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更新日:2021.08.24 / 掲載日:2021.07.10

ホンダ ヴェゼル(先代)【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

ヴェゼルの外観

工藤’sコメント「コンパクトなボディに魅力が詰まっている!売れるのも納得だ。」

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、ホンダ
(掲載されている内容はグー本誌 2021年7月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年6月調べ。

売れに売れたホンダのコンパクトSUV、ヴェゼル。実用的なパッケージングやパワートレイン選択肢の多さなど、その魅力に迫っていこう。

スタイリッシュな走りが魅力のコンパクトSUV

売れに売れた先代モデル実用性はクラスを超える

編集部●人気ですね、新型ヴェゼル。
工藤●そうみたいだね。グレードによっては手元に届くのが半年以上先になってしまうとか。そして、先代ヴェゼルからの乗り換えが増えると、中古車市場に先代ヴェゼルが豊富になって選びやすくなる……と。
編集部●たしかに。というわけで、今回のテーマは先代のヴェゼルでいきたいと思います。
工藤●2014年、15年、16年と3年連続、そして2019年にも日本におけるSUVの新車販売台数で1位に輝いている。売れたねえ。
編集部●じつは世界的にも人気が高く、2019年には世界販売台数ランキングで14位に入っています。台数は62万台強というから、とんでもないボリュームですね。ホンダとしてはCR-V、そしてシビックに次ぐ規模となっています。
工藤●まさに親孝行息子だ。
編集部●というわけで、日本でも世界でも売れているヴェゼルですが、魅力はどこにあるのでしょうか?
工藤●とにかくパッケージング。
編集部●具体的には?
工藤●コンパクトにまとめた車体サイズながら、後席も荷室も広くて実用的。実用性が高いんだ。今でこそヴェゼルに近い使い勝手を誇るコンパクトSUVもあるけれど、デビュー当初はほかを凌駕していた。
編集部●たしかにそうですね。
工藤●そして何を隠そう、このクラスで最も後席の足もとが広いのは、ヴェゼルなんだ。新型は先代よりさらに広いけれど、先代でもほかのライバルより広い。デビューは2013年末だからもう7年以上前なのに凄いことだよね。
編集部●売れるのもわかります。
工藤●プラットフォームはフィットと共通だけど、フィットの高効率レイアウトが効いている。日本で乗るには、車体のサイズ感と実用性の高さがちょうどいいんだ。

Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

全長わずか4.3mのボディに、使い勝手が凝縮されている

ヴェゼルの3面イメージ

2016年式 ホンダ ヴェゼル RS ホンダセンシング(CVT) ●全長×全幅×全高:4305×1790×1605mm ●ホイールベース:2610mm ●トレッド前/後:1535/1540mm ●車両重量:1210kg ●排気量:1496cc ●エンジン:直4DOHC ●エンジン最高出力:131ps/6600rpm ●エンジン最大トルク:15.8kgm/4600rpm ●モーター最高出力:29.5ps ●モーター最大トルク:16.3kgm ●サスペンション前/後:ストラット/

 躍動感を高めつつ、凝縮感のあるスタイル。3ドアのような軽快な雰囲気を演出するため、リアドアのノブはサイドウインドウ後方(Cピラー)に埋め込まれている。タイヤも大きく踏ん張り感がある。

専用18インチホイールを装着した「RS」に注目

ヴェゼル「RS」の18インチタイヤ

 「RS」は、専用サスペンションやステアリングギアレシオ、18インチタイヤなどを採用して走りを磨いたスポーティ仕様。外観は、ドアミラーなど車体細部に光沢のあるブラックでコーディネート。

[モデルヒストリー]

2013年12月:ヴェゼルを発表

2013年12月に発表されたヴェゼル

 新規モデルとして開発されたコンパクトSUV。デビュー時のエンジンは、自然吸気ガソリンとハイブリッド。フィットより上のポジションに位置づけ、電動パーキングブレーキなど先進装備も全車に装備。

2015年4月:一部改良

2015年4月に一部改良したヴェゼル

 UVと熱をカットする高機能なフロントウインドウ&フロントドアガラスやプラズマクラスター機能を全車標準装備とし、快適性をアップ。FF車はリアサスペンションのダンパー構造を変更して走りを磨いた。

2016年2月:一部改良

2016年2月に一部改良されたヴェゼル

 高性能化した衝突被害軽減ブレーキ(従来は低速域でしか機能しなかった)などをはじめとする安全運転支援システムを一部モデルに採用。新たなバリエーションとして、スポーティグレード「RS」を追加。

2018年2月:マイナーチェンジ

2018年2月にマイナーチェンジしたヴェゼル

 ヘッドライト、グリル、フロントバンパーのデザインを変更し、エクステリアをリフレッシュ。フロントシート形状の変更、安全運転支援システムの全車標準装備化、燃費向上など広範囲で改良を受けた。

2019年1月:1.5Lターボモデルを追加

2019年1月に追加された1.5Lターボモデル

 新たなパワートレインとしてターボエンジンを搭載した「ツーリング」を追加。1.5Lターボは最高出力172馬力、最大トルク22.4kgmとコンパクトボディをさらに軽快に走らせてくれる。外観も専用仕立て。

2019年11月:モデューロXを追加

2019年11月に追加されたモデューロX

 走行性能と上質感を磨いたカスタムモデルの「Modulo X(モデューロ・エックス)」を追加。こだわりはボディ補強と専用サスペンションで磨き上げた走りだ。ガソリンエンジンとハイブリッドを選べる。

2021年4月新型ヴェゼルが登場

2021年4月に登場した新型ヴェゼル

工藤’sコメント「荷室は初代より狭いけど、後席足もとの広さは初代以上!」

 フルモデルチェンジで生まれ変わった2代目のヴェゼルは、スタイリングを大胆に変更してイメージチェンジを図った。驚いたのは伸びやかさと上級感。サイズは初代モデルとほぼ同じだが、伸びやかなフォルムでふたクラス上のような存在感があるのだ。

[インテリア]仕上げと機能の充実でひとクラス上の上質感

ヴェゼルのインテリア

ライバルを凌駕する後席の広さは、ファミリーユーザーにオススメしたいポイント。その広さには、ガソリンタンクをフロントシートの下に置くホンダ独自のアイデアが効いているのだ。後席座面を跳ね上げて観葉植物など背の高い荷物を運べるのも独自の特徴。

 初代ヴェゼルの企画の原点といえるのが、コンパクトボディかつ広い室内で実用性が高いことと。そして、クラスを超えた上質さを持つインテリアとすること。ゆったりの室内や荷室といった巧みなパッケージングに加え、革張り風のパッドをコーディネートした上質なダッシュボードや高級感のある光沢ブラックのパネル、タッチ式エアコン操作スイッチなどを採用している。

ヴェゼルのラゲッジルーム

ラゲッジスペースも広く、その大きな理由は床が低いから。さらに、後席格納時は折りたたんだリアシートがその低い荷室床面とフラットになるのだから立派だ。これも、燃料タンクを前席下に置くホンダ独自のレイアウトの賜物である。

[メカニズム]最新のメカニズムも惜しみなく投入されている

 コンパクトながら上級ポジションとして付加価値をつけて送り出す。そんな商品企画はメカニズムにも反映されている。ハイブリッドを用意するパワートレインもそうだが、電子制御などを組み込むことなく走行状況に応じて減衰特性を変化させる凝ったダンパーや上級セダン並みに吸音材や遮音材を備えて静粛性を高めるなど、そのこだわりは見えない部分にも及んでいる。

HONDA SENSING

ヴェゼルのHONDA SENSING機能イメージ

当初は時速約30km以下で機能する衝突被害軽減ブレーキの設定だったが、2016年2月以降は高性能な「ホンダセンシング」を搭載。高い速度領域にも対応。

HYBRID

ヴェゼルのHYBRIDイメージ

システムは同世代のフィットと共通。エンジンを中心に走る設計だ。しかしエンジンは同じ1.5Lながら、出力は132馬力とフィットよりも高めてある。

ENGINE

ヴェゼルのエンジン

エンジンは排気量1.5Lで、デビュー当初は最高出力131馬力の自然吸気のみ。2019年1月から加わったターボエンジンは172馬力を誇っている。

AERO DYNAMICS

ヴェゼルのAERO DYNAMICSイメージ

 車両後部に向けて絞り込んだキャビンや側面まで覆うテールゲートスポイラーで風の流れを整えるなど、デザイン性はもちろん空力特性も優秀。

多く売れたクルマだから中古車も選び放題!?

編集部●パワートレインのバリエーションが多いのも特徴ですよね。
工藤●そうそう、まずは基本となるガソリン自然吸気エンジンがあって、モーターを組み合わせたハイブリッドも展開している。さらに……。
編集部●さらに?
工藤●2019年1月にはガソリンターボエンジン装着車も追加されているんだ。ダウンサイジングではなく、より大きなパワーを得るためのターボエンジンは、国産のSUVではかなりめずらしい。
編集部●そうですよね。
工藤●コスパを重視するならガソリン自然吸気だし、燃費や先進性そして快適性を求めるならハイブリッドがいい。そしてパワーを求めるならターボと選択肢が広いんだ。中古車でもそう。ところで中古車相場は?
編集部●流行のクロスオーバーSUVだし人気車種なので、相場はやや高めですかね。ただ、初期モデルなどは手ごろな価格になりつつあるという印象です。
工藤●個人的な推しは、新型ではラインアップから消えてしまったターボ。味わえるのは中古車しかない!
編集部●気持ちはわかります。でも燃費を考えたらハイブリッドがいいですかね。中古車なら、ガソリン車との価格差も新車ほどはないし。
工藤●いずれにせよ、たくさん売れたクルマだけに中古車も豊富に選べる。それも魅力だね。

ライバルと比べて室内の広さは?

ヴェゼルのリアイメージ

 センタータンクレイアウトを採用することで、ライバルよりも室内が広いのは、ヴェゼルの大きなアドバンテージ。スタイリッシュなデザインと実用性をうまく両立させているのは、初代フィットから積み重ねてきたパッケージングテクノロジーの賜物といえるだろう。

[インプレッション]走行感覚も乗り心地も「RS」が好印象

 実用性の高いパッケージングに、高級感を感じるインテリアと先進&上級装備。そして自然吸気ガソリンエンジンからターボ付きのガソリンエンジン、そしてハイブリッドまで選べるパワートレインの選択肢の広さ。これだけ好条件が揃っているのだから、人気車になるのも素直に納得だ。デビュー以来の改良では装備や見た目だけでなく走行性能も進化していて、新しいモデルほど走りのフィーリングが好印象。特に、「RS」はボディも強化されて爽快な走りだけでなく乗り心地まで向上しているのが魅力だ。

[マーケットデータ]

ヴェゼルのグレード・年式、走行距離・年式の中古車平均価格

  • ヴェゼル中古車の年式データ

    年式
     高年式の物件は少ないものの、全体の物件数が非常に多いためどの年式でも容易に入手可能。2014年式が特に豊富。

  • ヴェゼル中古車のグレードデータ

    グレード
     ガソリンとハイブリッドがあるが、中古車は後者が多くを占めている。1.5Lターボの「ツーリング」も少ない傾向。

  • ヴェゼル中古車の走行距離データ

    走行距離
     走行距離も偏りなく流通している。3万km未満が全体の半数近くを占めており、コンディションのよい個体が揃う。

工藤貴宏が注目するヴェゼルの「ココが○」

その1:小さいながらも使い勝手が優秀。後席と荷室が広い。
その2:ターボエンジンまで選べるパワートレインの選択肢の多さ。
その3:クラスを超えたインテリアの上質感は、満足度が高い。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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