幸せの電動スライドドア！？　プラス5万円でもっと幸せ！！　三菱eKワゴン& eKスポーツに乗用タイプ軽自動車初の採用！

【本記事は2006年10月にベストカーに掲載された記事となります。】第一印象は「キープコンセプトだねぇ」。でも、触って、乗り込んで、じっくり見ると、「こりゃあよくできてるわ！！」どうしてもボンネット型乗用タイプ軽自動車「初」の電動スライドドアばかりが注目されてしまうeKワゴンだが、それだけではなく、基本がキッチリ作り込まれたクルマだということが実車を目の前にするとよくわかった。

・乗る人のことを徹底的に考えたクルマなのだ！！ボディサイズは全長3395mm、全幅1475mm、全高1550mm。ワゴンRやムーヴ、ゼストなど、全高1630mm前後が中心のBOXタイプ軽自動車の中で、eKワゴンはひときわ背が低い印象。全高を1550mmに抑えたことで、ほぼすべての立体駐車場に入ることができるのはeKワゴンならでは。これはうれしい。搭載されるエンジンは50馬力、6.3kgmを発揮する直3NA。同時にモデルチェンジしたスポーティテイストを盛り込んだeKスポーツには64馬力、9.5kgmのターボも用意されているが、eKワゴンはNAのみの設定となっている。スポーツにはNAの搭載もある。eKワゴンの開発には、とにかく徹底的なユーザー調査が実施されたのだという。もちろんどんなクルマでもユーザー調査は行なわれるのだが、eKワゴンの開発陣は各地のスーパーマーケット、地域の子供会などに足を運び、eKワゴンの中心的ユーザーとなる「子育てママ」を徹底取材。どんなクルマが求められているかを調べ尽くし、それを新型eKワゴンに反映させているのであった。1550mmに抑えた全高もそういった徹底調査の結果から導き出されたものだし、「マルチポジションユーティリティ」と呼ばれる、各種用意されたユーティリティアイテムを自由に選んで取つけられるシステムもユーザーの希望を取り入れて開発されたもの。コンビニフックやプチゴミ箱、子供用テーブルなどのアイテムが用意されている。そして、ユーザー調査の結果、採用されたのが電動スライドドアなのだ。「子供がドアを開けた時に隣のクルマにぶつけはしないかと心配。スライドドアならその心配がなくなる」、「買い物の荷物が多い時、電動スライドドアだったら荷物を持ったままドアが開けられて、ものすごく便利だと思う」、「狭い駐車場でも乗り降りできるスライドドアが欲しい」……。これらが子育てママを中心とする軽自動車ユーザーから多く寄せられた声なのだ。

・プラス5万円で得られる幸せなのか！？というわけで、eKワゴンを語る上でやっぱり電動スライドドアの話抜きでは始まらないし終わらない。スライドドアは「MS」、「GS」という2つのグレードに標準装備となっている。MSは3速ATの廉価版、GSは4速ATを搭載する豪華版で、それぞれにスライドドアではない、一般的なヒンジドアを採用する「M」、「G」というグレードも用意されていて、ドアの違い以外、装備はまったく同じとなっている。価格はヒンジドアのMが96万6000円、スライドドアのMSが101万8500円、同様にヒンジドアのGが105万円なのに対してスライドドアのGSが110万2500円となっている。つまり、スライドドアの価格は税込み5万2500円（税抜きだと5万円）と言うことになる。これは超お買い得。もともとの価格が安い軽自動車の場合、5万円という価格差は決して小さくはないけれど、スライドドアの使い勝手のよさを考えれば、充分納得できる価格差だと思う。スライドドアの開口部は530mm。最初数字だけを見た時は「ちょっと狭くはないかしら！？」と思ったのだが、実際に実車を確認し、乗り降りしてみたら、必要充分な開口部であることが確認できた。大きなボディのミニバンばかり見てきたから、ちょっと感覚がずれてしまっていたようだ。

ところでどうしても可動部分が多くなるスライドドアは重量増加が避けられないが、eKワゴンの場合重量増加はヒンジドア車に対して20kg。スライドドアは左側だけに採用されているので、重量増加分はほとんど左側に集中しているという。だが、特にサスペンションのチューニングをヒンジドア車と違えていることはないという。ま、考えてみればわずか20kgですから……。ちょっとした荷物を積めばすぐに20kgくらいにはなる。せいぜい子供1人分の重量なのだから、特に気にする必要はない、と判断したということ。ちなみにスライドドア車のシート表皮は撥水素材が採用されているので、雨に濡れたまま乗ったり、子供が飲み物をこぼしたりした時にも安心なのだ。

・インテリアの質感は旧型から格段に向上した！！旧型eKワゴンは、思いっきり割り切った考え方をしていて、「価格は安くします。でも、その分コストを切りつめるところは切りつめさせていただきます」という思想が前面に出ていた。インテリアは潔さを感じるほどに簡素だった。が、新型eKワゴンはインパネの材質、手触り、シフトレバーやウィンカーなどのスイッチ類の操作感など、ドライバーが「感じる」部分の質感が大幅に向上している。シートのクッションは少々柔らかすぎという気もするが、座り心地は上質。リアシートの座面は大きく、キッチリと座ることができるし、シートバックも高さが肩口まで充分にあり、これならある程度のロングドライブでも疲れることはなさそうだ。目の肥えたユーザーの満足度も高まること間違いなしだ！！電動スライドドアが目立つ新型eKワゴンだが、それだけではなく、とにかくキッチリ作り込まれたという完成度を感じさせるクルマだというのが実車を見ての偽らざる感想。軽自動車勢力図を塗り替えるか！？

スポーツ派にはターボのあるeKスポーツがおススメ！！eKワゴンと同時にモデルチェンジしたeKスポーツも忘れてはならない。最大のポイントは64馬力、9.5kgmを発揮する直3ターボエンジンを搭載するということだろう。eKワゴンにはターボの設定はない。フロントマスクはスッキリしたデザインのワゴンに対しブラックパネルでちょっとコワモテ風。ヘッドライトがプロジェクタータイプのディスチャージとなっており、ワゴンとはひと味違ったスポーティな表情となっている。リア回りではルーフスポイラーが装着されているのもワゴンとの違いとなっている。スライドドアの設定はスポーツではなし。インテリアはベージュ系で明るいイメージのワゴンとは対照的にブラック基調のスポーティなイメージ。レカロシートのオプション設定もある。価格はターボのRが136万5000円、NAのXが126万円。

Powered by ベストカー