中古車購入チェックポイント
更新日:2020.04.06 / 掲載日:2010.12.17
トヨタ プリウス 中古車購入チェックポイント
トヨタ プリウス 中古車購入チェックポイント
DAA-ZVW30
参考車両:G
初年度登録:2009年5月
■全体のチェックポイント
1.車両の雰囲気から探る
1.車両の雰囲気から探る
車体の全体が見えるやや遠目から、車両の様子を見てみよう。外装部品の立て付けや塗装面の状態などをチェック。違和感や不自然に見える部分などがあれば、近寄って詳しく調べよう。
前面は、バンパー/ボンネット/ヘッドライト/フェンダーなどのバランスをチェック。基本的に左右対称になっていることもポイントだ。左右ライトの片方だけが新しい場合(交換)は、その側の車体部を修理している可能性もある。ナンバープレートの変形や修整跡なども、車体部の修理を疑ってみる。バンパーの角や下側の損傷や破損などにも注意しよう。
2.後部のチェックポイント
2.後部のチェックポイント
前部と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)/フェンダーなどのバランスをチェック。参考車両の場合は、リアバンパースポイラーの状態も注意ポイント。
後部ナンバープレートは、封印の傷(ナンバープレートを外した形跡)が車体部の修理/交換を推測するヒントになる。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートのずれ、あるいは車体の歪みも疑える。部分的に隙間がずれていれば、その部分の車体部を修理/交換している。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
定期点検整備記録と突き合わせて、消耗部品を中心に、エンジンと周辺をチェック。オイルの滲みや汚れ(オイル漏れの兆候)などにも注意。少なくとも、日常点検項目の箇所は見ておきたい。
周囲と比べて新しく見える、交換している部品があれば、消耗品か、不具合が起きたか、それとも事故の影響などでダメージを負ったのか、整備記録も探ってみよう。
4.内側の鉄板を調べる
左右フェンダー側や室内側のパネル、前部の補強部材など、エンジンルーム内各部の鉄板を調べよう。車体の骨格となる重要な部分を修理/交換している車両は、修復歴があることを明示しているはずだが、念のために確認。カバーや機器類などがあって細部までは見えないが、できるだけ奥まで覗いて、歪みや修理/交換の形跡などがないかチェックしよう。
5.前部の必須チェック
5.前部の必須チェック
エンジンルームの最前部で車体の左右に繋がっているラジエターサポートは、車体部に大きな衝撃を受けると、影響が及びやすく、修理/交換する確率が高い。上部にカバーがある部分は見えないが、左右フェンダー側に伸びている部分や接続部も慎重にチェック。ラジエターサポートに固定している部品類、ヘッドライト、バンパー、フェンダーなど、関連部や周辺の状態にも注意しよう。
6.ボンネットのチェック
6.ボンネットのチェック
外面をチェックしたら、裏面側に修理跡などがないかも確認。特に、外と内のパネル接合部に盛っているシーラーの状態に注意。
外して修理、あるいは交換することもあるので、ヒンジ部のネジとヒンジの状態もチェック。
ボンネットを交換していれば、ボンネット単独の損傷も考えられるが、車体部を修理/交換していないかも慎重に調べる必要がある。
7.取り付け状態を確認
フロントフェンダーは、エンジンルーム側に腐食(錆)や修理跡などがないかチェック。取り付けネジを回している形跡がないかもチェック。フェンダーを支えている台座金具の状態も確認。ネジは、フロントドアを開けると見える、ピラー(柱)部にもある。
フロントフェンダーは、車体構成上の重要な車体補強部材とはなっていないので、修理しても修復歴にはならない。しかし、外して修理、あるいは交換していれば、車体内側の骨格部にダメージが及んでいないかを調べる必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
立て付けを見る時は、例えば車体前部側面では、バンパー、ヘッドライト、ボンネット、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラス部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを負ってずれているか、あるいは修理/交換している可能性がある。
隙間を境に、隣り合う外板パネルの色艶も比べてみよう。修理や交換で塗装していると、色調が微妙に違って見えることがある。
9.角度を変えると見える
9.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインのずれや崩れ、微妙な立て付けの狂いなども確認しやすい。表面を斜めから透かして見ると、浅くて広い凹みや波打ち(しわ)なども見落とすことがない。
しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡。塗装面の艶が周囲と違う部分や肌荒れ状態になっている箇所なども、修理跡の疑いがある。
10.縁と奥も覗いてチェック
フェンダーは、膨らんでいるホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)を傷付けやすい。傷や凹みなどがないか。フェンダーに歪みがないかチェック。
縁の部分に修理跡などがないかも確認。さらに奥を覗いて、タイヤハウス内の状態もチェック。フロントフェンダーは、内側に設置しているフェンダーライナー(泥よけ)の状態にも注意。
同様に、バンパー側も調べよう。
11.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、外して修理することがあり、交換してしまうことも多い。ドアヒンジ部のネジをチェックしよう。ただし、立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジを見ただけではドアを修理/交換していると決めつけるわけにはいかない。ドア自体をはじめ、ピラー(柱)やサイドシル(ドア下の梁)など、周辺の状態も調べて判断する必要がある。
12.下側に注意ポイント
12.下側に注意ポイント
車体側面は、下部に設置しているサイドシルプロテクターに傷や破損などがないかチェック。取り付け状態も確認。新しい部品に交換していないかも注意。
それよりも重要なのは、プロテクターで覆われているサイドシル(車体の前後方向に通っている梁)のほうだ。下に出ている部分に傷や歪み、腐食、修理跡などがないかチェック。クランプ(爪)で挟んだ傷があれば、車体修正機にかけているので要注意。
ドアを開けて、開口部のステップ部周辺の状態もチェックしよう。
13.リアフェンダーのチェック
リアドアを開けて、開口部を調べよう。後席への乗り降りなどで傷付けることがある。擦り傷や打ち傷などがないか。塗装剥げや簡易補修跡などがないかも確認。
開口部にマスキング跡があれば、リアフェンダーを補修、あるいは修理している。損傷の程度と範囲を確かめよう。
車体左側は、フューエルリッドを開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないか確認。
14.テールゲートのチェック
14.テールゲートのチェック
解錠/施錠の具合をまずチェック。テールゲートを開閉して、上げ下げの動きがスムーズかどうかチェック。上げた状態でしっかり止まっていることも確認。
閉まり具合がよくない(閉める時にカチッと収まらない)場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいることも考えられる。ずれているだけなら調整するなどで直ることもあるが、車体が歪んでいる車両には要注意。
15.取り付け部もチェック
テールゲートは、内側に修理跡などがないかチェック。ヒンジ部のネジもチェック。ヒンジおよびヒンジ固定部周辺に歪みや修整/修理の形跡がないかも確認。
16.床の中もチェック
16.床の中もチェック
スペアタイヤ収納部と周辺にしわや歪み、修理/交換跡などがないかチェック。底の防振シートを貼り直した形跡にも注意。新しい塗装跡があれば、錆などの補修か、車体修理跡か確認。水溜まり跡があれば、水が浸入した原因を突きとめる必要がある。
17.開口部を慎重にチェック
17.開口部を慎重にチェック
鉄板の接合部を調べよう。溶接やシーラー、塗装の状態を見て、修理/交換している形跡などがないかチェック。スポット溶接の形状(打ち直した形跡)に注意。
後部側は鉄板部が見えないが、コンビネーションランプやバンパーの取り付け状態に注意。
後方から強い衝撃を受けると、他の部分に波及することがある。修理/交換跡があれば、周辺だけでなく、ダメージが及んだ範囲を探る必要がある。
18.タイヤとホイールのチェック
18.タイヤとホイールのチェック
タイヤは、スリップサイン(使用摩耗限界)を目安に、残り溝の深さを点検。傷、異物の刺さりや噛み込み、ひび割れなどがないかもチェック。同時に、摩耗状態も調べよう。接地面の外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減る偏摩耗を起こしていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているか、あるいは車体が歪んでいるのか、異常摩耗の原因を確かめる必要がある。
ホイールは、ホイールキャップに傷や破損などがチェック。リム部(タイヤと接している縁の部分)に曲がりなどがないかも確認。アルミホイールは、過度な衝撃による変形や割れなどにも注意したい。
19.床下を覗いて確認
19.床下を覗いて確認
フレームやメンバー(補強部材)など鉄板部に損傷や歪み、修理跡などがないか。マフラーやサスペンションなど部品類、ブラケットなど金具類も、損傷や曲がり、歪み、交換の形跡などがないか確認。参考車両はアンダーカバーを装着しているが、前後バンパー裏側の奥、左右サイドシル側からも奥まで覗いてチェックしよう。
油汚れ(オイルやグリスなどの漏れの兆候)や水漏れ、ゴム部品の劣化などにも注意。錆が発生していれば、表面に浮いている程度なら心配ないといえるが、広がり範囲と腐食の進行に注意。
20.不具合の兆候を探る
エンジンをかけて、始動具合をチェック。スマートエントリー&スタートシステムおよびエンジンスイッチの操作具合も確認。始動時には、各種表示/警告灯の点灯などにも注意。
エンジンは、容易に始動しないとか、不安定なアイドリング回転、異音の発生や大きな振動が出ていれば、なんらかのトラブルを抱えていると考えられる。
停止、スタート、通常走行、加速、高速走行、減速など、エンジンとモーターの作動を制御するハイブリッドシステムの状態は、販売店で調べてもらおう。
21.オートマチックのチェック
21.オートマチックのチェック
エンジンをかけて、各ポジションに切り替えて、緩みや引っかかりなどがないか、セレクトレバーの操作具合をチェック。
できれば試走して、オートマチックの動作も確認したい。とはいっても、変速はハイブリッドシステムとも連携しており、通常走行のほかに、エコドライブ、EVドライブ、パワーの各走行モードなども関わっている。エンジン、モーター、ハイブリッドバッテリーなど、システム全体は必ず販売店でチェックしてもらおう。
22.装備機器類の機能を確認
22.装備機器類の機能を確認
ヘッドライト、ウインカー、テール/ブレーキ/バックランプなど、保安機器類が正常に作動することを確認。エアコンのほか、電装機器や電動機構などは、スイッチを入れるだけでなく、調整操作して機能を確かめよう。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯、スマートエントリーなども忘れずにチェックすること。
参考車両は多数のメーカーオプション装備が付いているが、グレードによって異なる標準装備や追加装備の有無など、車両の装備は販売店で現車を見て確認しよう。
23.室内の隅まで細かくチェック
シートや内装材などに汚れや傷、染み、穴などがないか。運転席周辺だけでなく、助手席側や後席も念入りにチェック。床や天井の状態も確認。ボックスやポケットは、内部もチェック。シートは、表皮の傷みやほころびなどにも注意。修繕が難しい、布地の染みや樹脂の傷。ボックスの蓋やエアコンの吹き出し口など、可動部の破損にも注意。同様に、トランク内もチェックしよう。
■車両の情報をチェック
備え付けの書類は、「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限や内容を確認。「車両取扱説明書」の他に、オプションや後付け装備などの使用説明書が揃っていることも確かめよう。
現車をチェックする時には、「定期点検整備記録簿」は、記載内容を確認。車両がどのように扱われていたかがわかる。定期点検や消耗部品交換などの時期と走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。最後に点検整備した日付と記録内容にも注意しよう。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合は、周辺の状態を慎重にチェック。エンジンルームやスペアタイヤ収納部などは、新車時から外装とは塗色が異なってることがある。
●ドアの開口部など、外から見えない部分にマスキング(塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするためのカバーを粘着テープなどで留める)した跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような“直線状の段差”があれば、何らかの理由で塗装している。
●部品などに塗料が付着している場合も、周辺を詳しく調べる必要がある。
●車種によっては、スペアタイヤ収納部などに、塗装の飛沫が付着しているように見える、新車時から仕上げが荒くなっている部分もある。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。
●ネジの頭が塗装されていれば比較的容易に確認できるが、無塗装ネジの場合は判断しにくい。傷や錆に注意して、関連する近隣のネジや、車体左右の同じ部品のネジと見比べる。
溶接とシーラー
●修理/交換で溶接している(熱を加えた)部分は、錆が発生しやすくなっている。特に床下は、溶接部の塗装の剥がれや浮きに注意する。
●鉄板の接合部分に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理/交換で再溶接すると塗り直すので、不自然に見える。
●爪で押して、表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を比べてみる。
●スポット溶接(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)を修理工場で打ち直している場合は、直径が小さい、窪みが深い、ずれている(2度打ちした)など、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理/交換すると、組み付ける際に誤差が出ることがある。隣接するパネルの隙間(チリと呼ぶ)の幅が均等になっていなければ、修理/交換している可能性がある。
●バンパーなどは、ぶつけたり、押されてずれることもある。たとえ修理/交換していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●プレスライン(外板パネルが折れ曲がっている角の線)や、モール類(ドアなどに付いている飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。
■今回の車両のプロフィール
●2009年5月にフルモデルチェンジした3代目[ZVW30]。新しいハイブリッドシステムは、従来よりもエンジンとモーターの出力をアップし、モーターの力を増幅するリダクション機構を組み合わせたTHS II(トヨタ ハイブリッドシステムII)。エンジンやモーターの効率化を進めたほか、空気抵抗を低減した車体デザイン、エコタイヤの改良、エアコンの制御など、細部のエネルギーロスを低減するなどで従来よりも燃費を向上し、世界トップレベルの燃費性能(Lグレード)を達成した。標準走行に加えて、燃費を制御するエコドライブモード、モーターだけで走るEVドライブモード、軽快な走りを楽しめるパワーモードの3つの運転モードを採用。車両安定性制御システムS-VSCや6エアバッグ、運転席/助手席アクティブヘッドレストを全車に標準装備している。
●ハイブリッドシステムは、1.8L(1797cc)エンジン、出力/発電モーター、パワー制御ユニット、ニッケル水素バッテリーを組み合わせたシリーズ/パラレルと呼ぶ方式。トランスミッションはCVT(電気式無段変速機)。駆動方式は、FF(前輪駆動)。
仕様グレードの「L」は、プロジェクター式ハロゲンヘッドランプ、ウレタン4本スポークステアリングホイール(ステアリングスイッチ付)、スマートエントリー(運転席)&スタートシステム、オーディオレス4スピーカー、ホイールキャップ付15インチアルミホイールが標準装備のシンプルタイプ。スタンダードタイプの「S」は、フロントフォグランプ、ウォッシャー連動間欠リアワイパー、運転席シート上下アジャスター、ファブリック巻き大型コンソールボックス、トノカバー、CD+AM/FM6スピーカーを装備。上級の「G」には、クルーズコントロール、本革巻き4本スポークステアリングホイール、スマートエントリー(運転席/助手席/バックドア)&スタートシステム、上級スエード調ファブリックシート、イルミネーテッドエントリーフロント足元ランプなどが加わる。
グレードとは別に、SとGに設定している「ツーリングセレクション」は、LEDヘッドランプ、リアバンパースポイラー、センター/リアフロアアンダーカバー、チューンドサスペンション、センターオーナメント付17インチアルミホイールを装着。Gの「ツーリングセレクションレザーパッケージ」には、プリクラッシュセーフティシステム+レーダークルーズコントロール、HDDナビゲーションシステム(ステアリングスイッチを触れた場所をメーターに表示するタッチトレーサーディスプレイ、駐車空間認識機能&バックガイドモニター機能付インテリジェントパーキングアシストがセット)、運転席/助手席ヒーター付本革シート、ソフトレザー巻き大型コンソールボックスなどが組み込まれる。
なお、参考車両は、GグレードにメーカーオプションのセーフティシステムやHDDナビゲーションシステム、ソーラーパネル付ムーンルーフ、リモートエアコンシステム、フロアアンダーカバー、リアバンパースポイラーなどを追加装備している。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
L | DAA-ZVW30 | CVT | FF |
S | DAA-ZVW30 | CVT | FF |
S ツーリングセレクション | DAA-ZVW30 | CVT | FF |
G | DAA-ZVW30 | CVT | FF |
G ツーリングセレクション | DAA-ZVW30 | CVT | FF |
G ツーリングセレクション レザーパッケージ | DAA-ZVW30 | CVT | FF |