新型車比較・ライバル車対決
更新日:2024.03.31 / 掲載日:2024.03.31

ホンダ「N」シリーズ全比較〜ベストセラーのベストバイ!〜

日本のベストセラー軽シリーズ、あなたにとってのベストバイは?

日本一の販売台数を誇るN-BOXを筆頭に、軽カテゴリーどころか日本の自動車市場全体から見ても大きな存在感を放つホンダ・Nシリーズ。今回は全4モデルを横並びで比較。ベストな「N」探しの一助になれば幸いだ。

●文:渡辺陽一郎

HONDA「N」シリーズ 見くらべガイド

コンセプト&プロフィール

N-BOX

フルチェンで魅力アップのベストセラー

 N-BOXは日本国内の最多販売車種だ。2023年には1か月平均で約1万9000台を届け出して、同年に国内で売られたホンダ車の39%を占めた。人気の秘訣は、全高を1790㎜に高めて得られた広い室内と乗降性の優れたスライドドア、そしてバランスの良い外観だ。現行型は2023年に発売されたから設計も新しく、安全装備も先進的だ。

N-WGN

コスパ良好、ヒンジドアのハイトワゴン

 N-WGNは標準ボディの全高を1600〜1700㎜の間に設定したハイトワゴンだ。N-BOXに比べると全高が100㎜ほど低いが、ボディも軽く燃費も優れている。電動スライドドアなどを装着しないから価格も下がり、買い得な標準ボディのLは141万9000円だ。N-BOXよりも20万円以上安く、スライドドアなどを必要としないユーザーには割安だ。

N-ONE

走りにも目配りしたスタイリッシュな個性派

 Nシリーズの中で、最もユニークな車種がN-ONEだ。丸型ヘッドランプを装着したフロントマスクや傾斜の付けられたリヤゲートは、1967年に発売されたホンダの軽自動車、N360をモチーフにデザインされた。そのために遠くから見てもN-ONEだと分かる。2WDの全高は1545㎜だから、立体駐車場も使いやすく、都会的な雰囲気の軽自動車に仕上げた。

N-VAN

積載優先、運転席以外はフルフラットに!

 Nシリーズに用意される軽商用車で、先代N-BOXをベースに開発された。エンジンを前席の下に搭載するスズキエブリイやダイハツハイゼットカーゴに比べると、荷室長は短いが、N-VANは後席に加えて助手席も小さく格納できる。従って運転席以外はすべて平らな荷室にして活用できる。室内高はN-BOXよりも高く、全高は2WDでも1945㎜に達する。

エクステリア&パッケージング

丸型ライトと水平基調が共通要素
 Nシリーズは、もともと2011年に登場した初代N-BOXから始まり、Nシリーズとしての共通性を持たせている。標準ボディの丸型ヘッドランプ、水平基調のボディスタイルなどは、いずれもNシリーズ全車に通じる特徴だ。特にフロントマスクは、1967年に発売されたN360の流れも汲んでいる。ホイールベースも軽自動車で最長の2520㎜で統一され、後席の足元空間を広く確保している。

N-BOX

居住性も使い勝手も上々なスーパーハイトワゴン

 外観は丸型ヘッドランプを備えたシンプルな標準ボディと、エアロパーツなどを装着した精悍な雰囲気のカスタムがある。両ボディともに背が高く、スライドドアの開口幅も十分に確保される。Nシリーズの中でも存在感が強く乗降性も良い。水平基調のボディで視界も優れている。ボンネットも見えて、ボディの先端位置や車幅も分かりやすい。

N-WGN

直線的でシンプルなデザインの優秀なタウンカー

 外観は丸型ヘッドランプを備えたシンプルな標準ボディと、エアロパーツなどを装着した精悍な雰囲気のカスタムがある。両ボディともに背が高く、スライドドアの開口幅も十分に確保される。Nシリーズの中でも存在感が強く乗降性も良い。水平基調のボディで視界も優れている。ボンネットも見えて、ボディの先端位置や車幅も分かりやすい。

N-ONE

個性派ながら実用面への配慮も怠りない

 外観は個性的で、なおかつ実用性も優れている。ヘッドランプを高い位置に装着したから、ボンネットの両側が少し盛り上がり、ボディの四隅も分かりやすい。フロントピラーの角度を立てたから、斜め前方も見やすく、横断歩道上の歩行者を見落としにくい。後方視界も優れ、最小回転半径は売れ筋グレードの2WDが4.5mだから小回りの利きも良い。

N-VAN

N-BOX的な雰囲気を残しつつ、大開口ドアなどを採用

 フロントマスクのデザインはN-BOXの雰囲気を残している。ハイルーフのボディスタイルを含めて、外観は軽商用車ながらもカッコイイ。スライドドアの電動開閉機能は備わらないが、左側はピラーをスライドドアに内蔵したから、前後ともに開くと開口幅が1580㎜に広がる。タントの1470㎜を上まわり、長い荷物をボディの側面から積める。

キャビン&ユーティリティ

パワートレーンも室内空間に配慮
 Nシリーズは初代モデルから、補機類まで含めてエンジンを上下に長く設計して、室内長とホイールベースを長く確保している。背の高さを生かして車内を広げる方法だ。N-ONEはもう少し天井とボンネットを低く抑えると、モチーフにするN360の外観に近付くが、それは困難だった。全車が燃料タンクを前席の下に搭載するから、後席は床面へ落とし込むように小さく畳めて広い荷室に変更できる。

N-BOX

大人4名乗車でも余裕があり、積載性も高い

 車内は広く、身長170㎝の大人4名が乗車した場合、後席のスライド位置を後端に寄せると乗員の膝先には握りコブシ4つ分の空間がある。後席をコンパクトに格納すると大容量の荷室になって自転車も積める。燃料タンクが前席の下にあるため、路面からリヤゲート開口下端部までの高さも470㎜と低い。助手席の前側には大型のトレイも備わる。

N-WGN

後席居住性が十分で荷室などの使い勝手も光る

 N-BOXに比べて天井は低いが、前後席ともに頭上と足元は十分に広い。身長170㎝の大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ半だ。燃料タンクを前席の下に搭載するから、荷室の床はN-BOXと同様に低い。専用のボードによって荷室を上下2段に分けられる。後席の下には幅が約1mのトレイも備わり、傘や靴などを収納できる。

N-ONE

サポート性の高いシートなど、個性と走り志向で勝負

 インパネは横長のパネルを大胆に使って、個性的に仕上げた。ATレバーは高い位置に装着されて操作性が良い。前席はN-BOXやN-WGNと違って、左右が分割されたセパレートタイプだ。そのためにリラックス感覚は乏しいが、サポート性は良い。後席の膝先空間は、N-BOXと同様の測り方で握りコブシ2つ分だ。少し狭いが4名乗車は快適に行える。

N-VAN

シートアレンジも開口部設計も積載への気配り十分

 助手席と後席を格納すると、カーペットのような細長い荷物を積むのに都合が良い。助手席まで含めた最大荷室長が2635㎜に達するからだ。左側の開口部もワイドだから、右側のスライドドアやリヤゲートも開き、3方向から荷物を積載できる。助手席は小さく格納できるために座り心地がかなり硬いが、1名で乗車する時の使い勝手は優れている。

結論『N-ONEは趣味性、他の3車はコスパが肝だ』

実用性を基本に自身の
用途で絞り込むべし
 N‐BOXとN‐WGNには、丸型ヘッドランプを装着する標準ボディと、エアロパーツなどを備えた上級のカスタムが用意される。機能と価格のバランスを考えると、実用的な装備を充実させた標準ボディが買い得だ。N‐BOXの標準ボディは、現行型では1グレードに絞られるが、N‐WGNではLを推奨する。360度スーパーUV・IRカットパッケージなどを装着して価格は割安だ。
 N‐ONEは、N‐BOXやN‐WGNと違って実用性を重視した車種ではない。外観のカッコ良さ、内装の上質感、運転感覚などに重点を置く。そこでグレード選びも、機能や装備に対する価格の割安度ではなく、運転の楽しさなどの趣味性を大切にしたい。そうなるとターボエンジンを搭載して、操作感の優れた6速MTを備えるRSが注目される。クルマの性格や特徴と親和性の高いグレードを選ぶと満足できる。
 販売店で試乗する時は登坂も試したい。パワー不足を感じたら、ターボにも試乗すると良い。最大トルクはノーマルエンジンの1.6倍に高まって動力性能に余裕が生まれ、WLTCモード燃費は6〜9%しか悪化しない。ターボも高効率で推奨される。

各車のイチ推しはコレだ!《おすすめグレード》

四車四様のNシリーズ。各モデルの長所を堪能できるグレードを選んでみた。

N-BOX

おすすめグレード 標準仕様(FF)
●価格:164万8900円

 現行型ではステアリング操作に対する車両の挙動が正確になり、ノーマルエンジンは実用域の駆動力を高めた。乗り心地も向上して、シートも骨盤の支え方が改善された。先代型と同じく4名乗車時が快適で荷物も積みやすく、なおかつ乗車感覚が上質。グレードは機能や装備と価格のバランスを考えると164万8900円の標準ボディが買い得だ。

N-WGN

おすすめグレード L(FF)
●価格:141万9000円

 2023年の売れ行きはN-BOXの16%だったが、機能は劣らない。前後席とも居住性が快適で、荷室も使いやすい。しかも価格は、前述の通りN-BOXよりも20万円以上安い。燃費の良さも考えると、N-WGNが買い得に思える。N-BOXが欲しい時でも、一応はN-WGNも確認すると良い。「これで十分」と思えるかも知れない。標準ボディのLがベストだ。

N-ONE

おすすめグレード RS・6速MT(FF)
●価格:206万2500円

 N-BOXは車内が広くスライドドアも備える。N-WGNは4名乗車の可能な居住性と実用的な荷室を備えて価格は割安だ。両車ともに実用的だが、N-ONEは内外装のオシャレな形状と運転のしやすさに特徴がある。趣味性が強いため、グレードも運転の楽しさで選びたい。価格は少し割高だが、ターボエンジンを搭載するRSの6速MT仕様がベストだ。

N-VAN

おすすめグレード +スタイル ファンターボ(FF)
●価格:182万6000円

 助手席は座り心地が硬く、後席は商用車の規格に当てはめるために足元が狭い。実質的に1人乗りだが、運転席以外はすべて平らな荷室に変更できるから、荷物の積載性は優れている。フロアマットを敷くなどの工夫をすれば車中泊にも使える。車両重量が900㎏を大幅に超えるので、動力性能に余裕のある+スタイルファンターボを推奨する。

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内外出版/月刊自家用車

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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