三菱 ekワゴン 乗って、触って『いい軽（eK）』実感

【本記事は2006年11月にベストカーに掲載された記事となります。】今最もホットな激戦区となっているのが軽自動車。特に主力となるハイト系BOXタイプはぞくぞく各メーカー渾身のニューモデルが投入され、販売的にも技術的にもハイレベルの闘いが続いている。そんな中、三菱が送り込んだニューモデルがeKワゴン＆eKスポーツだ。

・ここがポイント！！なんといっても目立っているのがeKワゴンに採用された電動スライドドア。eKワゴンの一部グレードに採用されており、左リアドアが電動スライドドアとなるもの。右リアドアは一般的なヒンジドアを採用している。スライドドア車はヒンジドア車プラス5万2500円（税抜きだと5万円ジャスト！！）となっており、とってもリーズナブル。スライドドアはeKワゴンだけの装備で、eKスポーツには設定されていないのが残念だ。スライドドアは狭い場所での乗り降りでやっぱり効果的。プラス5万円ならぜひ欲しいと思う。「もちろん電動スライドドアがeKワゴンのセールスポイントとなるのは間違いないんですが、そのほかの部分もちゃんと見てくださいね」とアピールするのは森井巌プロジェクトマネージャー（チーフエンジニア）。上の写真では一番前で電動スライドドアをリモコン操作しているのが森井氏。マジメそうな顔して撮影では一番ノリノリでした。

インテリアはコストダウンに割り切った旧型とは対象的に、質感高く仕上げられている。特にインパネは材質もワンランク上といった感じで、満足感が高い。インパネシフトを配したシルバーのセンターパネルもワンポイントとなっている。

・eKワゴン乗ってわかった魅力のポイント用意された試乗車はeKワゴンのGSなるグレード。4速AT搭載の電動スライドドア仕様、つまり最高級グレード、ということになる。ホントはベーシックな3速AT仕様やスライドドアなしのモデルにも乗りたかったのだが、今回の試乗会では用意していないとのこと。スライドドア車の車重増加は同仕様のヒンジドア車に比べてプラス20kg。増加分のすべてがスライドドアの動力部分や開口部が大きくなったことによるボディ補強などで、スライドドア回りに重量増加分の20kgが集中している。そのため左右の重量配分にアンバランスが生じることは避けられない。これがハンドリングや乗り心地に悪影響を与えやしないかと試乗前は気になったのだが……。まったくなにも気にする必要はありませんでした。考えてみれば重量増加分の20kgなんて、せいぜい子供1人分。大人がリアシートに座ったらもっと重たいんですよね……、というワケでなにも問題なし。右ターンと左ターンでハンドリングに違いが出る、なんてことはないし、乗り心地だって違和感なし。いやいや、それどころか乗り心地に関しては、軽自動車のライバルのなかでもトップクラスだと思います。ちゃんとサスペンションが動いてダンパーが効いていることが実感でき、乗り心地ではダントツトップと思っていた旧型ムーヴにも匹敵するレベルなのだ。「ヒンジドア車とスライドドア車でサスペンションに違いはありません。細かいセッティング、チューニングも含めてまったく同じです。それで両タイプで違いが出ないように仕上げたのです」とは操安性のチューニングを担当した松井隆氏。ちなみにeKスポーツの足はけっこう固めなんだけど、ボディがちゃんと固いサスを受け止めていて、固いけれど乗り心地が悪くないという、絶妙のセッティングを見せている。でも、ホンワカしたeKワゴンの乗り味のほうがワタシ的には好みです。

エンジンは50馬力、6.3kgmを発揮する3気筒NAを搭載。4速ATは全開加速時でも1速から2速へのシフトショックもまったくなく非常に快適。3速ATは試乗していないけど、3速までのギア比は4ATとまったく同じで最終減速比がややハイギアードになっているだけなので、シフトショックに関しては4ATモデルと同等と考えていいだろう。ちなみに最終減速比は4AT車が5.841、3速AT車が4.845となっている。・でも、ここがちょっと気になったゾ！最大の問題点は、給油口が左後ろにあるということだ。給油口が開いているときはスライドドアを開けられない、ということになる。「ご指摘のとおりです。ただ、旧型eKのプラットフォームを活用しなければならなかったため、どうしても給油口を右側に持ってくることができなかったのです。ユーザーの方にはご不便をおかけしてしまいますが……」と森井氏。ガソリンタンクの位置、配管などの自由度がなく、改善するためには莫大なコストがかかってしまうため、泣く泣く給油口の位置を左側のままにしたということだ。もちろん給油中は、ドアを開けられないようになっている。・今後の展開は！？現状、スライドドアが欲しければNAエンジン「のみ」を搭載するeKワゴンを選ぶしかない。いっぽう、ターボエンジンの動力性能が必要だ、という人にはeKスポーツしかない。「当然そういった要望が出るだろうことは想定しています。今後のお楽しみ、ということでカンベンしてください。eKワゴンにターボを追加するか、eKスポーツにスライドドア車を設定するか……。販売店の声やユーザーさんの声をしっかりと聞いて、慎重に検討しなくてはいけないと思っています。まずはシンプルな車種構成で新型eKワゴン＆スポーツのよさを皆さんに知っていただかなければならないと考えています」と森井氏。eKワゴン＆スポーツ、さらに楽しみだ！！

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