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更新日:2021.06.02 / 掲載日:2021.05.07

HONDA「レジェンド」ホンダセンシング エリート“自動運転”レポート

 国土交通省から自動運転レベル3の形式認定を受けたホンダ・レジェンドが、ついに公道デビューを果たした。その舞台となったのは渋滞のメッカとしても名高い首都高速湾岸線。普通に運転するのもひと苦労というステージで、どのような“自動運転”を披露してくれたのか? その模様をレポート!

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ハードウェアも制御ロジックもホンダセンシングとは別物

 ホンダセンシング エリート(以下エリート)という名乗りからすると、現在ホンダの安全&運転支援の軸として展開しているベーシックなホンダセンシングの発展型のように思えるが、その認識は半分は正しく、半分は間違いだ。既存のホンダセンシングの運転支援はレベル2(標準)であり、エリートは、アイズオフ走行まで許容されるレベル3相当。法律的にも“自動運転”に対応している。

 実際、レジェンドに搭載されるエリートもハンズオフ走行に対応しているが、ハードウェアや制御ロジックは完全に別物。レーダーやカメラ、ライダーなどの多様なセンサー類により、車体の全周及び遠近を網羅的にセンシング。簡単に言ってしまうと、状況把握と判断能力が格段に向上している。

 機能面も高速道路でのハンズオフ走行による車線維持/自動車線変更/自動追い越し/本線料金所自動減速に加えて、レベル3の自動運転とみなされる渋滞時運転機能まで対応。自動運転時には、前方に顔を向け適切なドラポジをとるのが前提になるが、ナビを操作&確認したり、動画コンテンツを視聴するなどの“アイズオフ”が許される。

 ちなみにホンダセンシングとエリートの間に、ニッサンのプロパイロット2.0やスバルのアイサイトXが入るが、この2つはレベル2(高機能)と分類される。こちらは、あくまでも運転支援になる。

 今回、エリート搭載のレジェンドで公道初となる自動運転レベル3、アイズオフ走行を体感したが、試乗ルートの大半は渋滞状況という、少し残念なシチュエーション。ウインカーレバーを軽く押すだけで起動する自動車線変更や自動追い越しは試せたが、試乗時間の大半はトラフィックジャムパイロット(渋滞時運転機能)の確認になってしまった。

 この状態でも発進停止や車線維持を含む渋滞追従は可能。エリートになっても、挙動は多少楽になる程度なのではと予想していたのだが、乗ってみて驚かされた。

 エリートは、まるで走り慣れたドライバーのように混沌とした渋滞の中をスムーズに進んでいく。隣接車線の速度変化や車線移動の気配を見せる車両を読み解き、時として緩やかに車間距離を拡げて、車線変更車両が進入しやすい状況を整えるなど、急減速も急操舵もなく進む。多分、自分で運転するよりもスムーズだ。

 当初はエリートの実力に対して多少懐疑的な気持ちもあり、不測の事態に備えるべく身構えていたのだが、試乗の後半は自動運転にどっぷり浸ってしまった。もちろん、周辺監視も行っていたが、その注意具合は自分で運転する時の1/10程度。しかも、状況変化への対応が自分の判断とほぼ同じなので、妙な違和感も全く覚えない。精神的にも肉体的にもストレスは大幅に減少する印象だ。

 同乗していたホンダの説明員との質疑や指導を受けながらの短時間試乗では、エリートの実力のすべてを知ることは不可能だ。ただ、エリートになって変わったものは多少理解できた。ドライバーとシステム(クルマ)の関係のさらなる深化。レベル2くらいの機能では、システムが勝手に制御している感覚を強く受ける。時として下手な運転(補正)だなと感じたりもする。だが、エリートにはそれがない。以心伝心と言っては大袈裟かもしれないが、そういう感覚的な乖離が、少なくとも渋滞運転機能中は感じなかった。手も足も離してなお人車一体感がある走りとでも言うか、馴染みのいい巧みな制御は信頼感を大きく高める。

 そしてこの信頼感こそが運転ストレス軽減で最も重要な要素ということに気付かされた。

「レジェンド ハイブリッドEX・HondaSENSING Elite」は100台限定のリース車両。一般ユーザー向けとは言い難いが、運転支援の未来を予感させるモデルであるのは間違いない。

HONDA
レジェンド ハイブリッド EX
ホンダセンシング エリート

●価格:1100万円 ※リース専用車両
主要諸元
●全長×全幅×全高(mm):5030×1890×1480 ●ホイールベース(mm):2850 ●車両重量(kg):2030 ●パワーユニット:3471ccV6SOHC(314PS/37.8kg・m)+ツインモーター(フロント:48kW/148Nm、リヤ:37kW/73Nm) ●WLTCモード燃料消費率 (総合モード):12.4km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ディスク(R) ●サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(F)ウィッシュボーン式(R)●タイヤ:245/40R19

  • 高度な運転支援のキーアイテムとなる外界認識用のライダーセンサーとレーダーセンサーは、フロントとリヤバンパーに、おのおの5個ずつ配置される。

  • 国が定めたガイドラインにより自動運転レベル3に適合するクルマの後部には、「自動運転車」を示す専用ステッカーを貼ることが定められている。

高速渋滞時の機能の受け渡しはシームレス。車両制御も錯覚を覚えるほど、極めて自然だ!

【操作手順1】ステアリングスイッチを押すとシステムが速やかに起動

運転支援機能は高速走行時に作動するシステム。高速走行中にスタートスイッチを押すと、ホンダセンシング・エリートの運転支援システムは速やかに起動する。

【操作手順2】最初はACCとLKASが作動。この状態でも操舵支援は有効

システムを起動すると、ACCとLKASが立ち上がる。この状態でも車線を積極的に維持してくれるが、ステアリングから手を離したりすると警告される。ハンズオフには対応していない。

【操作手順3】コースがブルーになればハンズオフ走行が解禁

一定の条件(速度や位置情報で判断)を満たせば、ハンズオフ機能付車線内運転支援に切り替わる。画面のコースの色もグリーンからブルーに変更される。

【操作手順4】ハンズオフ走行時の操作もシステムが自動的に行う

ハンズオフ機能付車線内運転支援の作動時は、システムが車線内の走行や追従を自動的に行うため、ドライバーはステアリングから手を外すことが許される。

【操作手順5】速度が30km/h以下になると自動運転レベル3の機能が起動

ハンズオフ走行時に速度が30km/h以下になると、トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)に移行。操舵支援の傾向は変わらないが、この状態が“自動運転レベル3”になる。

【操作手順6】レベル3の走行時はTV映像の視聴も許される

渋滞運転機能が起動している時は、TV映像などの視聴が許容される「アイズオフ」が可能に。速度が50km/h以上になると、再びハンズオフ機能付車線内運転支援に切り替わる。

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●本文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

提供元:月刊自家用車

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