新車値引き情報
更新日:2024.04.26 / 掲載日:2024.04.26

X氏の値引き大作戦 デリカD:5から60.8万円引き!

降臨! 歴代10傑が蘇った 炸裂!! キレッキレ営業トーク 仰天!!! 社員価格より安い!?

【プロローグ】 実は、この私、今を去ること19年前、X氏シリーズに登場しています。
 掲載号は2005年11月号。獲得した値引き額は27万3000円ですが、下取り車に25万円(相場は10万円程度)という超高値の査定額が付いたため、採点はウルトラCクラスの5。松本さんからは「交渉のうまさは歴代X氏のベスト10に入る」との評価をいただきました。
 そのとき購入した日産セレナですが……実は、まだ現役! 作戦会議で訪れた松本さんが「おおっ、懐かしい!」と、ビックリしていました(笑)。
 走行距離7万3000kmで、これまで大きな故障もなし。思い出がたくさん詰まっているので「ずっと乗り続けたい!」という気持ちがありますが……。
 やはりそろそろ買い替え時でしょう。20年目を目前にして、ついに決心しました。
 今回の本命はデリカD:5。セレナの前の愛車がRVRで、いまも「三菱の堅牢なボディと脈々と引き継がれる4WDシステム」が忘れられません。対抗はノア。ただし、ほかのクルマも条件しだいでは最終候補に残る可能性が十分にあります。
 なお、下取り車のセレナは値引き交渉が煮詰まった最終段階で査定額を出してもらうことにしました。また、買い取り専門店への売却も考えています。

【交渉1日目(日)】 隣県に越境して三菱A店を訪問しました。本命のデリカD:5を攻略するために、まずは“外堀”を埋めようという作戦です。
 スマイル満点の課長さんが丁重に出迎えてくれました。
 我が愛車“19年落ち”セレナをひとめ見ただけで「ここまで乗ったら買い替えるに決まってる。ホット客が来たぞ!」と判断したようです。
「デリカD:5は近々、年次改良されます。新型は価格が15万円ほどアップします」
X「は~? ちょこっと改良しただけで15万円も上がるん? そんなん知らんかったわぁ。ま、15万円くらい課長パワーでピューンと値引いてくれると思っているけど」(笑)
「わかりました。後日、精一杯の条件を出させていただきます」
 さすがベテラン、頼もしいねえ。なお、値上げの件、商談ではとぼけましたが、作戦会議の際に松本さんからあらかじめ情報をもらっています。

【交渉2日目(金)】 本日は祝日。地元のスバル店でアウトバックに試乗。アイサイトの先進運転支援を体験し、衝撃&感嘆!
X「私が爺さんになったら必ず欲しい機能ですね」(笑)
「いやいや、今こそご検討をお願いします。精一杯の御見積をさせていただきます」
 しかし、見積もりには値引きの記載なし。やる気あるのか、ないのか……初回なので突っ込んだ話はしないで退散。

【交渉3日目(日)】 トヨタA店にて顔見知りのセールスさんと商談しました。対象はノア。ハイブリッド4WDは「納車まで15か月くらいかかる」とのこと。これでは下取り車の車検が切れてしまいます。そこで半年程度で納車が可能な2WDを対象にすることにしました。
X「で、値引き条件は?」
「今すぐに出せるのは20万円引きです。頑張っても30万円引きが限界でしょう」
 続いて日産へ。担当は課長さん。セレナの見積もりを出してもらうと、ここでも値引き額の記載はなし。最近の新車販売って見積書に値引きを提示してこないのが当たり前のようです。19年前は最初からしっかり記入してきた覚えがあります。
X「値引きなしなん?」
「いえいえ、お値引きはここから……うーん……」
X「やっちゃえ、日産!」
「……う~ん……値引きは20万円です」
 ベテランなのに、どうもノリがいまひとつです。

【交渉4日目(土)】 妻とともにホンダA店を訪問。応対してくれたのはミドルエイジのセールスレディさん。昭和の匂いがプンプンする営業スタイルで、熱くステップワゴンを売り込んできます。ちょっと押され気味になったところで、タイミングよく、携帯電話が鳴りました。
X「ゴメン、日産さんからの連絡でした。セレナと、それにノアも検討しているんですわ」
「値引きでは他社に到底かないません。でも、クルマの性能と私自身には絶対の自信がありますから、他社が終わったら再度交渉させてください」
 押したと思ったら、すぐに引く。只者ではありませんね。


値上げ!? 知らんかったわぁ 課長パワーでピューンしてな

【交渉5日目(土)】 一週間後、本命と考えている近所の三菱B店をアポなし訪問。応対してくれたのはベテランのセールスさんで常に笑顔/常に真面目の典型的な営業スタイルです。
 デリカD:5に試乗。妻は乗り心地の良さにすっかり舞い上がってしまったので、耳元でこっそりと「あまり感激してしまうと足元を見られて値引き交渉がうまくいかないから、私は素っ気ない対応をするわ」と囁く。
 年次改良後の新型を対象に商談を開始。ノアとの競合をにおわせると、
「わかりました。では、正直ベースでストレート勝負をさせていただきます」
 といって、いきなり35万円引きを提示してきました。
 これだよ、これ! 営業マンはこうこなくちゃ。
 見積書には付属品55万5808円と不要な保証パックが計上されているけれど、なかなかいい出足です。しかし、ここは冷静にいきます。
X「お~、支払い総額は500万円を超えてるで……ビックリするぅ……」
「……」
X「……」
 無言の応酬で我慢比べ。この重たい空気にどちらが絶えられなくなるか……。
「う~ん…では490万円にします! いかがでしょう?」
 やってくれました。これで、値引き額は45万3502円! 私も妻も内心大喜びですが、グッとこらえて、
X「セールスさんの熱い気持ちに感謝します。ただ、ノアも気になっています。検討してから再度ご連絡します」

【交渉6日目(日)】 近所のトヨタB店へ。事前に連絡をしておいたら、営業リーダーさんが応対してくれました。そこで、これまでの経過を話して「デリカD:5か、それともノアか? で悩んでいます」と伝えたところ、
「Xさん、わかりました! 見積もりを作成してきます」
 メガネの奥がぎょろ眼で充血気味、高血圧ではないかと心配してしまうほど、朝からチカラがみなぎっていました。
 そして、提示してきた値引きもみなぎっていました。
 32万7090円引き! 支払い総額は390万円。
「納期が半年以上かかるので、いまお乗りになっているセレナの車検切れに間に合わない可能性があります」
X「あっ、そうや、セレナの下取り査定もお願いします」
「わかりました。では、下取り車を含めた最終的な見積もりを出しましょう」
 値引き33万9580円、下取り額9万4120円、支払い総額386万円(メーカーオプション34万9800円/付属品14万5530円を含む)。
 かなり魅力的な数字となりました。なお、本来の下取り額は6万4120円で「提示した9万4120円には3万円の特別な上乗せ分が含まれている」とのことです。
 続いてトヨタA店で2回目の商談。ここでも他社との競合をあおると「思い切っていきます!」と乗ってきた。しかし、提示してきたノアの値引き額は34万5140円でストップ。下取り額は「あのセレナはほぼゼロなんです」といって2万4120円。残念ながら、この店での購入はなさそうです。
 日産と2回目の商談。トヨタや三菱との競合を伝えてセレナの最終条件をお願いしました。
 車両本体と付属品(5万8325円)から値引き30万3845円、下取り額4万9120円で、支払い総額は397万円。
 頑張ってくれたようですが、いまひとつです。日産さんとのお付き合いも19年間で、いったん休止となりそうです。

【交渉7日目(金)】 隣県の三菱A店からの連絡を待っていましたが、一向にありません。そこで、こちらから連絡すると「ちょうどいまお電話を差し上げようと思っていたところです」。私の営業経験からすると一番信用できない発言です(笑)。
 ともあれ、出向いてみました。
X「近所の三菱B店と商談が進んでいます。でも、セールスさんの誠実な対応を裏切ってはいけないと思い、お邪魔しました」
「ご自宅近くのB店と、うちは別法人です。精一杯の対応と価格を提示させていただきます」
 しかし、値引き額27万円、下取り額4万4120円と、さほどではありません。
X「現段階では三菱B店さんのほうがお安い価格になっています。ノアも含めて検討して、再度ご連絡します」
【交渉8日目(土)】 スバルと2回目の商談。これまでの経過を伝えてアウトバックの最終条件をお願いしたところ、車両本体と付属品(16万1100円)から9万9855円引き、下取り額5万4120円で、支払い総額は465万円とのこと。
 これにて交渉終了。
 続いてホンダへ。例のセールスレディさんと再び商談。この人にはどこか共感を覚えます。
「Xさん。お待ちしていました。上司からは小出しに値引きをするようにいわれていますが、Xさにはそれは逆効果だと思っています。で、MAXのお値引きをさせていただきます」
 ステップワゴンの値引きは車両本体と付属品(63万5140円)から35万5280円、下取額は5万4120円。
「これが最終条件です。私、お客様を追いかけることはしません。でも、気にしいですから、万一他社で購入となる際はその旨、連絡だけお願いします」
 いいねぇ、この人、一本筋が通っています。


キラーフレーズの速射砲じゃ! よっしゃ、60万円引きの快挙!!

【交渉9日目(日)】 トヨタB店のセールスさんから緊急電話。
「ノアの製造台数に制限がかかるそうです。Xさんのクルマを確保してもいいですか?」
X「まだ迷っている段階なので、購入を約束できません。その結果、私の枠がなくなってしまった場合は縁がなかったと思ってあきらめます」
 どうやらノアは納期がかなり遅れそうです。下取り車の車検切れを考えると、やはり本命のデリカD:5(納期は1~2か月)に決まりです。
 近所の三菱B店を私一人で訪問。例の真面目なセールスさんが笑顔で出迎えてくれました。
X「妻はデリカD:5の良さを理解しているものの『価格が高すぎる!』っていい始めて……ノアと比べると、支払い総額が100万円も違うんで説得ができないんやわ。セレナの下取りも含めて、なんとかセールスさんの力でうまく説得できる価格をお願いします」
「わかりました。今日は本社からお偉いさんが巡回で来ているので掛け合ってみます」
 奥から戻ってきて、見積りにボールペンで新たな数字を書き込み始めました。
 値引きは52万9382円、 下取り額は2万4120円で、支払い総額は480万円。
 お~、“お偉いさん”パワーが効いたようです。前回より10万円も下げてくれました。
X「頑張ってくれましたね。でも気になる点があるんよ。下取り額が低いのでたぶん買い取り専門店に売却することになります。それから『つくつく保証』(2万9114円)は必要性を感じないので削ってください」
「下取り車がなくなると、その分高くなるんですが、奥様にご説明の際に困りますよね……では、下取りがなくなっても支払い総額はそのままにします。『つくつく保証』も単純に引き算した価格で奥様にご説明してください」
 これで下取り車なし/つくつく補償なしで支払い総額は477万886円に確定。値引き額は55万円をオーバー。この営業さん本当に頼もしい。三菱A店との競合を伝えていないのに、ここまできてしまいました。
 帰宅後、絶好のタイミングで三菱A店から入電。そこで、三菱B店の条件を伝えると、
「え~!? そこまで出しましたか……店長に掛け合うつもりですが、B店の見積もりを見せていただくことは可能ですか?」
X「私も営業職ですのでご理解をいただきたいのですが、他社の見積もりを見せるのは商習慣・商道徳に反することだと思っています」
「そうですよね、わかりました。しばらくお待ちください」
 数時間後、三菱A店から再び電話が入りました。
「B店が提示しているお値引きは三菱自動車の社員価格レベルまで下がっています。すみません、弊社が出せるのは支払い総額495万円です」

【交渉10日目(土)】 本命のデリカD:5を三菱B店から購入することに決定。ただし“真面目”氏の様子からすると、さらなる上乗せは厳しそうです。
 しかし、ここでもうひと押しするのがX氏です(笑)。現在の支払い総額477万886円に対して470万円の無茶金額をぶつけてみましょう。
 妻と一緒に三菱B店へ。
X「デリカD:5に決めました。実は、今回の購入についてクルマ好きの先輩に相談したら『経営の違う三菱A店とも交渉してみたら』と勧められました。早速、商談してみたらかなり頑張ってくれそうだったし、先輩の勧めもあったので一瞬『決めてしまおうか!』と思ったのですが、ここで、セールスさん、あなたの素敵な笑顔が浮かんできました。だから、こうして今日、お邪魔したわけです」(先輩とは松本さんのことです)
「う~ん……もうほぼほぼ限界なんですが……Xさんのご希望をお聞かせください」
X「475万円です」
!!はっ!! なんで470万円をぶつけないや!? 
 土壇場で元来の人情派の性格が出て、思わず475といってしまいました。
 私はセールスさんの顔をまともに見られないまま商談していたのですが、妻によれば「三菱同士の競合の話をしたとたんにセールスさんは気の毒なくらい動揺していた」とのこと。
 ともあれ、あわてて訂正。
X「475万円は最低ラインです。セールスさんとは長くお付き合いをさせていただきたいから、ぜひ、これを上回る数字をお願いします。もしも納得がいけば、この場で契約します!」
「わかりました。相談させてください」
 しばらくして、
「お待たせしました。これで決めてください!」
 提示してきた支払い総額は470万円! 値引きは車両本体から28万5838円、付属品(55万5808円)から32万2300円で、合計60万8138円引き! 
X「……」(心の声=凄い!)
「え~、凄い~」(心の声が漏れてるやん)
X「ゴメン! 最後にマフラーカッターとカーゴフェンスをサービスして! それから納車時に燃料満タンも!」
「……う~ん……」
 さすがに無理か……。
「すみません、燃料については会社の規定で8Lまでとなっているので、ご容赦ください。用品については営業所にストックしてある現品で良ければ、サービスさせていただきます」
X「よっしゃ! サインするわ。本当にありがとう!」
 末永いお付き合いをよろしくお願い致します。
【追記】 後日、19年落ちセレナは買い取り専門店をまわって8万円で売却しました。

購入データ
MITSUBISHI デリカD:5
G-パワーパッケージ(4WD・7人)
From 大阪府
トータル値引き 60.8万円
値引き採点 5
最終的に車両価格から28万5838円引き、付属品(55万5808円)から32万2300円引きで値引き合計は60万8138円。値引き率は12%。なお、下取り車は買い取り専門店に8万円で売却。


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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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