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ミッション・駆動系修理・整備 [2019.10.01 UP]

トルクコンバーターの仕組み・構造とは

〔トルク増大の理屈〕

はね返ったオイルを反射板が受け止め、方向を変えて送り込むと、トルクが増大する。


 フルード・カップリングは、断(カット)の時はもちろん、両者に回転差がある時は、中のオイルをかきまわすだけで、トルクの伝導は全く行なわれないか半減する。この欠点を補うように改良したのがトルク・コンバーターだ。
 このトルク・コンバーターの原理をスマート・ボールを例にとって説明しよう。
 球がまわる盤のまわりの円形の隔壁(しきり)だけで真中のたくさんの穴はないものとする。だからボールは周運動だけしかできない。最初にボールをはじくと周回転を始めるがすぐに力尽きて止ま ってしまう。
 そこで球が一周して戻ってきた時に、もう一度最初と同じようにはじくと球はさらに勢いを増して一周する。このように一周ごとに球をはじいて力を加えてやる。
 そうすれば1周目より2周目のほうが勢いがよく、3周目ならなお強い力が出るうえスピードも増す。たとえば1回目は10の力で一周し、戻ってきた時に3の力が残っていたとする。そこで、また10の力が加えられるのだから13の力になる。3周目で7の力を費やしても6の力が残るので、また10を加えれば16になる。
 ボールの代わりにオイルを利用してみよう。1枚のホイール(単輪)の外周上にお椀を固定する。そのお椀の内面にオイルをノズルから噴射して吹きつける。しかし、その力はたいしたことはないので、お椀を指で軽くおさえるだけでホイールの回転は止まる。
 そこでお椀の前に1枚のわん曲した案内板(ガイド)をおいてホイールとは関係なく動かないように固定する。そして同じようにオイルを噴出すると大分違った働きをするようになる。
 お椀に吹きつけられたオイルはお椀へ押す力を与えた後、お椀の内側の曲面にそって反対方向に戻 ってくる。
 さらに案内板の曲面にそって再び元の流れの方向に向かって進む。その時ノズルから噴出したオイルが循環しているオイルを押して再び力を加える。だからスマート・ボールの理論と同じように、お椀を押すオイルの力は大きくなる。もう指どころか片手では回転する力を阻止できなくなる。これがトルク・コンバータ ーの働きだ。

〔トルク・コンバーターの仕組みとオイルの流れ方〕

タービン・ランナーにぶつかったオイルは、ステーターで整流されて、再びポンプ・インペラへ戻る。


 トルク・コンバーターはフルード・カップリングの構造にさらにもう1つの部品、ステーターを加えたものである。駆動側と受動側の取り付け位置はフルード・カップリングと反対になる。クランクシャフトに直結したハウジングの後のほうに前向きになってドライブ・ターラスに匹敵するインペラがケースに組み付けられている。またの名をポンプ・インペラともいう。
 ポンプ・インペラと相対的な位置でハウジングの前部に後向きになって、トランスミッションの入力シャフト(すなわちタービン・シャフト)に直結しているのがドリブン・ターラスに相当するタービン・ランナーである。
 そのほかにトルク・コンバータ ーの場合は、新しくステーターなるものが両者の中間部分にあって、この3つでドーナツ型を形づくっている。ステーターは他の2つと異なりベーンが両面に作用するようになっている。
 そしてステーターは、トランスミッション・ケースから突出したタービン・シャフトで支えられている。ステーターとシャフトの間にはワンウェイ・クラッチが嵌合している。だからステーターはクランクシャフトの回転方向にはフリー回転するが、逆方向では、このワンウェイ・クラッチが働いてステーターをシャフトにロックして固定してしまう。
 フルード・カップリングの内面の隔壁(ベーン)は中心から外周に向かって直線的な放射線状にな って取り付けられている。しかしトルク・コンバーターのインペラのベーンはオイルの流動作用が効率的に働くようにわん曲している。またタービンのベーンは、オイルが流れる力をトルクとして受けとめ、さらに流れの向きを変えるために極端にわん曲した形になっている。
 ステーターには、わん曲したベ ーンが斜めに取り付けられているので、オイルは一方から他方へベーンの間を通り抜けて出ていくことができる。
 またオイルがステーターのベーンの背面にぶつかる時は、ワンウェイ・クラッチが働いてステーターは他のインペラやタービンと同じ方向に回転する。
 もしオイルがベーンの内面に当たる時はステーターが固定され回転できなくなるので、オイルだけがベーンに当たって、流れの向きを変えてインペラのほうに戻って行き、トルクを倍増させる働きをする。

トルク・コンバーター内のオイルの流れ方と作用は?

〔オイルの流れ方と作用〕

 トルク・コンバーター内のオイルの流動作用は2つに区別できる。ボーテックス・フローとロータリー・フローである。そしてボーテ ックス・フローがトルクの倍増作用を行ない、ロータリー・フローはたんに回転およびトルクをそのまま伝導する働きを受け持っている。
 今ではあまり見かけられないが電熱器のニクロム線を思い出して頂きたい。1本のニクロム線の両端をつないで全体を円形にする。その場合、細かく渦が巻いているのがボーテックス・フローである。そしてニクロム線全体が自転車のリムのように回転する状態がロータリー・フローだ。
 では、実際のオイルの流れとトルクの倍増の働きについてみてみよう。エンジンが回転する時は当然インペラもクランクシャフトと同じスピードで回転している。ところがクルマが停止しているのでトランスミッションの入力シャフトは回転しない。したがってタービンも回転しない状態にある。
 そんな時にエンジンの回転を上げてみよう。洗面器の理論で説明したようにインペラ内のオイルに遠心力が働きインペラのベーンにそってオイルが外周へはじき出される。そしてタービンの中に流れ込んでベーンに衝突するのでベーンは回転を開始する。
 ところが実際には理論通りにはいかない。タービンはトランスミ ッションのシャフトに直結しており、さらにシャフトはリヤ・ホイールに接続しているので、少しくらいの力が加えられたからといって簡単に回転するわけではない。
 そこでトルク・コンバーター内のオイルはタービンのわん曲したベーンにぶつかって流れの向きを元のインペラのほうに変えてしまう。オイルの流動エネルギーはタービンに衝突したので大分弱くな ったとはいえ、まだ相当の余力が残っているはずである。
 その余力のあるオイルの流れは、ステーターのベーンの腹面にぶつかる。そこでオイルの流れはちょうど最初のインペラと同じ方向に戻ってしまう。
 インペラはスマート・ボールの原理と同じようにクランクシャフトの回転力を借りて再びオイルの流動作用に力を加える。
 ここが大事なところであるから、くどいようだが、もう一度復習しよう。つぎの6つのことを念頭においていただきたい。
1.インペラが回転していること。
2.そしてインペラと相対しているタービンは固定していること。
3.ステーターはベーンの腹面から押されたら回転せず固定すること。
4.もし背面から押されたらインペラと同じ方向に回転すること。
5.そこでオイルはスマート・ボールの原理のようにインペラ、タ ービン、ステーターと順次その内面をぐるぐるまわるボーテックス・フローの流動になること。
6.またインペラの回転に合わせてオイル全体が、トルク・コンバ ーターの内部でロータリー・フローをすること。

トルク・コンバーターのカップリング・ポイントとは

〔カップリング・ポイントは何か〕

 ボーテックス・フローを大まかに説明すると、次のようになる。
 オイルがインペラによって加速されるとタービンに衝突してタービンにトルクを伝える。タービンのベーンに当たったオイルはステ ーターに入って流れの向きを変え再びインペラへ戻る。さらにインペラで加速されてタービンにトルクを伝導する。
 このようにニクロム線の渦巻きと同様にぐるぐるまわっているうちにスマート・ボールの原理でしだいにオイルの流動する力が大きくなりタービンに加えられるトルクがインペラの発生トルクよりも大きくなる。これがトルク倍増のポイントだ。
 このようにしてタービンに加わるオイルの力が大きくなるとタービンが回転し始める。それまではインペラの中にあるオイルだけが大きな回転運動(いわゆるロータリー・フロー)していたわけだ。今度はタービンが動きだしたのでタービンの中のオイルもロータリ ー・フローを行なうようになる。
 そこでインペラとタービンの回転差が若干縮まることになりトルクの倍増はその分だけ少なくなる。
 たとえば今までインペラの回転が10でタービンがゼロとするとインペラが1回転する間(すなわちインペラ内のオイルが1回ロータリー・フローを行なう間)に、10回のボーテックス・フローを行な っていたわけだ。だからインペラのトルクが1ならタービンのトルクは10に倍増されるはずである。実際には2倍前後になるのが最高なのだが……。
 つぎにタービンが回転し始め、インペラのロータリー・フローが10、タービンのほうが2になればタ ービンも回転してしまうのでボーテックス・フローが8回くらいしか行なわれないことになる。ちょうどスマート・ボールの原理でボ ールをはじく回数が10回から8回に減ったのと同じである。当然トルクの倍増は4/5の8倍にしかならない。実際には最高2倍の4/で1.6倍になる。
 こうしてタービンの回転数がインペラの約90%に達した時(インペラの回転が10でタービンの回転が9になった時)、もうボーテックス・フローの働く余地がなくなり、タービンの中のオイルもロータリー・フローだけになってしまう。ニクロム線の渦巻は関係なく、 1本の円形の針金の状態になって回転することになる。このような状態がカップリング・ポイントである。
 カップリング・ポイントになるとタービンからのオイルはステーターに入った時に、ステーターのベーンの背面にぶつかるようになる。するとステーターはタービンと同じ方向に回転するからトルク・コンバーターはフルーイド・カップリングと全く同じ働きをするようになる。
 かつてはいろいろな形のトルクコンバーターが採用されていたが今日ではほとんど1種類になってしまった。対称・3要素・2相・1段型である。
 対称型とは、インペラ、タービン、ステーターの3つの部分の断面が左右対称形になっていることを示している。3要素型とは、インペラ、タービン、ステーターの3つの部分から成り立っていることの意味。2相型とは、トルクの伝導というフルード・カップリングの作用とトルクの倍増というトルク・コンバーターの作用を意味する。

トルク・コンバーター内の作動過程

〔タービンの速度によるオイルの流れ方の変化〕

 トルク・コンバーターの構造と作動原理を詳しく調べてきたが、最後の仕上げとして、もう一度、実物の作用についてみてみよう。
A.タービンが停止している時
 俗にいうストール状態のことである。エンジンは回転し、トランスミッションのギアはかみ合っているのにクルマが停止している状態である。中のオイルはインペラから回転方向にそって遠心力によ って流れだす。このオイルの流れを受け止めるタービンのベーンのわん曲はインペラと逆である。だからオイルの持つ力を受けとめ、そしてインペラの回転方向とは反対の方向にオイルの流れる向きを変えてしまう。
 ステーターはタービンから流れてきたオイルをベーンの腹面で受け止めてオイルの流れる方向を元の回転方向に変える。そこで再びインペラの力でオイルの流れに力が加わる。
 このようなオイルの働きでトルクが倍増されてタービンを駆動することになる。トルクの最大増大量はタービンが停止しているスト ール状態では約2:1、いわゆる2倍といわれているが最近は2.1:1で、 2.1倍くらいに上がっているはずである。
 トルク・コンバーターはギアのかみ合わせのようにトルクを倍増して伝えるといわれるがギアのように大きな倍率にはならない。これがギアとトルク・コンバーターのトルクの倍増能力の違いだ。
B.タービンが回転し始めた時
 停止していたタービンもオイルによるトルク倍増作用の働きによ ってついに動き始める。そして徐々に回転が速くなり、インペラの回転の1/2に達したとしよう。インペラから回転方向に向かって放出されるオイルはタービンのベーンの中を通る。だがこの時はストール状態と違ってタービンも回転し始めているのでオイルの進む方向(角度)の変化は大分少なくなってしまう。その理由はタービン・ブレ ードもインペラと同じように前方に向かって動いているからである。
 その結果ステーターによって行なわれるオイルの流出方向の調整量はストール状態よりも大分少なくなる。したがってトルクの倍増量も少なくなり大体1.5倍ぐらいになる。
C.カップリング・ポイント
 トルク・コンバーターの作用いわゆるトルクの倍増作用が停止してカップリングの働きだけになる状態はタービンのスピードがインペラのスピードの約9/10になった頃から始まる。
 タービンのスピードが増加するとタービンのベーンを離れるオイルはタービンの回転方向に向かう。このためステーターのベーンには何の力も作用しなくなる。したがってステーターから出たオイルは、ただインペラのベーンにそのまま流れ込むだけで、トルクの倍増は行なわれなくなってしまう。
D.タービンのスピードがカップリング・ポイントより速くなった時
 タービンの回転速度がカップリング・ポイントより速くなってしまった時、たとえばコースティング時やクルマに走行惰力がつきすぎた時などを考えてみよう。ギア・ミッションならエンジン・ブレーキが作用するのだがトルク・コンバーターではタービンがフリ ー回転になる。このような状態の時はタービンから流出したオイルがタービンの回転方向、いわゆる前進方向とほぼ平行になる。
 そしてオイルはステーターのベーンの背面と衝突するようになる。この時ステーターのワンウェイ・クラッチによってステーターは前進方向に回転を始める。
 こうしてインペラも、タービンもステーターもほとんど一体になって回転をするようになり、トルク・コンバーターは一種のフルード・カップリングとしての働きに変わる。
 トルク・コンバーターの働きを総合的に見ると次の3つの作用が自動的に行なわれることが分かる。
 1.自動クラッチの働き。エンジンがアイドル回転の時は、クラッチが切れた時と同じようにクルマは走り出さない。
 2.エンジンのトルクをトランスミッションが必要とする量に合わせて自動的に調整して伝導する。
 3.ギア駆動部分の変速操作の衝撃を吸収してエンジンに無理をかけず、またスムーズなシフト操作を助ける。
 シフト操作といっても、マニュアル・トランスミッションのようにドライバーが行なうのではなくDレンジに入れている限りは、油圧制御機構が適切なギアのかみ合いを選択するわけだ。

グーネットピット編集部

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