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サスペンション・足回り修理・整備 [2017.12.14 UP]

W123復活大計画 「足回りの不具合」

世界を駆け巡る! ハリー山崎のドタバタ旧車レストア記

ガラス交換も無事に終わり、ようやく先が見えてきたベンツレストア計画。だが、そうは問屋が卸さないようで、次は足回り&ブレーキ系に深刻な不具合が発覚。そろそろ入手して2年近くなるW123ベンツちゃんですが、無事に日本の公道にデビューするのは、いつになるのでしょうか?

1977年式 幸せの黄色いベンツちゃん復活大計画【 Vol.07】 
ベンツちゃん=Mercedes-Benz 300D(W123)

今回のメニュー…●フロント足回りのOH ●ブレーキのOH

想像以上に傷んでいた足回り。どうやら本格的なOHが必要なようだ

足回りがグズグズなのはボールジョイントの固着が原因

 DIYメンテは手探り作業も多く、なにかとストレスが溜まることもあるが、作業後のテスト運転で成果を実感できれば、そんな苦労も吹っ飛んでくれる。だが我がベンツちゃんは、まだ日本の車検を受けていないので、公道を走ることができない。それゆえテスト運転も不可能であり、DIYメンテの喜びを実感することができない。さらにいえば、手に入れたアメリカ・カルフォルニアでも保険の関係から運転はNGだったため、まだ自らの手で運転したことがないのだ。
 そこで問題になるのが、今回から挑もうという足回りメンテ。この作業では、不具合の発生する速度や条件をできるだけ把握して、トラブル発生要因を予想することが基本的なセオリー。アメリカでこのベンツちゃんをあれこれ面倒見てくれたテッドさんも、サスペンション系は「something wrong!」と指摘したことからも、相当深刻であることは疑いない。
 前回発覚したキャンバーが基準値より大きくずれていた事実が、その原因か?とも思ったが、この問題は直進性の低下やハンドルの流れ程度の原因にはなるだろうが、「something wrong」ほど酷く指摘されるものではないはずだ。そこで注意深くOH作業を進めていくと、サスペンションアームの車体側取り付け部分のボールジョイントの固着を発見。これが操安性の極端な低下原因の可能性が高い。どうやらこのベンツちゃん、足回りも一筋縄ではいかないようだ……。

必要なパーツはこんなに……ほとんど全とっかえか?
マイレ製パーツは、基本的にドイツの車検情報を参考に交換需要の多いアイテムを中心にラインアップされる。今回発見した劣化箇所は、ほぼすべてカバーされていた。

まずはタイロッドから手を付ける
「車検のない国」からやって来たベンツちゃん。日本の厳しい車検に通すためには、足回りとブレーキ系の徹底メンテは必須だ。

タイロッド類は、以前に交換されているようだが、ボルトが必要以上にキツク締め付けられており、テーパー部分の嵌合が緩まない。

外れると部品が飛んできそう。手布で顔面を防御しながら作業を進めると、バンッという凄い音がして外れた。怖い……。

なんとかボールジョイントを外してみると……
特にピットマンアーム側の嵌合部分は、頑固に固着。作業スペースの確保のために、タイロッドを回してジョイント部分を切り離す。

ステアリングナックルのボールジョイントとロアアームの嵌合部分は、汎用ボールジョイントプーラーの爪を加工し分離した。

衝撃の事実が発覚。左側の摩耗がかなり進んでいた
ボールジョイントはガタガタ&ユルユルで、車検どころではない酷い状態。スプリング張力がかかるために、点検すら難しい厄介ポイント。

超強力なスプリングが作業の行く手を阻む
ボールジョイントはガタガタ&ユルユルで、車検どころではない酷い状態。スプリング張力がかかるために、点検すら難しい厄介ポイント。

ネットで専用ツールを購入。これを使ってなんとか……
万全を期すため、ネットで格安専用工具を購入。ただし、プレートにセンターシャフトの爪を正しく装着しないと圧縮中にいきなり外れるとか。

工具のシャフトが太すぎて上手く使えない……
このセンターシャフトを、車体のスプリングサポートの中心の穴からスプリング側に落とし込んでみるが……。

どうやら車体側の穴が1mmほど小さくて入らない。仕方なく、穴を拡大し対処する。どことなく先行き不安です。

やっとスプリングを外すことができた!
シャフトの爪がプレートから外れる気配はないか? しっかりと確認しながら圧縮完了。念のため、人気のない所に運び、保管する。

最初からアライメントは滅茶苦茶だったので、半ば開き直り精神でオリジナルの取り付け位置は気にせず、どんどん分解。

写真の右上アームの車体側には、ボールジョイントが使われているが完全に固着している。これが突っ張った動きの原因だろう。

ボールジョイントの固着は想像以上に酷い状態だ
赤い円盤状の中のボールジョイントは、泥と化したグリースや、破れたダストブーツ部分から入り込んだ土砂で完全固着中。

ブッシュは火炙り作戦で焼き切らなくても、ハンマーで叩くだけで簡単に抜けた。取り付け向きの指定があるので記録する。

ロッドボルトとプレートを使った自作SSTで、ブッシュ取り付け向きに注意しながら装着。スムーズに入ってくれた。

キャンバーの調整カムは、とりあえず中心位置に設定。作業終了後にアライメントを確認しながら1G状態で本締めすることにする。

固着したボールジョイントの脱着には専用ツールが必要。助っ人に応援を求めることに……

 ボールジョイントはナックルの奥にギリギリの寸法で装着されているため、一般的な取り外し工具の装着が難しい。中途半端な工具で圧入に失敗すると、ジョイントの再使用はほぼ不可能になるので、ネットで見つけた中国製SSTを思い切って購入した。さらに日頃なにかと助けてもらっている日本工学院北海道専門学校にも協力をお願い。万全の態勢で挑むことにした。

取材協力:日本工学院北海道専門学校 自動車整備科 土田さん/山田君

女性ドライバーにとって、整備実務の知識がある女性メカニックは非常に頼りなる存在になるはず。整備の世界も女性の力が必要なのです。

圧入されているジョイントは、ナックルを万力で固定。付属する専用工具を使って、思いっ切り力を込めてハンマーで叩きぬく。

シニア世代のメカニックとして、意地と気合で抜き取りを成功。後輩世代のメカニックによい仕事を見せられたのが嬉しかった(笑)。

専用工具はナックルのカーブを避けるように、パイプの側面が加工されている。垂直に圧力ゲージを見ながら圧入可能だ。

この専用工具はボールジョイントの外周とピタリとサイズが合っているので、ブーツを装着したままで圧入可能。

さすが専用工具。まったく問題なく圧入を完了。こうした専用工具は使用頻度が低いのが悩みだが、あるとやっぱり頼もしい。

いよいよ大本命のブレーキOHに挑む。まずは現状の状態を見極めよう

命に関わるブレーキ系は最大レベルの厳しさでチェック

 想像を超えるサスペンションまわりの劣化を目にすると、このベンツちゃんが「車検のない国」(カリフォルニア州は厳しい排ガス検査はあるが日本のような安全検査はない)からやって来たことを実感せざるを得ない。安全の要であるブレーキ系は、サスペンション以上の厳しい目線で、徹底的にOHするべきだろう。
 幸いなことに40年前のクルマだが、現代のネット情報のおかげでブレーキ系のリペアキットは安く入手することができた。カルフォルニアの乾燥した気候のおかげで、恐れていたピストンやシリンダーにサビの発生が少なかったのは幸い。軽くサンドペーパーで磨く程度で、再使用も可能な印象だ。
 なおこのキャリパー・ピストンがパッドと接する部分は、鳴き防止のために段差が設けられている(パッドはディスクに対して僅かに斜めに取り付けられる)。その段差の向きを正しい状態で組み付けることが重要なので、分解前に撮影した画像とリペアキットの説明書をクロスチェックしながら作業を進めた。ところが1か所だけ何度確認しても、元々取り付けられていたピストンの向きが説明書とは反対だ。どうやら“誤組み付け”されていたようだ。幸い、1か所のみだったのでブレーキ鳴きを引き起こしていなかったと思われるが、長い年月にわたって数多くのメカニックの手を渡ってきたクルマの場合、元通りに組むことが正解とは限らない、と考えたほうがよいのかもしれない。初心に戻り、整備マニュアルを参考にすることの大切さを、改めて実感した。

エアで圧力をかけると、ピストンが突然飛び出て危険。写真のようにロッドを入れて突然の飛び出しに備える。

左右のパッドの摩耗に差があるようだ
完全に固着しているピストンはなかったが、固着気味のピストン側のパッドのほうが摩耗が少ないようだ。

心配していたサビは思ったより酷くない
ダストブーツは破れた状態だったが、サビが少ないのは、乾燥した気候で使われたおかげかもしれない。

フロントは遮熱板を(円盤状のプレート)ピストンのパッド接触面の段差に合わせて装着する必要がある。だがこれが意外に難しい。

リヤはOEMのATE製のために、段差の向きの合わせ方の詳しい説明書が付属している。これがフロント側の作業にも役立った。

一通りのチェックが終了。いよいよ本格作業へ進む
ゴミや異物の噛み込みに注意しながら、新品シールにダメージを与えないようにピストンを入れる。

分解前の確認画像を見ながらチェックしていると、北米でこのクルマをメンテしたメカニックは、ピストンの段差を逆向きに装着していたことが判明。

難解な作業の連続に疲れも倍増。果たして無事に直せるだろうか?

ベアリングは寿命間近だが今回は泣く泣く再利用する

 タンデム・マスターシリンダーは、ブレーキ系統の1系統に液漏れが生じても、もう片方の系統でブレーキが利くようシリンダー内部に2個のシリンダーが装着されている。
 この2つのシリンダー内部側のリップシールに漏れが発生した場合は、漏れたブレーキフルードはブレーキタンク側に戻るために、外見上はブレーキフルード減少や液漏れといった症状が表れない。発見が難しいトラブルだと思う(ペダル沈み込み症状で気が付くことが多い)。
 マスターシリンダーの交換作業自体は簡単だけど、パイプを取り外す際に漏れるブレーキ液は、絶対に塗装面に付着しないように注意したい。万が一こぼれた場合は、すみやかに大量の水で洗い流さないと塗装が剥がれてサビの原因になってしまう。特にフレームメンバー内部にブレーキ液が漏れると、発見が難しいフレーム内部のサビの原因になりかねない。
今回、アメリカから購入したリビルトマスターシリンダーの取り付け説明書に「取り付け前には、ベンチブリーディングをすること」と記述され、箱の中にはブリーディング用のキットが入っていた。安全に直結するブレーキ系作業では、整備書のみならずリペアキットの説明書も読んでから作業を進めることが大切だ。
 神経をすり減らしたブレーキ系作業の次は、いよいよホイールベアリングの点検とグリースアップ。ホイールベアリングは、40年&40万kmの間に交換されたかどうかも不明だが、目視点検(デジカメのマクロモードを利用)ではベアリングのローラーやレース面に剥離や熱による変色は見られないので再使用することにする。ただしベアリングに異音が発生するのは遠からず来るはずだ。そのため、ベンツ純正の高価なベアリンググリースを奢るのは……。ここはケチって、ホームセンターの安いリチウム系グリースで我慢することにします。

マスターシリンダーの構造を確認してみる
マスターシリンダーの内部シールからの漏れは発見が難しい。アッセンブリー交換をしたほうが安心だろう。

アメリカのアマゾンから必要なパーツを個人輸入した
キットには、ベンチブリーディング用のホースと説明書が同梱。マスターシリンダー単体でのエア抜きが必要なようだ。

ブレーキフルードは、強力な塗装剥離剤にもなり得るので、パイプを外す時に漏れたフルードが塗装面に垂れないように注意。

ベンチブリーディングは重要作業。水平な場所で慎重に行う
タンク内のフルードにホースが浸る状態でピストンを数回優しく押すと、面白いようにエアが抜ける。

シリンダーをブレーキマスターに完全に固定する前に、ブレーキパイプを装着。このほうが角度の微調整できるので、作業性がいい。

ホイールベアリングも一緒に交換しておこう
交換履歴は不明だが、目立った剥離や異音の発生もなかったので再使用する。こうしたパーツは安いので気が楽だ。

グリスはしっかりと計測。どんぶり勘定はNGです
久しぶりのグリース交換なので整備書通りのグリース量を測定してみた。キャップには15g+ベアリング側に45gで合計60g。

忘れずにシールも装着
ベアリングの早期劣化は異物混入が原因になることが多い。シールを取り付ける際には、ゴミなどが内部に入り込まないように注意した。

ディスクの交換に挑む。やはり新品はいいな~
ブレーキディスクとハブはボルトで固定される珍しいタイプ。手持ちの電動インパクトで緩めることができたのは幸いだった。

締め付けすぎは焼き付きの原因。整備書には「固く締め付け後、120度緩める」と書いてある。経験が要求されるプレロード調整だ。

パッドとセンサーも新品を使用。やはりここは新品が一番です
ショックは前オーナーが最近交換したので再使用。蘇る(と願う?)40年前の新車の乗り心地は、いったいどのようなものなのだろうか? 

ディスク交換時にはパッドの同時交換がベター
新品ディスクに交換した場合は、ディスク自体の寿命を延ばすためには、パッドは同時交換したほうがベター(均一接触のため)。

パーキング調整はグリスアップで対応
リヤのパーキングブレーキは、クリーナーで徹底洗浄後に可動部分(バックプレート&シュー)にグリスアップ。

サビに強いマイレのコーティングタイプをチョイス
鉄ホイールなので、ディスクのサビは目立たないが、防錆効果があるディスク(パッド非接触面)は、ハブに固着しないので整備性がいいメリットもある。

次回予告

次回はヒーター制御の修理に挑戦
本格的な冬を迎える前に、車検に辿りつきたい!

提供元:オートメカニック

グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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