故障・修理
更新日:2020.09.30 / 掲載日:2020.09.30
厄介なサイドシルの「錆」問題をDIYメンテで解決 2
なかなか学習対象となる機会がないサイドシルの構造と錆の原因を、探ろう。ちなみに、サイドシル補修後に取材に協力いただいた学校のテストコースで走行すると、明らかに車体剛性の向上を実感。
サイドシルが車体剛性に与える影響は想像以上に大きいのだ。
今回購入した中古のサイドシルは、関東エリアで15年間/20万kmほど走行したクルマから切断されたもの。そのため錆は皆無だった。
真冬の北海道の幹線道路は凍結防止剤が撒かれており、それが錆の原因になっているのだが、状態のよいサイドシルを見ると凍結防止剤の影響の大きさを改めて実感してしまう。
ちなみにサイドシルの水抜き穴から塩水が浸入するのが、錆が発生する定番のパターン。数個ある水抜き穴の一部が詰まったり、サイドシルの変形により水が余計に浸入したりすると、サイドシル内に塩水が滞留し、その後、溜まる塩水が乾燥し塩となることを繰り返すことで、どんどん塩分濃度が高まる。これが錆被害が急速に拡大する理由だろう。
国産車のサイドシルは、下側のパネル合わせ目にプレス加工された水抜き穴が複数設けられていることが多い。
水が抜けやすい構造のサイドシル(入り込みやすいともいえる)は、水害には強いかも、だが……。
サイドシル下側のスポット溶接の合わせ目の隙間から漏れるケースもある。水害重視か、塩害重視か? サイドシルの防錆は一筋縄ではいかない……。
氷塊が段差にヒットしてサイドシルが変形したことがあるが、おそらくサイドシル下側の合わせ目が変形して、隙間から凍結防止剤がどんどん浸入したのかもしれない。
数年前の写真を確認すると水抜き穴が潰れている。さらにジャッキポイントも変形していた。隙間から塩水がしみ込んでしまい、シル内部は塩漬け状態になっていたのかも?
“錆の大原因” 真冬の道路は 味噌汁並みの塩っ辛さでした
錆は電解質の作用により発生するもの。それを防ぐために塗装や防錆施工を行うのだが、それでも水分が滞留すると電流が流れやすくなる。さらに塩はより電気を流しやすい性質を持つため、塩水は錆の大敵というわけだ。最近は塩害の出にくい凍結防止剤も登場しているが、まだまだ主力は塩化ナトリウム。つまり塩である。もしかして道路って塩辛いのかな?と確認したところ、その結果は想像以上のレベル。やはりクルマには厳しい状況でした。
早朝に凍結防止剤が散布された道路は、氷点下でも昼頃には凍結せず、濡れた状態になっていた。この水をスポイトで採取して、塩分濃度計で測定してみることにする。
結果は味噌汁並みの1.1%という塩分濃度。実は「意外に塩辛くないのではないかな~」なんて思っていただけに、この結果はかなり衝撃。錆が減らない理由を再確認できた。