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故障・修理
更新日:2019.03.07 / 掲載日:2019.03.07

スカイラインの血統 NISSAN SKYLINE RS/RS-TURBO DR30

6代目として1981年に登場したR30スカイライン、通称「ニューマン・スカイライン」。そのホットモデルが2か月遅れで追加されたRSだ。その心臓には、新開発された4気筒DOHC 4バルブのFJ20Eを搭載。FJ20はDR30とS110&S12シルビア(ガゼール)にのみ搭載された短命なエンジンだったが、NAで登場し、ターボ化、さらにはインタークーラーの装備により出力向上を図っていった。最終的には205PSを誇ったパワーでライバルを圧倒し、スカイラインファンを熱狂させた。自ら「史上最強」を豪語したDR30スカイラインは、現在も多くのファンに愛されている。

●文:坪内英樹 ●撮影:鈴木軽太郎

MC半年前にターボを追加 その心意気に熱くなれ!

 スカイライン専用といってもいいFJ20エンジンを搭載したDR30型スカイライン。GT-Rの称号の復活こそなかったが、4代目、5代目で果たせなかった、当時のスカイラインに求められたサーキットでの華々しい活躍も果たし、スカイラインらしさを取り戻したモデルといえる。
 そんなDR30だが、1981年にデビューしてからエンジンとその他が別々に進化を遂げるのが特徴だ。
 まずはボディ。前期はいわゆる3本グリル、後期は鉄仮面とフロントマスクで前期後期がしっかりと区別できる。この鉄仮面への変更は、R30型の登場からちょうど2年目となる1983年8月となる。
  そんなボディの変更とは全く関係なく、エンジンは別に進化を遂げていく。ご存じのように、まずはNAで150PSのFJ20EでRSがデビュー。次に至上最強を謳ったFJ20ET搭載のターボRSが登場するが、なんと後期型の鉄仮面に移行する半年前にラインナップされているのだ。その半年後に後期型へとMCされるが、この時点ではまだ鉄仮面でもターボRS。RS史上最強となる205PSを誇るターボインタークーラーRS(通称ターボC)が登場するのは、MCの半年後なのだ。
  その後、点火システムを変更したプラズマも登場したわけだが、DOHC4バルブから始まり、ターボ化、さらにはインタークーラーの装備と心踊るメカニズムと、それに付随する史上最強のパワーアップこそがDR30の魅力といえよう。

SKYLINE RS (DR30) DATA FILE

SKYLINE RS (DR30) の入手難易度&購入予算は?

入手難易度:★★★
中古車相場:110万~550万円

中古車市場に流通するDR30の多くは、外装をリフレッシュしたものが多いようだ。内外装パーツの新品供給がほぼ皆無なだけに、見た目が整っていることは確かに重要。しかしメカニカルな部分を疎かにすると、こちらも部品供給は限定的で、しかも整備には莫大なノウハウが不可欠なので、後々困ることになる。そんなリスクを避けるには購入後も自社で整備を行ってくれる専門店で購入するのが得策だろう。



■SPEC
2000RS 2ドアHT (前期)
●全長×全幅×全高:4595×1665×1385mm●車両重量:1105kg●エンジン:FJ20E型水冷直列4気筒DOHC ●排気量:1990cc●最高出力:150PS/6000rpm(グロス)●最大トルク:18.5kg-m/4800rpm(グロス)●サスペンション形式:ストラット / セミトレーリングアーム●ブレーキ:Vディスク / ディスク●タイヤサイズ:185/70R14

2000ターボインタークーラーRS・Xセダン (後期)
●全長×全幅×全高:4620×1675×1385mm●車両重量:1235kg●エンジン:FJ20ET型水冷直列4気筒DOHCターボ ●排気量:1990cc●最高出力:205PS/6400rpm(グロス)●最大トルク:25.0kg-m/4400rpm(グロス)●サスペンション形式:ストラット / セミトレーリングアーム●ブレーキ:Vディスク / ディスク●タイヤサイズ:205/60R15

エンジン本体は頑丈だが、補機類の不具合により不調に陥っている個体多し

メカ好き、いじり好きの方に DRは乗ってほしい

「初めての愛車がDRで、それ以来ずっと乗り続けてますよ」
  という好きが高じて現在ではDR30の専門店を営むというKRSの隅田さんに、DR30の好調を保つためのメンテナンスについて伺った。br>「結構タフなクルマですから、純正部品の供給が本当に少ないという以外は、特に問題なく乗れると思いますよ。とはいえデビューして40年近い立派な旧車ですから、しっかりとメンテナンスしてやることが重要だと思います」
  純正部品が手に入らないとなると、一般整備をするのも大変なのでは……?
「確かにそうかもしれません。流用できる部品などのノウハウは必要不可欠ですね。ウチではDIYでDRのメンテを楽しんでいるオーナーさんに対応する部品などを販売することも可能ですので、気軽に相談してもらえればと思います」
 DRは今でもDIYで楽しめるクルマなんでしょうか?
「重整備はともかく、僕はオートメカニックの読者さんのように、ある程度クルマのメカニズムの知識があって、簡単な修理ならこなせる方に乗ってもらいたいと思ってます。やっぱり旧車ですから、出先でトラブルが発生することもなくはないですから。そこでオーナーさん自らがトラブルシューティングできれば、自力で帰ってくることができる。そんなトラブルも楽しめるぐらいの方のほうがよりDRを楽しめるはずですよ」

フロントカバーまわりからのオイル漏れ多し

FJ20は非常に頑強なエンジンで、40年近く経過した今でもノンO/Hで走っていることも珍しくない。O/Hするにしても、オイル上がりやオイル下がりといった消耗部品の交換がメインとなるものがほとんど。定番トラブルとしては、チェーンテンショナーの不具合によるフロントカバーまわりからの異音が昔から有名だ。オイル漏れはオイルパンやカムカバー、フロントカバーまわりが定番となる。

インマニ周辺のコントロール ユニットの不良が不調の原因

エンジン本体は頑強なFJ20だが、エンジン不調のトラブルがないわけではない。その原因となるのが制御系補機類の不具合。まずアイドリング不良であれば、サージタンク部に付くAACバルブや右側ストラットタワー前に付くVCMバルブに問題があることが多い。またインマニの下側に付くデスビに備わるクランク角センサーもエンジン不調の原因となる。

インジェクターは ホースとカプラー を交換したい

燃料系はまず燃料ポンプのトラブルが定番。他車に流用されることの多い部品なので、現在でも純正部品が供給されるが非常に高価。インジェクターは本体の洗浄を行えばまだまだ使用可能だが、カプラーや燃料ホースの劣化が進んでいるのでそれらは交換したい。

外側だけでなく内側も 冷却水ホースの劣化に注意

冷却水ホースは交換時期となっている車両が多い。ヒーターホースなどは外からのひび割れのチェックと共に、潰してみてザクッという音や感触があれば、冷却水のコンディション不良により内部の劣化が進んでいると思われるので、もしそんな感触があれば迷わず交換だ。

水温関係のセンサー&スイッチのトラブル多し

水温に関わるセンサーはファンスイッチが壊れやすく、壊れるとオーバーヒートを引き起こす。サーモハウジングのセンサーはECUへの水温信号となるが、こちらも壊れやすく、壊れていると、エンジンの始動性が悪かったり、走行中にエンジンが吹けなくなる。

O2センサーは本体不良の他にも、断線がよくある

タービン直後に組み込まれるO2センサーによるエンジン不調も昨今よくあるトラブルだという。走行中にエンジンが吹けなくなるような不調を抱えている場合は疑ってみて損はないはずだ。本体の不具合と共に、ハーネス断線が原因となることもあるそうだ。

ファンベルト駆動のパーツやテンショナー類の不具合

エアコンやパワステなどの快適装備が当たり前になり始めた80年代初頭のクルマだから、エアコンコンプレッサーやパワステポンプなどが多数のベルトで駆動される。これらはオルタネーターも含めO/H時期を迎えている他、テンショナープーリーの状態も要確認。

点火コイルは交換時期、年式によりバリエーションあり

点火コイルも交換時期を迎えている。また点火コイルは年式によりバリエーションがあるので交換時は要注意だ。プラズマタイプはパワートランジスタ不良でのエンストも多いので早めの交換が望ましい。純正部品の供給はないが、KRSでは代替品を用意している。

純正エンジンマウントはヘタりきってしまっている

液体封入式のエンジンマウントが採用されていたDR30だが、純正新品の供給は既に絶たれているため、新品に交換する場合は強化ゴムタイプの社外品となる。エンジンからの振動はかなり拾うようになるが、一般走行での乗り味でも交換後はかなりよくなるようだ。

【内装系】目立ったトラブルは少ないものの純正新品部品の供給は皆無

2種あるPWモーターだが現在供給があるのは1種

パワーウインドウはモーターのトラブルが発生することがあるそうだ。問題が部品供給。右前用はあるが左前用は製造廃止となる。ちなみにリヤやフロントと同じモーターなのだが、左後ろ用は右前、右後ろ用は左前用と共通。つまりリヤは右が壊れると部品がない。

デフォッガースイッチがよく固着している

各スイッチ類はライトやワイパーのレバーに付いたものや、センターコンソールに付くパワーウインドウスイッチなど特に壊れやすいものはないそうだ。唯一トラブルが多いのがデフォッガーのスイッチ。中で接点が焼き付いてしまうことが多いという。

ダッシュボードのクラックはほとんど発生しない

旧車の定番トラブルとなるダッシュボードの割れだが、DR30に限っては割れてしまうことは少ないそうだ。もちろん全くないわけではないが、きれいな状態を保つものが多い。

スピード&タコメーター共にトラブルを抱えたものが多し

メーターはスピード、タコメーター共に問題が発生する車体が少なくない。タコメーターは不動になってしまうが、スピードメーターは針が揺れてしまうという症状が出る。

教えてくれたのはKRSの隅田さん

自らもDR30に乗り続けているという隅田さんが営むDR30専門店がKRS。純正部品の供給が非常に少なくなってしまっているDR30を専門に扱っているだけに、オリジナルのリプロパーツの製作や他車種用を巧みに使うノウハウが豊富なのが心強い。それらのパーツは通販などで販売も行っており、DIYでDRをいじるオーナーにとっても心強い存在といえる。

KRS
所在地:埼玉県さいたま市岩槻区城南3-6-41
TEL:048-795-6026
URL: http://www.dr30.jp/

外装パーツは部品の供給がほぼないと思って間違いなし。つまり破損厳禁

【足回り】メンテされてこなかったブレーキに大掛かりに手を入れたい車両多し

ロアアームのボールジョイントは現在部品供給なし

ストラット式のフロントはテンションロッドのブッシュの劣化によるガタや、スタビのマウントやリンクブッシュの劣化が定番だ。またロアアームはブッシュの劣化はもちろんだが、ボールジョイントにも昨今ガタが目立つという。しかし新品の供給がなく、簡単には改善できないそうだ。

交換すると分かるブッシュやゴムマウントのヘタリ

リヤはセミトレーリンクアーム式。特にガタなどは発生していないが、アームのブッシュを現状手に入る強化品に交換すると乗り味がかなりよくなるようだ。またサスペンションメンバーのマウントもゴムを介するので、ここも替えてみて変化が分かる部分のようだ。

ギヤボックスからのオイル漏れは定番

DR30のステアリングはいわゆるボールナット式。各ボールジョイントはガタやブーツの破れに注意が必要。またパワステ車両はギヤボックスからのオイル漏れが定番のトラブルとなっている。長く乗り続けたいなら一度リフレッシュを行ったほうがいいだろう。

分解整備が必要な車両多し

フロントブレーキは一般的な片押しタイプのキャリパーとVディスクの組み合わせ。長期間分解整備を行っていない場合が多く、ピストンにサビが発生していたり、シールが劣化してしまっているそうだ。分解整備の履歴がないような場合は一度フルO/Hしておこう。

純正部品の供給はないがKRSに代替品の用意あり

ブレーキホースも純正部品の供給が終了してしまっている。社外のメッシュホースなどに交換してもいいが、KRSでは耐久性なども加味して他車用の純正ホースをDRに使えるようにしている。ちなみに部品単体販売も可。

サイドブレーキ部分までフルO/Hを施してやろう!

リヤキャリパーはサイドブレーキが組み込まれているので、フロントよりもトラブルを抱えたものが多い。KRSではサイドブレーキのレバー部のローラーベアリングを用意し、分解整備時に交換できるようにしている。またブレーキホースは片側2本必要だが、純正はそのうちの内側1本のみの供給なので、KRSでは外側の同等品を用意する。

【駆動系】スピードメーターケーブルも悩める部品のひとつ

ミッションからオイル漏れ! シフトブーツからも

ミッションは一般的な乗り方であれば、特にO/Hが必要となるようなものは少ないという。ただしオイル漏れは発生しているので、その部分の修理は必要となってくる。漏れが発生するのは、プロペラシャフトの継ぎ目や、シフトレバー部のオイルシールから。クラッチ交換などミッションを降ろす際に交換しておくといいだろう。

ニュートラルスイッチは新品部品の供給なし

ミッションに付くスイッチはニュートラルスイッチとバックランプ用スイッチのふたつ。バックランプは今でも部品供給があるが、ニュートラルスイッチは供給なし。またスピードメーターケーブルは多数設定があったのだが、現在部品が出るのは1種類のみ。

ミッションマウントもエンジン側同様交換時期

ミッションマウントも劣化が進んでいる場合がほとんど。写真のものは丁度ミッションマウントを交換したばかりだという。純正部品は出ないので選択肢は強化品のみとなるが、新品に交換することで、シフト操作なども気持ちよく行えるようになる。

プロペラシャフトは今のところ大きな問題なし

プロペラシャフトは、他車では定番トラブル箇所だがDRはジョイント部やセンターベアリングなどから音が出てしまっていることも少なく(センターベアリングのみごくまれに異音が出ているものがあるそうだ)、現在でもメンテナンスフリー状態が続いているという。

ピニオンギヤからの異音があればベアリング交換

デフのオイル漏れ発生箇所は、プロペラシャフトのジョイント部からが多いという。ちなみにピニオンギアのベアリングもガタが出始めている車両が目立ち始めている。うなり音などが気になるようなら、デフのO/Hを施してやってもいいだろう。

ドライブシャフトブーツはKRSに代替品あり

前輪駆動車のドライブシャフトのように車検ごとに交換が必要というわけではないが、ドライブシャフトのブーツ切れが発生しやすいのは他車同様。しかしインナー側ブーツは純正部品の供給がないという。KRSではデフ側の固定方法を一般的なバンド式に変更し代用できるブーツを用意している。

【外装系】今付いている部品を大切に! 外装には特にこれが重要

錆の定番発生箇所は前ホイールハウスまわりの2か所

ドアのモールが経年劣化で割れてしまう

紫外線による劣化が原因と思われるドアモールのクラックが外装系の定番トラブルのひとつとなる。またサイドステップやバンパーなど黒い部分が白っ茶けてしまうのも、DRの外装劣化の「あるある」といえる。

鉄仮面だけでなく前期でも光量不足に悩まされる

薄いデザインが特徴となる鉄仮面のヘッドライトが暗い、または車検時に光量が足りず検査ラインで不合格となることは随分昔からDRオーナーの間では定番トラブルとして知られている。現在では前期型のヘッドライトでも同様に光量不足が発生することも。分解して内部を清掃したり、ハーネスを引き直すなど根本的な対応が必要となる場合が多いようだ。

前期も後期もテールランプは水の侵入が定番トラブル

テールランプに水が溜まってしまうというのもDR30の外装トラブルの定番。後期型はクリアタイプなので水が溜まっているのが分かりやすいが、前期型ではよく見てみたら水がいっぱいになっていたなんてことがよくある。合わせ目にシール剤を充填することで水の侵入が止まることもあるそうだ。

ウインカーの電球交換がかなり面倒(特に後期は)

フロントバンパーに付いたウインカーとポジションランプ。実はこれらのバルブ交換が非常に面倒なのだそう。特にターボCはフロントスポイラーやインタークーラーが邪魔をして、たかがバルブ交換とは思えぬ面倒な作業となるようだ。前まわりを分解する作業があったならば、バルブ切れがなくてもついでに交換しておくといいだろう。

ドアの閉まりが悪いのはドアキャッチ側が原因

ドアが半ドア状態になってしまうというのも定番トラブルのひとつ。その原因はボディ側に付くドアロックのキャッチ部。その樹脂部品が割れて動く(回る)ようになると、ドアが閉まった状態を保持できなくなるそうだ。

窓まわりのゴムは一部リプロパーツあり

ハードトップとなる2ドアのドアやウインドーまわりのゴムパーツは非常に重要ながら、純正部品の供給がない。KRSではドアコーナーフィニッシャーやリヤクオーターウインドウの前方に付くセンターシールをリプロパーツとして販売する。ただしすべてのパーツがあるわけではないので、モール部などの劣化は現状諦めるしかない。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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