タイヤが摩耗するとわだちにとられやすくなる？

一般的にタイヤが摩耗すると、わだちにとられやすくなると言われています。大型車の往来が多い幹線道路で良く見られるわだちですが、タイヤの残り溝に関わらずハンドルがとられるなど、安全走行の上でも支障をきたす場合があります。ここでは、タイヤの摩耗とわだちの関係性、わだちにとられないような対策を説明します。

この記事の目次

1. タイヤの摩耗とは何か、どのような要因で起こる（進行する）のか
2. 摩耗によりわだちにとられやすくなる事はあるのか、それはなぜか
3. タイヤの消耗はわだち走行の安定性以外にどのような事に影響するのか

タイヤの摩耗とは何か、どのような要因で起こる（進行する）のか

タイヤの摩耗とは、路面との摩擦により生じる「転がり抵抗」による「すり減り」です。タイヤが地面と接地している部分は、自動車の走行状態の荷重や重量により歪みが生じ変形しています。タイヤは路面からの衝撃や振動を吸収するため、「歪み」と「戻り」を繰り返す事となり、タイヤのゴム自体が熱を帯びてきます。さらに、地面との摩擦によってタイヤのトレッド部分は少しずつ摩耗（すり減る）していきます、特に発進時や制動時は縦方向に力が加わり、コーナーリング等では横方向に大きな力が加わります。しかしながら、この摩擦がないと車は加速しないばかりかブレーキを掛けても減速・停止はしません。この摩擦は車の走行とは切っても切れない重要な関係にあります。

タイヤの摩耗が進行していくと、わだちにとられやすくなると言われますが、それはなぜでしょう。自動車のタイヤは、摩耗が進むと接地面が横に広がっていきます。また、接地面が摩耗していくと、接地面積が大きくなっていくのと同時に、タイヤの角が立っていきます。角が立つという事は、わだちにとられやすいと言うより、わだちから抜け出しにくくなるという事になります。これはタイヤの構造上仕方のない事で、同様に太いタイヤの方が、細いタイヤよりわだちにとられやすいのは、接地面積が広い事による同じ理屈と言えるでしょう。わだちにとられやすくなったと感じたら、タイヤの摩耗が進んできた合図と認識すると良いでしょう。また、幹線道路の停止線手前の大きなわだちは、大きく車の挙動を乱す原因にもなり、非常に危険なので、特にブレーキングでフロントに荷重がかかるような状況では、しっかりステアリングホイールを握り、冷静に対処する必要があります。

摩耗が進む事で懸念されるのは、雨天の走行時に起こる「ハイドロプレーニング現象」です。ハイドロプレーニング現象とは、タイヤの溝が浅くなる事で、排水性能が低下し、車が水の膜に浮いてしまう状態です。ハンドル操作やブレーキも効かなくなり、一時的に制御不能な状態になります。その時は慌てずにアクセルを徐々に緩め減速し、タイヤが接地して操舵力が回復するのを待つしかありません。わだち走行同様に冷静に対処する事が重要です。タイヤの消耗は車の安全走行に支障を及ぼすばかりか、快適な乗り心地にも大きな影響を与えます。常日頃からタイヤの残り溝や方減り、ヒビなどのチェックを行い、安全走行を心がけましょう。また、タイヤの消耗が進んでいるようであれば、早めのタイヤの交換をおすすめします。