車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.12.02 / 掲載日:2014.11.07
NISSAN JUKE SUVに新たな風を吹き込むスポーツギア

今回のテーマは、いま話題の日産ジューク。先日マイナーチェンジし、さらに魅力を高めた。ライバルの多いSUVのなかでも、独自の魅力を放つ日産ジュークの人気は、どこにあるのだろう。ここでは、中古車情報も交えてじっくり解説する。
日産 ジュークはこんなクルマ!
欧州でもクラスのベストセラーに君臨
今コンパクトクラスのクロスオーバーSUVを選ぶ際、筆頭に挙げられるのが日産ジュークだ。とくに欧州Bセグメントは車種が極めて少ないこともあるが、人気の理由はもちろんクルマの出来映えにある。
ジュークの魅力を決定づけているのは、日産デザインヨーロッパによる圧倒的なデザイン力と言っていい。コンパクトカーデザインのブレークスルーを目指して創造されたイメージは、「混沌とした都会の中に突如現れる異性体」だ。それを具現化するため、メカニカルなデザインと有機的デザインを従来車のように融合するのではなく、ありのままに“結合”。コンパクトスポーツとSUVの魅力をひとつにした、斬新で存在感にあふれるクロスオーバーカーに仕上げられている。
そのデザインは、コンパクトクロスオーバーカーの本場であり、個性とセンスが問われる欧州で高く評価され、Bセグクロスオーバー市場でベストセラーの座を獲得。日本市場には先鋭的すぎると懸念する声もあったが、ふたを開けてみれば国内ユーザーからもコンパクトカーの新たな選択肢としてすぐに幅広い人気を集めた。
高い実用性を両立したパッケージング、欧州で徹底的に鍛えられた走りももちろん魅力的。日産らしい多彩な内外装の提案も見逃せない。
デビューから4年以上が経過した現在もまったく色あせることなく、強烈な個性を放ち続けるコンパクトスポーツクロスオーバー。それがジュークだ。
RIVAL ライバル
トヨタ ラッシュ

新車価格帯 202万114~226万800円(※全グレード)
ビルトインフレームの本格派コンパクトSUV
ダイハツ ビーゴのOEM版。1.5L搭載のBセグメントだが、クロスオーバーと言うより高いオフロード性能を備えたコンパクトSUVだ。平成18年発売で、現在は4速AT・フルタイム4WDのみ。
ホンダ ヴェゼル

新車価格帯 192万3429~275万6571円(※全グレード)
主力はハイブリッド上級装備も魅力だ
フィットと基本メカを共用しながら1クラス上に仕上げられたCセグメントのクロスオーバーSUV。1.5Lのガソリンとハイブリッドを搭載、4WDにはCR-Vの電子制御式をおごる。平成25年発売。
三菱 RVR

新車価格帯 191万1600~280万440円(※全グレード)
すべてにゆとりのクロスオーバーSUV
プラットフォームは先代アウトランダーがベースで、2670mmのロングホイールベースも共通。ジュークよりひとつ上のCセグメント車だ。1.8LのCVTでFFと電子制御4WDを設定。平成22年発売。
HISTORY ヒストリー
平成22年6月 ジュークを発売
平成22年11月 「16GT/16GT FOUR」を設定
平成25年1月 「NISMO」を設定
平成25年8月 マイナーチェンジ
平成26年7月 マイナーチェンジ
NEWS 最新情報

ジュークが今年マイナーチェンジ
さらに進化して魅力度アップ
外観は立体感を高めたVモーショングリルやブーメランシェイプのシグネチャーLEDポジションランプなどで、個性と質感がさらにアップ。90通りの組み合わせから好みの内外装が選べる「パーソナライゼーション」も注目だ。歴代の名車のヘリテージカラーを受け継いだ「15RX 80thスペシャルカラーリミテッド」は日産創立80周年の特別仕様。
※すべての価格は参考価格です

斬新なルックスとスポーティな走り日産が見せたSUVの新提案
中古車参考価格帯 100万~270万円 (平成22年~平成26年式 ※全グレード)
日産 ジューク 15RX(CVT)
主要諸元
平成22年式
全長×全幅×全高:4135×1765×1565mm
車両重量:1170kg
排気量:1498cc
エンジン:直4DOHC
最高出力/最大トルク:114ps/15.3kgm
燃費:17.2km/L(JC08モード)
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:トーションビーム
ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
タイヤ前後:205/60R16
特別仕様車から新提案を積極展開

ジュークは完成度の高さを裏付けるように、デビューから丸4年が経過した現在まで目立った改良は受けていない。メカニズムの変更は、1度目のマイナーチェンジで1.5Lの燃費向上(アイドリングストップ採用)とVDCの標準装備を実施。2度目のマイナーチェンジでは1.6L直噴ターボの燃費向上(世界初のロープレッシャークールドEGR採用)、ならびに最大トルク発生回転数の引き下げが行われた程度だ。
一方、装備面では新しい提案を1年目から特別仕様車として展開。充実装備のタイプVやファッショナブルなアーバンセレクションは人気を集め、そのまま通常のカタログモデルとなっている。15RSを除く全車に設定される最新のパーソナライゼーションも、特別仕様車のパーソナライズパッケージを発展させたものだ。
INTERIOR インテリア
外観のイメージを崩さない有機的なインテリア
インテリアは「メカニカルな構造体としなやかさの結合」がテーマだ。前者の精密機械を思わせる要素はメーターリングやセンタークラスター、センターコンソールなど。後者の生命を感じさせる有機的デザインはインパネやドアトリム、シートなどに代表される。双方が主張しあうことでエクステリアに共通する斬新なキャビンを具現化。

ドアトリムはダイバーズフィンをイメージしたクロスと、メカニカルなドアスイッチパネルが結合したデザイン。赤の内装色は前期型に設定された。

センターコンソールはバイクのタンクからシートに続くフォルムをイメージ。シリンダーメーターやフローティングバイザーもバイクがモチーフだ。
EXTERIOR エクステリア
やっぱり最大の魅力はその個性的なフォルム
コンパクトスポーツカーとSUVを従来クロスオーバーカーのように融合するのではなく、ありのままに結合。まさに、リヤへ向かって強く傾斜したルーフラインはスポーツカー、マッシブなフェンダーはSUVそのものだ。存在感たっぷりのフロントフェイスは、大きな丸型ヘッドライトがナイトラリーカーの大型フォグを彷彿させる。

リヤランプはフェアレディZなどに通じ、日産のスポーツ性を訴求。2ドアクーペのようなスタイル実現のため、リヤドアハンドルはピラーにビルトイン。
UTILITY ユーティリティ
想像以上のスペースで高い実用性を発揮
斬新なデザインにもかかわらず、パッケージングは優秀だ。後席には1クラス上の旧デュアリスに迫るニールームを備え、大柄な乗員4名が無理なく乗車可能。荷室は大きな床下収納によってコンパクトカーを凌ぐ使い勝手を実現している。アラウンドビューモニターは駐車場などで周囲の安全確認をサポートする移動物検知機能付きだ。

荷室の容量は通常で251L。後席を倒せば最大830Lまで拡大できる。床下には44Lのボックスを装備。

アラウンドビューモニターは移動物検知機能付。インテリジェントコントロールディスプレイは走行モードとエアコンが1画面で操作可能。
ターボやNISMOなどを追加しスポーツイメージもけん引
ジュークの魅力はコンパクトさがウリのSUVというわけではない。そのサイズを活かした走りのよさにも注目が集まる。SUVでもドライビングを楽しみたい人には大きな選択肢となるはず。
MECHANISM メカニズム
ブラッシュアップされたハイレベルなサスやエンジン
車台はマーチや先代ノートなど日産のコンパクトカーでおなじみのBプラットフォームがベース。だが、1クラス上のサスペンションをおごるなど、ボディ&シャシーは大幅なレベルアップが図られている。1.5Lエンジンも入念な改良が施された最新型を搭載する。
ボディは日産・ルノーのコンパクトカーで実績のBプラットフォームがベース。高剛性と優れた衝突安全性を両立。
フロントの井桁サブフレームはBプラットフォーム車で初。リヤサスはCセグと同じ高剛性トーションビームだ。
旧ティーダなどでおなじみのHR15DE型1.5L。デュアルインジェクター採用や排気CVTC追加、燃焼室形状変更など、ジューク搭載には大幅な改良が施された。
VARIATION バリエーション
スタイル重視派も走り派も納得のラインアップ
1.5LはFFのみ、1.6L直噴ターボはFFと4WDをラインアップ。唯一の4WD車となる16GT FOURは、リヤサスにも専用のマルチリンクを採用する。15RXアーバンセレクションはクールブラックのグリルやアルミホイール、キセノンヘッドライトなどを標準装備。

16GT FOURはリヤサスにマルチリンクを採用。オールモード4×4-iはリヤにトルクベクトル用の電子制御カップリングを備える。
TURBO ターボ

直噴ターボのMR16DDTはスタンダードの16GT系でも1.6Lで世界トップレベルの190馬力・24.5kgmを発揮。1.5Lとの識別点はバッジとホイール色。
NISMO ニスモ

ベースは16GT FOUR。レッドのドアミラー、ボディ前後のエアロパーツやグリル、オーバーフェンダーなどはもちろん専用。

シートはサポート性を向上させ滑りにくいスエード調の素材を採用。ステアリングは日産初の本革・アルカンターラ巻きだ。タコメーターも赤い文字盤の専用デザイン。エンジンは10馬力・1.0kgmアップ。
マイナーチェンジで進化を遂げたNISMO RS
今秋発売予定のRSはECUチューンでさらにパワーアップ。ボディはフロアを中心に16カ所補強、ブレーキも本格的に強化するなどコンプリートカーとして戦闘力をいっそう高めた。シートは専用チューンのレカロ製だ。
LIMITED EDITION 限定モデル
スペシャルカラーをまとった300台の限定車
昨年12月に発売された「プレミアムパーソナライズパッケージ」は、16GT系タイプVと15RXタイプVをベースとした特別仕様車。最大の特長はボディ色で、スカイラインシリーズのR34型スカイラインGT-RのミッドナイトパープルIIIを再現した同IVを採用。高輝度シルバーのドアミラーやアウターハンドルと相まって、強烈な個性とプレミアム感を演出する。

ミッドナイトパープルIVは見る角度や光の当たり方で青紫、赤紫、赤、オレンジへと色が変化。17インチアルミも専用デザインだ。
MARKET REPORT 市場レポート
そろそろ市場が熟してお買い得な車両が増えてきた
Goo-netで検索すると、1200台ほどヒットする。小型SUVとしてはかなりの売れ行きを示した結果と言ってよい。そんな人気のジュークも市場では値下がり傾向にあり、リーズナブルな価格で買えるようになった。ただし、年式が高くなるほど相場があがる・・・という単純な相関はなく、あくまで装備や程度がよければ高くなるようだ。「16GT」、「NISMO」などのスポーツモデルも、多くはないが市場に流通。予算と好みに応じたクルマ選びが可能となっている。
グレード×年式別相場
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|---|---|---|
15RS | 150万円 | 132万円 | 150万円 | 132万円 | 144万円 |
15RX | 129万円 | 135万円 | 140万円 | 156万円 | 163万円 |
16GT | 149万円 | 157万円 | 183万円 | 187万円 | 173万円 |
NISMO | – | – | – | 234万円 | 239万円 |
走行距離×年式別相場
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|---|---|---|
5000km未満 | 126万円 | 136万円 | 151万円 | 165万円 | 180万円 |
5000km~1万km | 131万円 | 136万円 | 152万円 | 163万円 | 184万円 |
1万~3万km | 135万円 | 138万円 | 146万円 | 172万円 | – |
3万km以上 | 130万円 | 138万円 | 135万円 | – | – |
グレード別の相場では、初期型は「15RS」と「15RX」の価格差は少ない。これは、車両コンディションの差のほうが大きく影響しているため。ただし「16GT」はやや高めの傾向だ。走行距離別に見ると、5000km未満の車両も初期型なら126万円という価格でねらえる。
年式
どの年式の物件も充実する傾向。なかでも平成23年式の物件が豊富で、全体の30%。次に平成25年式の25%と続いている。走行距離
登場から5年が経過したジューク。しかし市場には低走行物件が豊富で、5000km未満が3割弱ある。

グレード
大きくわけると4タイプ存在するジューク。もっとも多いのが装備充実の「15RX」。ターボの「16GT」やNISMOはまだ少ない。

IMPRESSION
戸田治宏のモデルインプレッション

骨太で機敏な走りはさすが欧州仕込み
1.5Lエンジンは先代ノートなどの従来型より動力性能が向上。とくに低中回転域のトルクが強化され、CVTの無段階変速を介し加速は発進から力強い。ドライブモードコントロールで3モードに応じたアクセルレスポンスも楽しめる。引き締まったサスとスカイラインに迫るワイドトレッドが相まって、シャシーは骨太。ボディの腰高感はみじんもなく、ハンドリングはスポーツハッチ顔負けの機敏さだ。
1.6L直噴ターボは低回転から2.5L並みの大トルクが炸裂。トルクベクトル付きオールモード4×4-iは、アクセルオンでレールに乗ったように曲がるジェットコースター感覚の旋回を堪能させる。
※すべての価格は参考価格です