最大の特徴は、使いやすくバランスの取れたパッケージングである。初代デビュー時は同社の軽乗用車のなかでもっとも広い室内が自慢。いまでこそ「タント」や「ウェイク」など、より室内の広い軽自動車はあるが、それら背の高いモデルは車体の重さや空気抵抗によって燃費が悪くなり、重心の高さに起因して運動性能も低下しがち。しかしムーヴなら、居住性と燃費、そして操縦安定性能が高いレベルでバランスされている。その水準はダイハツトップといえる。「迷ったらムーヴ」という言葉は、いまなお通用するのだ。
歴代ムーヴ、とくに平成18年に登場した4世代目からは、軽自動車に大きな革命を起こすトピックが盛り込まれていた。4代目はライバルを凌駕する驚異的な後席足元スペースを用意した室内の広さでハイトワゴンの水準を引き上げ、平成22年発売の5代目で「ガソリン車トップ」を謳う燃費性能で軽自動車界をリード。
では6代目の見どころはどこか?ポイントは3つ。安全性、上質感、そして走りの基本性能の大幅進化だ。安全性は従来から採用のスマートアシスト(低速域衝突回避支援ブレーキ機能や誤発進抑制制御)に加えて、後方誤発進抑制制御機構を全車に軽自動車として初設定した。
室内の上質感はとくにインパネ周辺の作りこみでクラスを超えた雰囲気を味わえる。表面仕上げやメッキなど装飾の使い方が巧みなほか、ステアリングの革まで上質で従来の軽自動車とは一線を画する仕上がりだ。
ボディ骨格構造から見直し、FF車全車にスタビライザーを装備。サスペンションなど走りの安定感も秀逸。それら上級化は従来の軽自動車の域を超えていて、軽自動車を越えた完成度として軽自動車史に新たな1ページを残したといえる。
|