ハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターを使い分けて走る車です。その中でも、心臓部分に当たる駆動用バッテリーは、走行性能や燃費に直結しているのをご存じでしょうか。

一般的なバッテリーとは異なり寿命が長いのが特徴ですが、永久に使えるわけではありません。寿命を迎えると当然交換が必要になり、その費用も決して安くはないため、事前に知識を持っておくことが大切です。

この記事では、駆動用バッテリーの寿命年数や交換のサインについて解説します。さらに、長持ちさせるためのコツも解説しているため、あわせて参考にしてください。

ハイブリッド車の駆動用バッテリーの寿命は10年以上

ハイブリッド車の駆動用バッテリーの寿命は10年以上
一般的に、ハイブリッド車に搭載される駆動用バッテリーの寿命は、10年以内あるいは走行距離15万kmから20万kmまで耐えられるといわれています。そのため、多くのメーカーが保証期間を5年または10万kmに設定し、長期間の使用に備えています。

平均的な運転頻度であれば、バッテリーを交換しないまま車の使用を終えるケースも珍しくありません。ただし、車の使用状況によって寿命が変わるため、過酷な環境で走ったり、短距離走行の繰り返したり、運転頻度が極端に高かったりすると寿命が縮む可能性が高まります。

とはいえ、持ち前の高い耐久性はハイブリッド車の大きなメリットです。この機会に適切な使い方を意識し、安定した走行性能を長期間にわたり維持しましょう。

駆動用バッテリーを交換しなくてはならないケース4選

駆動用バッテリーは一般的なバッテリーに比べて寿命が長いといわれています。ただし、使用環境や走行状況によっては早めの交換が必要になるかもしれません。

さらに、劣化を早める行為はバッテリーの寿命を縮めるだけではなく、思わぬトラブルにつながることもあるため、注意が必要です。

ここでは、駆動用バッテリーを交換すべき代表的なケースを4つ解説します。

10年以上乗り続けている

ハイブリッド車の駆動用バッテリーは耐久性が高いのが特徴です。とはいえ、使用年数が10年を超えると劣化が進みやすくなるため注意してください。

なぜなら、年月とともに充電容量が低下し、以前と同じ走行条件でもエネルギーを十分に蓄えられなくなるためです。バッテリーは内部の化学反応によってエネルギーを蓄えていますが、経年劣化とともにそのパワーも失われていくのです。

その結果、100%充電された状態でもバッテリー上がりが起きる可能性があります。特に、長距離を頻繁に走らない方や、車を使用する頻度が少ない方は劣化を実感しやすくなるため、10年を超えたら交換を検討しましょう。

渋滞の中ノロノロ運転をする頻度が高い

日常的に渋滞に巻き込まれたり、ノロノロ運転やアイドリング状態が続いたりする場合、駆動用バッテリーの劣化を招きやすくなるため注意してください。

なぜなら、低速走行や停車中はエンジン回転数が上がらず、オルタネータと呼ばれる発電機の発電量も低下するためです。こうして発電量が減ると十分な充電が行われず、バッテリーが放電状態のまま使用され続けることになります。

このような状況が積み重なると、内部の化学反応がスムーズに行えず、充電効率も悪化します。そのため、スピードが出せない都市部での走行が多い方や通勤で渋滞を避けられない方は、特に注意が必要です。

バッテリー残量が極端に少ない

バッテリー残量が極端に少ない状態が続くことも、劣化が早まる原因の1つです。通常、駆動用バッテリーはある程度の充電量を保ちながら使用することで安定した性能を発揮する仕組みになっています。

しかし、残量が不足したままの状態で放置すると、性能低下や寿命の短縮を招いてしまうのです。特に、車を長期間動かさずに置いておくと、自然放電によって残量がさらに減少するため注意してください。

こうならないためには、定期的に運転して充電サイクルを維持することが大切です。交換時期を少しでも遅らせるために、車を運転するほどの用事がなくても運転することを心がけましょう。

夏場に締め切ったガレージに放置する

駆動用バッテリーは高温に弱いため、夏場に締め切ったガレージに長時間放置するのは避けましょう。なぜなら、気温が極端に高い環境下では、バッテリーの劣化を加速させるためです。

特に、直射日光の当たる場所や風通しの悪い空間、35度を超える気温下で駐車すると、車内温度が50度以上になることも少なくありません。たとえ短期間であっても繰り返し高温下にさらされると劣化は一気に進むため、夏場は涼しい環境に駐車するよう工夫してください。

最近では、フロントガラスなどに直接貼る断熱フィルムや、サイドガラスに取り付けられる車用カーテン、車用のサンシェードも販売されています。もし、日差しを遮れない状況で駐車する場合、これらを上手に活用しましょう。

このように、劣化を防ぐための保管環境を整えることが、長く快適に乗り続ける秘訣となるのです。

ハイブリッド車の寿命はどのくらいですか?
一般的に、ハイブリッド車の駆動用バッテリーは10年以上使用できるといわれています。ただし、実際の寿命は走行状況や運転頻度、充電サイクルの管理状況などによって異なることを覚えておきましょう。長期間安定して使用するにはバッテリーを劣化させない使い方を心がけ、定期的に点検してもらうことが重要です。

駆動用バッテリー交換のサイン

駆動用バッテリー交換のサイン
駆動用バッテリーは突然寿命を迎えるわけではありません。劣化の進行に応じていくつかの兆候が表れるため、見逃さないようにしましょう。

もし、これらを見逃したり、気づいていて放置したりすると、大きなトラブルにつながるため注意してください。

早めにサインを見極めて対応できれば、大きなトラブルを未然に防げるでしょう。ここでは、代表的な交換のサインを3つ紹介します。

以前より燃費が悪くなっている

ハイブリッド車は燃費性能が高いことが魅力です。もし、燃費性能が落ちてきた場合、駆動用バッテリーの劣化が進んでいるかもしれません。

バッテリーが本来の性能を発揮できなくなると、電気モーターの稼働時間が減り、その分ガソリンエンジンの使用頻度が増加します。その結果、給油回数が増えるなど燃費の悪化を感じ始めるのです。

特に、走行環境や運転スタイルが変わっていないにもかかわらず、燃費が目に見えて悪化している場合は注意が必要です。もし、燃費が悪くなっていると感じたら早めに点検を受けましょう。

警告灯が点灯している

警告灯が点灯している
メーターパネルに「バッテリー警告灯」や「ハイブリッドシステム警告灯」が点灯した場合は、駆動用バッテリーや関連システムに異常が発生しているため、決して放置してはいけません。

バッテリー警告灯とは、別名「充電警告灯」とも呼ばれ、赤いバッテリーマークが点灯します。このマークは電気系統の異常でバッテリーが充電されず、バッテリーの電圧低下が起きていることを表しています。

ハイブリッドシステム警告灯は、車に「!」が重なった赤いマークのことです。高電圧システムや冷却システム、電子制御シフトなどに異常がある時に点灯し、そのまま走行するのは大変危険です。

これらの警告灯は運転者に不具合を知らせる重要なサインであるため、見過ごすと深刻なトラブルになりかねません。そのため、警告灯が点灯した際には速やかにディーラーや整備工場に相談し、詳しく点検してもらいましょう。

エンジンが頻繁に稼働している

通常、ハイブリッド車は低速走行や信号待ちしている場合、電気モーターでの走行がメインです。しかし、駆動用バッテリーが劣化していると、電力を十分に供給できず、電気モーターよりもエンジンの稼働頻度が増えてしまいます。

その結果、アイドリング時や低速走行時でもエンジンが頻繁にかかるようになり、静粛性や燃費の低下を感じやすくなるのです。

もし、このような症状が続く場合、バッテリーの性能が限界に近づいているサインかもしれません。そのため、早めに点検を受け、結果によっては交換を検討しましょう。

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駆動用バッテリーを長持ちさせる方法

駆動用バッテリーを長持ちさせる方法
駆動用バッテリーは正しく使用することで寿命を延ばせることをご存じでしょうか。長持ちさせるためには、日常の使い方や保管環境に注意を払うことが大切です。

ここでは、駆動用バッテリーの劣化を防ぎ、性能を維持するための方法を2つ紹介します。どちらも日常生活でできることであるため、ぜひ実践してみてください。

充電状態を確認して適度に走行する

ハイブリッド車のバッテリーは、過充電や過放電に弱いのが難点です。そのため、極端な状態で長期間放置すると劣化が進んでしまいます。

特に、放電状態での長期放置は「サルフェーション」と呼ばれる現象を引き起こし、内部の化学反応が妨げられることで充電効率が大幅に低下する可能性があります。

そのため、車を長く使わない場合でも定期的に走行し、充電サイクルを保ちましょう。この時、短距離走行ばかりでは十分に充電ができないこともあるため、定期的に長距離走行する機会を設けてバッテリーの健全な状態を維持するのがポイントです。

高温状態を避ける

駆動用バッテリーは高温に弱く、真夏に直射日光が当たる場所や風通しの悪いガレージに長時間駐車すると劣化が進みやすくなります。なぜなら、内部温度が上がると化学反応が過剰に進み、バッテリーの劣化や容量低下を招くリスクが高まるためです。

特に、締め切った車内は50度以上になることも少なくありません。このように、ハイブリッド車にとって高温状態は大きな負担となるのです。

そのため、バッテリーの劣化を進行させないために、日陰や屋内駐車場を利用して高温にならないよう工夫しましょう。サンシェードや断熱フィルム、車用カーテンの活用もおすすめです。

国内メーカーが設定しているハイブリッド車の保証期間を教えてください
国内メーカーのほとんどが、保証期間を5年または10万kmに設定しています。ただし、メーカーや車種によって保証条件は異なるため、購入時に確認しておくと安心です。
また、中古車を買う場合は、保証期間が残っているかも確認しておきましょう。

駆動用バッテリーを交換する時の手順

駆動用バッテリーを交換する時の手順
駆動用バッテリーは寿命を迎えたら必ず交換してください。ただし、高電圧を扱うため、決して自力で作業してはいけません。

そのため、駆動用バッテリーの交換は専門の業者やディーラーに依頼しましょう。交換費用はバッテリーの状態や車種によって差があるため、費用や保証内容を事前に確認することが大切です。

ここでは、駆動用バッテリーを交換する時の手順について解説します。

駆動用バッテリーは自力で交換できない

ハイブリッド車の駆動用バッテリーは高電圧を扱う部品です。そのため、専門知識や専用工具なしで作業を行うのは危険が伴います。

感電事故や車両の重大な損傷につながるおそれがあるため、自力で交換してはいけません。そのため、交換を希望する場合、必ずディーラーや認定整備工場に依頼してください。

専門の技術者であれば安全に取り外しと取り付けをしてくれるだけではなく、システム全体の点検もしてもらえるため安心です。

このように、駆動用バッテリー交換は単なる部品交換ではなく、車の安全性に直結する大事な作業です。依頼する際は、信頼できるディーラーや工場に依頼しましょう。

交換費用の相場は10万円〜40万円

交換費用の相場は10万円〜40万円
駆動用バッテリーの交換費用の相場は、10万円~40万円程度と幅があります。なぜなら、駆動用バッテリーの交換費用は車種や状態によって異なるためです。

バッテリーの容量や搭載位置、車両のモデルによって作業工程は変わります。一般的に新しいモデルや高性能バッテリーを搭載した車種ほど高額になる傾向にあることを覚えておきましょう。

さらに、純正品を使用するか高品質な中古部品にあたるリビルト品を利用するかでも金額が変わります。そのため、交換する際は見積もりを複数取り、費用だけでなく保証の有無や交換後のメンテナンス体制も確認しておきましょう。

車の保証サービスを受けられる可能性もある

駆動用バッテリーは高額な部品ですが、メーカー保証や販売店の保証サービスによって無料または一部負担で交換できる可能性があります。

ほとんどの車は購入から一定期間、あるいは走行距離以内であればバッテリー交換の保証対象内です。そのため、保証を利用できれば大きな出費を避けられるでしょう。

まずは保証書や契約内容を確認し、保証サービスの対象内か確認しましょう。

中古車の場合でも販売店独自の保証が付帯しているケースがあります。もし、中古車で交換の必要性を感じた時でも、すぐに費用を支払うのではなく、まず保証の有無を調べてから判断してください。

ハイブリッド車のバッテリー交換費用はいくらですか?
駆動用バッテリーの交換費用は10万円~40万円程度が一般的です。ただし、交換費用は車種や状態によって変動するため注意が必要です。もし、交換を検討している場合、ディーラーや整備工場で見積もりを取り、費用や保証内容を確認しておきましょう。

中古車を購入する際に確認したいバッテリーの項目

中古車を購入する際に確認したいバッテリーの項目
中古のハイブリッド車を選ぶ時は、車両価格や外装だけで判断するのはおすすめできません。なぜなら、バッテリーの状態が悪いと購入後すぐに交換しなくてはならなくなり、維持費が高額になるためです。

では、購入後の思わぬ出費を避け、安心して乗り続けるにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、中古車を購入する際に確認したいバッテリーの項目を2つ紹介します。

ハイブリッド車を中古で購入しようと考えている方はぜひ参考にしてください。

使用年数と走行距離

中古のハイブリッド車を購入する際、使用年数と走行距離のバランスをしっかり確認しておきましょう。なぜなら、新車登録から長い年月が経過していると、走行距離が短くても放電や経年劣化の影響でバッテリーが弱っている可能性があるためです。

中古車と聞くと「走行距離が短ければ安心」と考える方も少なくありません。しかし、ハイブリッド車の特性を踏まえると必ずしもそうとは言い切れないのが現状です。

むしろ定期的に乗られている車のほうがバッテリーの充電サイクルが維持され、劣化が抑えられている可能性もあるのです。その一方、極端な長距離走行も負担となるため、年数と距離が適度に釣り合っている車を選びましょう。

もし、極端に走行距離が長い場合、駆動用バッテリーのメンテナンス履歴の有無を確認してみるのもおすすめです。

保証期間

中古のハイブリッド車を購入する前に、バッテリーに関する保証期間を必ず確認しておきましょう。なぜなら、購入時点ですでに劣化が進んでいた場合でも、保証が適用されれば無料または低負担で修理や交換が受けられる可能性があるためです。

メーカー保証が残っている車両であれば安心度が高く、万が一のトラブルに備えられます。また、販売店独自の保証サービスが付いているケースもあるため、購入前にあわせて確認しておきましょう。

このように、保証期間を把握しておけば、万一のトラブルが起きても余計な出費を抑えられるのです。ですから、購入価格だけに目を向けず、保証内容を含めた総合的な条件を比較して中古車を選びましょう。

まとめ

①ハイブリッド車の駆動用バッテリーは、一般的に10年以内、もしくは走行距離15万km〜20万kmまで耐えられる
②駆動用バッテリーを交換すべきサインを見逃さなければ大きなトラブル防止につながる
③駆動用バッテリーを長持ちさせるには充電状態を確認し、高温状態を避けること
④自力での交換は危険が伴うため、必ずディーラーや整備工場に交換を依頼すること
⑤交換費用には幅があるため、事前に見積もりを取り、保証対象内であるか確認すること

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