【アウディQ5】先代なら200万円の予算から探せるプレミアムSUV

　Q5は2009年6月、Q7よりもひとまわり小型なミドルサイズSUVとして登場した。当時、SUVと言えば全長4.8m~5m級の大型モデルが主流で、全長およそ4.6mのQ5はそれらと比べると、小さくまとまったボディを持つ。すでに登場していたBMW X3やメルセデス・ベンツGLKをライバルに見据え、アウディ得意のクワトロ（4WD）やA4で定評あるスポーティな走りがウリとしている。エンジンは、2.0L直4ターボと3.2L V6が搭載され、後に3.0L V6スーパーチャージャーやハイブリッドも登場した。とくにハイブリッドはJC08モード燃費12.7km/Lと、当時としては良好な数値を示し、BMWやメルセデスにはないQ5のアドバンテージとなっていた。奇をてらわない真面目なキャラクターが先代Q5のアイデンティティと言っていいだろう。

　先代アウディQ5の改良遍歴を振り返ってみよう。日本に導入されたのは2009年6月で、「2.0TFSI クワトロ」と「3.2FSI クワトロ」の2グレードでスタートした。2010年7月の年次改良では、「2.0TFSI クワトロ」にクルーズコントロールが、「3.2FSI クワトロ」にオートマチックテールゲートが標準装備となった。同時にタフネスさを強調した専用外観の「オフロードスタイリングパッケージ」も登場している。

　2012年11月、LEDポジショニングランプを採用した新型ヘッドライトの導入、ステアリング形状の変更などを伴う改良を実施。この際、「2.0TFSI クワトロ」の最高出力が211馬力から224馬力に向上したほか、3.2L V6（自然吸気）は3.0L V6スーパーチャージャー「3.0TFSI クワトロ」に置きかわり、最高出力はもちろん、燃費も大きく改善した。2013年1月には、2.0L 直4 ターボにモーターを組み合わせた「ハイブリッド」を追加。そして2013年10月には、アウディのSUVとして初の高性能モデル「SQ5」が登場。こちらには専用デザインのフロントグリル、30mmローダウンした専用サスペンション、354馬力の3.0L V6スーパーチャージャーが与えられ、SUVながらも軽快かつダイナミックな走りが堪能できるモデルとなっている。それらを踏まえて、年式別中古車平均価格を見ていこう。

　全年式の平均価格は260万円となっており、新車時からかなり下がっている。しかし5年落ち以降の新しい物件は多くが300万円以上となっており、少々高額となるのは否めない。200万円という限られた予算で探すなら、2011年式以前の物件が中心となりそうだ。ただし低年式は走行距離が伸びたものが多く、この予算に縛るなら大半が5万kmオーバーとなってしまうだろう。なお、どの年式も偏りなく物件が揃っているから、自分の予算に応じたクルマ選びが可能。プラスアルファのコストで低走行の物件も、もちろん入手可能だ。

　日本で展開された先代Q5のグレードは、2.0L 直4ターボの「2.0TFSI クワトロ」、3.2L V6の「3.2FSI クワトロ」、3.0L V6スーパーチャージャーの「3.0TFSI クワトロ」、2.0L 直4＋モーターの「ハイブリッド」、そしてより高性能な3.0 V6スーパーチャージャーを搭載する「SQ5」の5つ。各々の中古車平均価格は次のとおりである。

　さまざまなエンジンが用意されるQ5だが、中古車は「2.0TFSI クワトロ」が中心で、V6モデルはあまり流通していない。なお3.2Lモデルは相場が低いが、多走行かつ低年式の物件がほとんどだ。燃費に優れたハイブリッドも、残念ながら中古車はほとんどなく、手に入れにくい状況。つまり消去法で「2.0TFSI クワトロ」がベストチョイスとなっている。これは物件が多いから価格の幅が広く、先で述べたように2009年~2011年式なら200万円を切る物件も目立つ。

　ところで、高性能版のSQ5は意外にも「2.0TFSI クワトロ」に次いで物件が多い。価格はかなり高額だが、トップグレードならではの充実した装備と走りのパフォーマンスは、ドイツ系プレミアムの味わいが深い1台。予算が許せば、こういう選択もおもしろいかもしれない。

　最後に、Q5のライバルと比較してみよう。BMW X3（先代）は、Q5とほぼ同サイズのミドルクラスSUVだが、ディーゼルエンジンを設定するのが特徴。全年式の中古車平均価格は301万円となっており、Q5に近い予算で購入することが可能だ。物件数もX3のほうが充実しており、幅広い物件からお気に入りの1台を選ぶことができる。そしてもう1台のライバル、メルセデス・ベンツ GLKは、2008年に登場したSUV。無骨なデザインが特徴で、BMWやアウディとの方向性の違いを感じさせる。GLKは全車V6エンジンが搭載され、エントリーモデルが存在しないことが災いし、新車販売台数は振るわなかった。中古車平均価格は266万円と、BMWやアウディに比べてやや低めで手が出しやすい。ただし物件が少ないのが難点でもある。

これらのマーケットには、今では国産輸入車問わず多くのメーカーが参入し、最近ではアルファロメオ ステルヴィオやジャガー Fペイスなども話題となった。今後は中古車市場における競争が激化し、先代Q5の相場はさらに下がるに違いない。現状でもお買い得感が高いが、今後の動向にも目が離せない。