中古車購入チェックポイント
更新日:2022.05.03 / 掲載日:2022.05.03

中古車購入時の陸送費用はいくらになる?金額はどのように決まるの?

遠方にある中古車を購入すると、どうしても輸送費用にあたる「陸送費」がかかります。

陸送費は決して安いものではなく、少なくとも1万円、場合によっては10万円以上もかかるとされています。

この陸送費の相場はどのくらいで、その金額はどのように決まるのでしょう?

また、「納車費用」「輸送費」などの似たような費用との違いや、陸送費の金額を安く抑える方法、注意点なども説明します。

中古車の購入を検討している方は参考にしてみてください。

陸送費とは何か

欲しい車の在庫が近隣の店舗にあるとは限らず、遠方から取り寄せなければならないこともあります。そうなると、在庫がある場所から店舗や家などの指定場所まで運ぶ必要があります。これにかかる費用を「陸送費」と呼びます。

とても遠い場所からの運搬だったり、運搬に注意を要する車両だったりすると、陸送費は高くつくでしょう。これは、購入先がディーラーでも中古車販売店でも同じことで、陸送費はいわゆる納車費用とは別料金となることが多いです。

「陸送費」「納車費用」「輸送費」の違いとは?

中古車販売に関する用語の中で「陸送費」と関係が深いものとして、「納車費用」と「輸送費」が挙げられます。

この3つの用語はそれぞれ違う意味で使われていますが、業者によって解釈が異なることもあるので注意しましょう。

「納車費用」と「陸送費」の関係

はじめに「納車費用」と「陸送費」の違いについて説明します。

納車費用とは、車を納車するにあたり、その準備や手続きにかかる費用です。例えば、洗車や清掃代、ガソリン代、メンテナンス費用や登録手続きの費用などがこれに含まれます。

買い手側としては「納車のために車を運搬する費用」は全て陸送費となり、陸送費も納車費用の一部だろうと思うかもしれません。

しかし、販売店側では「陸送費」は販売店から納車先までの単純な運搬費用とは違うものとしています。販売店が納車のために店舗から納車場所までの短い距離を移動させるのは「陸送」とは言いません。

陸送費が発生するのは、あくまでも「遠方から」陸路で車を運搬した場合です。

「輸送費」と「陸送費」の関係

次に「輸送費」と「陸送費」の関係を説明します。

どちらも「遠方から」車を輸送するための費用という意味です。

一般的には、トレーラーなどを使って陸路で運搬する場合は「陸送」で、そのための費用が陸送費ということになります。

では、輸送費は何かというと、遠方からの中古車の運搬に際して、船舶や航空機を使う場合の費用です。特別な輸送用トレーラーを使う場合も輸送費に含まれることがあるので、「通常の陸送以外の輸送」を行えば輸送費になると考えるといいでしょう。

輸送費は複数の輸送機を利用することになるので、割高になることが多いです。遠方にしか在庫がない中古車を購入する場合は、輸送手段も前もって確認することをおすすめします。

「陸送費」が「納車費用」に含まれることもある

ここまでで「陸送費」「納車費用」「輸送費」の違いを説明しましたが、実際の現場では厳格に使い分けられていないことも多いです。

例えば、請求書には陸送費と書かれていても、実際には船舶を使っていることもあります。

請求書の中で陸送費が納車費用と別々になっていることもあれば、納車費用の内訳の一項目として含まれていることもあります。

または、記載がなくとも何らかの形で納車費用に含まれていることもあるでしょう。

車の陸送にかかる日数は?

陸送費の金額は様々な要因で決まりますが、最も大きいのは「輸送距離」です。そのため、輸送距離が長ければ長いほど陸送費は高額になります。

また、基本的に中古車を購入した場合の輸送日数は、同一の地域(都道府県)や近隣の地域であれば、およそ1~2日で済みます。

しかし、これが東京~大阪間のような長距離だと、4日~1週間弱はかかるでしょう。

引っ越しシーズンなどの場合は新車・中古車を問わず車両の移動が増えるので、陸送業者も忙しくなります。また、遠隔地に運搬する場合は、業者から業者へと引き継ぎが行われることも多いので、さらに時間がかかることが予想されます。

陸送費の相場は?

次に、陸送費の価格相場を見てみましょう。

基本的に陸送費の金額は、中古車販売店よりもディーラーのほうが少し高めの傾向があります。

それぞれの輸送時間ごとのおおよその金額は以下の通りです。

・ディーラー
近隣(1~3時間の距離)…2万~3万円
遠方(5~10時間の距離)…3万~10万円

・中古車販売店
近隣(1~3時間の距離)…1万~3万円
遠方(5~10時間の距離)…3万~7万円

ディーラーと販売店で金額が異なるのは、それぞれの利益の取り方と、車種ごとの陸送手配の金額の違いに由来します。

また、上記の金額はあくまで概算となり、ガソリン価格の変動によって変わることもあります。

ここでは距離と金額の関係について述べましたが、基本的に陸送費は以下の3つの要素で変動します。

①車両の状態(自走できるかどうか)
②最低地上高の高さ(最低地上高が15センチ以上あるかどうか)
③全高の高さ(車高が2.0メートル以上あるかどうか)

陸送費が変動する・高くなる要因

ここまでで、陸送費の概要と陸送にかかる日数、相場などについて説明しました。

陸送費の金額は、基本的に輸送距離によって変動しますが、それを含め変動や高騰を招く7つの要因についても以下でまとめます。

要因①輸送距離によって金額が変わる

引っ越しの場合、荷物を運搬する距離によって料金が変動しますが、中古車購入にかかる輸送費もこれと同様です。

遠方にしか在庫がない車を納車場所(の近く)まで取り寄せるとなると、どうしても料金は高くなるでしょう。

新車・中古車に限らず、車の輸送の際はキャリアカーなどを使用します。例えば、東京~青森で車を陸送するとなると、東京からキャリアカーで運搬し、青森の拠点で下ろし、そこからは自走で納車先へ移動することになります。

一方、同一地域(都道府県)内や隣県程度の距離の陸送であれば、自走で陸送することもあるでしょう。

別の車がそれに追従し、帰りはそれに一緒に乗って帰るか、納車先から公共交通機関で帰るというルートになります。

要因②ボディサイズによって金額が変わる

陸送費は、運搬する車のボディサイズによっても変動します。

次の項目で説明するような極端に大きいサイズの車でなければ、金額に大きな差は出ませんが、販売店や輸送運搬業者ごとに基準やルールが違っていることもあるため、注意が必要です。

ただし、こうしたボディサイズに関する金額の違いは、大手の中古車販売店やディーラーの多くは「1台あたりいくら」という形で示しています。その内容にのっとって契約すれば、大きく変動することはないでしょう。

こうした業者は、複数の陸送業者と提携していることが多いので、安心して利用できるケースが多いです。

車種やボディサイズによる陸送費の違いが気になる場合は、業者ごとに前もって確認しましょう。

要因③全高2.0メートル以上の車は高くつく

陸送費が割増しになるケースとして、「全高が高い車」が挙げられます。

全高がある車は一般的な陸送で使われるような積載車には載せられないため、場合によっては料金が通常の2~3倍になることもあります。

例を挙げると、全高が2メートル以上あるハイエースなどです。これらの車種を遠方から取り寄せて購入する際は注意しましょう。

要因④未登録車は高くつく

リーズナブルな中古車を探していると、「未登録車」を見つけることがあります。

未登録車とは、運輸支局や自動車検査登録事務所での新規検査を受けていないもので、製造から年月は経過しているものの性能は新車と変わりません。その上、割引価格で販売していることも多くあります。

しかし、未登録車を遠方の店舗などで見つけて取り寄せて購入するとなると、注意が必要です。

未登録車は名義変更がなされておらず、ナンバーも交付されていないため、そのままでは公道を走ることができません。そのため、未登録者を輸送する場合は自走することができず、輸送方法次第では陸送費も高額になる可能性があります。

そうなると、未登録車のリーズナブルさというメリットも半減してしまうでしょう。

こうした点は、登録を一時抹消した中古車も同じです。

取り寄せを依頼した場合はキャンセルもしにくいので、できれば近隣の店舗で探して、現車確認もその場で済ませるのが得策でしょう。

要因⑤ローダウン車は高くつく

ローダウン車、通称「シャコタン(車高短)」と呼ばれる改造車があります。これは車高が低くなるようにカスタマイズされた改造車で、通常の積載車だと地面にこすれることから、輸送時は特別車両を用いることになります。

通常、問題なく陸送できる車はフロントバンパーやサイドステップ、リアマフラーと地面との差が13〜15センチ以上のものです。これに該当しないローダウン車は輸送の方法も特殊になるので、陸送費も割高になってしまうでしょう。

要因⑥不動車は高くつく

車の陸送について最も厄介なのが、故障や事故で動かなくなった「不動車」を輸送する場合です。

不動車の輸送については、輸送距離がどのくらいかということ以前に専用の特殊車両を使うので、陸送費も確実に通常の約1.5~4倍になるでしょう。

特にタイヤが回らない車の場合、ウインチによって引き上げて積載車に載せる方法になります。

もし輸送対象の不動車が屋根付きの車庫に停められていれば、その作業もできず輸送できない可能性もあります。こうなると割高どころか陸送そのものができないことになります。

また、近くに積載車を停めるスペースがなければ、積載車を停めた場所まで車そのものを動かすしかありません。しかし、不動車は押して動かすのも難しいため、輸送は困難です。

これらの問題を解決するには、車を修理して自走可能にするくらいしか方法はありません。しかし、修理費用と陸送費だけでもかなり高額になるため、そのまま廃車にする選択肢も生じてくるでしょう。

要因⑦沖縄・離島を行き来する場合

先述したように、沖縄や離島など海を越える遠隔地から車を取り寄せる場合は、フェリーなどの船舶を使って輸送することになります。業者によってはこれも陸送費に加えることがありますが、分類上この場合は陸送費とは別の「輸送費」となるでしょう。

たとえ取り寄せる場所が隣県などの近場だった場合でも、船舶を使う場合は船積みの手続きなどが必要となります。そのため、輸送にかかる日数や費用は膨れ上がる可能性があります。

陸送費を削ることはできる?

ここまでで、陸送費が高額になってしまうパターンなどを説明しました。それらを踏まえて陸送費を削ることは可能かというと、基本的にはできません。

なぜなら、陸送費には利益分が加味されておらず、純粋に輸送にかかった実費の請求であることがほとんどだからです。

ディーラーであれ販売店であれ、中古車を陸送する多くの場合は業者に外注することになります。そのため、その業者からの請求金額がそのまま陸送費に反映されていると考えていいでしょう。

販売店の中には自前での陸送を行っているところもありますが、それでも輸送時の燃料費と時間あたりの人件費はかかりますので、削るのは困難です。

販売店側としては、この陸送費を削れば赤字になってしまいます。しかし、これは原則的な話です。販売店とお客様の関係やサービスの内容によっては、割引きあるいは無料となることがあるかもしれません。

陸送費の金額の基準や請求書での書き方については一般的なルールがなく「業者次第」でもあるので、結論としては「陸送費は業者の言い値で減額もしにくい」ということになります。

陸送費がいくらになるか不安を感じるなら、業者選びと陸送費の確認は慎重に行いましょう。

陸送費をできるだけ抑えるには?

「陸送費を削ることはできない」と説明しましたが、中古車を購入する段階で、陸送費の発生あるいは割増しを抑制する方法はあります。

それは、業者の繁忙期を避けるなどのごくシンプルなやり方ですが、主なものを3つ紹介します。

①業者の繁忙期を避ける

中古・新車に限らず、車の輸送や陸送にも繁忙期が存在します。

業者が最も忙しくなるのが、決算期や新生活の準備が重なる3月前後のシーズンで、この時期は車の売買件数の増加に伴い物流も込み合ってきます。

繁忙期は、引っ越しなどの用事も増えるため予約が難しくなる上に、輸送業者も経由地が増えるので輸送に時間がかかるため、陸送費が割高になることが多いです。時間もあまり融通が利かないと考えておいたほうがいいでしょう。

また、1~2月は中古車の需要が高まり、車両価格そのものが割高になる場合もあります。全体的な費用を抑えたいなら繁忙期が終わり需要が落ち込む4~5月以降に中古車を購入するのがおすすめです。

②近隣の店舗などを利用する

可能な限り業者に輸送させずに、自分で取りに行くことで、陸送費を抑制することも可能です。そのためには、できるだけ自宅から近い店舗を利用し、その店舗にある在庫品を購入するのが一番ということになります。

おすすめなのが、全国に系列店舗を持つチェーン店で購入することです。チェーン店の場合、系列店同士の輸送なら陸送費も抑えられることがあります。

あとは自分の好きなタイミングで、取り寄せた近隣店舗に取りに行くだけです。少し強引ですが、遠方の購入予定の車がある店舗へ自ら直接取りに行くという方法もあります。

ただしこの場合、交通費や時間、肉体的疲労を総合的に考えると、距離によっては陸送費を支払ったほうがいいという結論になるかもしれません。

③仲介手数料がかからないようにする

最後に、中古車の購入とは異なるケースの話ですが、「陸送費用を抑える方法」としてよく引き合いに出されるケースを紹介しましょう。

引っ越しなどで車を輸送する必要が生じた場合は、業者を仲介せずに自分で陸送業者を手配したほうが、結果的に陸送費用を抑えられる結果になります。

例えば、引っ越しをする場合は、荷物の移動の手続きとあわせて、引っ越し業者にオプションで車の陸送を依頼することができます。

しかし、この場合は業者のほうで陸送専用車両をチャーターするなどの方法が採られるため、仲介手数料の分だけ料金が高くなることが多いです。

そこで、車の移動だけは自分で陸送業者に依頼するのがおすすめです。そうすれば業者への仲介手数料は不要となり、料金を抑制できます。

また、先述した通り、引っ越しシーズンは陸送業者も大変忙しくなります。引っ越しシーズンに陸送を手配するとますます高額になる可能性もあるので、あらかじめどちらが安いか確認しておきましょう。

まとめ

①陸送費とは、陸路で車を運送する費用のこと。空路や海路の場合は輸送費と呼ぶことがある

②陸送費・輸送費・納車費用の区分は曖昧

③陸送の日数は早ければ1~2日、長ければ1週間以上かかる

④陸送費は主に輸送距離・ボディサイズで決まる

⑤陸送費の相場は1万~3万円だが、距離が長いと3万~10万円以上することも

⑥ローダウン車や不動車などの陸送費はさらに高額になる

⑦基本的に陸送費は削れないが、繁忙期を避けるなどして抑える方法もある

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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