三菱ふそう　EV小型トラック「eCanter」をUAEで一般公開

　三菱ふそうトラック・バス株式会社（MFTBC）は、アラブ首長国連邦（UAE）のENOC Link社が、2021年10月上旬に開催された「第23回水・エネルギー・技術・環境展（WETEX）」および「ドバイソーラーショー」において、電気小型トラック「eCanter」を初めて一般公開した。

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航続距離100km　電気小型トラック「eCanter」

　「eCanter」は、MFTBCが開発した量産型電気小型トラック。車両総重量7.5トンクラス、急速充電では最大約1.5時間、普通充電では最大約11時間の充電で、航続距離はおよそ100km。電気駆動システムには、モーター(最大出力135kW、最大トルク390Nm)と、370V・13.5kWhの高電圧リチウムイオンバッテリーパックを6個搭載。2020年8月には安全装備を拡充した新型モデルを発売したほか、車両ラインアップの拡充を含む次世代モデルの開発も進められている。

　ENOC Link社は、UAEの企業向けにディーゼルやバイオディーゼル、ガソリンの発注と配送をオンラインで管理し、オペレーションの最適化を支援するサービスを提供する企業。このサービスは、ドバイ政府の100％出資会社であるENOC（エミレーツ・ナショナル・オイル・カンパニー）グループが運営している。ENOC Link社は、ダイムラートラックの中東における地域統括拠点、ダイムラー・コマーシャル・ビークル・MENA（DCV MENA）社と提携し、通常のスチール製タンカーに比べて30％軽量化されたアルミニウム製タンカーボデーなどを備えたeCanterを展示した。この車両には、クラウドに接続して燃油供給データを瞬時かつ継続的に送受信する計測機能が搭載されている。

グリーン経済を目指し、EV普及に取り組むドバイ首長国

　WETEXとドバイソーラーショーは、ドバイ電気水道局（DEWA）主催。これらのイベントでは毎年、グローバル企業がエネルギー、天然資源、サステナビリティ分野における最新の知見や技術を紹介する場となっている。UAEは、2010年に策定した国家戦略「UAEビジョン2021」においてグリーン経済の成長を目指す方針を打ち出しており、以後、同国は環境に配慮した都市計画、交通、技術に対して投資を継続している。DEWAは、ドバイ首長国に300カ所以上の電気自動車（EV）充電ステーションを設置しているほか、二次元バーコード（QRコード）を用いた一般消費者向けEV充電ネットワークなどのプログラムを導入し、EVの普及に取り組んでいる。

　WETEXとドバイソーラーショーに続き、ENOCグループはExpo 2020 Dubaiのために設計した「未来のサービスステーション」でもeCanterを展示する。同グループは、新しいサステナブルなデザインの燃料ステーションのコンセプトを打ち出している。「未来のサービスステーション」のひさしは環境に優しい炭素繊維でできており、必要なエネルギーは敷地内に設置された風力発電機と太陽光発電パネルから供給されるというもの。

　UAEはふそうブランドにとって重要な市場であり、小・中・大型トラック、そして小型から大型バスまで、幅広い製品を展開。MFTBCの川崎製作場から完成車として輸出している「キャンター」は、発売以来、小型セグメントでトップシェアを維持している。2020年には、UAEで販売されている小型トラックとしては初めて、欧州排ガス規制「ユーロ５」に適合した改良モデルを導入した。

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