車のエンタメ
更新日:2018.11.16 / 掲載日:2016.11.25
伝説のスカイラインGT-R、フェアレディZを生き返らせる巨匠
「伝説の名車」と呼ぶに相応しいモデルがあります。もちろんフェラーリやポルシェなど外国車ばかりでなく、国産の旧車にもいろいろな名車があります。トヨタ「2000GT」、ホンダ「S600」、スバル「360」、マツダ「コスモスポーツ」、日産「スカイライン GT-R」や「フェアレディZ」……。
世界最大のドキュメンタリー専門チャンネル「ディスカバリーチャンネル」で取り上げられた、日産の旧車を中心に完成度の高いレストアを手がける日本にいるふたりの巨匠の動画がこちらです。
千葉県木更津市「T.A.AUTO」の安藤正さんは、日産「フェアレディZ 360」と「スカイライン」をメインとするレストア職人です。オリジナルに忠実なレストアをモットーとしています。
板金にも機械は使いません。塗装を完璧に仕上げるため、丸一日以上の時間をかけて下地を磨くこともあります。
「できる限り新車当時の状態に近づけるのがレストアというもの」、「40年前のクルマに性能のいいエンジンを積んだり、見た目を変えたりしたら、クラシックカーではなくなってしまう」と語る安藤さん。
完全手作業なので、1台を仕上げるのに数年かかることも珍しくありません。依頼は多く、作業に入るまで数年待ちとなっていますが、旧車のオリジナリティを追求するコアなファンからの支持は厚いそうです。「手作業と機械とでは仕上がったときの中身がぜんぜんちがう」と安藤さんは言いますが、そんな技術を持っている職人さんはもうほとんどいないでしょう。仕方がないこととはいえ、残念です。
一方、愛知県岡崎市で「Rocky Auto(ロッキーオート)」を営む渡辺喜也さんは、旧車のスタイルやデザインを活かしながら、いまの時代にストレスなく乗れるクルマに仕上げるスタイルを信条としています。
こちらも、メインに扱っているのは日産の旧車、スカイラインやフェアレディZなど。「ケンメリ」の愛称で親しまれたこの2台のGT-R、見た目からはわかりませんですが、中身はまったくの別物。右は完全ノーマルの状態、左はエンジンを乗せ換えたロッキーオートのモディファイ車なんです。
出力の大きなエンジンを積めば、そのぶんボディにかかる負担も大きくなるのは必然。渡辺さんは、サイズが大きくてパワーのあるエンジンを積むためにシャシーもつくり替え、各部を徹底的に強化していきます。
「現代のモデルに引けを取らないスペックを、旧車のスタイルで楽しむ。そういうやり方は邪道だと言う人もいるけど、私はまったく気にしない」と渡辺さん。
安藤さんと渡辺さんは、アプローチはちがえど旧車を愛する気持ちは同じ。1台でも多くの国産旧車が次代に受け継がれていくことを願うばかりです。