故障・修理
更新日:2019.10.31 / 掲載日:2019.10.31

絶滅危惧種スバルサンバーを快走仕様!「第22回 外装パーツ塗装 【下地処理編】」

前回でサンバーの樹脂パーツ取り外しを行った。いよいよ塗装の準備となるが、樹脂パーツは素材がいろいろ。樹脂に合った下地処理を行わないとツヤがなくなったり、走行中に剥がれてしまったりすることもある。密着を高めるためのプライマーやサフェーサー、足つけなど、気持ちよくカラーリングするための下地を作っていきたい。

SUBARU Sambar TV1 app.K (2007)

樹脂表示をしっかり確認して素材を使い分けるのが肝心!

 前回で樹脂パーツを取り外したりディアス用のパーツを集めたりと確実に塗装の準備は進んでいる。リヤガーニッシュにはゴルゴ14さんからいただいたエンブレムを加工して貼り付けようとスムージング処理などを行っている。取材協力いただいているペイントのプロであるK-Advance三浦代表に塗装のコツを伝授してもらいながら、いかにカッコよく仕上げるかを試行錯誤中だ。

三浦氏は下地7割という表現をされるが、まずは樹脂パーツの素材に合った処理方法が重要だということ。パーツの裏側を見ると素材が表記されているので、それに合わせるという。缶スプレーであっても処理の方法は同じだ。手間を惜しまずしっかり仕上げて完成後の美しいツヤを確保したい。

PPと表記されているポリ○○○系は塗装が密着しにくく、表面を荒らす「足つけ」が必須。それにプライマーという塗料の密着を高める処理を行うという。一方、ABS系はその必要がなく塗装の密着度が高いのでプライマー処理ではなく、直接サフェーサーを塗布する。

樹脂の場合、パテを盛ってサンダーで磨く時にも、最終的には手作業で面を出すが、ちょっとした研ぎ作業でも力によって歪んでしまいがち。手でしっかり支えを行い、表面を出すには手のひらの全神経を使って表面を確認しながら行うようにしたい。

パテは種類によって程度は異なるが溶剤の揮発後に必ず痩せるので、完全乾燥してから研ぎ出すことが必須。

リヤガーニッシュのスムージング処理をしたパテの部分は、当然樹脂部分とは違う素材なので、サフェーサー処理を行う時も先にパテの部分にサフェーサーを一吹きする。パテ部分だけ約70ミクロンほど厚くしておくだけで、色を入れてからの経年変化で痩せが生じにくくなるという。

今回はサフェーサー処理ができるABS系の樹脂を先に仕上げておいた。部位はフロントグリル、リヤガーニッシュ、ドア回りのディアス用パネルである。樹脂処理は同じものの、これ以外はPP系なのでプライマーを先に塗って完全乾燥を待ち、サフェーサー処理を行う。

第22回 外装パーツ塗装 【下地処理編】

ゴルゴ14さんから送っていただいた旧サンバーパーツの中にエンブレムがあったので、それをリヤガーニッシュに取り付けるためにスムージング処理。

JoyBondのZ1スムージングパテはマイクロバルーン配合で軽量で痩せにくい。

樹脂パーツの裏を見ると、素材表記がされている部分がそれ。

PPやPC/PETはポリ〇〇系で塗料が馴染みにくいためプライマーを使用。

AESはABS系でサフェーサーのみで十分に塗料が樹脂に馴染む。

パテのサンディングは山の高いところから削る。

削る力で樹脂が歪みやすいので手を下から添えて変形しないように削っていくのがコツ。

サンドペーパーは#120あたりから始めて徐々に細くする。手のひらで感触を確かめながら手作業で面を出していくと上手く仕上がる。

速乾性パテのラクーダを使用。缶に明記されている数字は細かさを表す。#120などサンドペーパーと同じ表記。色も各色ある。

パテを混ぜる時に注意を払っていても気泡は抜けきらないので、切削後に凹みや肌荒れが出てしまう。ここで細目パテを使用する。

パテの盛り方は周辺薄く中心盛り上げで、ヘラの立て方で薄くしたり厚くしたりできる。

熟練の技だが乾燥後の切削が楽になる。

トヨタはこういった作業用のマニュアルも作っていてディーラーサービスマンはこれに従っている。

ちなみに三浦さんは1級のスゴ腕!

ポイント!

細目パテの粗切削が終わったら仕上げには#320ペーパーを使い、樹脂を含めた全体を均す。それまでについたヤスリ目を消していく。

サンドペーパーをちぎる場合、砂目を内側になるように折り目をつけると簡単に綺麗に分割できる。上級者でも意外と知らない事実。

#320の仕上げでは、手による感触を確かめる頻度を上げ、微妙な凹凸を感じながら切削していく。手に伝わる感触は何物にも代えがたい。

仕上げのサンディングでは全体の目がクロスする(矢印)ように仕上げていくと、目にサフェーサーが入り込んで強固になる。

パテ回り全体が仕上がったら、足つけの意味で、スコッチブライトを使って樹脂全体に細かい傷をつけて、サフェーサーを食い込ませる。

周辺に数か所接着されている防振ゴムは取り外さず、塗装面にかからないように少しだけ起こしてマスキングテープを巻いておく。

エンブレムは両面テープで強固に貼り付けてあるので、少し温めてからヘラを差し込んでゆっくりと起こしながら手で外すようにする。

ガーニッシュと同様に足つけのために#320でサンディング。

そのあとスコッチブライトを手でかけて凸凹全体に薄く傷をつけておく。

サフェーサーはウレタン系を使用したが特にこだわることはなく、缶スプレーのプラサフなども大丈夫。必ず湯煎して内圧を上げる。

塗装前にはシリコンオフを使って全体を脱脂する。ホコリは脱脂後にマイクロファイバーを水で固く絞ったものを使って拭き取る。

ガーニッシュには塗膜を厚くするためにパテ部分を先に吹いておく。ガンの折り返し位置が重ならないように全体を均等に吹き付ける。

下地7割というが、サフェーサーを吹いた段階ですでにツヤが出始めている。多少垂れても構わないので本塗りの練習にもなる。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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