徹底分析中古車相場
更新日:2021.03.25 / 掲載日:2021.03.25
【ボクスター/ボクスター特集】ポルシェライフを始めたい人は必見。歴代モデルの相場をおさらい
中古車になっても値下がりしにくいことで知られるブランドがポルシェ。特に一部の911は、年式が古いものでも新車時以上の価格で取引されることがある。しかし、同じスポーツカーでもボクスターやケイマンは、911と比べて手が出しやすいこともあり、初めてポルシェに乗る人にオススメできるモデルといえよう。しかし、ボクスターやケイマンも、世代やグレードごとに相場は大きく異なるから、購入する際は下調べが必要だ。今回は、初代ボクスターから最新の718シリーズの全モデルを取り上げ、相場を整理してみたい。
コンディションのよい物件が揃うタイプ981/982
ボクスター(タイプ981)
ケイマン(タイプ981)
ポルシェのミッドシップスポーツがボクスター/ケイマン。ボクスターは2座のオープンモデルで、ケイマンはクーペボディを持つ。ボディサイズは911よりもひとまわり小型なので、ポルシェのエントリーモデルとしての位置付けも担っている。まず注目したいのが、タイプ981、982と呼ばれる新しい世代のボクスター/ケイマン。2012年にはボクスター、2013年にはケイマンがフルモデルチェンジしてタイプ981となった。シャシーの大部分がアルミ化され、軽量化と同時にボディ剛性も高められた。デビュー当初のエンジンは、標準モデルには2.7L、上級モデル「S」は3.4Lを搭載。ただし最高出力はケイマンのほうが高めに設定され、よりピュアなスポーツカーとして販売された。
2016年にはマイナーチェンジが行われ、タイプ982と呼ばれる後期型に進化。このタイミングで、ボクスターとケイマンは「718」という新しい車名が与えられた。従来型との大きな違いは、エンジンが新世代2.0Lおよび2.5Lの水平対向4気筒ターボに変更され、ケイマンのほうがパワフルという格差も撤廃されたこと。一方、内外装のデザインは小変更に留められている。2019年7月には、718ボクスターには「スパイダー」、718ケイマンには「GT4」を設定。いずれも水平対向6気筒を搭載し、718として初めて6気筒モデルがラインアップに加わったこともあり、ファンを沸かせた。まずは、タイプ981/982世代の年式別平均価格を見ていこう。
年式 | 中古車平均価格 |
2013年式 | 534万円 |
2014年式 | 555万円 |
2015年式 | 601万円 |
2016年式 | 644万円 |
2017年式 | 666万円 |
2018年式 | 806万円 |
2019年式 | 779万円 |
2020年式 | 875万円 |
年式 | 中古車平均価格 |
2013年式 | 516万円 |
2014年式 | 560万円 |
2015年式 | 648万円 |
2016年式 | 899万円 |
2017年式 | 664万円 |
2018年式 | 954万円 |
2019年式 | 797万円 |
2020年式 | 1273万円 |
2015年式以前なら500万円以下の予算で購入可能
タイプ981がデビューした当時の新車価格帯は、ボクスターが584万円~774万円、ケイマンが612万円~820万円。これを考慮すると、タイプ981は登場から8年が経過しても高値を維持していることがわかる。平均価格のデータを俯瞰するとケイマンのほうがやや高い印象を受けるが、同グレードで比べると、相場と物件数に大きな差はない。また、一部の年式が大きく跳ね上がっているところがあるが、これは「GTS」や「GT4(ケイマン)」などの高価格なモデルが存在するためだ。前期型とマイナーチェンジ版(タイプ982)の価格差が大きくないのは、6気筒モデルの価値が高いためだと考えられる。しかし500万円以下の予算で買うなら、どちらも2013年~2014年式辺りがねらい目となる。
どちらもベースグレードが物件豊富で買いやすい
タイプ981は、下から順にベースグレード、「S」、「GTS」の3グレードで展開される。さらに特別な高性能バージョンとして、ボクスターには「スパイダー」、ケイマンには「GT4」も存在する。物件数は、上級グレードになるほど少なくなるから、ベースグレードが最も買いやすい。グレード別平均価格(ボクスター/ケイマン)は、ベースグレードが511万円/510万円、「S」が577万円/576万円、「GTS」が830万円/776万円となっている。また、MTとATの比率だが、圧倒的にATの比率が高い。MT派には残念なところだ。
相場が大きく下がって買いやすくなったタイプ987
ボクスター(タイプ987)
ケイマン(タイプ987)
2004年12月に発表された2代目ボクスター、その翌年の2005年8月に発表された初代ケイマンがタイプ987。デビュー当初、前者は2.7Lと3.2Lの水平対向6気筒、後者は3.4Lの水平対向6気筒が搭載された。排気量はケイマンのほうが大きく、価格も高く設定された。2008年12月にはマイナーチェンジが行われ、両者に直噴式の2.9Lと3.4L 水平対向6気筒に置き換えられた。また7速PDKが設定されたことも大きなトピック。これは、VWのDSG、アウディのSトロニックと同様、素早い変速を可能とするデュアルクラッチ式トランスミッションである。グレード構成は、ボクスターとケイマンともにベースグレード、「S」が基本で、さらに上位のモデルとしてボクスターには「スパイダー」、ケイマンには「R」が設定されている。それぞれの中古車平均価格は次のとおりだ。
200万円台の低予算で探せる魅力的なポルシェ
デビューから15年以上経過したことで、相場が下がって買いやすくなったタイプ987。物件はボクスターのほうが若干多めだが、相場はケイマンとほとんど差がない。ボクスターの価格の下限は180万円だが、このあたりの低価格モデルは走行距離10万kmオーバーの多走行が中心。コンディションも考慮すると200万円台半ばの予算があれば、幅広い物件から探せるはずだ。なお、2008年以前の前期型のほうが物件は充実している。
ボクスター、ケイマンともにベースグレードが多い
タイプ981と同様、タイプ987もベースグレードが大半を占める。「S」との価格差はそれほど大きくなく、動力性能を重視するなら「S」をねらいたい。また、ケイマンのトップグレード「R」はほとんど流通していない。こちらもMTの比率は少なく、3ペダル車がほしい人は根気よく探す必要がありそうだ。
良コンディションの物件が少なくなった初代ボクスター
1996年10月、ポルシェの新しいオープンスポーツカーとして初代ボクスター(タイプ986)が登場した。1989年のユーノスロードスター発売以降、世界的に2シーターオープンが次々と発表されたが、ポルシェはカジュアルさを備えたボクスターを生み出したのだった。デビュー当初は2.5L 水平対向6気筒エンジンを搭載し、新車価格帯は595万円~655万円と、ライバルよりもワンランク上のモデルとして設定。1999年10月には3.2Lの「S」が登場すると同時に、ベースグレードの排気量も2.7L化。当初物足りなかったパワーも底上げされ、スポーツカーらしい動力性能を手に入れた。
100万円台の物件が揃うが、数は減っている
デビューは25年前にもなるため、相場はほぼ底値と言える状況。100万円台前半の物件も存在するが、その多くは走行距離が伸びたものである。良コンディションの物件を探すのは年々難しくなっており、このような個体は200万円以上の値段が付けられている。なお、MT比率は2代目や3代目と比べて多いのも美点。低予算でオープンスポーツを探すなら、初代を検討する余地は十分ある。
まとめ
ポルシェ911の高値安定傾向に比べると、ボクスター/ケイマンは現実的な予算でも十分ねらえるスポーツカーだ。現行型(タイプ981/982)は高値を維持しているものの、500万円以下の物件も数多く流通する。先代(タイプ987)はその半額近くにまで下がり、現在は250万円前後の予算でねらえる。コンディションと価格のバランスがよく、物件数も豊富。今ボクスター/ケイマンをリーズナブルに買うなら先代に注目したい。最後に初代ボクスター(タイプ986)は、物件数はかなり少なくなっており、価格は安いが目利きになる必要がある。いずれにしても、予算に応じたクルマ選びができるはず。