走破性だけではない 悪天候でも安全に走れる

「xDrive(エックス・ドライブ)」とは、BMWの全輪駆動システムに与えられた名称で、1、5シリーズやクーペ、カブリオレを除くほぼすべてのシリーズに搭載モデルが設定されている。簡単にいうと、クルマの走行状態や路面状況に合わせて前輪と後輪に最適な力を配分する仕組みのこと。そのxDriveを活かし、オフロードへの適応性を高めたモデル群がXシリーズだ。

このタイプの車種は一般的にSUVと呼ばれているが、BMWではSAVと表現している。SUVとはスポーツ・ユーティリティ・ビークルで、SAVとはスポーツ・アクティビティ・ビークル。つまり、利便性よりも行動力を重視しているという意思表示であり、オフロードにも対応しているけれど、むしろその能力を悪天候をものともしない走りに活かして、都市を中心に活動的なライフスタイルを送る人たちに向けたモデルと理解するといい。
実際の走り味も、視界の高さはSUV的なものの、同類他車に比べて乗用車感がとても強い。ミニバン的なモデルをAWD化したのではなく、普通のセダン/ワゴン(BMW的にいえばツーリング)をリフトアップしたような印象だ。

これが他のブランドとの大きな違いで、それはハンドリングにも表れている。エントリーモデルであっるX1であっても、走り味はあくまでもBMWで、“走る歓び”は味わえる。
基本的にオフロードを走ることはなく、せいぜい整備された未舗装路に踏み入れる機会が何度かあるかもしれない……という人なら、本格的SUVが搭載する悪路に特化した先進技術よりも、Xシリーズのオンロード寄りの仕上げのほうが、日々の走りで価値を実感できるだろう。