カーライフ
更新日:2024.05.14 / 掲載日:2024.05.14

【2024年】自動運転・運転支援機能の満足度調査。車線維持支援システムの意外な不満とは?

 自動運転・運転支援機能技術の進歩は日々大きく、改正道路交通法によって2023年の4月からは、車のすべての操作をシステムが担う「自動運転レベル4」が一定の条件下で解禁されています。

 国内で一般消費者に流通している自動運転のレベルは現在レベル3までにとどまっていますが、実際に自動運転・運転支援機能を使用したことのあるユーザーは、自動運転・運転支援機能の使用感に対してどういった印象をもっているのでしょうか。

 本記事では、自動運転・運転支援機能の使用感や自動運転支援付の車を保有したいか、今後の自動運転におけるユーザーの期待感について調査しました。

※本記事、もしくは本記事の画像を引用いただく際には、引用元のurlを必ず掲載してください。

1. 自動運転・運転支援機能とは

自動運転のレベルについて

 自動運転とは、ドライバーの代わりにシステムが認知・判断を行い、運転操作(アクセル・ブレーキ・ステアリング)といった行為を行うもの。自動運転のレベルは米国自動車技術会(SAE)によって「0~5」までの6段階に分けられており、それぞれのレベル・名称については以下の通り。

レベル機能の内容
0運転自動化なし
1運転支援機能
2部分的運転自動化
3条件付き運転自動化
4高度運転自動化
5完全運転自動化

 ドライバーに代わり自動車を制御するなどの運転を支援する機能である運転支援機能は、国交省によるとレベル1~2に該当します。

参照元:https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf

2. アンケートから見る|自動運転(レベル1以上)機能の利用について

【データ概要】
調査方法:Uvoice調べ ※記事内の一部項目はグーネット取得データではありません
調査対象:車保有者
調査期間:2024年3月18日~2024年3月22日
回収サンプル数:4,419
サンプル属性:
男女比:男性(49.9%)、女性(50.1%)
年代別:20代(16.6%)、30代(19.0%)、40代(24.4%)、50代(21.6%)、60代以上(18.5%)
居住地域:北海道(5.4%)、東北(10.2%)、関東(25.4%)、中部(22.5%)、近畿(13.4%)、中国(7.4%)、四国(4.0%)、九州(11.6%)

 2024年3月に全国の車保有者4,419人に対して、自動運転・運転支援機能に関するアンケート調査を実施しました。

自動運転・運転支援機能の利用率について

 自動運転・運転支援機能を利用したことがあるかどうかについて尋ねたところ、全体で自動運転・先進運転支援システムを一度でも利用したことがあると回答した割合は24.2%でした。

複数回利用したことがある1度だけ利用したことがある利用したことは無い
20代20.8%12.8%66.4%
30代18.6%8.6%72.8%
40代17.7%6.5%75.8%
50代15.7%3.8%80.5%
60代以上14.9%3.5%81.6%
自動運転・運転支援機能の利用率について(年代別)
複数回利用したことがある1度だけ利用したことがある利用したことは無い
全体17.4%6.8%75.7%
男性23.7%8.3%68.1%
女性11.2%5.4%83.4%
自動運転・運転支援機能の利用率について(男女別)

 一度でも利用したことがある人の割合を年代別にみると、20代が33.6%と最も利用率が高いのに対し、年代が高くなるにつれて利用率が減少。最も利用率が低いのは60代以上で18.4%でした。

 また、利用率を性別で比較すると、男性の32.0%が自動運転・先進運転支援システムを利用したことがあるのに対し、女性は16.6%と男性の約半数の結果に落ち着いています。

市場最大手であるトヨタのほか、ホンダや日産のモデルも多く挙げられた
市場最大手であるトヨタのほか、ホンダや日産のモデルも多く挙げられた

 また、自動運転・運転支援機能を利用した際に運転していた車種についても調査したところ、よく挙げられる車種としては、下記の車種がありました。

・トヨタ「MIRAI」「プリウス」
・日産「ノート」「セレナ」「サクラ」
・ホンダ「レジェンド」「フィット」「N-BOX」

 市場最大手であるトヨタ車を挙げる声が最も多い中、「ホンダセンシング」や「プロパイロット」といった安全運転支援・運転支援技術について一定の知名度を誇るホンダ・日産の車もよく名前が挙がりました。

2-1. 自動運転・運転支援システムで最もよく利用されている機能は「追従走行(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」

自動運転・運転支援システムで最もよく利用されている機能

 自動運転・運転支援システムで最もよく使われている機能について調査したところ、最もよく使われている機能として挙がったのは「追従走行機能(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」(19.2%)でした。

 「追従走行機能(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」とは、自車の直前を走行している自動車との距離を一定に保ちながら走行する機能で、アクセルペダルを踏んでいなくても作動するシステム。高速道路など急な歩行者や自転車の飛び出しがない自動車専用道路での使用が推奨されています。

追従走行(アダプティブ・クルーズ・コントロール)車線維持支援システム(レーンキープ)駐車支援システム(パーキングアシスト)前方衝突防止支援システム(自動ブレーキ)後側方車両検知警報システム(ブラインドスポットモニター)ハンズオフ(手放し)運転支援システムアイズオフ(目を離す)運転支援システム高速道路での自動運転渋滞時の自動運転その他特にない
20代11.7%13.9%13.9%12.4%5.7%5.8%9.1%14.2%6.6%6.6%
30代17.8%13.0%6.4%17.1%6.5%7.0%4.0%14.2%6.1%7.9%
40代20.6%14.7%4.3%22.3%7.6%4.2%1.7%15.0%2.8%0.4%6.3%
50代22.6%19.6%8.9%14.9%5.5%4.4%1.0%15.0%3.4%0.5%4.3%
60代以上26.6%18.0%6.5%16.2%6.5%3.6%1.5%11.4%4.2%0.6%4.8%

 また、年代別のデータでは、年代が上がるにつれて「追従走行機能」を利用したことがあると回答する割合が上がっていく傾向が見られました。

 一方で「駐車支援システム」は他の年代と比較した場合、20代で最も利用されているシステムでした。他の年代に比べて運転経験の浅い20代にとっては駐車に難しさを覚える層も多く、運転支援システムを利活用して不安感を解消しているのかもしれません。

3. アンケートから見る|自動運転(レベル1以上)機能の口コミ

自動運転・運転支援システムの各機能の満足度について

 自動運転・運転支援システムの機能についての口コミ・満足度を調査したところ、「非常に満足している」・「満足している」の回答割合が最も高かったのは、最もよく利用されている機能でもある「追従走行機能(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」(79.7%)でした。

 利用者からはアシストによる安心感や運転疲労の軽減を感じたという声が多く挙がり、満足度が高くなっていることがうかがえました。一方でブレーキを踏むとリセットされてしまうことや、季節に応じた制御などを求める声も一定数ありました。

利用者の口コミ(追従走行機能)
・アシストしてくれることで安心感が増した
・長時間の運転だったので楽だった。
・追従の自動加減速が自然で違和感がない ただし冬期間に応じたアダプティブ制御がまだなく夏季と同程度の加減速ではやや不安になる
・高速など一定の速度で走る時にしか使えず、微妙な車間距離でわりこまれそうになり、ブレーキを踏んでしまうので、リセットしなければならない。

 「非常に満足している」・「満足している」の回答割合が最も低かったのは、利用率では3位の「車線維持支援システム」(64.4%)。相対的には今回の機能の中では満足度が低い結果となりましたが、「非常に満足している」・「満足している」の回答が6割を超えているため、基本的には満足して使っているユーザーの方が多い機能です。

 利用者の声を見ると、車線を維持してくれるアシストに安心感を覚える声もある一方で、車線を維持しているのに警告音が鳴ることでかえって危ない場面があったことや、警告音に種類がないことで分かりにくいといった意見もありました。

利用者の口コミ(車線維持支援システム)
・想像以上にアシストしてくれる。ただ、意図的にはみ出したときに警告音がするのは煩わしい。
・線により過ぎると自動で修正してくれるから安心
・度々車線を維持しているのにブザーがなって、驚いてかえって危ない
・白線を踏むと音が鳴るが、歩行者車線もセンターラインもどちらも同じ音なので、異なる音にしてほしい

4. アンケートから見る|次に乗る車も自動運転(レベル1以上)機能付きの車にしたい人は全体の40.7%

次に乗る車も自動運転(レベル1以上)機能付きの車にしたいかどうか

 次に乗る車も自動運転(レベル1以上)機能付きの車にするかどうかについての意識調査を行ったところ、全体で「非常にそう思う」「そう思う」と回答した割合は40.7%という結果になりました。

非常にそう思うそう思うどちらとも言えないそう思わない全くそう思わない
全体13.8%26.9%34.6%10.7%13.9%
男性17.1%29.7%30.6%9.1%13.5%
女性10.5%24.2%38.5%12.3%14.4%

 男女別の回答結果を見ると、男性で次の車は自動運転機能付きの車にしたいと回答した割合が46.8%であるのに対し、女性は34.7%に留まりました。

 自動運転・運転支援機能の利用率も男女で差があったことからも、自動運転に触れる機会の多い男性の方が機能に期待する回答が多い結果になったと推察されます。

4-1. 次に乗る車も自動運転(レベル1以上)機能付きの車にしたい理由1位は「安全性の向上」

次に乗る車も自動運転(レベル1以上)機能付きの車にしたい理由

 自動運転(レベル1以上)機能付きの車に乗りたい理由として最も多く挙げられたのが「安全性の向上」(48.2%)。次いで「運転負担の減少」(24.7%)が理由として挙がっています。

 自動運転の機能には、運転負担を減少する追従走行機能に加え、前方衝突防止支援システムなど事故の減少に寄与する機能などがあることから、安全性の向上を求めて自動運転機能付きの車に乗りたいと考えるユーザーも一定数いると考えられます。

4-2. 次に乗る車は自動運転(レベル1以上)機能付きの車ではなくていい理由は「価格が高い」

次に乗る車は自動運転(レベル1以上)機能付きではなくていい理由

 自動運転(レベル1以上)機能付きの車に乗りたいというユーザーもいる一方で、次の買い替えのタイミングでは自動運転機能付きの車でなくてよいと回答するユーザーも一定数いました。

 次に乗る車は自動運転(レベル1以上)機能付きの車ではなくていい理由として最も挙げられているのが「価格が高い」こと。自動運転機能(レベル1以上)付きの車を求めるとなると、装備されていない車両価格と比較すると費用が掛かることから選ばれない理由にもなるようです。

 また、価格以外の面でも「機能を使いこなせるかわからない」や、「運転スキルの低下を招く恐れがある」といった理由も挙げられていました。

5. アンケートから見る|完全な自動運転への期待感

 一部の地域では自動運転レベル4の走行が解禁されていることなどから、今後自動運転の技術はより進歩していくことが考えられます。運転手を必要としない完全な自動運転が実現できる未来も遠くなく、実際のユーザーにとっても完全な自動運転は期待感の高いことなのかを調査しました。

完全な自動運転の実現に対する期待感について

 「完全な自動運転の実現を非常に期待している」・「完全な自動運転の実現をやや期待している」と回答した割合は49.4%と、全体の半数程度にとどまりました。
 「どちらともいえない」「不安感がある」と回答した割合が全体の半数程度であることから、自動運転・運転支援システムには、安全性や法的整備、日常への普及率の部分で課題感がある状態だといえるでしょう。

5-1. 今後の自動運転に期待することは「交通事故の減少」

今後の自動運転への期待感について

 これまでに自動運転・運転支援機能を利用したユーザーに対して、今後の自動運転に対して最も期待することを調査しました。

 最も回答割合が多かったのは「交通事故の減少」(30.4%)で、次に「運転のストレス・疲労の軽減」(16.1%)、「高齢者や身体障がい者の移動手段の活用」(11.9%)と続いています。

交通事故の減少交通渋滞の緩和・解消公共交通機関などの移動支援の充実駐車場不足の解消高齢者や身体障がい者の移動手段の活用運転のストレス・疲労の軽減煽り運転などの危険運転の減少環境負荷の軽減物流問題の解消・効率化自動運転に関わる新しいビジネス・サービスの創出その他特にない
20代26.2%8.1%3.4%2.2%5.5%16.1%12.1%3.4%4.1%3.9%15.0%
30代26.7%6.8%3.2%3.3%8.4%21.8%8.1%1.8%3.9%2.6%0.1%13.3%
40代31.5%7.4%3.1%2.3%11.3%18.7%8.8%1.5%3.9%1.5%10.0%
50代32.7%9.6%3.1%1.2%13.5%15.6%7.3%2.1%3.3%1.2%0.2%10.1%
60代以上33.7%5.4%3.7%1.6%20.0%14.1%6.8%2.4%3.9%1.0%0.2%7.1%

 年代別で見ると、「高齢者や身体障がい者の移動手段の活用」については年代が上がるにつれて期待する人が増えていることがわかりました。

※回答率(割合(%))は、小数点第2位を四捨五入して、小数点第1位までを表記しました。このため、合計が100にならない場合があります。

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