ハイブリッド車はエンジンの他にモーターを備えており、その分購入時の費用はガソリン車よりかかります。一方で、ガソリン車のエネルギー供給源はエンジンのみのため、すべての動作に燃料が消費され、ガソリン代はハイブリッド車よりかかってしまいます。
長い目で見て、燃費効率の良さを重視するならばハイブリッド車、初期費用を抑えるといった点を重視するならばガソリン車といったように、何を重視するかで、その人にとってどちらが得になるかは変わるでしょう。
この記事では、2つの車をコストとパフォーマンスの面から比べていきます。それぞれがどのような点を重視する人に向いているのかの参考にしてみてください。
ハイブリッド車とガソリン車をいろいろな面から比較してみよう!
ハイブリッド車とガソリン車の大きな違いは「仕組み」です。ガソリン車のエネルギー供給源がエンジン1つである一方、ハイブリッド車はエンジンとモーターの2つがエネルギー供給源です。
エネルギー供給源の違いは、いろいろなコスト面やパフォーマンスの面で差として現れます。どちらの車が得になるかは、ドライバーが何を重視しているかによるでしょう。
例えば、燃費性能や環境負荷軽減を重視したり、走行距離が多かったりする人であればハイブリッド車のほうがメリットがあるといえます。一方で、初期費用や部品交換が必要なときの費用を抑えたい人は、ガソリン車のほうが費用がかからないため、おすすめです。
ここでは、かかる費用やパフォーマンスの面から、いろいろ比べて見てみましょう。
ハイブリッド車とガソリン車でかかるそれぞれのコストについて
2つの車は、仕組みからして大きく異なります。ガソリン車はエンジンのみがエネルギー供給原ですが、ハイブリッド車はエンジンとモーターの2つが組み込まれています。
この仕組みの違いが、いろいろな面を比べる上で差ができるポイントです。特に車を維持するための費用で違いが見えてきます。
ここでは、この仕組みの違いにより差が出てくる費用について紹介します。
新車で購入する際、車体価格はハイブリッド車のほうがガソリン車より30万円~50万円近く高く、購入費用に差が出ます。
ハイブリッド車の仕組みは複雑であり、ハイブリッドシステムを備えているため、購入費用が高くなる傾向にあります。中でも最も価格に差をつけるのは、ハイブリッド車に装備されているバッテリーです。
このバッテリーの材料は、リチウムイオン電池が主流であり、リチウムは高価なレアメタルから精製されるものです。原価にコストがかかるため、2つの車には、購入価格に差が出ます。
ガソリン車はすべてのエネルギー供給がガソリンですが、ハイブリッド車はガソリンとモーター駆動で動きます。
車は発進時や急加速・急減速など一定のスピードではないときほど、燃料を消費します。特に発進時は、停止している状態から動き出すため、より燃料を要するのです。
ガソリン車はこのすべてにエンジンが用いられるため、燃料の消費に大きな影響があります。一方で、ハイブリッド車はこの燃料を特に要する発進時をエンジンではなく、モーター駆動を用いることで燃料コストを抑えられます。
車にかかる税金には、自動車税と重量税の2つがあります。
自動車税は、車の排気量に応じて課税されるため、基本的には2つの車に大きな差は出ません。ただし、自動車税には環境性能割があり、これは車の燃費性能に応じて設定されます。国土交通省が公表している燃費基準に対して達成率が高いほど税率は下がり、燃費効率の良いハイブリッド車や一部のガソリン車は恩恵があります。
重量税は、一定の基準をクリアしたガソリン車やハイブリッド車はエコカー減税が適用され、税金の減額もしくは免税といった恩恵を受けることが可能です。
車の保険には、加入が義務付けられている自賠責保険と任意の自動車保険があります。
自賠責保険の保険料の違いは、車種ごとに決められているため、同一車種であれば2つの車の費用は同じです。
一方で、任意の自動車保険は、ハイブリッド車のほうが保険料が高くなる傾向にあります。これは、車体価格が高いため車両保険の補償額が大きくなったり、部品交換にかかる費用が高くなったりするためです。
ガソリン車はエンジンのみのため仕組みはシンプルですが、ハイブリッド車はモーターも組み込まれており構造は複雑です。そのため、整備にはガソリン車よりも工数を要し、その分費用も上がります。
また、保険の話でも触れたとおり、ハイブリッド車は部品が高価なため、修理が必要な場合、交換部品の費用も相当かかります。もちろん、純正以外の部品で対応することで費用を抑えることは可能です。
車検費用の主な内訳は、法定費用・車検基本料、必要に応じて部品交換の3つです。
法定費用は、自賠責保険や自動車重量税、印紙代が含まれるため、前述したとおり自賠責保険料や自動車重量税での差が反映されます。
車検基本料は、車ごとというよりは車検を依頼する業者が設定する技術料の差です。
車検時は部品の劣化についても確認するため、必要に応じて部品交換が発生します。ハイブリッド車は部品が高価なため、部品交換費用がガソリン車より高くなる傾向にあります。
ハイブリッド車とガソリン車の性能について
費用面では、車の購入費用や万が一のために備える任意保険で、2つの車に違いがありました。
ここでは、ハイブリッド車とガソリン車の走りや環境への影響、走っているときの乗り心地といった面から比べて見てみましょう。
走行性能の最も大きな違いは、停車状態からの発進です。
ハイブリッド車は、燃料を最も必要とする発進時や一定のスピードで走りにくい市街地での低速走行では、モーターを使って走ります。一定のスピードで走行できるようになったら、モーターからエンジンに切り替わることで、燃費効率の良い走行が可能です。
一方で、ガソリン車は発進時の燃料消費は大きいですが、ハイブリッド車よりは車体が軽いため、発進時は軽快なスタートができます。
環境性能はいうまでもなく、ハイブリッド車はモーターを活用した走りにより消費する燃料を抑えられる分、ガソリン車より優れています。また、温室効果ガスの排出量も抑えることで、環境負荷低減に貢献できます。
ガソリン車はエンジンしかないため、どうしても温室効果ガスの排出量が多くなってしまいます。
この環境性能の違いは、いろいろな技術が駆使された結果からくるものです。技術が駆使されている分、ハイブリッド車の購入費用が高くありますが、その分、税金の面で環境性能割やエコカー減税といった恩恵を受けられます。
ガソリン車はエンジンを点ける時、発進時や加速時などに振動が大きく音も大きく出ます。一方で、ハイブリッド車はエンジンを点けるときや発進時はモーターが動くため、ガソリン車より振動や音を抑えることが可能です。
高速走行時は、ハイブリッド車もエンジンがメインになるため、モーター駆動よりは振動や音はあります。ただし、ガソリン車よりは、静寂性が高い傾向にあります。
その点で、振動や音に敏感な人は、ガソリン車よりハイブリッド車のほうが乗り心地良く感じるかもしれません。
ハイブリッド車とガソリン車のメリット・デメリット
ガソリン車とハイブリッド車では、コスト面や性能において、いろいろな違いがあることが分かりました。
これらの違いは、メリット・デメリットの観点から見ることもできるため、以下で紹介していきます。
まず、ハイブリッド車のメリットについてです。
- 燃費効率が良い
- 税金支払いで恩恵がある
- 環境へ配慮されている
1つ目の燃費効率の良さは、燃料費に反映されます。ハイブリッド車はモーターでのアシストもあり、燃料を多く使うエンジン点火や発進時にガソリンの消費を抑えることが可能です。また、ガソリン価格は変動するため、1Lあたりの単価が上がればその分お金がかかり、日常生活の足として車を利用している人にとって、家計へのインパクトは大きいでしょう。
2つ目の税金支払いの恩恵は、自動車税の環境性能割や重量税におけるエコカー減税です。
3つ目の環境への配慮は、エンジンでの燃料消費が少ない分、温室効果ガスの排出が少ないことです。
続いて、ハイブリッド車のデメリットについてです。
- 購入価格が高い
- 修理費用が高くなりやすい
- バッテリー交換が必要
1つ目の購入価格は、ハイブリッド車には2つのエネルギー供給原が備わっており、その他いろいろなハイブリッドシステムが備わっているため、ガソリン車よりも車体価格が上がります。
2つ目の修理費用が高くなりやすいことは、ハイブリッド車に使用される部品単価が高いため、どうしても費用がかかってしまう点です。
3つ目のバッテリー交換が必要という点は、ハイブリッド車には駆動用バッテリーと補助バッテリーがあり、後者のバッテリーは3年から5年程度で交換サイクルがきます。定期的な交換とその際にかかる費用が、家計にインパクトを一時的に与えるでしょう。
次はガソリン車のメリットです。
- 購入価格がハイブリッド車より安い
- メンテナンス費用があまりかからない
1つ目の購入価格については、ガソリン車はハイブリッド車と比べて構造もシステムも比較的シンプルなため、車体価格が高くなりすぎない点です。もちろん、オプション追加や内装にこだわった場合は、この限りではありません。
2つ目は、メンテナンス費用もハイブリッド車よりはかからない点です。ガソリン代はハイブリッド車よりもかかりますが、部品交換が必要なときの費用が安価だったり、バッテリー交換が不要だったりする点では、ガソリン車のほうがコストが抑えられるでしょう。
最後は、ガソリン車のデメリットです。
- 燃費効率がハイブリッド車より劣る
- ガソリン価格の変動影響が大きい
1つ目のハイブリッド車より劣る燃費効率は、エネルギー供給原がガソリンエンジンしかないため、仕方のないことでしょう。ただし、ガソリン車の中でもハイブリッド車には劣るものの燃費効率の良いものもあります。
2つ目のガソリン価格の変動影響が大きい点は、日本が原油を海外からの輸入に依存しているためです。日本は中東地域からの原油輸入に頼っており、世界情勢に左右されて原油価格が変動すると、輸入するときの価格にも大きな影響を与えます。
一方で、ガソリン車はハイブリッド車と比べて、購入価格が安かったり、バッテリー交換が不要だったりする点が、コスト面において大きなメリットです。
ハイブリッド車に乗るのが向いている人・向いていない人の違いとは?
ハイブリッド車とガソリン車では、いろいろな違いがあり、それぞれにおいてメリットとデメリットがあります。どの部分を重視するかで、ハイブリッド車とガソリン車のどちらが得になるかは変わるでしょう。
ここでは、ハイブリッド車にフォーカスして、ハイブリッド車に乗るのが向いている人は何を重視しているか、向いていない人は何を重視しているのか、見ていきましょう。
燃費性能を重視する人は、ハイブリッド車に乗るのが向いているといえるでしょう。
ハイブリッド車はガソリンエンジンとモーターの2つのエネルギー供給源があり、発進時や低速走行時では、モーターが走りをアシストしてくれます。一定のスピードで走るときはガソリンエンジンに切り替わることで、燃費の効率化を図っています。
また、ハイブリッド車は本来、熱として逃げていくエネルギーを組み込まれているバッテリー充電のための電力に変えられるため、その点においても効率的なエネルギー活用がされているのです。
次に、環境への配慮を考えたい人も、ハイブリッド車に乗るのが向いている人といえます。燃費性能の向上は温室効果ガスの排出の低減にも関係します。燃費効率が良いほど消費される燃料を抑えられ、それが温室効果ガスの排出を減らすことにつながるのです。
自然環境への配慮の他に、生活環境に対する配慮もあると考えられます。ハイブリッド車は、エンジン点火のときや発進時はモーターがアシストするため、ガソリン車と違って振動や音を抑えることが可能です。深夜や早朝など、人の活動中心時間から外れている時間帯に車を使うときに、ハイブリッド車の静寂性は周りへの配慮があるといえるでしょう。
続いて、ハイブリッド車に乗るのが向いていない人についてです。高速道路やバイパスなどを高速走行するのがメインになる人は、あまり向いているとはいえないでしょう。
ハイブリッド車は、市街地での低速走行といったときに、モーター駆動が活かされます。一方で、高速道路やバイパスなどで一定のスピードで高速走行する場合は、ガソリンエンジンに切り替わり、走りはガソリン車と大差はありません。
ハイブリッド車は走行シーンにおけるガソリンエンジンとモーター駆動を使い分けることで、燃費効率を上げその真価を発揮できます。
最後に、車にかかる費用を抑えたい人も、ハイブリッド車は向いていないといえるでしょう。
ハイブリッド車はエネルギー供給源が2つあったり、いろいろなハイブリッドシステムが組み込まれていたりするため、車体価格が高くなる傾向にあります。例えば、カーローンを組んで支払いをする人は、毎月の支払いを抑えるために総額費用も抑える必要があります。
他にもハイブリッド車には2つのバッテリーがあり、補助バッテリーといわれるものは定期的な交換が必要です。ガソリン車にはない定期的なメンテナンスがある点も覚えておくと良いでしょう。