく。
レクサス LSはこんなクルマ!
レクサスブランドの頂点に位置するモデル
押しも押されもしないレクサスのフラッグシップ。ロングホイールベース版も設定する専用プラットフォームに、強力なV8もしくはV8ハイブリッドのパワートレーンを積むという構成は、なんとも贅沢なものだ。装備の先進性や内装の豪華さでも群を抜く。
今や世界に通用する純国産プレミアムカー
海外ではLEXUSブランドのフラッグシップを務める「LS」なのに、日本で名乗るのは・・・トヨタブランドの実質の最上位に位置する「セルシオ」の車名。初代から3代目までのモデルは、内外マーケットのねじれのなかに存在していた。その悩みが解消したのは、トヨタが日本国内におけるレクサス店の展開に踏み切ったから。日本の「レクサス」は05年夏のGS&IS(先代)でスタートを切り、翌06年秋に満を持してLS460を投入した。車両型式はF40系。ますます台頭するドイツプレミアム勢に対抗し、「日本の最高級サルーンここにあり」という大きな存在感を示すことが、4代目LSの命題だった。プラットフォームを一新し、新開発のUR系V8ユニットや8速ATを投入したのはそのため。日本ではまだ「セルシオ」だった3代目からの飛躍的進化を具現化した。尖鋭や精妙の美を意味する「Lフィネス」をテーマとする造形も評価は高く、レクサスブランドをひとつ上のステージに引き上げる原動力となった。そしてLSは、07年にさらなる発展を遂げる。まず注目を集めたのは、ライバルのV12モデルに対抗する高性能と高い環境性能をバランスさせたハイブリッドのLS600hの存在。「レクサスはハイブリッドで行く」という明確な方向性を示した。さらに、ロングホイールベースモデルの追加や、AWD(4駆)の設定も、レクサスLSの新たな価値を創出したポイントと言える。強力なドイツプレミアム勢に対抗する戦力を、こうして整えたというわけだ。
RIVAL ライバル
プレミアム御三家がレクサスLSのライバル!
メルセデス・ベンツ Sクラス
中古車参考価格帯:1270万~1800万円 ※平成25年~平成26年式の相場です
フルモデルチェンジで先進装備を充実
Lセグメントのベンチマーク。13年に投入された新型(W222)は、ゴージャス感をさらに高めた内外装だけでなく、ハイテクでもクラスをリードする存在だ。心臓はV6ハイブリッドからV12ツインターボまでを用意。
BMW 7シリーズ
中古車参考価格帯:270万~960万円 ※平成21年~平成26年式の相場です
卓越したハンドリングは7シリーズでも健在
かつての「7」は宿敵Sクラスよりもスポーティな性格だったが、先代からのモデルは高級サルーンのど真ん中という方向付け。洗練度と快適性が光る走り味が魅力だ。直6、V8、V12の心臓はすべて直噴ターボの構成。
アウディ A8
中古車参考価格帯:470万~1140万円 ※平成22年~平成26年式の相場です
クワトロシステムによる高い安定性が自慢
駆動方式はクワトロ(2.0TFSIハイブリッドを除く)、ボディはアルミスペースフレーム。アウディならではのハイテクで存在を主張するのがA8&S8だ。その頂点には12気筒6.3Lを積むW12クワトロが鎮座する。
HISTORY ヒストリー
・平成18年9月 LSを発売
・平成19年5月 ハイブリッドを追加
・平成20年8月 一部改良および追加モデル
・平成21年10月 マイナーチェンジ
・平成24年10月 マイナーチェンジ
・平成25年9月 一部改良
世代別中古車物件比率
このグラフでは、平成24年に行われたマイナーチェンジの前後で世代を分けたが、市場に出まわるのは圧倒的に後期型が多い。新型LSの物件が充実するのは1、2年後だろう。
※すべての価格は参考価格です
※写真は一部北米仕様です
NEW LS[F40/平成24年マイナーチェンジ後]販売期間:平成24年~
新たなフェイスをまとって存在感を強烈にアピール
中古車参考価格帯:840万~1390万円 ※平成24年~平成26年式の相場です
レクサス LS600h バージョンL(8速AT)
主要諸元
全長×全幅×全高:5090×1875×1475mm
車両重量:2320kg
排気量:4968cc
エンジン:V型8気筒DOHC+モーター
最高出力/最大トルク(エンジン):394ps/53.0kgm
最高出力/最大トルク(モーター):224ps/30.6kgm
燃費:11.6km/L(JC08モード)
新たな“顔”となったスピンドルグリル
デビューから6年で実施されたマイチェンは、フルチェンジに匹敵するほどの気合いが入った内容。スピンドルグリルを採用した新フェイスや、水平基調デザインに一新されたインパネが、それを象徴している。
近年のレクサスは、ダイナミックな方向にブランドイメージをシフトさせたが、それを体現する「Fスポーツ」をLSに新設定したのも話題のひとつ。かつてのバージョンSZの発展型という見方もあるが、トルセンLSD(460)やアクティブスタビライザー(600h)を標準採用するなど、内容は明らかに進化した。BMWの「Mスポーツ」やメルセデスの「AMGスポーツパッケージ」に対抗する存在として、「Fスポーツ」の注目度は高まっている。
また、新型LSでは見えないところにも進化のメスが入る。レーザースクリューウェルディングや構造用接着剤の採用により、剛性を高めたボディはその核となる部分。VGRS(ギヤ比可変ステアリング)や電子制御エアサスも熟成の度合いを深め、LSの伝統と言える快適性とドライブフィールの上質感を、着実にレベルアップさせることに成功した。
さらに、「ECO」から「S+」までのさまざまな性格を選べるドライブモードセレクトも、新たな魅力を訴求する。つまり、メカのアップデートもきっちりと実施。その中には自動ブレーキに代表されるプリクラッシュセーフティ技術も含まれる。LSは今も、レクサスの最高峰に相応しい大きな存在感を主張している。
EXTERIOR エクステリア
迫力あるフロントと安定感のあるリヤ
10年モデルの改良は小変更のレベルだったが、12年秋に投入された13年モデルでは大胆なイメージチェンジを実践した。カギを握るのは、現行GSで導入されたスピンドルグリルの採用で、マスクはグッとアグレッシブな印象に変身した。上級グレードには、フルLED式に進化したヘッドランプを標準で装備する。
コンビランプを下すぼまりの造形に変更するとともに、ライン発光のフルLED式として先進感を強調した。リヤビューも「スピンドル」を新テーマとする。
INTERIOR インテリア
最高級の品質を堪能できる室内
水平基調デザインに一新されたインパネも、新世代レクサスを強くアピールする要点。中央に12.3インチワイドディスプレイを置き、完成度を高めたリモートタッチで各種操作を行う。職人技が光る内装の仕立ては、レクサスの旗艦にふさわしいもの。
本アルミを使うアナログクロック(GPS式)は新型LSの自慢のひとつ。シフトノブも高級感あふれる造りだ。
EQUIPMENT 装備
おもてなしの心あふれる充実装備
もっとも豪華なのは、ロング仕様に設定のエグゼクティブパッケージ。リラクゼーションシステム付きの後席パワーシートやリヤエンターテイメントシステムまでを標準で装備する。大型センターコンソールが備わる4人乗りはより贅沢な仕立てだ。
写真上はリヤエンターテイメントシステム、下はブラインドスポットモニター。上級モデルの内容は超充実。
F SPORT
走る楽しさを追求した魅惑のFスポーツ
レクサスのスポーツイメージを牽引する「Fスポーツ」はLSにも設定。専用の電制エアサス(10mmローダウン)に、19インチタイヤとブレンボ製ブレーキを組み合わせた硬派な仕立てで、内外装もきちんと差別化されている。
MARKET REPORT 市場レポート
中古車はまだ少ない状況なので、しばらく様子見を。
マイナーチェンジ前とほぼ同じグレード構成だが、流通する物件数はかなり少ない。相場はLS460で875万円(平成24年式)、LS600h(平成24年式)で957万円。この価格は前期型(5年落ち)の2倍なので、お買い得度はまだ低いという現状。
グレード×年式別相場
平成24年 | 平成25年 | |
---|---|---|
LS460 | 875万円 | 948万円 |
LS460L | 989万円 | – |
LS600h | 957万円 | 1063万円 |
LS600hL | 1388万円 | – |
グレード構成は、V8搭載の「LS460」とハイブリッドの「LS600h」、それぞれのロングバージョンがある。物件の多くは1000万円前後だ。
走行距離×年式別相場
平成24年 | 平成25年 | |
---|---|---|
5000km未満 | 888万円 | 1100万円 |
5000~1万km | 1102万円 | 1031万円 |
1万km以上 | 914万円 | 931万円 |
登場してから1年半なので、低走行距離車がほとんど。相場と走行距離で一部に逆転減少が起きているのは、サンプル数が少ないためである。
年式
平成24年秋に登場した新型LS。流通するのは、デビュー年の平成24年式が多い。平成26年式はわずかのみ。走行距離
登録しただけの極上車が数台流通している。5000km未満の車両も目立つ。安心して選べるが、相場は高い。
グレード
もっとも数が多いのはハイブリッドのLS600hで、次がLS460。ロングホイールベース車は物件の数が少ない。
LS[F40/平成24年マイナーチェンジ前]販売期間:平成18年~平成24年
精緻なデザインとハイクオリティは世界基準を超える
中古車参考価格帯:210万~810万円 ※平成18年~平成24年式の相場です
レクサス LS460(8速AT)
主要諸元
全長×全幅×全高:5060×1875×1465mm
車両重量:1940kg
排気量:4608cc
エンジン:V型8気筒DOHC
最高出力/最大トルク:385ps/51.0kgm
燃費:9.1km/L(10・15モード)
高級車のあり方を再定義したレクサス
比類のない静けさとしなやかな乗り心地を武器として、高級車界に「日本のレクサス、ここにあり」という存在感をアピールしたのが、89年にデビューした初代LSだった。
で、そうしたDNAを継承しながら、ドイツ勢にも負けない安心感ある走りを実現しようとチャレンジしたのが、06年に投入された現行F40系。志の高さはスタイルにも表現されていて、重厚感を持ち味とする歴代モデルとはイメージを一変。4代目LSは、グッとシャープで、洗練されたアピアランスを特徴とする。
一見するとシンプルだが、よく見るとラインや面の構成は極めて凝ったもの。レクサスの進化を体現したスタイルは、いま見ても魅力的だ。
加えて、内外装の質感や走りの能力も、まったくといっていいほど時代遅れになっていない。ゆとりに満ちた加速フィールや、安心感あふれる高速クルーズの能力は、Lセグメントのサルーンでなければ味わえない種類のもの。そんな最高級の世界に、手頃な予算で手が届くとなれば、思わず食指が動くというものだ。
INTERIOR インテリア
ひと目で実感できるハイクオリティ
標準ボディでもスリーサイズは5060×1875×1465mm。それだけに、LSのキャビンはゆとりに満ちている。ホイールベースを120mm延長したL(ロング)の後席は、つい「極楽、極楽」の声が漏れるほどの快適度を備える。当然、使われる素材も最上級のものだ。荷室容量は「460」が560L、「600h」が520L。
センターコンソールを中心とするシンメトリー配置を特徴とする。乗員を自然とリラックスさせる、落ち着きのある空間を演出している。
MECHANISM メカニズム
トヨタの技術力が光るパワートレーン
UZ系からUR系に一新されたV8ユニットは、2WDモデル用の4.6L版で385馬力/51.0kgmの性能。スムーズさ、静かさも一級品で、最高級サルーンならではの快適な走りを提供してくれる。そして、前後マルチリンク式の足は、全車に電子制御エアサスを採用。「さすがLS」という内容だ。
「600h」の標的はライバルの12気筒モデル。システム出力は445馬力に達する。高度な4駆メカも自慢の要点。
MARKET REPORT 市場レポート
豊富な物件数とリーズナブルな価格が魅力
マイナーチェンジ前のレクサスLSは、物件数が非常に多く好みのボディカラーやグレードを予算に応じてじっくり選べる。5年落ちのLS460hの相場が400万円と、新車時の半分以下。3年落ちでもアンダー500万円だ。
グレード×年式別相場
平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
LS460 | 293万円 | 301万円 | 323万円 | 400万円 | 482万円 | 459万円 | 531万円 |
LS460L | – | – | 333万円 | 402万円 | 525万円 | 548万円 | – |
LS600h | – | 377万円 | 404万円 | 558万円 | 638万円 | 640万円 | 657万円 |
LS600hL | – | 482万円 | 489万円 | 489万円 | 692万円 | 788万円 | – |
デビュー当初はLS460のみでスタート。その後、ハイブリッドのLS600hやロングバージョンも順次追加されている。相場を見ると、5年落ちのLS460では400万円、LS600hでは558万円と、両者には100万円近い差がある。また、ロングホイールベースは少ない傾向。
走行距離×年式別相場
平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | |
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1万km未満 | 438万円 | 443万円 | – | 548万円 | 844万円 | 677万円 | – |
1~3万km | 330万円 | 363万円 | 429万円 | 506万円 | 605万円 | 624万円 | 528万円 |
3~5万km | 335万円 | 365万円 | 444万円 | 514万円 | 596万円 | 579万円 | 600万円 |
5万km以上 | 278万円 | 307万円 | 363万円 | 396万円 | 508万円 | 462万円 | – |
走行距離別に見ると、1万km未満の物件はさすがに少ない模様。ただし価格はかなり下がっていて、初期型なら500万を切るのでお買い得度は高い。中心となるのは3~5万kmの物件だが、5年落ちで514万円が相場。5万km以上の多走行車もかなり存在している。
ORIGIN OF LS
※写真は北米仕様です
レクサスの前身モデル セルシオはどんなクルマ?日本で「セルシオ」と呼ばれていた3代目までのLSは、快適&安楽を最大の武器としていた印象がある。ドイツ勢と比べると走り・・・とくに高速域の安定性では見劣りしていたが、こと静かさと乗り心地の快適度においては、世界トップレベルの実力を備えていた。内外装デザインは、4代目と比べて重厚な味わいだ。
IMPRESSION
森野恭行氏の歴代モデルインプレッション
NEW LS[平成24年マイナーチェンジ後] 課題の走りの質感を見事に磨き上げてきた
強いボディを得て、サスのストローク感を改善したのが大きな進化。19インチタイヤとのコンビでも、「ガツン」とくる突き上げ感や荒っぽいステアリングキックバックに悩まされることはなくなり、走りの質感が全体に向上した。また、ドライブモードセレクトの導入により、いろいろな走り味を楽しめるようになった点も、LSの走りの奥行きを深めることにつながっている。欲を言えば、Fスポーツは走りの一体感をより追求してほしかったが、不満が出るのは超ハイペース領域においてのことだ。
LS[平成24年マイナーチェンジ前] ハイブリッドの魅力は比類なき静かなる加速
4.6L V8+8速ATの心臓がもたらす走りは、力感、スムーズさともハイレベル。そして、心臓を5Lに拡大し、強力なモーターを加えたハイブリッド車の走りは、日常領域のスムーズネスでそのはるか上を行く。高い快適性はLSのDNAだけに、それだけでも選ぶ価値は十分だ。でも、「600h」の魅力はそこで終わらない。いざ右足に力を込めれば・・・静けさを保ったまま極めてパワフルな加速を楽しませてくれる。「静」と「動」のバランス点の高さに、「最高級ハイブリッド」の実力が表れている。
※すべての価格は参考価格です