インナーパネルの制振 音質アップDIY PART1-3

中空面はヘラで等間隔に
しごいて「張り」をもたせる
　制振シートは貼り付け後、基本的にシワを伸ばすようにヘラで擦ることで鉄板面に圧着すればよい。
　しかし、サービスホールのような中空面は貼るだけではブヨブヨして安定しない。このため、バネルと接している周囲をしっかり密着させてから、丸いヘラで等間隔のスジを付ける感じにしごいて「張り」をもたせる。こうすることで強度が増すからだ。
　また、インナーパネルの鉄板のリブの入っていない平面も振動しやすいため、余った制振シートを貼っておく。その際、制振シートを短冊状にカットしたものを用意しておくとスムーズだ。

インナーハンドルに接続されているケーブルは、制振シートで塞ぐサービスホールから引き出されているため、パネル端で傷付かないよう保護処理する。吸音シートを2分割する。アウターケーブルに巻かれているスポンジを取り外す。アウターケーブルに吸音シートを巻き付ける。残り1本も同様に吸音シートを巻き付ける。

制振シートをあてがってサービスホールを塞ぐことができるサイズを確認する。横幅はそのまま、縦を合わせれば覆える。現物合わせで確認した縦幅に制振シートをカットする。四隅の角は丸く切ってR加工する。サービスホールにあてがい、ケーブルの引き出しポイントを確認する。引き出しポイントはケーブルの角度的にほぼ中央。制振シートの中央に＋字の切れ目を入れ、押し込んで穴を開ける。ケーブルを通してサービスホールに密着させて収まり具合を確認する。

ホール上面にハーネスが引き込き込まれており、その面が浮いて密着しきれないため、軽く切り込みを入れて絞り込む。問題なく収まることを確認したところで一旦取り外し、サービスホールの周囲をクリーンナップシートで拭いて脱脂する。制振シートにケーブルをはめ込み、リケイ紙を半面引き剥がす。位置合わせしてリケイ紙を剥がした面をサービスホールに貼り付ける。リケイ紙を引き剥がしながら残りの面を貼り付け、制振シート端のインナーパネルと接している面を圧着ツールでムラなく擦って確実に密着させる。

丸いヘラを利用して制振シートの中空になっている面をしごいて等間隔のスジを付けていく。ムラなく均等にしごくことで「張り」がでて安定する。が、ケーブル引き出し口が弱いため補強することにした。

制振シートを5cm四方のサイズにカットし、ケーブル引き出し口に重ね貼りする。圧着ツールで擦ってキッチリ密着させる。

包装紙のような広めの紙をサービスホールに重ね、ホール外周の折り込み面に沿って指先でなぞるようにして窪ませつつ形状を写しとる。窪みに沿ってハサミで切り出す。型取りしたサービスホールに当てがって収まり具合を確認する。下部に開けられた穴を見落としていため、紙を貼ってカバー範囲を延長した。制振シートに型紙を重ね、油性ペンで型紙外周をなぞって形状を転写。転写した線に沿ってカットしていく。貼り付け面に当てがって収まり具合を確認。必要に応じて修正を加える。リケイ紙を剥がし、慎重に位置決めしてサービスホールに貼り付ける。シート端のインナーパネルと接している面を圧着ツールでムラなく擦って確実に密着させ、中空面をしごいて張りを持たせる。

リケイ紙からホールドシールを剥がす。ホールドシール中心の＋字の切れ目が穴の中心にくるよう、インナーパネルの樹脂クリップ勘合穴に貼り付ける。同様にして全ての樹脂クリップ勘合穴にホールドシールを貼る。

スピーカーホールにスピーカーをはめ込み、固定穴位置を合わせてブラインドリベットをはめ込む。リベットハンドルをセットし、シャフトが引き切れるまでハンドルをギュッと握ってかしめる。4本かしめたらコネクターはめ込む。スピーカーのフレームに沿って防音テープを貼り付ける。

スピーカー周辺の平面を軽く叩いて、振動音が響きわたるポイントを確認する。振動ポイントをクリーンナップシートで拭いて脱脂し、スピーカーキット付属の短冊状にカットされた制振シート（1ドア5枚／計10枚）を貼り付ける。確認した振動ポイントに残りの制振シートを貼り付けてインナーパネルの制振処理は完成だ。

• 提供元：オートメカニック