徹底分析中古車相場
更新日:2019.01.23 / 掲載日:2019.01.23
【スズキ スイフトスポーツ】歴代モデルの相場を総まとめ。ベストバイはどれ?
4代目スイフトスポーツ
ここ最近、国産スポーツモデルたちが熱い。今年のはじめに開催された東京オートサロンでは、各メーカーが魅力あるモデルを出展していたし、デトロイトショーでは新型トヨタ スープラがついに公の場に姿を表した。これらスポーツモデルの販売規模は、自動車全体から見たら僅かなものであるが、スポーツカー不況と言われる現在においても、決してゼロではないのだ。そんななか、とりわけ身近なスポーツモデルと言えばスズキ スイフトスポーツ(通称スイスポ)が有名。ベースとなるのはコンパクトカーのスイフトという小型ハッチバック。これに専用デザインの内外装、鋭く吹けるエンジン、ハードな足まわりなどが与えられ、新車でも手頃な価格(2019年1月現在では183万6000円から)で販売されている。まさにスポーツモデルの登竜門としてうってつけの1台と言っていい。今回は、そんなスイフトスポーツを、2003年登場の初代を含めた全世代の中古車相場を俯瞰し、ベストバイモデルを探ってみたい。
スズキ スイフトスポーツってどんなクルマ?
コンパクトカーのスイフトをベースに、2003年に登場したのが初代スイフトスポーツ(HT81S型)。いわゆるホットハッチと呼ばれるモデルで、115馬力の1.5L 直4DOHCに5速MTを組み合わせていた。トランスミッションはクロスレシオ化され、サスペンションも専用品。オンロードサーキットにおけるレースはもちろんのこと、ラリー参戦のためのベース車として使われるなど、スズキのなかでは数少ない辛口モデルとして、一部のユーザーに高く支持されていた。
ベースとなるスズキ スイフトのモデルチェンジを受け、2代目スイフトスポーツ(ZC31S型)が登場したのは2005年9月。この世代のスイフトは初代と比べて格段にモダンになったデザインと高剛性のシャシーが特徴で、素のグレードでも軽快な走りがウリだった。スイフトスポーツでは先代よりも排気量が大きい1.6L 直4DOHCを搭載し、最高出力125psを達成。エンジンには鍛造ピストンを採用するなど専用チューニングが施されており、このクラスのスポーツモデルとして一歩抜きん出た設計がなされている。ちなみに2代目は、5速MTに加え、4速ATも選べるようになったから、AT限定のユーザーも楽しめるクルマとなったことも見逃せないポイント。
2011年11月には3代目スイフトスポーツ(ZC32S型)がデビュー。2代目同様エンジンは1.6L 直4DOHCを搭載し、最高出力は136馬力へとさらにアップ。トランスミッションは5速から6速に変更されると同時に、4速ATの代わりにCVTが選択できた。高剛性な足まわりは従来どおりだが、3代目ではフロントストラットを大径化し、リバウンドスプリングを採用。またボディ剛性を強化しつつ、車両重量は先代から10kgも軽量化された(6速MT車)。スタイルも一段と大人っぽくなり、欧州ホットハッチにも負けない質感を身につけている。
そして2017年9月、4代目(ZC33S型)、つまり現行型のスイフトスポーツが登場。初代から3代目までは自然吸気だったエンジンは、直噴式1.4L 直4ターボに置き換えられたのがトピック。排気量はダウンサイズしたものの、最高出力は過去最高の140psをマークする。また軽量高剛性の新世代プラットフォームにより、車両重量は6速MT車で1トンを切る970kgを実現したことも話題となった。サスペンションは先代と同じくモンロー製ストラットを採用。各部のさまざまな最適化により、ライトウェイトスポーツと言っても過言ではない走りの楽しさを実現した。なお、この世代からボディがワイドになり、3ナンバー車となっている。
スズキ スイフトスポーツの世代別中古車相場は?
まずは、4世代にわたるスイフトスポーツの中古車平均価格を見ていこう。
世代 | 中古車平均価格 |
初代(HT81S型) | 27万円 |
2代目(ZC31S型) | 50万円 |
3代目(ZC32S型) | 109万円 |
4代目(ZC33S型) | 180万円 |
初代(HT81S型)の中古車動向
登場から16年が経ち、いま見るとかなり古さを感じてしまう初代スイスポ。中古車は全世代の4%ほどで、物件もかなり少なくなってきた。相場は底値で、平均価格は27万円とかなり安い。走行距離は10万km近い物件が大半で、コンディションにこだわるなら苦労するだろう。もしこの世代を選ぶなら、サーキット走行会参加に向けたベース車として、内外装の傷みは気にせず買うという感じになってしまう。しかし車両価格が安いため、余った予算でスポーツシートやタイヤの新調などに使うのもありだ。
2代目(ZC31S型)の中古車動向
この世代以降、物件数はグンと増えて買いやすくなる。2代目は平均価格が50万円とお手頃になっており、低予算で入手できるホットハッチの筆頭と言っていい。しかし、修復歴ありや多走行車が非常に多いなど、コンディションにバラつきがみられるから注意。それらを除外して探すなら、最低でも60万円の予算は確保しておきたい。なお、2007年5月には5速MTの1速から2速のギヤがクロスレシオ化されるなど、走りにテコ入れがなされている。物件数は2007年式以降も十分に豊富なので、できるだけ高年式を探したいところである。
3代目(ZC32S型)の中古車動向
全世代を通して、もっとも物件のボリュームがあるのが3代目。修復歴や多走行な物件は少なく、安心してクルマ選びができる。ただし平均価格は2代目の2倍以上となっており、諸費用などコミコミで最低でも100万円の予算は必要。とはいえ、クルマの完成度を考慮したら、この価格でも十分納得できる買い物だ。ホイールベースや全長が拡大されたことで、日常の足としても活躍してくれるのも3代目の美点。
4代目(ZC33S型)の中古車動向
現行型は登場してから1年半弱と新しい。そのため、中古車と新車の差は大きくない。ただし登録済み未使用車だと新車よりも20万円~30万円ほど安いケースが多く、新車を検討しているなら、このような中古車を考慮に入れるのもあり。なお、物件の大半は1万km未満の低走行。トランスミッションは6速MTが中心となり、スポーツモデルとしてのニーズが高いことを物語っている。
2代目スイフトスポーツ
3代目スイフトスポーツ
中古車として魅力があるのは3代目(ZC32S型)
以上、4世代にわたる中古車動向を見てきた。世代ごとに相場がはっきり異なっているから、自分の予算でどの世代が狙えるか決めやすい。初代はベテランの中古車ユーザーや、用途が明確なひと向き。現行型は新車購入と比較検討するケースが多いだろう。それゆえ、お買い得な中古車として魅力があるのは、2代目と3代目になる。前者は物件豊富だが、登場から時間が経過していることもあり、ある程度目利きである必要がある。後者は高年式かつ低走行な物件が、それなりにリーズナブルな価格で流通しているから手を出しやすい。それゆえベストバイは3代目ということになるだろう。
なお、3代目スイスポの年式別中古車平均価格は次のとおり。
年式 | 中古車平均価格 |
2011年式 | 92万円 |
2012年式 | 97万円 |
2013年式 | 107万円 |
2014年式 | 117万円 |
2015年式 | 126万円 |
2016年式 | 130万円 |
2017年式 | 144万円 |
物件のボリュームがあるのは2012年式~2013年式で、3代目スイスポの半数以上を占める。平均価格はおよそ100万円で、探せばそれ以下の価格も容易に見つけられるだろう。トランスミッションは6速MTが中心。いずれにしても、スイフトスポーツは走り、実用性、経済性が優れた万能選手。スポーツカーが少ない!とお嘆きのユーザーにも、自信をもってオススメしたい1台である。