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吸排気系修理・整備 [2019.07.10 UP]

スーパーチャージャーの仕組み

過給そのものがスーパーチャージャーなのだが、排気エネルギーを活用するのがターボチャージャー、クランクシャフトからの動力を活用するのがスーパーチャージャーというように、現在では使い分けられている。
今回はそんなスーパーチャージャーの仕組みについて、スーパーチャージャーが歩んできた歴史を紹介しながら解説していく。

ルーツ型スーパーチャージャーの構造。トヨタが採用していたものは電磁クラッチで断続し、ローターには樹脂コーティングが施されていた。

 1921年、ベルリンで開催されたモーターショーに出品されたメルセデスのスポーツカーにはスーパーチャージャー(機械式過給器)が搭載されていた。1.5Lと2.6Lエンジンが用意され、最高出力は、それぞれ40psと60ps。自然吸気に対し50-60%の出力向上が図られていたという。これが自動車にスーパーチャージャーが採用された初めての例となる。もっとも、メルセデスにとってスーパーチャージャーは、これが初めての経験ではない。1885年にゴットリープ・ダイムラーはそれの特許を取得していたし、彼の息子が率いるエンジニア集団は第一次大戦時に航空機で実用化していたのだ。
 1922年、メルセデスは28/95psを製造、タルガフローリオに出場し3位になる。これをきっかけにヨーロッパの主なスポーツカー、レーシングカーメーカーはスーパーチャージャーに目を向けることになる。そして1923年、1979cc、直列8気筒、130HPエンジンを搭載したフィアット・ティーポ805がヨーロッパGPで初の勝利をスーパーチャージャーエンジンにもたらした。この時のスーパーチャージャーはベーンタイプと呼称されるもので、コンプレッサー内で羽車を回転させて空気を圧縮するものだったが、フィアットはその後、ルーツタイプへと変更するが、この勝利が引き金となり、GP用エンジンのほとんどがスーパーチャージャーを備えるようになる。 
 GPマシンのレギュレーションは時代とともに変わり、1926年から27年は1.5Lに、そして1928年から1937年までは、排気量の制限は撤廃された。そこで現れたのが怪物のようなマシン、メルセデスW125だった。5.66L、直列8気筒エンジンにルーツ型スーパーチャージャーを搭載し、最高出力は646HP。車両重量は約750kgといわれたから、馬力当たり重量はわずか1.2kg程度。当時の水準としては群を抜いたもので、瞬間最高速度は433.7km/hを記録したという。その後メルセデスはパラレルツインスーパーチャージャーを搭載したW154を開発し、それを発展させたW163は大、小の直列2ステージ型に改められた。1939年のGPでは5つのレースで勝利を収めている。
 全盛を誇ったスーパーチャージャーだが、1946年、過給1.5L、無過給4.5LというGPレギュレーションの変更によって苦境に置かれ、1951年、無過給のフェラーリ375がイギリスGPで過給のアルファロメオ159を下した時、終焉の時を迎える。

ロードゴーイングカーとスーパーチャージャー

 1923年、フィアット・ティーポ805がヨーロッパGPで初勝利を挙げた翌年にメルセデスはスーパーチャージャーを搭載したオープン4座のツーリングカー、オフナー・トゥレンバーゲンを製造した。3.92L、SOHC直列6気筒エンジンは当時としては最高水準の100HP/3000rpmを発生し、以後、スポーティモデルに採用されていくが、レースの世界と同様に、エンジン技術の向上によって、無過給でも十分な性能が得られるようになると、次第に用いられなくなっていく。
 スーパーチャージャーのパイオニア、メルセデスに関してしていえば、その契機は1952年に発表された300SLとともに訪れた。開発の初期にはスーパーチャージャーが試されたが、キャブレターに代わる燃料噴射装置が完成すると、十分な出力が得られるようになったからだ。
 忘れ去られたかのように見えたスーパーチャージャーが再び登場したのは1982年のトリノショーでのことだった。すでにターボチャージャーがパワーアップの手段としてラリーカーやスポーツカーに採り入れられていたが、ランチアは低回転域でのレスポンスとトルクを補う装置としてスーパーチャージャーを再び陽の当たる所に引っ張り出したのだった。搭載されたのはランチア・トレビ・ボルメックスとランチア・ラリー。ボルメックスは1995cc、2バルブDOHCで135HP/5500rpm、21.0kgm/3000rpm、ラリーは16バルブで205HP/7000rpm、23.0kgm/5000rpmを発生した。ランチアはさらにベータ・クーペを加え、フィアットは124スパイダーをベースにしたスパイダー・ヨーロッパ・ボルメックスを送り出した。 
 同じ年代に、国内でもスーパーチャージャーの開発は進められていた。1985年、トヨタはルーツ式のスーパーチャージャーSC14型を自社開発し、1G-GZE型エンジンに搭載した。さらに1986年、SC12型を開発し、4A-GZE型エンジンに搭載した。トヨタのスーパーチャージャーは、ローター表面に樹脂コーティングを施し、体積効率を飛躍的に向上させ、過給が不要な運転域では、電磁クラッチによってコンプレッサーとクランクシャフトの駆動関係を切り離し、駆動損失を最小限に抑える工夫が込められていた。カローラ・レビン/トレノ、MR-2、マークII、クラウンなどに搭載されだが、現在、スーパーチャージャーは採用されていない。
 トヨタ以外のメーカーではマツダが取り組んだが、マツダのそれはルーツ式ではなく、プレッシャーウエーブ型とシリョルム型といわれるもので、クロノス、アンフィニMS-6、ユーノス800などに搭載された。現在、国産車でスーパーチャージャーを搭載するモデルはない。

スーパーチャージャーの仕組み

ルーツ型スーパーチャージャーの圧縮行程。一対のローターがハウジング内の機密と圧縮を受け持ち、効率よく大気を圧縮する。

 スーパーチャージャーには二つの基本方式がある。ひとつは速度型といわれるもので、ターボチャージャーのコンプレッサーに似たインペラーによって空気の流速を増しボリュートの中で圧力に変換する。もう一つは容積型。ポンプの一種でユニットの中で空気を圧縮し、それをエンジンへと送り込む。速度型は空気の流速、インペラーの回転数などによって過給特性が変わるため、比較的単純なパターンの回転しか要求されない航空機エンジン用として用いられた。容積型はさらにルーツ型、ベーン型に分類できる。ルーツ型はハウジングの中に位相して配置された一対のローターがあり、交互に吸入空気を圧縮する。
 ローターは、クランクシャフトの動力を取り出すコグドベルトによって駆動され、ギヤ比によってコンプレッサーの回転は自由に設定できる。例えばトヨタMR-2に搭載されていた4A-GZE型では増速比は1.21に設定されていた。ローターとハウジングはロータリーエンジンのようにシールで密閉はされていない。9/100程度のクリアランスを持っているが、この程度でも圧縮漏れはわずかだ。4A-GZE型ではアルミ押し出しローターの表面をテフロン系の樹脂でコーティングし、クリアランスを数ミクロンに保っていた。
 スーパーチャージャーにはクラッチが組み込まれている。スロットル開度、エンジン回転数、吸入空気量などを検出し、過給が必要な時はクラッチを繋ぎ、低負荷域ではクラッチを放し、抵抗となるスーパーチャージャーを駆動しない。この時、吸入空気はバイパス回路を通過してシリンダーに吸入される。バイパス回路はターボチャージャーに装着されるウエストゲートバルブと同じ働きもし、過給圧が規定値より高まった時もここから吸気がバイパスされ、圧力の調整を行う。
 ツール式、ルーツ式三葉スパイラル型、ベーン式の他にウオームギヤを組み合わせたようなリショルムコンプレッサーやプレッシャーウエーブ型などがあるが、プレッシャーウエーブ型、ベーン式は現在では使用されていない。

VW・TSIの吸入空気の流れ。スーパーチャージャーにはバイパスバルブが設けられ、ここでオン、オフが行われるが、全ての吸入空気はターボチャージャーユニットを経由してシリンダーに吸入される。シンプルな制御

三葉スパイラル型のスーパーチャージャー。VW・TSIに搭載されるもので、駆動はVリブドベルトによって行われる。

1987年(昭和62年)にスーパーチャージャーを搭載した4A-GZEを追加。FFになったレビン最大の飛び道具はこの4A-GZE型である。4A-GZE型の最大の特徴は スーパーチャージャーとインタークーラーが装備されていることである。

ターボとスーパーチャージャーのコンバイン

 ターボチャージャーとスーパーチャージャーのコンバインも存在する。最初に先鞭をつけたのがランチア。グループB全盛の頃のWRCで勝利を掴むためにこの方式を導入したのだ。低回転で効果を発揮しないターボに代わってスーパーチャージャーが加速を受け持ち、回転が上がり、十分にターボの過給圧が高まる領域ではターボにバトンタッチする。その後、日産もマーチにこの方式を採用した。いずれもパフォーマンスのみを追求したものだったが、現在VWが推し進めているのは小排気量のエンジンにこの組み合わせで、燃費を向上させながら、ひとクラス上のエンジンと同等のパフォーマンスを得ようというものだ。2006年に発表され、ゴルフに搭載されたが、その後トゥーランなどにも搭載され、1.4Lで170bhpを発生するVW主要実用エンジンとなった。このエンジンを搭載したゴルフGTIは0-100km/hを7.9秒で走り抜け、最高速度は220km/hに達する。小排気量は巡航燃費に好影響をもたらす。100kmを走るのに7.2L(約13.8km/L)しか消費しないし、市街地ではさらに向上し5.9L(約16.9km/L)程度の消費だという。
 個々の技術にサプライズはまったくない。しかし、小さなエンジンに性格の異なる過給器を組み合わせてしまったことに意味がある。29カ国、61名のモータージャーナリストから構成されている“International Engine of the Year Awards ”をVW TSIは2006年に受賞している。燃費向上のためにはハイブリッドやEVの開発、熟成が進められているが、このような既存のテクノロジーの見直しでもまだまだ効率の良いエンジンに仕上がることをVWは世界に示したのだ。

グーネットピット編集部

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車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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