日本でRV(レクリエーショナル・ビークル)のブームが起こったのは80年代。マニアの乗り物、もしくは作業用のクルマだったクロスカントリー4WDが、晴れてRVとして市民権を得たのはこの時代だ。 クロカン市場を牽引したのはパジェロで、当時のトヨタは追う立場。若者を中心にハイラックスサーフが人気を博していたが、見た目も走り味も武骨なランクル70系は「マニアック」の位置づけで、新規ユーザーを獲得できずにいた。で、70ワゴンを大きく発展させた、「プラド」を新たに投入することになったのだ。 以来、プラドは90系、120系、150系と進化を続けてきたが、軽佻浮薄の方向に流れるSUVの世界にあって、今も信じるクロカン道を突き進む。頑強なフレーム式ボディと、デコボコ道をものともしないリジッド式のリヤサス、そしてLoレンジを備えたフルタイム4駆メカが、「本物」であることの証だ。 ランクルの血脈のなかでは「ライトデューティ」に位置付けられるプラドだが、メカのタフさは平凡なSUVでは足元も及ばないレベルにある。「どんなところでも走れる」という安心感は、何物にも代えがたい。 そんな話をすると、プラドが旧態依然としたSUVのように思えるだろうが、当然のように時代に合わせて変えるべき点は変わった。120系における電制ダンパーやエアサスの導入は、そのわかりやすい例と言える。そして質感。90系までは機能優先のつくりだったが、120系以降のプラドは上級SUVにふさわしい高級感も盛り込んでいる。