車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.30 / 掲載日:2011.03.24
【徹底紹介】フォルクスワーゲン ポロ
フォルクスワーゲン ポロ×田丸麻紀
毎日通る街並みが美しく感じられ自然と遠くにも行きたくなる上質コンパクト
写真●内藤敬仁 文●GooWORLD スタイリスト●小原優子 ヘアメイク●渡辺みゆき 衣装協力●フィルム Tel 03-5413-4141 東京都港区北青山2-11-3B1F
内燃機関の効率を徹底追及し、非ハイブリッドながらも高燃費を実現。シンプルながらも“文句なしにスゴい”ポロに迫る
シンプル・イズ・ベストに秘められたVWの底力
誕生は1975年。アウディ50から分家しての登場だったが、ポロは代を重ねるごとにVW内における地位と、Bセグメント内での存在感を高めてきた。5代目にあたる現行型は、世界のコンパクトカーの主役に成長したと言っても過言ではない。
4代目から5代目への進化では、全長を80mm、全幅を20mm拡大して安全性や実用性を高めたうえで、同時に軽量化を達成したのが大きな見どころ。また、ツインクラッチ式オートメーテッドMTのDSGや、ダウンサイジングコンセプトに基づく直噴過給ユニットのTSIを積極導入したのもポイントで、効率化と高性能化を大きく前進させている。
日本においては、自然吸気1.4L+DSGが導入モデルとなったが、1年を待たずに心臓を1.2LTSIへとスイッチ。さらに、立て続けにクロスポロやGTIを投入し、短期間に魅力の車種構成を完成させた。
だが、「納車を待たせてしまい、お客様に申し訳ない」という、今の大人気の理由はそれだけではない。日本独自のルールである「エコカー減税」に素早く、きっちりと対応したことが、強力な追い風になった。
今ではTSI×DSGの認知度もグーンと上昇し、「ハイブリッドの独走」と言われた日本のユーザーのエコ意識にも変化が表れてきた。ドイツの巨人、VWの本気の結晶と言える新型ポロは、極東の地でも大きな旋風を巻き起こしているわけだ。
写真●内藤敬仁 文●森野恭行、GooWORLD
お問い合せ●フォルクスワーゲン・カスタマーセンター TEL:0120-993-199
Detail
11年モデル フォルクスワーゲン ポロ GTI(7速AT・DSG)
全長×全幅×全高 | 3995×1685×1460mm |
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ホイールベース | 2470mm |
トレッド前/後 | 1440/1435mm |
車両重量 | 1210kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1389cc |
最高出力 | 179ps/6200rpm |
最大トルク | 25.5kg m/2000-4500rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トレーリングアーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 215/40R17 |
新車価格
ポロ TSIコンフォートライン(7速AT・DSG) | 213万円 |
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ポロ TSIハイライン(7速AT・DSG) | 242万円 |
ポロ GTI(7速AT・DSG) | 294万円 |
クロスポロ (7速AT・DSG) | 260万円 |
HISTORY
2009.10 | ポロがフルモデルチェンジ 走りはもちろん、安全性、質感、環境性能を大幅に高めて登場した2代目。当初のラインアップは85馬力の1.4Lのみ。7速ATが組み合わされた。 |
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2010.06 | ポロに1.2LTSIエンジンを設定 それまでの1.4Lに代わり、1.2L直噴ターボが登場。20.0km/Lという低燃費ながらも、1.8L並みの動力性能を実現。同時に上級モデルのハイラインも追加された。 |
2010.06 | クロスポロを設定 最低地上高を15mm高め、17インチホイール、シルバールーフレールなど、SUVライクなデザインに仕立てたクロスポロ。エンジンは標準モデルと同じく1.2Lターボ。 |
2010.09 | ポロGTIを設定 新型GTIに積まれるのは1.4Lツインチャージャー。最高出力は、先代から30馬力アップの179馬力を誇る。電制デフロックのXDSを採用し、走りの性能を高めている。 |
クラスを超えたハイクオリティも自慢のひとつ
「ゴルフの弟分」の印象が強いポロだが、ボディサイズはすでにゴルフと並ぶレベルにまで成長している。それに伴い、居住性や実用性も着実に改善された。キャビンは180cmクラスの乗員が前後に普通に座れる広さで、荷室の使い勝手もクラスの水準以上といえば、実力のほどがわかるはずだ。それでいて、ボディは全幅1.7m以下の5ナンバーサイズで、最小回転半径も4.9mと小さめ。コンパクトカーの本分である扱いやすさも忘れてはいない。
だが、そんな実用性以上に、ポロの存在を際立たせる要素がある。それは内外装の質感の高さ。チリ(パネル間の隙間)を極小に抑えた高精度ボディや、ソフトパッドを惜しみなく使うしっとり感あるインテリアが、新型ポロの高品質を象徴している。さらに、ドア開閉のフィーリングや音も重厚で、見るもの、触れるもののすべてから、クラスを超えた質感やしっかり感が伝わってくる。いいもの感を凝縮させたコンパクト、それがポロというわけだ。
パドルシフト付き本革巻きステアリングもGTI専用の造形だ。
燃料計と水温計をスピード&タコに組み込んだメーターはGTI専用。
純正ナビを選択するとルーフアンテナはこの形状となる。
赤ライン入りグリルは、初代ゴルフGTIから継承されるGTIのアイコン。
GTIのバンパーやエアロパーツは専用のもの。バイキセノンヘッドライトはオプションでの設定だ。
定員乗車時の容量は280L。6対4分割ダブルフォールディング式の後席を倒せば最大952Lまで拡大する。
専用サス、215/40R17タイヤと赤のブレーキキャリパーで足元を固める。
TIのエキパイは2本出し。
地道な研究開発が生んだ革新のドライブトレーン
プラットフォームは先代からのキャリーオーバー。つまりはゴルフIVの流れを汲むもので、ホイールベース値も不変。が、トレッドを拡大(前45mm/後40mm)し、フロントサスを新たに設計するなどしてシャシーの強化を図っている。そしてパワステは、自然な操・保舵感とリニアな応答性で定評のある電動油圧式を踏襲する。そう、熟成させたシャシー&ボディをベースに、TSI×DSGという最新テクノロジーを合体させたのが、5代目ポロの技術的トピックなのだ。
ENGINE
直噴と過給の相性は抜群。1.2Lはシングルチャージャー(ターボ)、GTI用1.4Lはツインチャージャー(スーパー&ターボチャージャー)を採用する。
SUSPENSION
ポロは乾式クラッチ+7速ギヤのDSGを搭載する。
BODY
高張力鋼板、超高張力鋼板の採用部位を拡大するなどして、安全性やボディ剛性を高めつつ、軽量化も達成した。6エアバッグとESP(横滑り防止装置)を全車に標準化。
小さいながらも上級サルーンのようなフィーリング
新型ポロのステアリングを握っていると、不思議な感覚になることがある。顕著なのは高速道路を速いペースで駆け抜けるシーンで、ひとクラス以上大きなクルマを運転しているような錯覚を覚えることが多い。
その要因は、しっかりしたフィールやリニアな応答が光るステアリングと、ソリッドな挙動が渾然一体となって醸し出す落ち着きや安心感にある。いつもリラックスした気分でいられ、ロングドライブでも疲れが少ないのはそのため。欧州の最新Bセグ車はどれも出来がいいが、しっかり感と安心感ではポロが群を抜く。
自然吸気1.4Lモデルは、動力性能面での余裕が少なかったが、トルクフルな1.2L TSIを積んでからは加速の余裕や静粛性も大きくレベルアップしたから、クラスレスの走りに磨きがかかった印象がある。
そして、秀でた新型ポロの才能を、スポーツ方向にグーンと伸ばしたモデルがGTI。心臓はツインチャージャーの1.4L TSIで、パワーは先代の1.8Lターボより29馬力も強力だ。その速さは本物。最高速225km/h、0→100km/h加速6.9秒の高性能を誇る。加えて、心臓のダウンサイジング化はハンドリングにも貢献。ワインディングでは、「これぞホットハッチ!」と思わずにんまりしてしまう、キレ味抜群のフットワークを披露してくれる。
アクティブなクロスオーバーがお好みなら迷わずクロスポロ!
先代の時代から、シリーズ内で異彩を放つのがクロスポロ。スポーティさやアクティブ感を演出するクロスオーバー風の内外装が、遊び心を重視するファンにウケている。ロア部をブラックの専用パーツで引き締めたボディや、17インチタイヤやルーフレールの装着で個性を際立たせる手法は、基本的に先代と共通する。ちなみに、駆動方式はFF、シューズはサマータイヤ。最低地上高もプラス15mmのレベルで、本格オフ走行には対応していない。あくまでもムード優先だ。
中古車をねらうなら先代モデルに注目
現行モデルの中古車は、流通量が徐々に増えてはいるものの、まだ自由に選べる状況ではない。必然的に中古車をねらうなら、先代ということになる。02年にデビューした先代は、05年のマイナーチェンジを境に、相場が大きく異なっている。前期型ならアンダー50万円でも十分にねらえるが、後期型は最低でも100万円くらいの予算を用意しておきたい。
生産期間が長いだけあり、グレードやエンジンなども多数存在する。安心できるのは後期型の1.6L。また、ホットなGTIも150万円前後でねらえるので、走りを重視する人にはオススメである。
いいもの感を追求するならハイラインを
ポロTSIはコンパクトカーの優等生。街乗りの使いやすさはもちろんのこと、ロングドライブでもひとクラス上の余裕や安心感を提供してくれるのだから、家族のファーストカーの役割だってきっちりこなす。装備内容はコンフォートラインで不満なしだが、「いいもの感」をより追求するならハイラインが適任だ。ディーラーオプションの16インチタイヤを装着すると、走りのしっかり感を一段と高めることができる。
で、走りにこだわる人ならGTI。新型は2ペダルのDSGだから、家族がAT免許というケースでも大きな障害はない。タイヤのあたりは不快というほど硬くはなく、日常の使用でも乗り心地は納得の範囲にある。そして、自分だけの個性をアピールしたいならクロスポロ。17インチを履くため乗り味はややハードめだが、軽快感ある身のこなしが魅力だ。