故障・修理
更新日:2021.04.01 / 掲載日:2021.04.01
RENAULT サンクターボ公道復帰計画 その3
ファクトリーに入り不良箇所を洗い出す。不動車とはいえそれほど悪くないサンクターボ。公道復帰に向けて手順は決まった。が、しかしまだ何か問題が潜んでいるのか?パーツは揃うのか?それはまだ誰も知らない……。
「不動車とはいえ、程度はそれほど悪くない。走らせるだけなら、そう手間は掛からない。しかし完璧を求めるならすべてに手を入れなければならない」
シージークラフトに搬入され、小林さんがサンクターボを検証した印象だ。
どこまで手を入れレストレーションするかは、後々オーナーと相談するとして、まずは安全に走行できるようにメンテナンスを行って、車検を通すことにした。
最初に取りかかるのはエンジン、そしてブレーキという順序になる。
長い間、放置されていたサンクターボだけに、エンジンの固着が懸念されていたが、幸運にも固着はしていなかった。しかし燃料タンクには少なくとも15年物のガソリンがなみなみと入っている。「ワインだったらオールドヴィンテージだね、ご馳走したいね」
と、小林さんは冗談まじりで話したが、しかしガソリンでは笑えない。
俗にガソリンが腐ると言われているのは、ガソリンに含まれるアルケンが空気中の酸素に触れて酸化し、ギ酸や酢酸に変化する現象である。
これらの酸は、金属部品を腐食させることもあり、揮発しやすい成分だけが抜けて、流動性の悪い、粘着質のワニスやガム質と呼ばれる残渣が残り、燃料系を詰まらせることもある。
燃料タンクからインジェクションまでの燃料系のクリーニング、消耗品の交換を行わなければ、セルモーターを回し、エンジンに火を入れることはできない。
現在、燃料タンク内の古いガソリンを抜き取り、クリーニングと乾燥をし、次の工程に移るのを待っている状態である。
次にブレーキ系だ。
小林さんはフェリー乗り場に着いたサンクターボを積載車に載せ替える時、ブレーキに違和感を覚えたという。「片効きしている。ひょっとしたら左前輪しか効いていないかもしれない……」
ブレーキキャリパーのピストンが固着して作動しないことは長期間放置してあった車にはよくある現象だ。サンクターボも例外ではない。
ブレーキ系は徹底的にオーバーホールを行う。車検に通すことよりも、もし、正常にブレーキが効かなければ人の命をも危険にさらすことになるからだ。
四国を横断し徳島からフェリーに積まれ東京港・有明に着いたサンクターボ。シージークラフトの積載車に載せ替えられファクトリーに向かう。この時小林さんはブレーキの効きに違和感を覚えたという。
降ろされたポリエチレン製の燃料タンク。タンク自体はそのまま使えそうだ。古いガソリンを抜き取り、内部を洗浄する。手前のタンクは助手席、奥のタンクは運転席の真下に配置されていた。
東京港・有明より埼玉県戸田市にあるシージークラフトに着く。これからサンクターボは厳密にチェックされ、公道復帰計画が立てられる。
新品のブレーキマスターシリンダー。ターボ1の物は無かったのでターボ2の物を流用する。配管のアレンジも必要になってくるだろう。ブレーキ系はエンジンがかかった後、手を入れる予定になっている。