中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.24 / 掲載日:2015.06.12
トヨタ ランドクルーザー70 ピックアップ 中古車購入チェックポイント
トヨタ ランドクルーザー70 ピックアップ(2014年8月~2015年6月) 中古車購入チェックポイント
参考車両:ピックアップ(CBF-GRJ79K)
初度登録:2015年1月
追加装備:〈メーカーオプション〉電動ウインチ〈ディーラーオプション〉オーディオレスカバー
■全体のチェックポイント
“再販ランクル70”と呼ばれている「30周年記念ランドクルーザー70」。ベースは輸出仕様の現行車だが、クロスカントリー機能を重視した作り。無骨なスタイル、MT、1ナンバーなどといったところも、マニアックなモデルといえる。車両のチェックでは、車体まわりと走行系の手入れ状況を見極めることが大切。無闇にカスタマイズしている車両にも注意したい。
下まわりの手入れ状況にも注意しながらチェック
1.外見のバランスを見る
1.外見のバランスを見る
まずは、外装のずれ、歪み、塗装の異常などに注意しながらボディまわりの様子を探っていく。車体の姿勢(傾き)にも注意。
前面は、バンパー、グリル、ボンネット、ヘッドランプ、フェンダーなどの状態をチェック。細部では、先端部やフロントガラスの飛び石傷にも注意する。
2.隣接部も同時にチェック
2.隣接部も同時にチェック
バンパーカバー(参考車両はウインチ専用バンパーカバーとウインチカバーを装着)は、角や下部、フォグレスホールカバー、センター部メッキカバー(標準車)などに損傷がないかチェック。裏側も覗いて、バンパーフレーム/ブラケットなどもチェック。
グリルやヘッドランプ、ボンネットなども異常がないかチェック。フェンダーは、ホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)の縁、奥のタイヤハウス内なども、修理跡などがないか慎重にチェックする。
3.ドアと関連部をチェック
3.ドアと関連部をチェック
ドアは、外面だけでなく、内側のパネルもチェック。ネジやヒンジを見て、取り付け状態をチェック。立て付けもチェック。さらに、ピラー(柱)、サイドシル(梁)、ルーフなどボディ側の関連部もチェックする。
4.下側にチェックポイント
キャビン側面は、プロテクターの役目をしているサイドステップに損傷がないかチェック。下で支えるブラケットもチェック。同時に、ボディ側のサイドシルも、腐食、損傷、修理跡などがないかチェック。特に床下側のパネル接合部に、修理/交換跡などがないか注意する。
5.下まわりも細かくチェック
5.下まわりも細かくチェック
フレーム(骨格材)・ガセット(補強材)・ブラケット(部品類の支え金具)のほか、エンジン・トランスミッション、サスペンション、ステアリング、燃料タンク、エキゾーストパイプ、アクスルケース(ディファレンシャルギヤやドライブシャフトを内蔵)などシャシー構成部品に、損傷、破損、補修/交換跡などがないかチェック。錆があれば、腐食状態を調べる。オイルやグリスなどの漏れなどにも注意。
6.後部のチェック
「ピックアップ」は、後部テールゲートが開く一方開き(後アオリ)の開放型デッキ(荷台)を搭載。キャビン側にガードフレーム(鳥居)を装着し、ロック付スペアタイヤキャリア&スペアタイヤを装備。ロープフックやテールゲートチェーンも付いている。右サイドウォールにはロック付きフューエルキャップ(リッドはない)がある。損傷、錆、補修跡などがないかデッキ全体をチェック。フレームとの接合部もチェック。牽引フックやナンバープレートなども取り付けている後部フレーム周辺も、ダメージがないか見る。
7.ボディの内側も調べる
ボンネットは、内側とヒンジ部をチェック。フェンダーも、エンジンルーム側に腐食(錆)や修理跡などがないか見て、固定状態を調べる。同時に、フェンダーエプロン(フェンダー内側のボディパネル)もチェック。最前部で左右に繋がっているラジエターサポートおよび関連部品なども、要チェックポイントだ。
8.タイヤとホイールをチェック
8.タイヤとホイールをチェック
「ピックアップ」は、7.50R16LT TG21チューブタイヤ&16×5.50Fスチールホイールを標準装着。タイヤは、残り溝の深さを点検し、傷や割れ、欠けなどがないかチェック。異常摩耗を起こしていれば、不適切なエア圧やサスペンション不良など、異常の原因に注意。ホイールは、塗装の傷み、錆(ブレーキダストにも注意)、リムの曲がりや欠損などに注意しながらチェック。フロントは、ロッキングハブカバーのブラック塗装が剥げやすいのも注意ポイントといえる。
★損傷や修理/交換歴の有無を確認する
「30周年記念ランドクルーザー(以下LC)70」は、ラダー(梯子形)フレームにエンジン、ドライブトレイン、サスペンション、タイヤなど走行装置を組み付けたシャシー(車台)の上に、ボディを載せた車体構成。「ピックアップ」は、南アフリカ仕様[LC79・ダブルキャブ・スーパーロングホイールベース](バンは中東仕様のLC76・4ドアワゴン・セミロングホイールベース)がベース。4ドア2列シート[ダブルキャブ]・[平ボディ(無蓋荷台)]で、オーバーフェンダーが付いていない、俗に言う“ナローボディ”。スライド式バックガラス、荷台ガードフレーム+ロック付スペアタイヤキャリア&スペアタイヤ、キー付フューエルキャップ、テールゲートチェーンなどを装備し、フューエルリッドやリアバンパーは付いていない。参考車両は、メーカーオプションの電動ウィンチを装着しているので、専用フロントバンパーが付いている。
耐久性や走破性には定評があるシャシー・ボディだが、事故などによるダメージのほか、錆が発生しやすい部分があることにも注意したい。いずれにしても、損傷や修復している箇所がないか販売店に聞いてみよう。
キャビン内の状態と装備機器の機能をチェック
1.隅まで細かくチェック
1.隅まで細かくチェック
室内は、内装材に汚れや、傷、穴、損壊などがないか。ダッシュボードからドア、床、天井まわりまでチェック。ボックスやポケットなどは内部の状態も見る。シート表皮の染みや破れ。ボックスリッドやエアコン吹き出し口などの開閉機構破損などにも注意しながらチェックする。
2.使用状況もチェック
前席周辺だけでなく、後席も、リアベンチシート・タンブル機構付(ピックアップ/バン共通)の折り畳みなども試しながら周辺を後部まで丹念にチェック。
車体まわりをチェックする時に、デッキの傷み具合からどんな物を積んでいたか推測してみる。テールゲートを閉める時にチェーンが噛みこむとか、テールゲートのロック部は塗装が剥げて錆びる、といったことから車両の使用状況も推測してみたい。
3.装備機器の作動を確認
ヘッドライトやウインカー、ワイパー、ミラー、ブレーキ/バック/テールランプなど保安装置。パワーウインドウやドアロック、室内ランプ、デジタルクロック、ワイヤレスドアロックリモコンなども、機能と作動具合をチェック。エアコンは、特に冷房の効き具合に注意して、調整・設定機能をチェック。同様に、リアヒーターの具合もチェック。
4.追加装備の機能も確認
4.追加装備の機能も確認
メーカーオプションの電動ウインチには、リモコンとウインチクラッチレバーが付属。ウインチの機能と動作に異常がないかチェック。ウインチの取り付け(ゆるみ)、ワイヤーロープ(素線切れ、折れ、捻れ、摩耗、油切れ、腐食)、リモコンスイッチ(接触不良)やリード線(つぶれ、亀裂)など、構成部品も問題がないか点検したい。
★販売店で細部まで調べてもらう
ワイヤレスドアロックリモコン、イモビライザー、フロントバケットタイプ(スライド+リクライニング)・リアベンチシート(タンブル機構)、マニュアルエアコン、リアヒーター、デジタルクロック(時計・アラーム・ストップウオッチ、外気温表示)、アンテナスイッチ(純正ナビ・オーディオのみ作動)などを全車装備。「ピックアップ」は、スライド式バックガラスやオーディオレス・2スピーカーを標準装備。参考車両は、メーカーオプションの電動ウインチとディーラーオプションのオーディオレスカバーを追加している。いずれにしても、販売店で車両の装備内容をまず確認。装備機器類は、とりあえずわかるところだけでもチェックし、細部は販売店で点検してもらおう。
走行機能のコンディションと整備状況を確認する
1.エンジンをかけてみる
1.エンジンをかけてみる
エンジンをかけて、始動具合、アイドリング回転、排気ガスの色などをチェック。始動時には、クラッチスタートシステムの具合、セルスターターの勢い、点火の状態などにも注意。表示灯・警告灯、メーター・インジケーターなどの表示も見る。異常に感じることは、販売店スタッフに聞いてみよう。
2.操作具合と動作をチェック
5速MTは、各ギヤへのシフト操作具合をチェック。同時に、クラッチの切れ具合もチェック。できれば試走して、スムーズにシフトアップ&ダウンできるかチェック。
トランスファーレバーの2WD-4WD[H2・H4・N・L4]切り替え具合もチェック。ロッキングハブの前輪-前輪駆系接続・切り離し、[AUTO]・[LOCK]もチェック。トランスファーレバーの使い方やハブをフリーに切り替える方法などにも注意。ほかにも、ステアリング、サスペンション、ブレーキ、デフなど走行関連機構に不良や故障がないか確認したい。
★正しく点検・整備してもらう
★正しく点検・整備してもらう
“再販ランクル70”は、1GR-FE型(4.0L・V型6気筒・吸気可変バルブタイミングVVT-i・可変吸気システムACIS・電子制御式燃料噴射EFI)ガソリンエンジン、5速MT・2速/3速トリプルコーンシンクロ、パートタイム4WD・副変速機付、オートロックとマニュアルロックを組み合わせたデュアルモードオートマチックロッキングハブ、ボール循環式ステアリング、フロント車軸式コイルスプリング・リア車軸式半楕円リーフスプリングサスペンション、フロント/リアベンチレーテッドディスクブレーキ、ABSなどを搭載。
電子制御はEFIくらいで、特に整備が難しいというところはないが、好調を保つにはメンテナンスが欠かせない。とりあえずオイル漏れなどにも注意しながらエンジンルーム内を見て、各部の整備状況を販売店に聞く。購入するなら、きちんと点検・整備した車両を選びたい。
■最初に車両の現状を確かめる
中古車両をチェックする際は、現物を見て「年式(登録年月日)・仕様・グレード」を確認。標準装備のほかに、メーカーオプションや販売店オプション、市販機器、カスタムパーツなどを追加していないか確認。整備状態も含めた現状を販売店で確認しよう。
目利きはココを見る!
「車両の情報」を見る
●「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限や内容を確認。「車両取扱説明書」の他に、追加装備などの使用説明書が揃っていることも確認。●「定期点検整備記録簿」は、記載内容を必ず確認。定期点検や消耗部品交換などの時期と走行距離を把握しておけば、車両の状態を探る参考になる。
「立て付け」を見る
●外板パネルは、合わせ(隙間)が均等でなかったり、位置がずれていれば、ダメージを受けているか修理/交換している可能性がある。●プレスライン(外板パネルを折り曲げている角)やモール(飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。●外装は、見る角度を変えながらチェックすれば、プレスラインのずれや崩れ、立て付けの狂いなども判断しやすい。パネル表面を斜め方向から透かして見るようにすると、小さな凹みや浅くて広い凹み、波打ち(しわ)なども見つけやすい。しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡だ。
「塗装の状態」を見る
●部分的に色艶が違っていたり、ザラザラした肌荒れ状態になっている箇所は、修理跡の疑いがある。●新しい塗装跡は、錆などの補修か、損傷を負って修理したのか、詳しく調べる。●修理や交換で塗装していると、微妙に色調が違って見えることがあるので、隣接しているパネルの色艶も比べてみる。●塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があるのはマスキング(周辺に塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするカバーを粘着テープなどで留める)跡。ドア開口部などにマスキング跡があれば、なんらかの理由で塗装しているので、周辺を詳しく調べる。●エンジンルーム内やスペアタイヤ収納部などは、外装色とは違っていることもあるので注意する。
「取り付け状態」を見る
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体部品を外す時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。●ボンネット、フロントフェンダー、ドア、テールゲート(またはトランクリッド)などは、外して修理、あるいは交換することがあるので、ネジを見て、ヒンジおよび車体側のヒンジ固定部周辺も修理跡などがないか調べる。
「接合部」を見る
●車体部品を交換する際は、溶接部を剥がすことがあるので、パネルの接合部を調べる。●溶接で補修して加熱された部分は、錆びやすくなっているので注意する。●スポット溶接(接合部にある丸い窪み)を打ち直している場合は、直径が小さい、窪みが深い、ずれている(2度打ちした)など、新車組み立て時の状態とは異なる特徴があるので注意する。●接合部に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理や交換で塗り直していると不自然に見える。●爪で押して、プチッと表面が割れる(表面が硬くても内部が柔らかい)ようなら新しいシーラーを盛っている。
■今回の車両のプロフィール
●ランドクルーザー“70(ナナマル)”誕生30周年を記念して期間限定(2014年8月25日~2015年6月30日生産分)で受注販売した「30周年記念ランドクルーザー70」シリーズ。“70”は、トヨタジープBJ→20系→40系→70系へと踏襲したクロスカントリー4WDの本流を歩んできた(現行ランドクルーザー200は50系ラグジュアリーモデルから、乗用車感覚を取り入れたプラドは70系の派生車として、系列が枝分かれしている)モデル。海外向けは継続していたが、日本では2004年8月に販売を終了していたことから“再販ランクル70”とも呼ばれている。
日本仕様「30周年記念ランドクルーザー70」は、海外向け現行生産車をベースに、補助ミラーやリアバンパーリフレクター(バン)を装着。一部装備設定は異なるが、基本的な仕様装備はほぼ輸出仕様のまま。過去に発売していた4ドアバンに加え、日本国内初設定となるダブルキャブピックアップトラックを追加している。
4.0Lガソリンエンジン・5速MT・パートタイム4WD・デュアルモードオートマチックロッキングハブを搭載し、ウインカー一体異形2灯ハロゲンヘッドランプ、アルミ製サイドステップ、アナログコンビネーションメーター、マニュアルエアコン、ワイヤレスドアロックリモコン、エンジンイモビライザーなどを全車標準装備。
ワゴンスタイルの「バン」は、オーバーフェンダー、メッキリアバンパー、フューエルリッド、LEDハイマウントストップランプ、ホイールハウスカバー、観音開き式バックドア+ロック付スペアタイヤキャリア&スペアタイヤ、265/70Rチューブレスタイヤ&16インチアルミホイール、オーディオレス・4スピーカーなどを装備。
「ピックアップ」は、ダブルキャブ+無蓋デッキ(荷台)のトラックスタイル。スライド式バックガラス、テールゲートチェーン、ガードフレーム(荷台プロテクター)+ロック付スペアタイヤキャリア&スペアタイヤ、7.50Rチューブタイヤ&16インチスチールホイール、オーディオレス・2スピーカーなどを装備している。
■30周年記念ランドクルーザー70のタイプ設定
タイプ | 型式 | シフト | 駆動 |
バン | CBF-GRJ76K | 5MT | PT4WD |
ピックアップ | CBF-GRJ79K | 5MT | PT4WD |